第七話:襲撃作戦
侵入者。
それに潤也が気付いたのは、監視の報告を受けてからだった。
事実として、まともな戦闘など『グループ』や『スクール』との模擬戦以外ほとんどした事が無い上、衛星で監視している為に気が抜けていたことも要因の一つだろう。
練習しているとはいえ、気配といったものがそう簡単に察知できるようにはまだ時間がかかるのだ。
監視をしている者からの連絡を受け、直ぐに行動を起こす。
時間的に考えれば、少女達が気付くよりずっと早く気付いていた事になる。
テレポートでホテルの屋上へと移動し、状況を確認する。
『
直ぐ様声を変え、携帯を取り出して管理室と連絡を取る。公的に言えば、この場に『垣根帝督』は存在しない為だ。
「数はどれ位だ?」
『確認できる分だと、おおよそ二百程度かと。依然として増え続けていますし、戦力的にはまだ何とも言えませんが』
敵は二百程度。対してこちらの戦力は多く見ても五十程度。
数では負けているが、それだけで戦力が決まる訳でも無い。
「念の為に連れて来て正解だったな。『グループ』と『スクール』を動かせ」
『直ぐに』
「『猟犬部隊』は沿岸を警ら。映像を視落とすなよ。それと、奴らはどうやって侵入してきた?」
『恐らくは船かと。海岸から二キロ程離れた場所に小型の船がいくつかあります。ある程度近づいたら別の方法で侵入した可能性は高いと思われます』
携帯の向こうで話すのに合わせて、PCの画面に映されたのは中型の船。人数的には二、三十人程度は余裕で入りそうだ。
だが、明らかに侵入者全員が入り切れる大きさとも思えない。恐らく、まだ遠くに巨大な船が用意されてるのだろう。
「他は?」
『およそ二十キロ程沖に出た場所に二隻ほど軍艦があるようです』
「オイオイ、軍艦まで引っ張ってきてるのか」
面倒だ、と呟きながらモバイルPCを操作する。
画面に一筋の光が降り注いで見えなくなったと思うと、光が消えた時に船には中央に巨大な穴があき、ゆっくりと沈んでいた。
軍艦など、莫大な光による熱で骨組みを溶かしてしまえば最早使い物にならない。
ゲーム感覚で戦艦を沈めた後、別の画面を映し出す。
「海中はどうなっている?」
『ソナーを使って未だ捜索中です。かなり遠い場所に潜水艦がある可能性も否めません。未だ敵はソナーの探知範囲に入り続けていますので』
チッ、と舌打ちをする。
潜水艦でソナーの範囲外から侵入なんて真似が、そこらの連中に出来るとも思えない。
学園都市のソナーの範囲は半径十キロ程度では収まらない。だからこその違和感。
そこらの組織が使うような技術で、この島に配備されているソナーを掻い潜れるとは思えない。数は小規模で盗まれても問題ないレベルの技術とはいえ、一国の軍が使用するレベルのモノだ。
ましてや、魔法使いにはそんな事が出来る技術は無い筈。いや、知らないだけである可能性はあるのだが。
なら、それだけの装備を整えられる部隊と言う事になる。
「……『国籍不明』の『多国籍軍』か」
『可能性は高いかと』
「……敵が来た方向は分かるだろう。ソナーで探知していた筈だ。逆算して方向を割り出せ」
『分かりました』
相手が魔術師なら潜水術式でも使えるんだろうな、と思いつつ思案する。
敵の数は二百。対してこちらは多く見積もっても五十人程度。こちらには高レベルの能力者が複数居るとはいえ、相手は魔法使い。油断はできない。
ハァ、とため息をつく。
千雨と楽しい思い出作りに来ただけなんだがな。と思いつつ、告げる。
「……『Equ.DarkMatter』をいくつか用意させておく、『猟犬部隊』に支給しておけ」
『直ぐにでも』
「情報は常に全員に流し続けろ」
それ以外にもいくつか『
大抵の戦力差ならコレでどうにかなる筈だ。
「それから……木原鋭角。ここの権限は一時的にお前に任せる。敵対勢力の制圧を目的として、武装許可及びアレの許可も出しておこう」
『お、本当かよ。なら、存分にやらせて貰うぜ、社長さんよ』
