第43話
こんにちは。
ツアイツです。
ちょっとショックな現実を突き付けられ逃避中です。
今回の会議のメンバーを見る。
ロングビルさん……
土くれのフーケ、破壊の杖を盗みルイズ達を苦しめた怪盗且つ女傑。
ワルド殿……
原作ではトリステインを裏切りレコンキスタに参加してルイズやサイトを苦しめた中ボスたる人物。
シェフィールドさん……
伝説の使い魔でジョゼフ王の為に暗躍し最後はジョゼフと無理心中をしたヤンデレな女傑。
どうみても原作の悪役一堂集まりましたヨロシク状態だ。
しかも僕は彼らを率いてレコンキスタに挑まなくてはならない。
原作の正義側のメンバー皆無だよー!
さしずめ僕は悪の教団の教祖でラスボス?
さ・て・と・現実逃避はコレまでにして本題に戻ろう。
「シェフィールドさんその指輪本物なの?」
にっこりと微笑み
「この指輪の存在までご存知だったんですね。
どこまでも底の知れないお方……
ええ本物です」
「えーと、クロムウェルに渡すんですよね?
その指輪は?」
「いえ。何故です?」
「いや……
いくらレコンキスタでも資金だけじゃクーデターは無理じゃないかな?
って思って」
「もう何を聞いても驚かない心算でしたが貴方は本当にビックリ箱ですね……
当初は確かにその予定も有りました。
しかし私には此方に勝って貰わねばならない事情が有りますので回収してきました」
「その指輪譲って欲しいんですが……
ラグドリアン湖の精霊の説得材料として必要になるので……駄目?」
「これを精霊に返すのですか?
凄い力を秘めてますのよ?」
「そうですね。
此方が使えば有利でしょうが相手に渡らないだけでも十分です。
それにラグドリアン湖の件ではミス・モンモランシが悲しい思いをしますので防ぎたいのです」
「無くてもレコンキスタに勝てるの?」
「ええ……
このメンバーなら必ず勝ちますよ」
「なら良いわ……ハイ」
あっさりとシェフィールドさんは指輪を外し渡してくれた。
「対価に何を望みますか?」
「我が主の回春を!」
「分かりました。
必ずジョゼフ王が貴女を襲うようにしてみせます」
「まぁ……」
シェフィールドさんはクネクネと妄想を開始した。
「他に何か有りますか?」
ミス・タバサがシェフィールドさんの奇行から目を逸らしすっと手を上げて
「……ジョゼフ王から貴方の著書を集める様に言われている」
と言ってきた。
「著書?
そこの本棚に有る奴じゃ駄目なの?」
「……男の浪漫本が一冊も無い」
「あー先日、オールドオスマンが全て没収していったんだけど……
今は学院長室に有るよ」
「……そう、回収する」
「ジョゼフ王って「TO HEART」を読んだのかな?
反応はどうだった?」
「……イザベラと2人で謁見した時に私達の前で熟読してた……
マルチとセリオが気に入ったらしい」
「ジョゼフ王って……
ソッチ系なんだ。
マルチとセリオじゃ貧も巨も逝ける口か……
それとも人外派かな?」
「シェフィールドさん、ジョゼフ王のトラウマと言うか例の件の原因って何なんだろう?」
シェフィールドさんが妄想の海から帰ってこない……
肩を揺すって呼びかけたら漸く現世に復帰してくれた。
「こほん……
それは我が主及びガリアと言う国の問題だから……
皆の前では言えないわ」
「そうなんだ……
それが分かれば進展するんだけど……」
「……では後で教えるわ。
でも絶対に他言無用よ」
「僕は父上……
と言うかハーナウ家に掛け合ってアルビオンに流通の伝があるか聞いてくる。
それと直接今回の件を報告しないといけないから一度ゲルマニアに帰るよ」
「それは危険だ。
イザベラを抑える迄は単独行動は控えた方が良い。
それと確認だが本当にアルビオン王家には接触しないのかい?」
「うん。
これはアルビオンの内戦だから……
僕はレコンキスタを弱体化はさせるけど決戦はアルビオン王家にして貰う。このチャンスにアンリエッタ姫が、婚姻と言う形でトリステイン王国を巻き込む様に唆す事はしてもこのメンバーを死地には送らないよ。
彼らには乳とは他の件で争い結果を見せて貰う」
「何と言うか……
乳を争いに巻き込もうとする相手には厳しいですな」
「僕がする事は貧と巨の信者をアルビオンと言う新天地に広めるだけさ。
美乳という建前を無くしたクロムウェルが、アルビオン王家に牙を向けてもそれは乳とは別問題だよね?」
「アンリエッタ姫を唆す意味は?」
「トリステイン王国って実際ヤバイじゃない……
王位を継がないマリアンヌ様にアーパーアンリエッタ姫で王位は長らく空位でしょ?
