お久し振りです。
感想やリクエストに多かった対ロマリアとハルケギニア統一までのお話をペースは月に二回程度となりますが、書いていこうと思います。
宣伝ですが、ネギまの方にも一本連載していますので良かったら読んで下さい。
クルデンホルフのアイドル・ベアトリス姫殿下デビューする!
「お兄ちゃん達ー!
元気してたー?
私は元気だったよー」
「「「ウォー!ベアトリスちゃーん」」」
ステージの上で千人以上の観客に応えるベアトリス姫殿下……
元祖ツンデレプリンセス・イザベラの妹分としてガリア国内で活動し今日、凱旋ライヴを祖国クルデンホルフ大公国の特設ステージにて公演。
多くのファン(大きなお友達)に迎えられた。
公演は大成功だろう……
「ツアイツ様、公演のご成功おめでとう御座います」
「ツアイツ様、我が姫も中々のツンデレ振り。
流石は奥様のご指導の賜物で御座いますな」
何故か僕の背後に控え、僕を主と崇める……
元空中装甲騎士団の隊長達に話し掛けられる。かつて衰退するトリステイン王国から財力をもって自治権を獲得し、大公国として独立国家として認められたクルデンホルフ大公国……
その防衛の要である筈の空中装甲騎士団。
しかし彼らは僕を主とし、当然の様に振る舞っている。
「マイマスター!
そろそろ公演も中盤に差し掛かります。
ベアトリス妃殿下の衣装変えの間、信者達にお声をお掛け下さい」
こちらは元アルビオン王国の空軍所属の竜騎兵だ。
「我らが王よ。
ささ、こちらに……
既に準備は出来ております」
こっちはガリア王国の花壇騎士団だ。
僕は帝政ゲルマニアの新興貴族だ。
しかも爵位を継いでいない長子だから直属の家臣など居ない。
皆父上の家臣だ。
ハーナウ家は三代遡れば商人だった家系だから譜代の家臣とかは居ない。
今の家臣団も、どちらかと言えば武より商に傾倒した連中だ。
先の大戦の時は、それでも最狂の……
いや、最強の護衛であったお姉ちゃんが居たから何も問題は無かった。
他にもワルド殿やカステルモール殿が居てくれたから、こと安全に関しては心配しなくてよかったのだが……
お姉ちゃんは、ガリア王国の王妃としてジョゼフ王にベッタリだ!
そして、これからもベッタリでいて欲しい。
ワルド殿とカステルモール殿は仕えていた国を後にして、貧乳教団のカリスマ会員としてゲルマニアのハーナウ領に行ってしまった。
イザベラ親衛隊は、基本的にイザベラの周りから離れない。
そして最近は特使として各国に飛び回る僕の護衛問題が深刻化した。
僕は巨乳教団の教祖だから、貧乳派や美乳派からは選抜し辛い。
心配した我が友であるウェールズ皇太子が、各国の巨乳派に声を掛けた。
ハーナウ家に所属し僕の家臣団として、また護衛として働いても良いと言う連中を……
幸いにして、漢の浪漫本ファンクラブは売上好調!
財力ならかなりの物だから、家臣を養う事は出来る。
しかし、ゲルマニアの新興貴族に家臣として仕えても構わないと言う連中は少ないと思っていた。
実際に直接申し込みに来た連中は、実力は中々の者達だったが少なかった。
まぁいくら次期ガリア王と言えども血統や歴史を尊ぶのが貴族だから仕方ないし、来てくれただけでも良しと思っていたよ、最初は。
しかし実際は各国から予選を勝ち抜いた選抜メンバーだったのだ、彼らは。
当然、乳に対する思い入れと実力を伴った漢達だった。
しかも全員が武闘派だ!
内政連中は、教団に雇われるから直接僕の所には来ない。
そして各国から選り抜きの猛者達が……
ツアイツ親衛隊と言う、最強の巨乳騎士団が生まれた。
彼らは自らをボインズ・ナイツと呼称!
