第三十一話:交錯する思惑
清水寺からホテルへと向かうバスの中。椙咲の体には木の枝や葉が大量についていた。
「いやな……事件だったな」
俺は妙に神妙な面持ちで、椙咲の顔を覗き込む。心配そうな表情を装い、怪我していないかチェックする。
「まさか本当に清水の舞台から落ちるとは思いませんでしたからねぇ!」
それに対し、椙咲が憤慨しながら答えた。
「いや、助けにいかなかったのは……ククク、本当に済まないと思って、クク……」
「笑いを堪えてんじゃねーよ! 笑い事じゃすまないからね!?」
体に着いた枝や葉をポロポロと落としながら怒気を含めた声で返す。其処まで言う事……だな。結構大事件だわ、コレ。
だが、超能力の使えない一般人で通している俺にどうやって助けろと言うつもりだろうか。
「護の超能力で助けてもらえばよかったのに」
「アイツの微妙な超能力でどうにかなると思ってたのか!?」
「おい、今聞き捨てならない事聞いたぞ」
本当の事だろうが。総じて『微妙』な超能力者め。
仲芽黒は椙咲についている葉や木の枝などを取っていた。献身的で、まるで付き合っているカップルの様だ。BLは遠慮したい所だが、当人である椙咲が拒絶してるので危惧している様な状況にはならないだろう。
しかし、謝っている仲芽黒の顔がもう女子にしか見えない。
「ごめんね。でも僕、何も悪い事して無いと思うんだけど……」
「いやしたよ! お前俺と清水寺から見る京都の写真撮ろうとした時、よりにもよって俺にすり寄ってきただろうが!!」
「うん、友達だもんね!」
「あの距離で友達かぁ……」
濱面が遠い目をしている。何を幻視してんだよ、お前。
胸板に頭を預ける様な形で写真を取ろうとしたらしい。よかったな、早乙女に見られなくて。見られてたら外を歩けなくなる。
「あのレベルはもう友達同士の写真じゃ絶対ねぇよ!!」
「そ、そうかなぁ。でも、だからって思いっきり飛び退いて清水寺からダイブしなくても良いと思うんだけど……」
「いや、もう俺のお前に対する反応は最早アレルギーレベルに達してるからな。俺は何も悪くない!」
仲芽黒は涙目になっていた。椙咲は少し言い過ぎたか……みたいな感じで見てる。
それに対し、このクラスの反応はと言うと。
『椙咲、サイテー』
全く持って椙咲に厳しく、仲芽黒に甘いクラスメイトである。
「うっ……いや、清水寺から直行ダイブしたのを見て大爆笑していたお前等に言われたくねぇよ!! 誰一人として俺を心配しないお前等に言われたくねぇよ!!」
「……それにしても、何でお前無傷なんだ? 清水寺から落ちても生存率八十五パーセントとはいえ、怪我一つ無いってどういう事だよ?」
「奇跡だよ! 唯の奇跡だよ! 純粋な、まごうことなき奇跡だよ! 今回は奇跡によって偶々無傷だっただけで、仲芽黒が近づくとまたこうなる可能性あるからね!?」
それは清水寺から落ちた場合だろうが。別の事故にあう可能性もある訳だが。
「大丈夫だろ、清水寺から落ちても傷一つない。お前はそんな奴だもんな」
「いや、確かにお前の逆鱗に触れて何度か吹き飛ばされてるが、それとこれとは話が違うというか……」
「ホテルに向かってるんだ。今日はもう何もねーだろ」
「今日は、ってところが気になるんだが……というか、誰か一人ぐらい心配しろよ! 清水寺直行ダイブ直後だぞ、俺! 病院に連れて行け! 怖いだろうが! 後、そんなクラスメイトに対して、かける言葉の一つくらいあるだろう!!」
その言葉に、俺達は顔を見合わせて、告げる
『旅行、満喫してんなぁ』
「してねぇよ!!」
そんな訳で、ホテルに俺達3-Wはホテルへと向かっていた。
●
嵐山のホテル……もとい、旅館。
桜咲から請け負った時点でこの場所の買収は終わっていて、仕掛けは十全に施してある。まともに侵入しようものならあっという間に肉塊になる位のレベルだ。
当然男子のいる場所と女子のいる場所は違う訳で。近くではあっても、行き来できる場所であっても通り道には新田と涸之が待機している為、移動は不可能。
当然超えようとした者は課題+説教のコンボである。
「(そんな訳で、修学旅行での恒例行事。覗きを始めたいと思います!)」
