第66話
ガリアの国境線を少し越えた深い森の中。
2人のガリア王族と、ブラザー達に取り囲まれています。
こんばんは!
ツアイツです。
現在、イザベラ王女と対談しています。
彼女はアンリエッタ姫が、霞む程の芯の通った姫様だ!
しかも、ジョゼフ王の試練について、問い質してくる……
何処まで話して良いのだろうか?
僕は、シェフィールドさんを見る。
彼女は……
僕の考えている事が分かったのか、隣に並んで頷いた。
「少し長くなりますが、宜しいですか?」
イザベラ王女が頷いくのを確認して、今までの事を話す。
勿論、最終的な洗脳の件は秘密だけど。
彼女は、おっぱい戦争の件で怖い顔になったが、スローガンを潰し有象無象の軍事クーデターにする事。
アルビオン全土に布教活動をする事。
トリステイン王国を巻き込む事。
等を聞いて、深くため息をついた……
「おっぱいだけ差し替えれば、アンタ英雄になれるよ。
それで、アンリエッタ姫を……
あの歴史とプライドだけの国をどう巻き込むんだい?」
ヴァリエールと、ド・モンモランシ両家を巻き込む事と、既にアンリエッタ姫に豊胸指導中で
ウェールズ皇太子狙いの彼女を焚き付ける事を話した。
「アンタって、宮廷貴族よりエゲツナイよ。
他国の姫の恋路を利用するなんてさ。
女の恋心を利用するとは……
外道だね。
まぁ、そんな考えも嫌いじゃないけどさ」
勿論、トリステイン王国に利の有る事だとも話したが……
「いや、アンタの評価は変わらないね」
と、笑われてしまった。
イザベラ姫と話している間、終始彼女の腕にしがみ付いているミス・タバサが気になったのだが、スルーした……
かったけど、聞いてみる。
「イザベラ様は、ミス・タバサ……
シャルロット様と仲が宜しいのですね。
美しき従姉妹姫の友愛ですか?」
イザベラ姫は、シャルロットの名前が出た時点でギョっとしたが、何と無く納得した様な顔で
「別に嫌っていた訳でもないし、コイツが最近ベタベタする様になっただけだよ」
薄っすらと赤くなり目線を逸らしながら、それでも嬉しそうな感じだ。
仲直りは成功したのだろう……
蒼い髪の美少女2人が寄り添っているのは、見応えが有る。
「ご馳走様でした。
許可が下りるなら、「2人は従姉妹姫」で一作品書けそうです」
と、割と本気で、言ってみたのだが……
「フザケルナー!
今でさえ、コイツ等は王族の私の私室を覗いたりするんだよ。
炊き付けられたら、貞操が危ないわー!」
本気で嫌がってました……
周りを見渡せば、ツンデレ派と思われる竜騎士団員が、妖しい表情で
「「「赤くなったイザベラ様モエー!
最近はツン自体も、可愛くなったよなー」」」
とか、凄い盛り上がってます。
「正直スマンかったです。反省してます」
僕は、イザベラ様に土下座した。
まさか、此処まで凄い事になってるとは、思いもよらなかったので……
「ふん。
やっと自分の起こした重大な問題を認めたね。
幾ら私だって、気持ち悪い物は気持ち悪いんだよ」
本当に、心底嫌そうな顔でした。
「それで、アンタに力を貸してやりたいんだが……」
「いえ……
それではイザベラ様の立場が悪くなります。
応援は大丈夫ですから」
イザベラ様は、じっと考えていたが、ニヤニヤと笑い出してから爆弾を投下してくれた。
「北花壇騎士団7号、命令だよ。
このゲルマニア一の変態の手助けをしてやりな。
それと、元素の兄弟のジャネットを付けてやるよ!
口説いてたんだろ?」
この姫様もぶっ飛んでるのか、何か考えが有るのか……
有能なのは分かったから、考え無しとは思えないのが怖いんだよな。
「いえ……
美少女2人も要りませんので、ご辞退します」
イザベラ様のニヤニヤは止まらない……
「まぁ上手くやんな。
コッチで掴んだ情報は、ジャネット経由で教えてやるよ。
ちょうど良かったじゃないか。
カフェでお茶しながら、さ」
成る程、元素の兄弟を嗾(けしか)けた本人だ。
報告も行ってるのか……
「……分かりました。お願いします」
ここは折れる事にしよう。
そして、会合で必要な事は、全て話し終わった……
SIDEカステルモール&ワルド
少し時間は遡る……
イザベラ姫とツアイツが、話し合っている頃と同時期に2人の(風のスクエアで変態)紳士も又、己の信念を賭けて対峙した。
どちらが、よりツアイツに近しい者で有るかを示す為に!
「始めまして閃光殿。
何故、我らがソウルブラザーと行動を共にするのですかな?
貴殿は、トリステイン貴族であろう?」
ふっ、とワルドは笑みを浮かべると
「はっはっは!
ツアイツ殿とは、求める物(大きい乳と小さい乳)は違えど、志を同じくした同志!
いや、心の師でも有るのだ。
トリステイン王国など、どうでもよい些細な事だ!」
「ほぅ……心の師とな。
所属する国がどうでもよいとは、大言をほざいたな。
我らこそ、ゴッド・ツアイツ殿に、遠い異国の兄弟と言われし、ソウルブラザーよ!」
2人の風のスクエアは、互いの信念を賭けて睨み合った。
「ふん。
貴様はどれだけ、ツアイツ殿の著書を待っておるのだ?
我らには、ブラザーから送られたこの大量の著書が有るのだぞ!」
カステルモールの後ろには、男の浪漫本の最新刊が並んでいる。
「くっ……
暫く、ツアイツ殿の部屋に行かなかった為に、最新刊の入手が遅れたか……」
その著書を見て、がっくり項垂れるワルド……
「くっくっくっ……どうだ!
我らが絆の深さを思い知ったか」
しかしこのワルド、既に再教育を受けた新生ワルドだった。
項垂れながらも、さり気なく懐からある本をわざとらしく落とす。
「おおっと。
ツアイツ殿から贈られた本が、汚れてしまう」
例のアレ!
彼だけの、彼の為のオンリーワン本。
その遍在コピーを利用した閲覧用の「ワルま1」だ!
わざとらしく「ワルま1」を拾い上げて、埃を叩く。
「貴様、何だ?その本は?」
マニア(変態)としての、コレクション合戦は佳境を迎えていた……