第58話
久し振りにギトー先生の、風はサイコー授業を聞く……
うん。平和だ。
だけど仮初めの……
原作では、学徒動員が有った。
状況こそ酷くならない様にするが、戦争になれば学生として居られないかも知れない。
武門派貴族は、学生だろうと志願するだろう。
だから、少しでもレコンキスタの勢力は抑えるべきだ。
こうして聞いていると、実はギトー先生は懇切丁寧なんだよねな。
4割は風自慢だし、2割は何も知らないだろう的なんだが。
キュルケ達を見る。
うん!
真面目に聞いてるね。
しかし、改めて見ても美女と美少女だな。
キュルケには、結婚の事を話さないといけないんだけど……
僕は、説明の件w「ミスタ・ツアイツ!
野外で風メイジと対戦するならどうする?」
えっ?僕?
「はい。
相手のランクは別として、自分の属性に合った距離を保つか……
障害物の多い地形に誘導します」
「そうだ!
実戦では、自分の間合いが一番大切だ。
なら周りが、開けた場所だったらどうだ?」
「自分で障害物を作るか、視界を塞ぐ煙や霧を発生させます」
「それは、土と水の君だからこその意見だ。
皆も聞け!
本来戦闘とは泥臭い物だ。
英雄譚など、まさにお話の中の出来事だ!
くれぐれも……」
うん。
実際僕はチートオリ主の筈だけど、原作一流連中には模擬戦でさえ勝てないし。
戦いは得意な人に任せた方が、良いかもしれないね。
皆は風マンセーなギトー先生が、地味で泥臭く生き抜く戦術を教えているのに驚いていたが、真面目に聞いていた。
さて、そろそろ昼食だ!
アルヴィーズの食堂にて……
無関係な連中に聞かれない為に、隅の方に陣取る。
マリコルヌには悪いが、今回は特別だ。
先に何皿か渡し、離れてもらう。
「食べながらだと、行儀が悪いけど……
早く知りたいだろうから、このまま話すね」
3人が頷いたのを確認して、概要だけ話す。
ガリア王ジョゼフのアレな件は秘密だが、トリステインを巻き込む事は説明した。
そして,ド・モンモランシ家の復興の必要性も……
皆、真面目に聞いてくれたが反応が悪い。
「えーと……何か質問は?」
既にメインデッシュの肉料理を食べつつ聞いてみた。
「実はお父様からの手紙で、大まかな事は知ってるの」
「モンモランシーの実家に私達が、手を貸すのもね」
「それじゃ?」
「「「大切な事を忘れてないかしら?」」」
「……黙っていて、ごめんね。
事が事だけに、名指しで挑まれたから、巻き込みたくなかったんだ」
「そうね。
貴方の判断は間違いではないわ。
ても、知らない事は悲しいの……」
「うん」
「「後、卒業と同時に結婚ね」」
2人は、見惚れる様な笑顔で宣言してくれました!
「「キュルケは?」」
1人ハモらなかったキュルケを訝しんで詰問する。
「私?……私はね。
まだツアイツからのプロポーズを聞いてないから」
「「そうよ!
プロポーズよね……
ツアイツ……何時なの?」」
せっかく周りから離れていても、こんな話をすれば注目を集めてしまう!
「えっと……折を見ていずれ」
周りは、プロポーズ!
あそれ、プロポーズ!
と、コールが凄いのだが、僕は黙殺した!
キュルケ達は主に女子連中に囲まれている。
男共は、シット団だ!
あの目は危険だ……
明日はこの噂で持ち切りだろうな。
下手したら、ド・モンモランシ家にも伝わるかも知れない。
早めに先方に会いに行った方が良い。
変な虫が付いてる!
ド・モンモランシ家の乗っ取りを計画してる!
とか大抵の場合、噂話は良くない方向に伝わるから……
アルヴィーズの食堂は、魔法学院始まって以来の大騒ぎとなり、先生方からコッテリと叱られた。
学院創立以来の問題児!