携帯の向こう、通話はヘッドセットと繋げられていて、通信は全員が聞いている筈だ。現場での指示はする訳にはいかないので、まかせる事が適任だと判断した。
「処理はきちんとやれよ」
『了解。それで、捕えた奴等はこっちで引き取っても? 実験の材料に欲しいんスけど』
「言っただろう。処理さえきちんとするなら問題無い。だが、情報はキッチリ吐かせろよ」
その言葉に、携帯の向こうで笑みを浮かべるのが幻視出来た。
人の命を物と同列に考える異常性。だが、それを補って余りある利益がSMGにもたらされている。
『分かってますって。そんじゃ、テキパキ働くとしますか──!」
「捜索は続けろ。発見次第木原及び戦闘員に連絡だ。……同時に、何故奴らがここを攻めて来たのかも調べろ」
●
男達は雇われだ。
金を貰えれば大抵の事をやる傭兵。
そして、今回の仕事はとある施設への侵入。そしてその施設を徹底的に調べる事。手に入れたデータを全て渡せば依頼完了となる。
最初に依頼を受けた時は楽勝だ、と思っていた。
『セブンスミストグループ』と呼ばれる科学者たちの会社。
魔法を使える彼らからすれば、科学より魔法の方が優れている。だから、魔法を使える自分たちにとって、魔法を使えない彼らのデータを盗んでくるなんて事は簡単だと思っている。
だからこそ、油断と慢心を捨て切れなかった。
森の中。
暗く、光は月明かり程度しかない状況で、侵入者たちはふと足を止めた。
侵入してきた男達は警戒する。何故かはわからない。だが、本能的にこれ以上進むなと、長年の経験が警報を鳴らしている。
『あ、あー。聞こえてるかぁ? 魔法使いのヤローども』
面倒臭いと言わんばかりの声。酷く相手を不快にさせる様な声だが、何処から出ているのかが分からない。
360度、全方位から声が聞こえている様な錯覚がある。
『お前等あれだろ、魔法使い。しょーじき俺がやるってのは面倒くさくて敵わんのよ』
だから、
『お前等の相手はちゃーんと用意してやってるぜ』
横凪に何かが振るわれる。風を着る音と共に衝撃波を起こす一撃は、魔法使い達の近くにあった木をへし折った。
へし折られたことで姿がハッキリと見え、魔法使い達は絶句する。
そこにいたのは──熊だ。
見た目的にはヒグマに近いだろうか。体長は三メートル前後で、種の中では大きい方だろう。何やら首輪の様なものをしているようで、それだけが異様に目立っている。
『精々頑張れよ。その熊、異様につえぇから』
地面を蹴り、熊が動いた。その動きは巨体に見合わず俊敏で、振るわれた一撃は地面をえぐり取っている。
武器を構え、身体強化の呪文を使う。熊を相手に素で挑むなど、無謀を通り越して自殺志願者だ。
戦闘スタイルと言う意味での『魔法使い』は居ない。潜入において、唯の砲台でしか無い魔法使いなど足手纏いだ。故に、この場にいるのは『魔法戦士』として特化した近接部隊と言う事になる。
念の為に、ここに来ているほぼ全員の魔法使いは海岸沿いで待機しているが、援軍が来るまで持ちこたえると言うのは高難易度だろう。
『だらだらとやるつもりもねぇし、速いとこ潰して回収しねぇとな』
木原鋭角のやっている研究では、基本的に腕の一本二本、足の一本二本程度は動かなくても構わないのだ。
回収できれば、それは研究に使える。科学者の中でも異端。異常を是とする『木原』の一人は、材料が傷だらけでも気にしない。
その事を理解出来ない魔法使い達でさえ、声だけで異常性を感じ取るほどに。
『ほらほら、避けないと当たるぜ?』
熊の腕が凄まじい速度で魔法使いの一人に当たり、吹き飛ばした。──腕一本が空中にとんでいるのが、見えた。
それを見て、熊の異常性に気付く。
──明らかに、身体の上限を逸脱している。
身体能力が人間よりも圧倒的に高いまではまだいい。だが、幾らなんでも障壁ごと引き裂いて魔法使いの腕を吹き飛ばすなど、普通の熊に出来る事だろうか?
