第23話
みんな大好きタバサさん活躍する?
タバサは自室のベッドに小さな体を投げ出して天井を見詰めながら悩んでいた。
少し前にイザベラからゲルマニア貴族のハーナウ家次期当主について調べる様に指令が来た。
私と違い大勢の仲間に囲まれている男……
烈風のカリンの愛弟子、長きに渡るツェルプストーとヴァリエールの仲を取り持った中心人物、数々の物語を執筆する作者。
私も彼の作品は全て読んだし何冊かはイザベラにも送った。
もっと寄越せと言われた。
実際改めて調べてみると学生にしてはかなりの功績だ!
寝返りをして俯せになり足をブラブラさせながら更に考える。
しかし……
求められたのは裏の功績を調べ可能ならサンプルも持ち出す事だった。
これはジョセフからも強く言われたらしくイザベラの機嫌も悪かった。
そして漸く手掛かりを掴んだ。
曰く洗脳本を執筆出来るらしい。
書物で人の心を操れるらしい……
どう言う事なのか?
お母様の病も治せる事が出来るのか知りたい。
しかしその洗脳本とは一年生男子にしか廻ってなく口下手な私では情報収集も満足に出来なかった。
漸く話し掛けても異常な位に皆が警戒し口が固いのだ。
この手の情報収集の場合、直接本人に問い質すのは下策。
十分に情報を集めて最後に接触する。
しかし情報はゼロに近い。
僅かに「マルチ……はぁはぁ」とか「モエ?燃え?」とか専門用語が飛び交うだけで意味が分からない。
そしてそう言う情報を漏らす男達の表情は……
一様に気持ち悪い。
これが洗脳効果なのだろうか?
更に悩み続けていた時に先方から接触が有った……
手紙には余人を交えず話がしたいと書いてある。
これは此方が調べているのを察知されて先手を打たれたのか?
しかし恋文とも思える内容だ。
思わずベッドの上で立ち上がる。
これはチャンスだ!
上手く交渉すれば情報を引き出せるかもしれないしお母様の治療の手伝いをしてくれるかもしれない。
だが交渉するにしろ何か相手の欲しがる物が必要だろう。
そして下を向いて見る……
ストンとしてつま先まで見える起伏の無い平らな胸……
心に絶望が広がる。
彼は巨乳好きを公言するオッパイ魔神。
そして自分は対極の存在。
協力を取り付けるのは無理だ。
しかし接触してきたなら何らかのアクションが有る筈。
取り合えず指定の時間に待ち合わせ場所に行ってみよう。
SIDEツアイツ
ワルド子爵が来るという事で男子寮は大騒ぎになっていた。
現役の衛士隊隊長が来るのだ。
女性は流石に立入り禁止だがモテナイーズ達は部屋に押し掛けてきて五月蝿い。
どう言っても部屋から出て行かないので諦めた……
そしてワルド子爵が尋ねてきた。
トントン「ツアイツ殿失礼するぞ」
ワルド殿は部屋に居たギーシュ達に驚いたが流石は隊長迄登り詰めた人物!
彼らの質問にも模範解答で対応し逆に貴族とは男とは何たるかを説きそして彼らは感動して部屋から去っていった。
流石としか言えない対応だ。
「さてツアイツ殿、邪魔者は追いやった。
早速例のブツをみせてくれ」
目を血走しらせ迫ってくるこの変態と先程の貴族の見本という様な人物が同一人物なのか?
「えーと……
貴方は一文字を変えれば本当に有能ですよね。
残念です」
「貧と巨かい?