「(イエエエエエ!!)」
小声で叫ぶ3-Wの生徒。誰しも潤也は怖いのだ。やらなければいいと思うかもしれないが、やらなければ男がすたる。とまぁ、意味の分からない事になっていた。
簡単に言えば、修学旅行と言う事で気分が高揚し、やれると思っているのである。
当然、鬼神(潤也)にばれれば地獄行き。鬼(先生)に見つかれば説教+課題と言う地獄行き。失敗する訳にはいかない。
ス○ークの様に段ボールに入って移動。と言う訳でもなく、普通に会話しながら気付かれない様外に出て、会話さえせず静かに女子たちのいる別棟に向かっている。
息を殺し、壁と同化し、地面に隠れて時折外を見る生徒や先生達の視線を掻い潜り、女子たちのいる別棟の近くに辿りついた──
──瞬間に、全員気絶させられた。
「……アホか、こいつ等」
呟いたのは潤也。参加して無いのはまともだと言える一部の生徒のみ。それ以外は全員参加している。
先頭は椙咲。先導したのもこいつだろう、と当たりを付ける。当然だが、正解だ。
止めたのは何も覗かせない為だけでは無い。女子のいる別棟は多数の仕掛けが施してあり、迂闊に侵入しようとすればあっという間にミンチになってしまう。
ここで気絶させなかった場合、肉塊に変わっていた可能性もある訳で。流石にクラスメイト十余名のスプラッタな死体など見たくは無い。
知らないとはいえ、感謝してほしいと思う潤也であった。
●
露天風呂は混浴の為、潤也が急いで工事を始めて男女別にしようとしたが、間にあわないと判断した為中止。泣き寝入りせざるを得なかった温泉。
おかげで、ネギと桜咲達が同じ時間帯に入る事になってしまった。
だが、ネギは当初誰がいるか分からなかったので隠れてしまい、出るに出られなくなっていた。
「(あわわわ、ど、どうしようカモ君!?)」
「(慌てないでくだせぇ、理由を話せばきっと分かってくれますって!)」
実際、刹那からしてみれば十才の少年等興味は無い。理由を話して直ぐに出れば文句も無いだろう。
だが、次の言葉でそれが薄れる。
「……潤也はこの旅館に仕掛けをしていると言っていたが、本当にあるのだろうか」
ポツリと呟かれた一言。
刹那からすれば、あまり関わりのない科学の方法で守る手段があると言われても、大丈夫かは心配な所である。
だからこそ呟かれ、ネギが気にした。
「(え……ど、どういう事だろう、カモ君)」
「(というか、潤也って誰ですかい? 兄貴)」
「(あ、そっか、知らないよね。潤也さんって長谷川さんのお兄さんなんだよ)」
カモは絶句した。学園長から関わるなと言われている相手に接触している事にはならないのか、と。
接触するなと言われたのは千雨、アスナ、零の三人のみの為、どの道学園長が言った事には入っていないのだが。
(そう言う意味では、確かに接触して無い……よな?)
カモはそう考え、頭を捻る。
どうにかしてネギに従者を作りたい所だが、あの三人の存在がそれを阻む。少しでも抵触すれば死ぬ可能性があるのだ。流石に命は惜しい。
あの三人と関わらない範囲で従者を増やしたい所だが、まだ一日目の上、全員行動が同じな為に難しいのだ。
学園長があそこまで言う以上、あの三人に何か秘密があるのは間違いのない事であり、危険でもあるという事。
刹那の呟いた人物名は、接触するなと言われた人物の兄。普通なら妹と同じように何かあると考えるのが普通であり。
その人物と接触をしている以上、危険を承知の上なのか、それとも学園とは別のラインで繋がっているのかは確かめておきたい所ではある。
場合によっては命に関わるのだから、それ位は確かめたい。そう考え。
(だが、真正面から聞くとあっち側の耳に入る可能性もあるよな……)
どうにかして情報が手に入らないかと思考を巡らせる。刹那があちら側と関わっているなら、真正面から聞けば絶対にあちらの耳に入り、こちらの身の危険がある。
仮契約を成功させればオコジョ協会からお金が出る。だが、命に代えても手に入れたいかと言えばそうではない為。
(……今聞くのは、危険だな。さっきの呟きを聞く限り、この旅館に何か仕掛けがある可能性がある。もしかしたら、会話も聞かれているかも知れねぇ)