未熟な魔法使いならばともかく、彼らは熟練したプロの戦闘者だ。しかも近接格闘を主にしている。
そんな彼らが、熊如きに後れを取っている。本来あり得ない光景であり、あり得てはならない光景だ。
「退けッ! 今この場で戦うのは不味い!」
リーダー格の男が声を荒げ、戦闘を止めて撤退させようとする。
「『魔法の射手 連弾・雷の十七矢』!」
牽制に放たれた魔法が熊へと直撃し、怯ませる。
しかし、熊の肉体には何ら損傷が見られない。毛皮の下にある硬質な筋肉が、防壁の様な役割を果たしているのだ。
「……あれを受けて、
改めて異常性を見せつけられ、引きつった笑みを浮かべてしまう男。
動きが速く、まともに攻撃が当たらない。その上、魔法の射手程度ではダメージがほとんど通らない。
だが、それが分かれば対処自体は可能だ。
魔法の射手で駄目なら、それ以上の威力を持つ魔法を使えば良い。もしくは、より至近距離で直撃させる。そうすれば、先程よりはダメージが入るだろう。
ただし、それは
「──ッ!?」
突如、男達の姿勢が崩れる。平衡感覚を掴めず、足を踏ん張る事が出来ない。
『一か所に集まってくれて助かったぜ。一々狙わなくて済むからなぁ』
マイクロウェーブによる三半規管内のリンパ液の振動。それによって引き起こされる激しい吐き気、平衡感覚の消失。
それが、男達に今起きている現象だ。
『下手に広範囲にやっちまうと、俺の手駒の方に効いちまうからな。ま、別にそれでもかまわねぇんだけどよ』
どの道、この熊は研究の被検体に過ぎない。使い潰れようと、処分が面倒なだけであって、それ以外に不都合などありはしない。
これが『木原』
相手の想像の上を行き、成果さえ出せればそれによる被害など気にも留めない存在。
木原鋭角の手駒である熊は、目の前の獲物に対して動く事は無い。否、動こうにも動けない。そう言う風に命令されているのだ。
『さぁて、手っ取り早く回収しやがれ、てめえら』
いつの間にか周りを取り囲んでいた複数人によって、男達は気絶させられ、何処かへと運ばれて行った。
その後どうなったのかは、知る由も無い。
●
二人の少女は、ホテルから少し離れた丘にいた。
この島に妙な気配が侵入してきたからと、様子を見にホテルの外に出たまではいい。だが、その妙な気配が次々と消えて行く。
距離が遠い為、大まかな方向位しか分からないが、二人の内一人にとっては別段見えないと言う訳では無い距離だ。
「どうだ? 龍宮」
龍宮と呼ばれる少女は銃に取りつけられたスコープを覗き込み、恐らく敵が居るであろう方向を視ている。
視界に映るのは人影。見ることこそ出来るが、倒れたまま動かない彼あるいは彼女の生死を確かめる事は出来ない。
だが、誰かに引き摺られている辺り、既に生きていないと思った方が良さそうだ、と龍宮は決定づけた。
「……見えた。だが、既に絶命している様だぞ」
「やはりか……」
何者かがこの島に侵入してきた者達を殺して回っている。随分と物騒な状況だが、どちらの目的も現状では分からないことだらけだ。
戦闘の跡は無い。強力な魔法を使われた様な跡も無い。爆発や魔力の奔流といったものが視認できないのだ。使われていないと考えるのが無難だろう。
魔力や気を感じる事もたまにあるが、それも直ぐに消えてしまう。
「……魔法を使わずに敵を殺している?」
「可能性はある。特にこの島、物騒な人がゴロゴロいたからな」
龍宮は、隣で呟く刹那の言葉に対し、スコープから目を離しながら肯定した。
