第65話
「初めまして。
ソウルブラザー!
私は、バッソ・カステルモール!
竜騎士団を率いています」
と、握手を求めてきた。
この美丈夫は……
原作での東花壇騎士団長でシャルル派であり、サイトに最高の使い手と言われた男だよね?
何だかなー。
もう、シャルル派って主要なキャラ居ないの?
出された手を握り返しながら
「此方こそ、宜しくお願いします。
我が駄作が、遠くガリア迄浸透している事に驚いています」
カステルモール団長は、驚いた顔をして……
しかし、手を強く握りかえし
「私は、いえ我が軍団は、貴方の著書で人生観を変えて頂きました。
言わば恩人!
駄作などと、言わないで頂きたい」
真剣だよ、この人!
「そうですね……
すみません、遠い異国の兄弟達よ。
これでまた、創作意欲が沸き上がりました!
まだまだ新作を書き上げますよ」
「「「ウォー!
ソウルブラザー!
ガリアへようこそー!」」」
暗き森の中で、漢達の雄叫びが響き渡る……
ここに、ガリアとゲルマニアと言う国を隔てた漢達の絆が生まれt
「ちがーう!
お前ら、勝手に話を進めて、まとめるなー!」
ブン……ガゴン!
と言う音と共に、カステルモール団長は頭をおさえてうずくまった。
倒れる団長に転がるワインの瓶……
雄叫びを上げていた漢達が一斉に振り返ると、左腕にミス・タバサがしがみついているイザベラ姫が、肩で息をしながら仁王立ちしていた……
はぁはぁと、息を整えてから近づいてくる。
これがイザベラ姫か……
なる程、ガリア王家の蒼い髪に美貌の少女。
スタイルも中々だな。
C82いや3か……
綺麗な顔を赤く染めて、右手にワインの瓶を左腕にはミス・タバサをしがみ付かせて。
一瞬、アル中のズーレーかと思ってしまったのは、僕だけの秘密だ!
「イザベラ様、何をするのですか?」
流石は団長!
直ぐに復活して文句を言うが……
イザベラ姫が、右手を持ち上げたのを見て、脇に引き下がった。
そして、僕の前に歩いて来る……
僕は、取り敢えず跪いて挨拶をする。
「お初にお目の掛かります。
私はゲルマニアのサムエル・フォン・ハーナウが長子、ツアイツです」
「あー、堅苦しい挨拶は要らないよ。
面を上げな」
これは……
王女の割に、随分と砕けた方だな。
「……はい」
僕が顔を上げると、イザベラ姫の顔が目の前に有った……
思わず、目が合う!
「ふーん。
結構な色男じゃないか!
アンタ、モテるんだろ?
色々聞いてるよ、三又進行中とかさ。
恵まれているのに、何であんなエロ本描いてるのさ?」
こっこんな事を直球で言われるとは!
想定外だ……
「……男には、いえ漢には遣らねばならぬ事が有ります。
例えそれが、下らないと思われても……
それを必要としている漢達が居る限り」
イザベラ姫に盛大にため息をつかれた。
「言ってる事は分かりたくないが、分かるよ。
アンタの信者を見てるからね。
それが、コイツ等だ……
ウチの防空の要がボロボロだよ。
どうしてくれるんだい?」
綺麗な顔をニヤニヤさせて聞いてきた!
これが、意地悪姫と言われる所以かな?
しかし、言われた内容は結構重大だ……
「何を言われるかと思えば……
貴女の率いてきた彼らを見れば分かります。
皆、有能で忠誠心が篤い男達ではないですか?
しかも、一部の者たちの目は……
貴女の為なら死をも厭わぬ気概を感じますよ」
「ふん。私をツンデレ様とか言う連中の事かい?」
「アレは、王家でなく貴女個人に向けられる忠誠ですよ。
素晴らしいでは有りませんか?」
「個人の忠誠ねぇ?
性癖じゃないのかい?
まぁ良いけどさ。
個人の忠誠と言えば、アンタの方が凄いじゃないか!
お父様の腹心、逆らう者を容赦なく殺す黒衣の魔女と、トリステイン王国の魔法衛士隊隊長だろ?
普通有り得ないだろ?
他国の貴族が従っているなんてさ?」
「彼らは、友であり仲間であり同志であり……家族ですから」
イザベラ姫は、ふと暗い顔をして考え込んだ。
「アンタにはさ、謝らないと駄目なんだよね。
すまないね、お父様から無理難題を言われてるんだろ?」王族が謝る?僕に?
「……なんか、久しぶりにマトモな王族に会った気がしました。
最近は、某トリステインの華ばかり見てましたから……」
「向こうの方が、よっぽど王女らしいだろ?
なにせ美人でお淑やかで上品で、魔法の腕もトライアングルときてるしさ」
「王族とは、国を最低でも維持、出来れば発展させる義務が有ります。
その気概が有る王族など、本当に少ないです。
まあ、ウチの閣下もまともな部類ですが……
僕はトップに立つ人間には、魔法など必要無いと思いますね。
それに、イザベラ様は十分美しいですよ」
「美しいか……こんなアバズレが!
お世辞かい?」
「いえいえ、ガリア王族特有の蒼い髪も含めての美貌……
それにスタイルも抜群ですよ。
そうですね……
バストのサイズはCの83……」
「ちょっと待ちなー!
なんでアンタが、私の体の事を知っているんだい?
可笑しいだろ?」
「……何故でしょう?」
「ふふふ……アンタやっぱり凄い変態だよ。
少しでも良い男と思ったのが、間違いだね」
「そうですか?
美しい女性を前にしたら、普通だとおもいますよ」
「そうやって、ジャネットの他に、私も口説くのかい?
残念だけど、無理だよ私は……
相手など、自分で決められないし国に有益な相手しか駄目さ」
この言葉、そのままアンリエッタ姫に聞かせてやりたい!
この少女、凄くマトモだぞ、ビックリだ!
「……私の事は良いんだよ。
まぁアンタが、ウチをどうこうするつもりの無い事は分かったから良いさ。
こんな変態共でも、ウチには必要なんでね。
引き取れとは言わないよ」
引き取れとか言われると、カリーヌ様に言われた、ヴァリエール公爵家のメイド達を思い出すな……
「なんだい。ヘンな顔して?」
「いえ……
昔そう言われて、自分の所為で巨乳化したメイド達を20人程、ヴァリエール公爵から引き取った事が有りまして……」
「アンタって、本当に変態巨乳教祖なんだね……
近づかないでおくれ。
妊娠してしまうだろ?」
両腕で自分自身を抱きしめ後ろに下がりながら、しみじみと言われてしまいました。
性犯罪者扱いにガックシと跪いてしまう……
「くっくっく、思い知ったかい?
仕返しだよ。
さて、ここからが本題だよ。
アンタ、お父様から……
ジョゼフ王からどんな無理難題を言われたんだい?」