第25話
ヴェストリの広場
SIDEペリッソン&スティックス
「結局僕らだけだな」
「ああ……軟弱者達め!」
「しかし……
来るかな?奴ら?」
「わからん?
しかし上手く行けば大失態だろう……
あのタバサって子の髪の色は蒼……
つまりはガリア王家の縁者」
「そして両人が来た時に僕達が発見し騒ぎ出す」
「トリステイン国内でゲルマニアの貴族とガリアの王族の縁者と深夜に密会……
これはスキャンダルだ」
「女の方は恋文風に男の方は果たし状……
くくくっ最初の台詞は何だろうな?」
「「多分命乞いだと思うぞ……」」
「「えっ?」」
振り返ると既に杖を構えたワルドとツアイツが居た!
何故バレたんだ?
「風使いは気配を探るのは簡単なんだよ」
「大地に立っている限り土メイジなら察知出来るんですよ」
「「さて、お前達2人だけか?
ブリミル様にお祈りは済ませたかな?
ションベンは平気かい?
命乞いの言葉は考えたかな……」」
「「準備?ちょっと待って……」」
「聞く気は無いな……では死n「ちょ……駄目ですってワルド殿!
そのライトニングクラウドでは本当に死んでしまいます」
「離せ……ツアイツ殿離してくれ……
僕のタバサ殿を罠に嵌めた奴を殺す……
今直ぐここで……
僕が彼女を守ってみせる」「ちっ……
逃げろお前ら!
本当に殺されるz「……エアハンマー」フギャー!
振り返ると何故かおめかしして杖を構えていたタバサが居た。
ほんのりと頬を赤く染めている。
「ミスタバサ……
どうして?」
「話は風が教えてくれた……
罠に嵌められるところだった」
「ダバサ殿……
すみません。
内々に処理をする心算が……」
「……いい」
「こいつ等2人の処罰は僕が必ずしておきますから安心して下さい」
「……何故?助けたの?」
「ワルド殿はミスタバサの事が好きなんだって!
だからこいつ等が許せなかったんだ。
僕の所に君からの偽の果たし状が来てね。
罠だと分からなかったらそれこそ君に助太刀していた筈だよ」
「ちっ違わないけど違います!
ツアイツ殿なにを……」
「……そう……あっありがと……じゃ」
ミスタバサは真っ赤になってフライで闇の空の中に飛んで行った……
「追わないので?
ワルド殿……
ワルド殿?」
「ツアイツ先生……
アレがクーデレのデレなのですね……
良い……萌える……
萌えるゾー!」
「さっさと追わんかボケー!」
ワルドのケツを蹴っ飛ばしタバサを追わせる。
ワルド×タバサって……
今までに無いよね?
このカップリングは……
SIDEタバサ
まだ心臓がバクバクいってる!
僕のタバサ……
守ってみせる……
下心を持って心配した様に接してくる貴族はいた。
ジョセフを倒す旗頭として必要だと。
でも彼の言葉には純粋な気遣いだけだ。
お父様が殺されてお母様の心が壊されてから……
初めて聞いた……
優しい言葉。
でもあの人はトリステインの魔法衛士隊の隊長……
私は汚れ役の北花壇騎士団の7号……
そしてあの2人を裏切らなくてはならない……
これ以上関わると裏切れなくなってしまう……
でも任務だから……
せめて任務中は……
思わず逃げてしまったけど一度ちゃんと話し合おう。
男子寮ツアイツの部屋
「それで?
捕まえられなかった……と?」
「面目ない……」
「しかし……
実際どうします?
彼女はガリアの王族……
しかも不名誉印を刻まれた家」
「そして秘密を抱えているな。
彼女の雰囲気には……
殺伐として生きるか死ぬかの経験のある目をしていた」
「そこまで分かるのですか?」
「そうだ。
しかも復讐者の目だ!
一時期の……
サムエル殿に会うまでの僕と同じ復讐を誓った者の目だ」
「つまり……
ジョセフ王に対して復讐を?」
「そうだろう。
父親を毒殺され母親が軟禁されている筈だ」
「どうします?
