マチルダ&ティファニアルート第5話
ロングビルは悩んでいた。
テファの保護…
ツアイツに会わせれば確実だが間違いなく喰われてしまう。
有能で巨乳好きの善人なのは理解したが男女間の事については大変宜しくない……
とは言え自分の周りも大切にしているから彼の懐まで入らないと手厚い保護は受けられない。
ただ引き合わせて手出しはするな保護はしろ……
は幾らなんでも無理だろう。
とは言え代替の物を提供するにしてもお金は……
向こうの方が持ってるわね。
欲しい物を盗んでくる……
駄目だ大抵のものは金で買えるし盗品などリスクが高く受け取らないだろう。第一、物欲は低そうだし逆に彼の著書の方が欲しい位だ……
金も物も駄目……
あとは権力・名誉……は私じゃ無理だ。
フーケとして捕まって名誉を与える?
それじゃ意味は無いし盗賊の身内じゃテファを引き取れないだろう。
し、仕方ないから私を身請けさせるか?
でもあんな巨乳メイドズを見せられた後で戦力値が低いこの胸で迫っても無理だ。
逆に鼻で笑われそうだ。
ハーナウ家に就職して役立つ所をみせるか。
諜報関係なら自信が有るよ。でもこれだと一時的に盗賊家業はお休みだからあの子達の仕送りが心許無いね…
最初はそんなにお給金も貰えないだろうし。
当座の資金を確保してからハーナウ家に就職するのが地道だけど確実かね。
それじゃ今夜から盗賊土くれのフーケの華麗な活躍を見せるかね。
こんにちは。
ツアイツです。
久しぶりに授業を受けています。
赤土ことシュヴルーズ先生です。
確か2年の最初の方の授業で顔見せの筈ですが既に1年の最初の授業に来ています。
それとも錬金はしないで他の事を教えるのかな?
「始めまして皆さん、私はシュヴルーズと申します。
二つ名は赤土。
二つ名の表す通り土のトライアングルです。
このクラスには私以上の土のスクエアメイジが居ますからやり難いのですが先ずは基本から教えていきます。」
スクエアの所で意味深に見られましたが…
教師間では既に問題児として認定済みですか?
そうですか。
「土の魔法の基本は錬金です。
皆さんは既に錬金に挑戦した方は居ますか?」
「はい。ギーシュ・ド・グラモンです。
二つ名は青銅です。」
「まぁグラモン家と言えば軍人として有名な家系ですね。
貴方のお父上や兄上殿達はみな優秀な土のメイジでしたよ。」そんなシュヴルーズ先生とギーシュとの遣り取りをボーっと聞いていた。
ギーシュ頑張れ!
ここで良い所をモンモンに見せ付けるんだ!
教卓の上に石ころを置いてそれを錬金させる。
ギーシュは勿論青銅を錬金するんだろうな……
やっぱり青銅だったが精度やスピードが上がっている……
随分練習したな。
「命を惜しむな名を惜しめ」
って家系だからギーシュも軍人になるんだろうな。
どうなんだろう…
現代の感覚だと軍隊って厳しく規律正しくそして女っ気が無いから危険な…
「…ツアイツ…ミスタツアイツ」
はっしまった阿部さん的な妄想をする所だった(汗)
「はい。すいません、考え事をしていました」
「貴方にとってはつまらない授業かも知れませんがちゃんと聞いていなければ駄目ですよ。
罰としてこの青銅をさらに錬金してみなさい」
怒られてしまったか……
「分かりました。
では……」
そうだ最近理解できた超々ジェラルミンに錬金だ!
「まぁこれは?
随分軽い金属ですわね……
ディクトマジックで調べても宜しいですか?」
「どうぞ、我が家でこれから売り出す馬車の素材として開発した軽量・強固な金属で超々ジェラルミンと言います」
「これは、凄いですね。
私も見た事の無い金属です。
流石はスクエアと言う所ですね」
ギーシュもマジマジとジェラルミンを見ている。
良かった、君の活躍の場を奪ってしまったけと気にしてないようだ。
「では、次は…
ミスルイズ!
この石を錬金してみなさい。」
シュヴルーズ先生無茶振りです。
ちょ、おま、ヤバいですって……
「どうしました。
ミスルイズ次は貴女の番ですよ」
「シュヴルーズ先生すみません、私は錬金は苦手で……
対象物が壊れてしまうのです…だから」
原作のルイズでは考えられない謙虚さだ……
謙虚な虚無?
語呂が良いのか?
