第29話
ある日の長閑な午後に僕はオールドオスマンに学院長室まで来る様に言われた。
約束の時間に尋ね今はオールドオスマンと向かい合って座っているが彼は眼を瞑り一言も喋らない……
「ツアイツ様……
紅茶です。どうぞ」
「カーッ!
それじゃミスタツアイツ!
どうしてミスロングビルは君に対して敬語でワシにはぞんざいな対応なのじゃ?」
「……さぁ?」
「何故ワシにはお茶が無く君には来客用の紅茶が出とるのじゃ?」
「何故でしょう?」
「何故立ち位置がワシではなく君の後ろに控えているのじゃ?」
「どうしてでしょう?」
「何故彼女は長期休暇をするのじゃ?」
「実家に帰ると聞いていますが?」
「学院長すいません。
お暇を頂きたいと思います」
「何故彼女はワシの秘書を辞めるのじゃ?」
「ここより条件の良い職場に転職しようと思いまして」
「何故今日のミスロングビルは黒の下着なのじゃ?」
「いえツアイツ様にセクシーさで迫ってm……
このエロジジイまた覗いたな!」
「学院長……
何故僕は呼ばれたのですか?」
「ツアイツ様暫くお待ちを……
今このエロジジイをブッ飛ばしますので!」
ロングビルさんが凄い笑顔でストンピングしている……
学院長は恍惚として……
カオスだ!
ロングビルさんは確実にSの女王様で学院長は老いたM爺か……
帰りたい。3分程SMプレイをしてから2人は息と衣装を整え何事も無いように元の位置に戻った。
「息が合ってますね。
良くプレイなさるので?」
「そうじゃ!
一日に一度は踏んdカーッ!
そんな事はどうでも良いのじゃ!」
「ミスルイズにアカデミーから召喚状が来ておる。
差出人はエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールでアンリエッタ王女の直筆の署名が添えられている。
そしてミスタツアイツにも同行して欲しいと……
何をしたのじゃ?」
「その召喚状には他に何か書かれていますか?」
「断る事も可能じゃ断るとお主の立場が微妙になるぞ」
「僕は全く気にしないけど……
トリステイン王国に義理も借りも無いから」
「見も蓋も無い奴じゃな……
確かにゲルマニアの有力貴族のお前さんをどうこうする力は今のトリステインにはないな……
だから断るならこれを渡してくれと同送されているのじゃが」
「手紙?
この封印はエレオノール様の紋章……」
「失礼します……」
丁寧に封印をとき手紙を読む……
後ろからさり気無くロングビルさんが覗いていますが。
ツアイツ殿
昔貴方がウチのメイド達を豊胸化した情報をアンリエッタ姫が掴んでいます。
先日の学院訪問時にルイズに直接確認した念の入れようです。
どうにも妖しい雰囲気で私に豊胸の研究を押し付けてきます。
お願いですが実際に私に断る事は出来ません。
しかし他国の研究成果など。
アンリエッタ姫自身は豊かな胸を持っているのに何故いまさら豊胸化の手段を調べさせるのが疑問なのです。
せめて王宮でなくアカデミーの方に呼ぶ様にお願いしました。
こちらなら私の影響下なので無体な事は出来ない筈です。
私からもお願いします。
一度こちらに顔を出して下さい。
……アンリエッタ姫は焦っているのか?
貴女の立場で召喚など他の貴族から色々詮索されてしまうのに。
その偽乳の秘密がバレる事は考えなかったのですか?
馬鹿なのですか?
それとも他に思惑が有るのか……
他の貴族に入れ知恵でもされている可能性は?