ハーナウ家次期当主としてはガリアに喧嘩を売るのは避けたいんですが……」
「そうだな。
大国ガリアに歯向かうのは愚か者のする事だ……
だが……しかし……
僕は……
どうしても彼女を助けたい!」
コンコン「はっ誰だ!
……ミスタバサ?」
窓の外にはタバサがフライで浮いていた!
「……部屋に入れて欲しい」
僕らはタバサを部屋に招いた。
「ツアイツ殿魔法をかけさせてくれ……
大事な話になる」
頷くと、ワルド殿はディテクトマジックにロックを丁寧に重ねがけし念の為遍在を作りドアと窓の近くに立たせる念の入れようだ。
「聞こえた。
私の正体も知られている」
「そうだね。
多かれ少なかれ王家の情報は流れる……
そしてガリア王家の特徴的な髪の色の持ち主も限られた人数しか居ない。
後は消去法だ」
「想像の通り私の本名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン……」
「やはり……
でもどうしてこの学院に?」
「仕事……
ジョセフから北花壇騎士団に任命されている。
その7号が私。
今回の任務は……
ハーナウ家の次期当主の素性を調べ裏の功績を調べる事」
「裏の功績?」
「聞けば洗脳効果のある書籍を執筆出来ると」
「凄いなツアイツ殿!
そんな物騒なマジックアイテムまで作れるのかい?」
「いや全く?」
「嘘……
一年男子に出回っている本だと思う。
読んだ者は貴方に好意的になる不思議な本……」
アイコンタクト発動
「ワルド殿 TO HEART は今どこに?」
「すまん僕の胸に……有る」
「不味いぞ誤魔化さないと女性に見せる本じゃない」
「しかし今更何処かにしまう訳にもいかないぞ」
「僕はバレても知らないぞ!
其れはもうワルド殿の本だ」
「きっ汚いぞ一人だけ助かるつもりか?」
「うん。
ワルま第2巻読みたいよね?」
「キッキッタネーそれは汚いぞ!」
この間約2秒
「どうしたの?」
「いや何でもないよ。
その本とh「ツアイツ殿遍在が此方に近付く人物を確認した……ルイズと黒いマントの人物だ」
「なっ?
取り敢えずワルド殿とミスタバサは窓から外へ逃げてくれ……
話はまた後で!」
「分かった……とぅ!」
ワルド殿はミスタバサをお姫様抱っこして窓から飛び出した。
方や復讐を諦めて貧乳に走った男……
方や今だ両親の復讐に燃える少女……
どうなるのか?
僕はこれからの2人の前途多難な……
「いや……離して……
エッチ……バッチーン」
えっ?
まさか劣情を抑えられずタバサに襲いかかったのか?
急いで窓の下を見るとワルド殿がお姫様抱っこしたまま立っていてミスタバサの手には「TO HEART」が握られていた。
そしてワルド殿のほっぺたには真っ赤なモミジが……
あれ程隠せと言ったのに見られてしまったのか……
哀れな。
あっミスタバサが真っ赤になって逃げ出した!
しかし両手にTO HEARTを2冊共持っている。
そうか……
彼女はミッションをクリアしワルド殿は振られた。
と言う事だな。
僕はそっと窓を閉め鍵を掛けカーテンを閉めた。
これから来るだろうルイズと黒マント(多分アンリエッタ姫)を迎える為に……
外からは男の号泣が聞こえるがそれはサイレントを掛けて頭の隅に追いやった。
惚れてから僅か一日で振られたワルド殿に心の中で合掌しながら。
美少女にエロ本見せれば普通に振られるわな……
変態のレッテルを貼られるかもしれないがミスタバサは言い触らしたりはしないだろう。
まぁバレても僕らは本当に変態だし覚悟完了だから仕方ないか……
それに今更本名で著書だしてるから知る人ぞ知るってか!