そう考え、この建物での会話は出来るだけ控えようと思ったカモだった。
流石に露天風呂にまで盗聴器など仕掛けはしないのだが、其処まで頭が回らなかったので気が付かなかった。と言うか、分からなかった。
「(兄貴、兄貴。取りあえず謝ってここから出ましょう。のぼせますぜ)」
「(う、うん)」
あまり長く入っていると湯にあたって肝心な時に動けなくなる。取りあえず考えるのは後にしてネギを湯から出そうと考え。
刹那に対して姿を現し、速攻で土下座をして許して貰った二人であった。
●
とある場所、森の中。一つの小屋があった。
其処へ入るのは一人の女性。黒髪が腰まであり、眼鏡をかけた和服の女性だ。左腕の部分が破けており、其処から見える左腕は全体的に痛々しく包帯が巻いてある。
「帰ったえ」
「千草姉ちゃん? お嬢様誘拐するんじゃ無かったんか?」
「そうしたいのは山々やったんやけどな。あの旅館、意味の分からん仕掛けがしてあるんや」
真正面から従業員の振りをして侵入しようとしたが、いざ入ろうとした段階で左腕が不可視の何かで攻撃された。
危うく左腕全部を持っていかれる所だったが、式神を駆使して何とか逃げ、治療して動くまでに回復できた。
だが、一度やられている以上馬鹿の一つ覚えの様に同じ方法で侵入する気は無い。別の方法を探そうと仕掛けを探す為に探知の魔法を使ったが、何も成果は上がらず。
式神を侵入させようとしたが、建物に入る前に『消滅』している。
魔法的な攻撃ならば直ぐに分かるのだが、全く分からず、感知も出来ない。
即ち、『魔力』も『気』も用いずに不可思議な現象を犯しているという事。そんな事が出来る集団は一つしか心当たりが無く。
『超能力者』。
「……可能性は、あったんやけどな」
「……『彼ら』かい?」
呟きに返したのは白髪の少年。フェイト・アーウェルンクス。
超能力者の力も規模も注意すべき敵ではあるが、魔法世界に対して何も干渉していない為、要注意人物に社長である『垣根帝督』以上の人物の名があげられているのみ。
特に注意すべきは『SMG』の『CEO』《最高経営責任者》である『
何故ならば『SMG』創立以来変わっておらず、その科学力で『SMG』の社会的価値を押し上げた人物だからだ。
それを言えば社長の垣根帝督の方が有名ではある。だが、裏で操っているのはこの男だという噂もあるのだ。
実際には垣根は潤也の変装。湊は『
「まぁな。島根の一件で名の知れた『長谷川潤也』とその妹。少なくとも兄の方は『超能力者』やろ」
資料を捲りながらそう呟く。九条家と協力して『八岐大蛇』を討伐したとある。なら、少なくとも超能力が使えるという事は確実だと考え。
「……しかし、『SMG』がお嬢様を匿う理由があるんか?」
「取引とか契約とかしたんちゃうか?」
犬耳の少年、犬上小太郎が床に寝そべりながらそう答える。
「そない簡単にいくかいな。それ以前に、『SMG』と取引した奴がだれか、やな。あの長が科学を信用するとは思えん」
魔術結社でも無い上、護衛を頼んでそのまま誘拐。等と言う事もあり得る。相当の信頼が無ければこの類の仕事は受けれない。
そもそも、長である近衛詠春とは繋がりが無い。以前協力して顔見知りになった、と言うだけでは理由としては弱いだろう。
それならば、可能性は複数ある。
「あの護衛が繋がっとるか、例の超能力者もしくはその妹繋がりか。もう一人おった女は最近転校して来たらしいからそっちは無いやろな」
「可能性としては、超能力者が一番濃厚だろうね」
超能力者は全て『SMG』に所属している。否、『SMG』に所属している全ての者が超能力者。そう認識されているのだ。
こういった類の能力は全てが後天的。原石であろうと人工的な能力者であろうと、見分けることなどできはしないのだから。
そう考えると、能力者では無い木乃香の護衛である桜咲と一般人と認識されている千雨は可能性として薄い。
「どの道アレじゃ建物に入られへん。どうやってか侵入する、もしくは外出の時に攫うしかないな」
「……千草さんー」
「何や、月詠」
そう呼ばれたゴスロリ服の金髪少女は、外を見ながら指差す。
「あの紙飛行機。さっきから落ちずにこの周りをずっと回ってるんですがー」