ホテルに入り、従業員を何人かみた。その時、大半の従業員から血の匂いがしたのだ。
何故このような島にそんな人達が居るのか、幾つもの疑問が浮かぶが、解決はしない。解決する方法が無い。
龍宮は一人見た事のある人物が居たが、安易に話しかけようとは思わなかった。
何故かと言えば、数年ほど前に仕事で紛争地域に行った際、その女性が敵を皆殺しにしていたのを視たからだ。
味方はほぼやられ、自分一人で戦い、援軍も少ない状況で、その女性含む複数人はあっという間に敵を殲滅した。
その女性と軽く話はしたものの、あちらは覚えても居ないだろう。
その際に魔力も気も使わずに戦っていた事から、『そういう力』も存在するのだ。と言う事を知った。
そして、この島でも同じことが起きている。
つまり、侵入者はその人達を敵に回すと言う事。
自分ならそんな命を捨てるような真似はしないだろう。と思う。
「放っておいても、直に収まるだろうね」
「だが、楽観視はできないぞ。狙われているのがお嬢様なら、隠密に優れた者が来る可能性が高い。私達にさえバレるような者達は囮か捨て駒だろう」
「……可能性はある。だが、あの人達の
「知り合いなのか?」
「昔ちょっと会っただけだ。あっちは覚えても居ないだろうさ」
肩をすくめ、再度スコープを覗き込もうとするその瞬間。感じたのは一つの違和感。
「刹那っ!」
「分かっている!」
刹那は直ぐに袋から刀を取りだし、鞘から抜く。鞘から抜かれた刀は月光を反射してきらめき、構える刹那の気配が刃の様に研ぎ澄まされた。
龍宮は腰に用意していたホルスターから銃を抜き、刹那と背中合わせにして辺りを探る。
「……どうやら、話している間に敵に囲まれていたようだね」
「だから油断はできないと言ったんだ」
がさっ、と木々をかき分ける音を立て、複数の方向から敵が現れた。ついで、躊躇なく攻撃。
「魔法の射手 連弾・雷の十五矢」
指輪をつけた右手から魔法の射手が放たれる。十分に魔力を練られた
十五の矢は刹那と龍宮を狙い、その攻撃を合図にして、周りにいた面々が一斉に襲い掛かる。
魔法の射手は二人の間に打ち込まれた。着弾による爆発で砂埃が起こり、視界を遮られる形となった為に気配を探り始める。目が使えないのだから、気配で判断するしかないのだ。
二人の中間地点に打ちこまれた様で、無理矢理分断される形となった二人。仕方無く一人ずつで敵と戦う事となり、刹那は刀を持って森の中へと追い込まれる。
「ハァッ!!」
鋭く振るう剣を避け、防ぐ目の前の男。刹那は、幾度となく金属音を響かせながらナイフを持った男と対峙していた。
時折神鳴流の技で牽制、攻撃をする。銃弾よりも速く鋭い刃は直ぐ様男の身体を切り裂くかと思えば、そうでは無かった。
野太刀とは、基本的に長大な刀だ。その分重量もあるし、リーチも長い。
しかし、野太刀を振るうには
時折後ろに下がって魔法で牽制を掛ける者達、常に刹那の目の前で刀とナイフをぶつける男、遠距離から銃で足や腕を狙う魔法使い。
それぞれが役割を果たし、連携を取っている為、刹那には少しばかり荷が重い戦いとなっていた。
そして、当然ながらその状態を長く続けられる訳では無かった。
魔法による牽制、魔力強化された攻撃、気で練られた攻撃。
次々と放たれる攻撃を、次第に避けきれなくなっていく。闇夜で視界が効かない事もあるだろうが、それ自体は慣れている為にどうにでもなることだ。
小さい傷が所々に出来、体力的にも精神的にも所jに追いつめられていく。