それはお互い様だろう。
君こそ一文字違えば仕えても良いと思う相手だぞ」
「それは……
有難う御座います。
ではこれらが学院で廻している作品です」
「でっでは失礼して……
ごくり……これは!」
「ツ……ツアイツ先生この「はなまる幼稚園」の幼稚園とはどういう学び舎なのですか?」
「ああ……それはワルまで書いた学院に入る前の段階で学ぶ場所ですよ」
「そっそうですか……
こっこの「TO HEART」に出てくるメイドロボとは?」
「ああ……それは可愛い女性版のゴーレムですよ。
ボケが基本装備の……」
「アオイちゃん72cmとリオちゃんの70cmとHMX-12マルチちゃんは68cmだと……
ごくりこの挿絵は……
ブハッ!」「あっすいません。
それ18禁本だった……
ワルド殿、平気ですか?」
「ハッハッハ全然ダイジョウブダヨ……
ソノ18禁本トハホカニモアルノカナ?」
「そうですね……
後はそれの続編とか有りますよ……
はいコレ」
「コノミちゃん74cmにサンゴちゃん76cmにミソラちゃん79cmだと……
この子達も挿絵が……
プッハー!」
「ワルド殿……はいテッシュです。」
「すっすまない。
これは随分と柔らかい紙だね。
どうするんだい?」
「取り敢えず丸めて鼻に詰めて止血して下さい。
後はですね……」
「ちょちょっと待ってくれ刺激が強すぎだ。
それに一度に全ては頭がパンクする。」
「そうですか?
まだまだ有りますけど……」
「えっ……
あっあとどれ位有るんだい?」
「この棚のココからココ迄ですね」
「ツアイツ先生……
これ程の貴重な作品をこんな気軽に置いておくなんて問題ですぞ」
「そうですか?
でも他の生徒達も見に来ますから貸し出ししている分も合わせればもう少し有りますよ。
こちらの2冊は差し上げますが残りは他にも見せていますので……」
「そうですな。
全てを独り占めだと闇討ちされますね……
しかし……残念だ」
指をくわえて物欲しそうに本棚を見つめるワルド殿。
「もし良ければ全部持って偏在してみてはでどうです?
偏在が消えれば無くなりますがまた借りに来れば良いでしょう?」
「たっ確かにそれならこの本全てが我が手に……」
ワルド殿は偏在を2体だし計2冊ずつのコピーを作ると閲覧用と保存用として先にフライで帰らせた。
「ツアイツ先生!
凄い有意義な時間でした。
暫くはいえ当分の間はこの作品群で生きて逝けます。
では何か有れば何なりと申し付けて下さい」
ワルド殿は一礼して満足そうに帰って行った。
しかし……
まだまだウブよのう。
SIDEワルド
ふぅ凄い収穫だ。
「ワルま」は僕が主人公そして「TO HEART1・2」は18禁本……
そして偏在に持たせた多種多様な作品群!
嗚呼…
本の海に溺れたいが公務をしなければ……
面倒臭ぇな。
「アンリエッタ姫そろそろ時間です。
会場の方にいらして下さい」
「あらワルド隊長。
どうでしたか久し振りに許婚とお話出来ましたか?」
「はぁ?
許婚ですか?
違います友人の所に行っておりました」
「まぁ!
ルイズが悲しみますわよ。
許嫁を友人などと呼んでは……」
「誤解が有るようですが私とミスルイズの婚約は口約束でしたしとうに解消しております」
「そうなのですか!
ルイズとは幼少の頃以来会っていませんでしたので……
すみませんでしたワルド隊長」
「いえ……
お気になさらずに。
さぁ会場の方に。
皆がアンリエッタ姫をお待ちです」
「わかりました。
でも気になります。
ワルド隊長程の人物が尋ねる相手とは?」
「ツアイツ先生ですよ」
「はぁ?
先生ですか?
生徒の部屋に伺ったと聞いてますが?」
「さぁ時間が有りません。
急いで下さい」
全くこの中途半端な胸の姫は立場もオツムも中途半端だな。
しっかりして欲しいものだ。
貴女が必死で底上げして隠している胸の秘密は我がバストスカウターで既に感知してますよ。
微妙胸のアンリエッタ姫……