第57話
長閑な朝の風景?
ソフィアとシェフィールドさんは、一晩で打ち解けたみたいだ。
黒化とヤンデレ……
素養は同じなのか?
今朝は三人で、朝食を食べる事にする。
因みにシェフィールドさんはローブを脱いで、普通のOLさんスタイルだ!
毎回思うが、ハルケギニアって一部に、突出した文化形態が有るよね?
僕が用意した物とは違うから、これは彼女の私物のはずだ。
「今日は、珍しいスープを用意してみました」
今朝はシェフィールドさんの手料理らしい。
「ん?この匂いは味噌?」
「ツアイツ様はご存知でしたか。
これは、ロバ・アル・カリイエでも珍しいのですが、豆の発酵調味料ですよ」
「ああ……
たまにゲルマニアにも行商で流れてくるね」
日本の味、懐かしい味だ。
パンに味噌を使い野菜を煮込んだ、具沢山スープ。
ちょっと取り合わせが不思議だけど、久し振りの日本の味を思い出した。
「ツアイツ様は色々ご存知ですね。
これは、ガリアに戻った時に持ってきた物ですが……
結構好き嫌いの有る食材ですのに」
「バターと合わせると、美味しいかな」
「明日は私が作ります。
シェフィールドさん、その調味料を使わせて下さい」
ソフィアが対抗意識?
で、明日の朝食を作るそうだ。
どんな創作味噌料理になるのかな?
「ご馳走さま!
では、学院長室に行ってくるね」
僕は、学院長室に向かうのだが、当然の様にシェフィールドさんも同行している。
廊下ですれ違う連中が、胡乱な目で僕を見る。
はいはい!
また美女を連れてますけど、何か?
お前ら、彼女の本性を知ったら驚くぞ!
コンコン!
「オールドオスマン、いらっしゃいますか?」
「いるぞ!なんじゃ急ぎのようかな?
まだ朝も早いのに」
「失礼します」
部屋に入ると、モブな男性秘書が居ました。
「なんじゃ?
その美女をワシの秘書にして欲しいのかの?」
「ご冗談を……老人」
「シェフィールドさん、落ち着いて下さい。
いえ、オールドオスマンに相談と報告が有りまして」
「ふむ。わまわんよ」
「では、人払いをお願いします」
「なんじゃ?
また問題事か……分かった。
そう言う訳じゃ。
すまんが席を外してくれんか」
モブな男性秘書が、一礼して退室する。
僕は念の為、ディテクトマジックとロックをかける。
さて、話し始めようと思ったら何を考えたのか……
まぁ、シェフィールドさんの尻を撫でようとしたんだろう。
オールドオスマンが、腕を押さえて唸っていた。
「オールドオスマン、彼女はガリアのジョゼフ王の寵妃です。
故有って、私に協力して貰ってますが問題をおこすと……
僕では抑えられないので」
「カーッ!
王家が怖くて尻が撫でられるかー!」
「でも国が無くなっては、尻も撫でられませんよ」
「……真面目に話を聞くかの」
「これが、この国の教育機関のトップなのですか?」
シェフィールドさんの疑問に、僕ら2人は下を向いてしまった。
僕も、オッパイ・オッパイって言ってるからなぁ……
「こほん。実は……」
僕は、オールドオスマンに今回の一連の件を説明した。
「なんとも、大変じゃの……
そしてトリステインも巻き込む戦争か」
「そうですね。
心配なのは、アンリエッタ姫がどう動くかです」
「ご執心のウェールズ皇太子の危機。
婚姻同盟か……
最近の積極的な彼女が、黙ってはいないの」
「無駄に前向きになってますから。
どの道、アルビオンが自力で何とか出来るのも疑わしいですし、かの国が堕ちれば……」
「戦渦は逃れられんな」
「ならば……」
「分かった。
お主の話はこの国に出血をもたらすが、どちらにしても戦は避けられん。
少しでも被害を少なくする努力をするかのぅ」
「有難う御座います」
「お主の謝る問題じゃないじゃろ。
しかし……
男として、ジョゼフ王には同情するのぅ。
して、ワシにもその方法で回春可能か?」
「……トラウマが原因なら、或いは」
「そうか……残念じゃな。
話は変わるが、お主が出掛けている間に、アンリエッタ姫から連絡が有ったぞ。
また表敬訪問に来るそうじゃ。
それと使者は、最近編成された女性のみの銃士隊で、アニエスとか言っておったの」
アニエス隊長か……
設立が原作よりも早いな。
あの人は、復讐鬼……
コルベール先生との絡みはどうなるのかな。
原作通り、新教徒狩りは有った。
これは、学院も巻き込まれる可能性は高い……か?