そろそろちゃんとしたトップを据えないと空中分解しても可笑しくない国ですよ。
アンリエッタ姫をアルビオンに嫁がせマリアンヌ様が女王となり、アルビオンと連携してトリステインを導いていく……
後は生まれた子供が継げば問題ないと思いますよ」
「他国の貴族にまで心配されるとは……
本当にどうしようもないですな」
「ワルド子爵もウチに来ちゃうし碌な貴族が残らないよ王宮には……
ヴァリエール家とド・モンモランシ家とは長い付合いになるから、少しでも改善しておかないと僕にも被害が出るからね」
全くの慈善事業じゃないよ!
と締めくくった。
「だから早めに実家に帰りたいんだけど……」
「では私が同行します。
なに風使いには遍在が居ますから本体が居なくても仕事は進みます。
それにどちらが重要など分かり切った事」
「貧乳教の教祖サムエル殿ですか……
興味が有りますので私も同行しますわ」
「えっと……
過剰戦力じゃないかな?」
「貴方は自身が思っている以上に重要なお立場なのです。
コレぐらい普通ですわ」
皆がうんうんと頷いている……
そんなに大した者じゃないんだけど……
「では皆さんお願いします」
第1回レコンキスタ対策委員会はお開きとなった。
さて……
「ワルド殿、ミス・タバサと共にオールドオスマンの所に行って下さい。
女性一人では持ち切れぬ量ですよ」
「なっ……ツアイツ殿」
「ミス・タバサもそれで良いよね?」
「……行こう。
時間が無い」
先に部屋を出て行くミス・タバサを慌てて追いかけるワルド殿……
一瞬振り向いてこちらを見た時に親指を突き出して見せた。
「頑張れ隊長!」
SIDEタバサ&ワルド
「タバサ殿……先日の本は……」
「……良い。効果は有ったから」
「効果?それはどんな?」
「……イザベラと和解出来た」
エロ本で和解できたイザベラ様とは?
「……?それは良かったですね」
「……イザベラが言ってた。
ヤリ逃げは駄目、責任取らせろって」
「誰ですか?
タバサ殿をヤリ逃げした相手とは?」
「……ん」可愛くワルドに向かって指を指す!
「……僕が?」
「……ん。
しっかり捕まえていて責任取らせろって」
ワルドは直立したまま90度後ろに倒れた。
彼の頭の中にはウェデングドレスを纏ったタバサが
「責任とってね?」
と可愛く話しかける姿を捏造しリフレインしていた。
「……サムエル殿、立会人をお願いします。
ツアイツ殿、是非ドレスのデザインを……
グリフォン隊の皆、式には出てくr……」
鼻血を噴出し痙攣するワルドを見て軽くパニックになり慌ててツアイツの部屋に駆け込んで来たのはまた別のお話。
そして余りの奇態に竜騎士達の事を思い出し少しワルド殿の事が苦手になってしまったタバサであった。
ワルド殿……ドンマイ!
SIDE三人娘
赤&桃&金「「「お待ちしてましたわ。ミス・タバサ」」」
「……なっ何か用?」
某赤「そうね……
私達、ツアイツより貴女とお友達になる様に頼まれたの」
「……そっそう」
某桃「だからね、お互い秘密は良くないと思うの……
ミス・タバサもそう思いません?」
「……わっ私は」
某金「私達、ガリアがツアイツに何をしようとしてるのか知りたいの?
貴女……知ってるでしょ?」
「……それは言えn」
某赤「女の子はね……
好きな男の為なら夜叉にもなれるの。
やっておしまい!」
某桃&金「「アラホラサッサー」」
三人娘にベッドに押し倒されクスグリ攻撃を受けるタバサ……
「くっ……いやぁ……あっそこは……」
某桃「ふふっ可愛いわね。
ここが良いのね?」
「きゃははははは……
お願い……もぅ」
某金「んー?聞こえないわよ?」
「話す……話すから……許してぇ…あははは」
某赤「ふっ体は正直ね。
良いわ、止めてあげて……
さぁ全てを話すのよ?」
父親を殺され母親が壊され笑う事を忘れた少女は手段はアレだが再び笑顔を取り戻した。
服を乱して体を抱えて笑い転げる姿は年相応の可愛らしさが溢れている。
彼女はこれから自分でも驚く位に友達?と話し合う事になる。
端からみれば尋問とも言えるかもしれないが……
しかし終生の友達を得た瞬間でも有った!