そして、刹那の一瞬の隙をついて、後ろから男がナイフを振り下ろす──
●
一方、龍宮は終始有利だった。
敵は近距離戦を得意とする者ばかり。普通なら、銃を使う龍宮にとって前衛の居ないこの状態では不利だろう。
だが、この少女にそんな事は関係無いのだ。
逆に言えば、近距離戦が得意なだけで神鳴流では無い。
神鳴流に飛び道具は効かない。だからこそ戦術を考える必要があるが、この男達はそう言う訳ではない。
経験こそ段違いだが、神鳴流の様に全く効かないと言う訳では無い。それがどういう意味を持つのか、言うまでも無く龍宮は知っている。
両手に構えた二丁の銃を多彩に操り、襲い掛かる敵に銃弾を浴びせ続けていく。当たらなくとも拳制にはなるのだから、撃つこと自体に意味があると言えた。
障壁を張る者も居たが、
連続で撃ち続ければ、いずれ破ることが出来る。龍宮はそう判断した。
だが、それで終わるほど男達も甘く無かった。
男の一人が障壁を全力展開して特攻を仕掛け、龍宮の眼前まで迫る。銃弾そのものにも呪的要素を足しているのだが、それさえ気にせずに突き進んでいる。
龍宮はそれに怯む事無く銃を撃ち続ける。弾倉は直前に交換した。銃弾は十分だ。
だが、男を盾にしてその後ろに一人の男が隠れていた。直ぐに銃を撃とうと構えるが、近距離戦ではやはり男の方が上であり。
銃を魔力強化されたナイフで切られ、逆の手に持っていた銃は蹴りで弾かれ、男はもう片方に持っていたナイフで
魔力強化され、銃も無く、逃げられる距離では無いと悟った龍宮は覚悟を決める。
突如、ピタリとナイフが止まった。
「駄目よ、大事なVIPの団体お客様なんだから。これ以上傷一つでもつけるようなら社長に怒鳴られるわ」
声がした方向に顔を向ける。
朝にロビーで見た顔。黒髪にウェーブがかかった髪。
ゆったりと微笑みながら、右手をこちらに向けていた。その隣には、小さい傷を作ってはいたものの、特に酷い怪我は無い様子の刹那が居た。
良く見れば目の前の男だけでなく、周りに居た男達も動きを止められている。
「……一体、どうなっている?」
刹那は不思議そうに、動きを止められた男達を見て呟いた。
「社長としては生かして置いた方がいいのかしらね。情報も取れるだろうし」
刹那の隣に居る女性は携帯に手を伸ばす。
もはや、この場に居る男たちなど眼中にない。
何処かへと電話をし出したかと思えば、二、三言話した後で通話を切った。その後、女性は男達に向き直る。
「さて、処分の許可が出たわ。ここは幸い通り道でも無いし、よっぽどのモノ好きでも無ければ、片付け終わる前に誰か来る事は無いでしょ」
ゆっくりと微笑み、右手を振る。無慈悲に、余りにもあっさりと。
「ここに来た事を、存分に後悔しなさい」
響き渡る絶叫、悲鳴。
何かに引き裂かれた様な傷口が出来ている男は、腹が裂けて内臓が出掛けている。
胴体を真っ二つに断たれた者。四肢を切断された者。腹を引き裂かれた者。
大声で叫ぶ男達に、うるさそうに顔をしかめた女性は、またも指で何かを操るような仕草をしていた。
何かが締まっていき、まわりの肉からゆっくりと裂けて行く。
(……やはり、あの切り口は……)
龍宮は一つの予測を立てるが、今考えてもしょうが無いと思い、頭から消す。
一秒もかからず、その場に居た数人の男達の首が全て落ちた。
「……さて、掃除も終わったし、社長があなた達とは少し話をしたいそうよ」
そして、少女達は少年の秘密を一つ知ることになる。