「アンリエッタ姫にしては、強引で素早い行動ですね」
「そうじゃな。
そして、お主の事をアンリエッタ姫から聞いておるんじゃな。
会いたがっていたぞ」
あれ?
何で僕に?
アンリエッタ姫に不敬過ぎるってか?
「それで……
どんな感じの人でした」
オールドオスマンは、嫌な事を思い出した様に
「少々、性格はキツいが美女じゃな。
しかも、青パンツじゃった。
しかし、心に闇を抱いているのぅ」
心の闇……
やはり復讐か。
「流石は教育者の鏡!
何時も思いますが、何故分かるのですか?」
「……さての。
年の功かのぅ」
「ツアイツ様、そろそろ授業のお時間です」
「ああ……
では、失礼します」
僕らは、学院長室から出て教室に向かい歩き出す。
「どう?学院長は?」
「ガリアにもオールドオスマンの情報は有りました。
得体の知れない長寿のエロ爺……
そのままですね」
「否定出来ない」
「ツアイツ様は、今日は授業を受けられますよね?
私は……
少し、この国の腐敗貴族を調べてみます。
特に彼を」
「うん。無理はしないでね」
「くすくす。私よりご自分の方が大変ですよ。
後ろを見てくださいな」
シェフィールドさんは笑って転移していった?
「「「ツアイツ?また新しい女なの?」」」
振り向けば、キュルケ達が居ました。
ああ……そうか。
朝から何人かの級友とすれ違ったからな。
彼女達の耳にも入るか。
「……先ずは、おはよう!
そして違うよ」
さて、どうやって説明しようかな。
「説明は長くなるから、昼食時にね。
先ずは授業に行こう」
不満顔の彼女達だが、ちゃんと説明すると言ったら渋々だが、納得してくれた。
さぁ久し振りの授業だ!
場所は変わり教室にて……
まだ先生が来るには少し早く、僕はクラスメートに囲まれた。
主に男子に……
「ツアイツ、君の部屋が立ち入り禁止になり、学院長室から男の浪漫本が消えたんだ!」
「ツアイツ、朝の美女は誰だ!またか?またなのか?」
「我がライバルは年上好みだな。
それで、ミス・タバサがまた居ないのだが知ってるかい?」
「ツアイツ、君の部屋にミス・タバサが出入りしてるのは何故だ?」
「ツアイツー!
君のご飯は、僕が無駄にしなかったよ」
ギーシュ、ギムリ、ヴィリェ、レイナールそして、マリコルヌのモテナイーズ達が矢継ぎ早に質問する!
マリコルヌは質問でも、何でもないが……
「男の浪漫本は、学院長に没収された後は知らない。
彼女は、新しい秘書だよ。
ミス・タバサはガリアに戻ってるし、本を借りに来るだけだ。
そして食べ物を無駄にせず、有難う!」
全ての質問に答える。
「じゃもう、男の浪漫本は読めないのかい?」
……その捨て猫の様な目はやめろ。
「私室には無理。
彼女達が居るからさ。
学院長室に補充しとくよ」
男達は、安心した顔で離れていった……
そう言えば、男の浪漫本は、ミス・タバサが強奪したんだっけ。
補充しとかないとな。
そして居ないって事は、ガリアでまだ滞在中か……
早く母親の件を教えてあげたいのだけど。
ミス・タバサは確かにまだガリアに居る。
しかし、数日でイザベラを伴い戻ってくるのだ!
アンリエッタ姫よりも余程、手強い相手が!
美少女女王が、ソウルブラザー竜騎士団を従えて!