グラモン一門も色事で問題を起こしたが、流石に大貴族三又進行はなかった。
こんなに気を使う事もなかったそうだ……
結構、女性を取り合って決闘騒ぎとかやってるのに何故、僕の方が悪いんだろう?
そして久し振りの、只の学生としての日常が過ぎていく……
数日ほど、何事もなく過ぎていった。
そして今日は、アンリエッタ姫の表敬訪問の日だ。
今回は事前に知らされていたので、学院側も余裕を持って対応している。
アンリエッタ姫の目的は、これからのトリステインを担う若き貴族達との交流と言っている。
なので、トリステインの貴族達は如何にアンリエッタ姫の心証を良くしようかと、躍起になっていた。
僕的には、アルビオンの問題が表面化してきてから接触したいのだが……
まぁ、一国の姫が僕なんかに用が有る訳もないと、タカを括ってました。
アンリエッタ姫御一行は、ワルド殿のグリフォン隊と最近になって設立された、アニエス隊長率いる銃士隊が護衛に当たってます。
アニエス隊長は……
軽装鎧を着込んでますから、巨なのか貧なのか、はたまた微妙なのかは分かりません。
アンリエッタ姫の乗る、ユニコーン馬車をキュルケ達とボーっと見てる。
グリフォン隊の連中は飲み友達が多く、目が合えば会釈位はしてくれた。
あまり親しくすると、周りがまた五月蝿いから……
ワルド殿には前回とは違い、普通に接して欲しいと伝えてある。
因みに、アニエス隊長は面識無いはずだが、思い切り睨まれてます。
僕もアニメ絵でしか知らない人だけど、ピンポイントで視線が動かない……
目が合って、漸く視線を逸らしてくれた。
うん。
きっとアンリエッタ姫に、要らん事を吹き込まれたんじゃないかな?
これは、近付かない事にしよう!
今回は、何人かのグループと対談形式にて行われるが、家の格によっては呼ばれない者も居る。
流石はトリステイン!
当然、僕もキュルケもタバサもメンバーでは無い。
もっとも、タバサは未だ帰ってきてないけど。
メンバーに入ってないと思っていたが、新生アンリエッタは一味違がった!
マザリーニ枢機卿辺りが、苦労して考えたであろうメンバー表などすっ飛ばして勝手に対談を始めた。
これには、下級貴族や家督を継げない次男以降の連中も、姫様に顔を売れると喜んだ!
特にギーシュなどは……
「素晴らしきトリステインの華、アンリエッタ姫バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」
とか、キャラが変わっている気がする。
彼女の進めている、これからの若き貴族達を取り込む事は成功しつつある。
それと、銃士隊も……
皆さん、年若く美人揃いだが、微妙胸を気にするアンリエッタ姫らしく?
選考で、巨乳を省いた感が漂う、美貧乳美女・美少女部隊だ!
ワルド殿他、グリフォン隊のチッパイーズのデレデレ振りは凄いな。
平民とは言え、彼らには等しく乳を愛する様に教えたからかな。
普通ならエリート貴族と平民部隊。
連携など期待は出来ないのだが、彼らは上手くやれそうだ!
何となくカップルっぽいのも、見受けられるし……
交わす目線とか、微妙な距離感とか、本当にもうご馳走様状態だね。
さて、ワルド殿に挨拶をして自室に戻ろうかな。
アンリエッタ姫も他国の貴族と仲良くしたら、折角の取り込み工作が失敗してしまうだろうし。
しかし……
アニエス隊長の視線は、最後迄キツいままだった。
まぁシェフィールドさんやカリーヌ様のプレッシャーに比べたら……全然温いけど。
さて自室に帰ろう!
何か有るなら接触してくるだろう……
ワルド殿は、言われなくても遊びに来るだろうけどね。
ミス・タバサの母親、オルレアン公夫人の治療法も見つかったからな。
その辺をワルド殿のお陰にすれば、仲直りも出来るんじゃないかな……
ワルド殿も、妻を娶れば落ち着くと思うんだ。
絶対尻に敷かれるタイプだから……