「授業とは生徒は失敗を恐れず挑み教師とはそれを正しく導く事なのです。
恐れずやってみなさい」
「先生。
素晴らしいお考えですが僕もルイズの……
その魔力量の多さと破壊力は身に染みて知ってます。
僕のアースウォールやアイアンシールドを容易くブチ抜く程の威力をまだ制御出来ないので教室ではなくせめて外で……」
「スクエアの守りを抜くって……
どれだけの威力なんでしょう?
分かりました。
まだ制御面で不得手なら実際に見てみましょう。
皆さん外に移動して下さい」
ルイズがギュっと僕の袖を握る……
今まで散々味わった失敗・失望・哀れみを思い出しているのだろう。
「大丈夫。
全力で魔法をかけるんだ。
被害は僕が抑える。
君は爆発力に特化したメイジという事でいこう」
「分かったわ。
でも全力で平気?
貴方のゴーレムも粉砕してしまったのよ」
「むしろOK!
スクエアをも粉砕するルイズを馬鹿に出来る奴なんて居ないさ。
では外に行こう」
ルイズをお姫様だっこをして外に飛び出る。
ここからが本番だ。
ルイズの立場が悪くならない様にやってみせるさ。
「シュヴルーズ先生。ルイズの特性を調べる為に最大威力で魔法をかけさせるので皆は少し離れさせて対象は僕の全力のゴーレムで良いですか?」
「其処までの威力なのですか?
分かりました。
皆さんは下がって万が一の為に防御魔法の準備を…
ミスタツアイツは私と近くに。
ディクトマジックは私がかけますから防御をお願いします」
「分かりました。
では……
クリエイトゴーレム!」
周辺の大地を巻き込み練成されていく全長18mの鋼鉄の巨人……
周りの皆も息を呑む。
禍々しい一つ目が「ビコーン」と光り放熱口から排気する。
全く意味は無いが拘りだけの機能。
「こっこれは?
私でも同程度の大きさのゴーレムなど土で何とか形を整えるだけですのに……」
シュヴルーズ先生の呟きに皆がどれだけ凄いゴーレムか理解する。
てかルイズもカリン様もコレを粉砕するんですけどね……凹むわ。
「ではルイズ。
錬金を…
皆は耐ショック耐閃光防御を……」
ルイズ、君の威力を見せ付けろ!
「分かったわ。
波動砲はっし…
じゃなくて錬金…錬金…錬金…」
ズガン!ズガン!ズガガン!
トリガーハッピーの如く錬金を連発するルイズ……
僕のゴーレムは左肩…右腕…脇腹と砕けていく。
「レーンーキーンー!」ドッカーン!」
最後の駄目押しとばかりにルイスが錬金をかける。
左足が粉砕し膝を付くゴーレム……
そしてモノアイを一際強く光らせた後に明かりを消す。
ルイズ……
実は失敗と言いつつこの威力に酔ってますね。
廻りを見ると皆が呆然としている。
スクエアのゴーレムを一方的に粉砕する魔法。
そして威力。
さらに嬉々として魔法をかけ続け終わった後の恍惚とした表情のルイズ……
コイツを馬鹿にすると粉砕されるんだな。
ヴァリエールの女性陣はどこか皆異常なんだな……と。
「先生……シュヴルーズ先生どうですか?
何か分かりましたか?」
呆然とするシュヴルーズ先生……
「いえ、大丈夫です。
ミスルイズの魔法……
錬金はスペル・制御共に素晴らしかったのですが最後に対象に効果を与える所で違う作用になりましたが……
威力と言う点では理解の範疇外でした。
少し調べてみます」
ルイズは……
大丈夫かと思ったら、男子生徒に囲まれていた。
薄っすらと汗をかき恍惚とした表情で目を潤ませている今の彼女は美しい。厳格な貞淑感覚を持つ女性の多いトリステインでは彼女の魅せたこの幼いながらの艶美さに喰いついてしまったんだろう。
おまえら盛りの付いた犬じゃないんだから落ち着け……
ってギーシュまで行っちゃ駄目だろお前モンモン狙い。
結局ルイズが魔法を苦手な事は有耶無耶と言うか寧ろ毎週ゴーレム粉砕をして欲しい位の盛況だった。
シュヴルーズ先生には疑問を男子生徒には煩悩を女生徒には畏怖を植えつけてだ。
そして……
「破壊の妖精」と言う二つ名がついた。
本人はご機嫌でその二つ名を名乗っている。
好評だったゴーレム粉砕の件は今後は男子生徒抜きで定期的に実験する事に女生徒主体の話し合いで決まった。
ルイズもストレス発散が出来ると喜んでいるし結果オーライか?