(※貧乳騎士団は有りません。
ナインズ・ナイツも存在しません。
念の為に……)
白と金で統一された鎧とマントを装備し、黒と赤で統一したイザベラ親衛隊と双璧をなした強者だ。
国籍を問わず集まってくれた彼らは有能だし、各国の騎士団とも交流を持っていた。
。
「ああ、そうですね。
ベアトリス姫殿下が着替える間の時間にファンクラブの皆さんと交流しましょうか」
そう言って彼らに先導され、漢の浪漫本ファンクラブの集いに参加する。
ライヴやファッションショーを行う彼女達と違い、僕はサイン会や握手会が主な仕事だ。
当然、新作への執筆が一番の仕事だが……
こうしてクルデンホルフ大公国での興業は大成功の内に幕を閉じた。
◇◇◇◇◇◇
ライヴを終えたベアトリス姫殿下が休憩室に戻って来た。
頬を染めて興奮醒めやらぬ感かな?
「お疲れ様でした、ベアトリス姫殿下。
ライヴは大成功でしたね」
「あっお兄様!
有難う御座います。
お陰様でクルデンホルフのアイドル・ベアトリスとしての自信と地位が固まった手応えを掴めましたわ。
これならトリステイン王国からの圧力にも対抗出来ますわ」
以前のクルデンホルフ大公国はトリステイン王国の紐付きだった。
空中装甲騎士団は擁していても、歩兵戦力はトリステイン王国に依存していた。
しかしイザベラ繋がりで、ガリア王国と繋がりを持った事を宮廷貴族やアンリエッタ姫は良く思っていない。
あの後、僕とウェールズ皇太子がアンリエッタ姫から意図的に離れてから、彼女はやさぐれてヴァリエール公爵やド・モンモランシ伯爵等の僕よりな貴族達を遠ざけ始めた。
今の彼女の周りには粛正を逃れた怪しい貴族達しか居ない。
義父上達も意図してか、アンリエッタ姫の傍から離れて何かしている。
焦臭い感じがしていますよ、トリステイン王国は!
そこを敏感に嗅ぎ分けたクルデンホルフ大公が、急速にガリア王国に取り入った訳なのだが……
ベアトリス姫殿下も、その辺の事情を言い含められているのかな?
以前よりも僕に対して、警戒をしていない。
それはイザベラの教育の賜物でも有る訳だが……
「それは良かったですね。
しかし、これからが大変ですよ。
アイドルを公言したからにはロマリアから目をつけられますからね。
それにトリステイン王国の動きも怪しい」
「ええ、お姉様から聞いています。
アイドルとは偶像・崇拝の象徴……
ブリミルを崇めるロマリアにとっては不敬にあたる。
偶像とはブリミルを自分の都合の良い様に作り替える事も出来るから。
それを崇拝させる事は……
自分をブリミルとすり替える事も出来る。
ですわよね?」
うん、大変良く出来ました!
イザベラの対ロマリア教育は成功している。
「そうだね。
僕らはロマリアを……
今の間違ったブリミル教と戦わなければならない。
それには君の協力も必要だ!
共に頑張ろう」
「はい、お兄様!
私も頑張りますわ。
腐れホ○野郎を駆逐しましょう!」
と尊敬の眼差しを向けて慕ってくれる。
だから比較的、彼女とのコミュニケーションは上手く行っている。
向かい合ってソファーに座り、紅茶を飲みながら雑談に花を咲かせる。
ほのぼのとした雰囲気だ……
そこへ巨乳騎士団の1人が訪ねて来た。
「すみません我が王よ。
そろそろ懇親会の準備が整いましたので、ベアトリス姫殿下をエスコートして会場までお願いします」
「やれやれ、もうひと働きしようか?」
「ええ、お兄様!」
特徴の有る腰まで伸びたツインテールを揺らしながらソファーから元気よく立ち上がる。
「ベアトリス姫殿下。
私めにエスコートをする大役をお申し付け下さい」
恭しくお辞儀をする。
「ええ、ツアイツお兄様。
宜しくお願いしますわ」
差し出されたその手を軽く握りながら、彼女を会場へとエスコートする。
さて、今回集まっている観客はクルデンホルフ大公が各国に招待状を送った。
故に色々な思惑の連中が居る。
僕がエスコートするベアトリス姫殿下を見て、彼らはどう思うかな?