謀略教皇VS謀略教祖!趣味と趣味の闘い・第20話
通達……
帝政ゲルマニア貴族、ツアイツ・フォン・ハーナウをブリミル教、教皇ヴィットーリオの名により異端認定とする。
罪状は、漢の浪漫本ファンクラブなる堕落を促す教団を興し、数々の禁書を発行した事。
それを用いて、数々の敬虔なブリミル教徒をその卑猥で下劣な内容の禁書を用いて洗脳・堕落させ続けたる事。
フィギュアなる物を作成せし罪。
これは偶像崇拝を禁止するブリミル教に違反している。
アイドルなる名の女性を言葉巧みに利用し、善良な民衆を卑猥な教義に洗脳させし事。
これは始祖ブリミル以外を信仰の対象と企んだ事。
これらを総合すると、始祖ブリミルを冒涜している事は明らかである!
故に、異端認定をし早急な引き渡しを要求する。
ロマリア連合皇国、聖エイジス32世・教皇ヴィットーリオ
◇◇◇◇◇◇
これをガリア王国・帝政ゲルマニア・トリステイン王国そしてクルデンホルフ大公国に公式文書として送った。
そして各国のブミル教の教会へも送り、各教会の責任者は、これを信徒達に公布した……
ツアイツ・フォン・ハーナウの名前は、ハルケギニア中に広まった!
此処までブリミル教から、ロマリアから名指しで敵対された男は居ない。
もしもトリステイン魔法学院入学前に、この通達が公布されたなら……
ツアイツの命は無かっただろう。
この通達に対し、各国のトップの対応は様々だった。
先ずは、ツアイツが所属する帝政ゲルマニアだが……
ロマリアに対しては、完全な沈黙を守った。
そして国内のブリミル教の教会に対して、我が国には異端認定をされる貴族は居ない。
故に、引き渡しには応じかねる。
もし強硬するならば、武力を持って応じる!
トリステイン王国は、宰相であるヴァリエール公爵が……
ロマリアの教皇ヴィットーリオを正当なブリミル教徒とは認めない。
我々は、正当な教皇にマザリーニ枢機卿を推す。
故に、この通達には従えない。
そして国内のブリミル教の教会に所属する神官達に、どちら側に着くか迫り、現教皇に着く者・不正が発覚した者は追放した。
アルビオン王国……
ジェームズ一世とウェールズ皇太子が公式にコメントを発表した。
「ツアイツ殿は救国の英雄。
我ら新生アルビオン王国は、ツアイツ殿を全面支援する!
我々はブリミル教の司教が起こした反乱を忘れていない!
その恩人に対して異端認定をするならば……
相応の報復をさせて頂こう!」
「我が心の友を異端と評するならば……
ホモを押し付ける貴様こそが、ハルケギニア全土の敵と私は認定する!
もはや言葉は要らぬで有ろう。
我らが教祖と共に、アルビオンは戦うまでだ」
多少、逝ってしまったコメントを頂いた……
ガリア王国……
ジョゼフ王、シェフィールド王妃のコメントが発表される。
「腐れホモ野郎を駆逐する。
俺はホモ野郎の存在を許さない。
敵対するなら受けて立たとう」
「私のツアイツに……
大切な義弟にチョッカイかけるなら、ロマリアと言う国を地図から無くすから」
と、宣戦布告とも取れるコメントだった。
因みに国内に、既にブリミル教の教会は無い。
建物は全て取り壊し、神官は強制退去。
ロマリアからの移民に協力した神官のみ、ツアイツの庇護の下、滞在を許されている……
クルデンホルフ大公国……
ベアトリス姫殿下よりのお言葉を頂いた。
「私はクルデンホルフのアイドル・ベアトリスですわ!
お兄様に対して失礼な腐れホモ野郎は、話し掛けないで下さい。
気持ち悪いので……」
ライブ会場で、ファンを前に、こう言って会場を盛り上げた。
最後に、当の本人で有るツアイツ・フォン・ハーナウは、自身の発行する
「変態と言う名の紳士達・漢の浪漫本ファンクラブ臨時会報」
で、こうコメントをし現教皇ヴィットーリオの悪行を非難した……
◇◇◇◇◇◇
漢の浪漫本ファンクラブ・臨時会報
漢の浪漫本ファンクラブ会員の皆様へ
私、ツアイツ・フォン・ハーナウはブリミル教の教皇ヴィットーリオより、名指しで異端認定をされた。
何故、彼が僕を目の敵にするのか?
それは僕が、彼の望む本を書かなかったからだ。
彼の望む究極のおホモ達な世界……
ヴィットーリオは、自分の趣味で有る不純同性交遊の記録をブリミル教の聖典とする為に依頼して来た。
「教皇ヴィットーリオのドキドキ聖歌隊in男の娘201人!
うはうはハーレム☆パラダイス」
彼自身が書いて寄越したプロットだ。
これは、始祖ブリミルを敬う為の聖歌隊を……
彼のホモな性癖を満足させる為だけの「男の娘」の集団に作り変えた事をまとめた実話だったのだ。
僕に諸兄ら「漢の浪漫本ファンクラブの会員達」にホモを強制的に押し付ける為の聖典を書かせる事!
そんな爛れた物を僕が書く訳が無い。
フザケルナ、こんな物は書けないと断った。
非生産的で不毛な不純同性交遊を諸兄らに押し付ける為の本など、僕が書ける訳が無いのだ!
彼の思想では、女性はただ単に「男の娘」を生む為に存在する物になり果てていた。
しかも彼は重度の幼児趣味も有り、20歳を過ぎた「男の娘」には興味を無くし、放置するそうだ。
何て非道で異常な男なのだろうか!
僕らの教義では、女性は敬う物だ!
諸兄らと共に歩み育ててきた、我らが教義。
己の性癖を正しく理解し、謳歌する。
しかし女性や社会に対しては、優しい教義なのだ。
フィギュアとは!
素晴らしき女神達を……
その姿をフィギュアとして、永遠に留める為の物だ。
アイドルとは!
正に今が旬の美女・美少女を共に愛でて、明日への活力と英気を養う為の物だ。
貴族・平民を問わず、全ての素晴らしき乳を持つ女性に優しい我らが教義!
ハルケギニア全土の、漢の浪漫本ファンクラブ会員の諸兄よ!
ヴィットーリオを何とかしなければ、腐れホモ野郎ばかりの恐るべき世界となってしまうだろう。
今こそ立ち上がろう!
共にブリミル教の教皇をかたる、ヴィットーリオを倒すのだ!
オッパイを愛する全ての紳士達よ。
僕に力をかして欲しい!
ホモを駆逐し、このハルケギニア全土に平和を!
◇◇◇◇◇◇
因みに会報の隅に、トリステイン王国に滞在するマザリーニ枢機卿からの談話が載っていた……
小さなコーナーだったが、この記事がマザリーニ枢機卿を次期教皇へと押し上げる最大の力になるのだった。