これは最悪の自体を想定しておこう。
もし何か難癖をつけられでもすれば屋敷の皆にも迷惑が掛かるし……
「学院長、ミスルイズを呼んで下さい。
事情を説明しこれからアカデミーに向かいます」
「ロングビルさんは魔法衛士隊隊長のワルド殿に連絡しアンリエッタ王女と取り巻きの貴族の動向を探らせて。
それと屋敷の方にも警戒レベルを上げる様に連絡……
実家とヴァリエール公爵とツェルプストー辺境伯にも同様の連絡を。
終わりしだいキュルケとソフィアを連れて屋敷に向かって待機」
「はい、直ちに手配します。
アカデミーに私は同行しなくて宜しいので?」
「うん。
屋敷の方を防衛して欲しいんだ。
最悪屋敷は爆破・放棄しても構わない」
「ではその様に……」
一礼して退室するロングビルさん。
「あの……
ワシの秘書なのじゃが……
それに戦争じゃないのだし少し大げさじゃないかのぅ?」
「他国の貴族を王女が名指しで召喚するなら此方も最悪の事態を想定しますよ。
特にアンリエッタ王女は(胸も)立場が微妙なお方ですし本人にその気が無くても周りの王宮付貴族がどう出るかなど分からないでしょう?」
「何も無ければそれで良し。
有れば其れなりの対応をするだけです」
コンコン「失礼します。学院長」ルイズが部屋に入ってくる。
「ツアイツどうしたの?」
不安そうに近付いてくる。
「ルイズ……
僕らをアンリエッタ王女が名指しで呼び出した。
エレオノール様のお陰で王宮でなくアカデミーにだが……
これから向かうよ」
「あの……
ワシが説明しなくても良いのかのぅ?」
「結構です。
ならば同行しますか?」
SIDEオールドオスマン
こやつなんなの?
ワシの秘書がなんで平然としてお主を主人として扱っているの?
しかも完全に戦闘態勢になっているし……
理由はどうあれ秘密裏にしたとしても他国の貴族を呼び出すなんて愚行をあの白パンツはやりおって……
どうなるかなど分かり切っているじゃろうに。
しかし2人は学院の……
ワシの生徒じゃ。
ワシが出張らんでどうする。
わしも頑張るぞ!
「モチのロンじゃ。
ワシが行かずに誰がお主ら学院の生徒を守るのじゃ!」
「なにあの白パンツなどワシに掛かればちょろいわ?」
「「白パンツ?また覗いたのですか?」」
「カーッ!
グズグズするな出発じゃ!」
馬車の中
アカデミーに向かう……
ルイズは隣に座り頭を僕の肩に預けている。
不安なのだろう。
向かいには羨ましそうに指を咥えて見ているオールドオスマン……
右足の下にはルイズのスカートの中を潜り込んで覗こうとしたモートソグニル?
全くあの微妙な姫様は何を考えているんだ。
巨乳化を焦る気持ちは分かるが元々僕の研究を自国のアカデミーで研究させる時点でウチの技術を盗んだと判断されても言い訳出来ないんだよ。
馬鹿な貴族が嗅ぎ付けて騒ぎ出す前に納めたいんだが……
それはワルド殿任せになってしまうか。
ルイズは?
寝てる?
寝てるよこの子……
無邪気だねぇ。
僕がスレまくってしまったのかな?
SIDEアンリエッタ
全くミスエレオノールも心配性ですね。
私の豊胸化にはこのトリステインの未来とウェールズ様との薔薇色の結婚生活がかかってるの!
なんとしても国益の為にも成功させなければならない国家プロジェクトなのよ。
それに一寸呼んでお話するだけじゃない?
私が頻繁に学院に行けないなら呼べば良いのよ。
私は王女なんですからね。
其処の所を良くルイズに理解させないと!
あのときの哀れみの目とこの私を男子寮まで侵入させて無駄足だった事の恨みは忘れてないのよ。
コンコン「アンリエッタ姫、ただいまオールドオスマン様及びルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール様とツアイツ・フォン・ハーナウ様がいらっしゃいました」
「分かりました。
お通しして下さい」
ふふふっ!
これからマジカルトリステインプリンセスアンリエッタ様の躍進の始まりよー!