「……なんやて?」
瞬間、膨大な殺気と共に小屋が吹き飛んだ。
壁を破壊して外に転がり出た三人と、障壁で攻撃そのものを防いで、瞬動で距離を取ったフェイト。
全員直ぐ様敵を探し、見つける。
銀色のトレンチコートを身に纏い、フードを目深にかぶって顔は見えず、両手も指先まで覆われていて見えない。
風が吹き、トレンチコートが揺れる。チラッと見えるその手には、厚紙で折られた紙飛行機があった。
『MAV』と呼ばれるモノだ。
モーターを数カ所に設置し、フラップやラダーを組み込んだ上で、カメラと送受信機を機体の下面に両面テープで貼り付けて完成。ディスカウントショップで扱っている品だけで作られているお手軽品だ。
オモチャのラジコン電波のため、長距離間の操縦は出来ないことが欠点。だが、飛行速度は時速150km。追跡するのにこれほど適したおもちゃも中々無い。
「お前等が木乃香を狙う賊って事でいいのか?」
「……何もんや、お前」
気を抜かず、集中して敵を視る。一挙一動に精神を注ぎ、わずかな動きも見逃さない様に。
「まァ、こンなもンかなァ。昼間っからおかしな連中が纏わりついてウザかったンだよ」
口調が変わっている。それほどにイラついている、と言う事だ。
「七人。それだけ監視がいた訳だが、全員が別の派閥だ。面倒クセェったらありゃしねェ」
清水寺の観光時、監視をしていた逸般人。過激派と言う繋がりはあったものの、全部が個人で勝手に行動した者達だ。
それらすべて木乃香を狙っていた者達。そいつらに関してはご丁寧に退場願った。『六枚羽』を飛ばして『猟犬部隊』を動かして。
「何が言いてェかっつゥとだな。──手足の一本や二本、無くした位じゃ死にやしねェだろ?」
殺気が膨張すると同時、二人が動いた。
月詠は両手に持った二刀を振り、神鳴流奥義を放つ。小太郎は複数の犬神を両手に集め、放つ。
「にと〜連撃、ざ〜んが〜んけ〜ん!」
「疾空黒狼牙!」
「……実力の差ァぐらい分かれ」
溜息でもつきそうな雰囲気のまま、動く事無く二人の動きを見る。指一本動かそうともせずに、視線のみを向けたのだ。
グシャッ!! と地面が陥没し、二人とも地面に叩きつけられる。
「な、なんやコレ……!?」
「う、動けません〜!」
『
「月詠、小太郎!?」
二人とも性格が難ではあるが、ある程度の実力者ではある。それを、動きもせずに制圧した。
戦力を失った上、圧倒的に上回る実力だと判断した。こうなれば、勝てる可能性は少ない。
更に、魔力も気も感じない。こんな現象を起こしておきながら魔力も気も用いていないという事は、答えは一つしかない。
「『超能力者』……クッ!……」
善鬼と護鬼である、
そう考え、フェイトも動き出す。
瞬動で懐に入り込み、防ぐ気のない腹部へと魔力を集中した右手で掌底を喰らわせる。当たれば確実に敵を悶絶させられる一撃だ。
それと同時に、折れる右腕。当たったにも関わらず、手応えの無い攻撃。
「──?」
理解が出来ない。
攻撃をしたのも、喰らわせたのもこちら側。なのに、ダメージを受けたのもこちら。混乱こそしないが、戸惑いはある。
潤也は左の掌をフェイトへと向け、そのまま窒素の槍を高速で射出する。
強烈な衝撃を障壁で防ぎ、距離を取って右腕を見る。折れてはいるが、直ぐに治るだろう。問題は無いと判断し。
「……退くよ、千草さん」
相手にするには、分が悪いとも判断した。
敵の情報が少なすぎる。少なくとも、初見でどうにかなる相手ではないと考え。
水を媒介とした『
見捨てるという選択肢もあるにはある。だが、戦力が絶対的に足りないのだ。木乃香には護衛もいる。
フェイト一人でも出来ない事は無いだろうが、負担が半端では無い上に、そもそも一人ではハードスケジュールなどと言うレベルでは無い。
出来うる限りは回収したく。
「ヴィシュ・タル リ・シュタル ヴァンゲイト 小さき王八つ足の蜥蜴 邪眼の主よ その光我が手に宿し 災いなる眼差しで射よ 『石化の邪眼』」
指先より放たれるは石化の光線。当たれば敵を石化し、行動不能にさせる事の出来る魔法だ。
だが、それさえ通じない。
放たれた光線は当たる瞬間に軌道を変え、フェイト自身へと襲い掛かる。
それに一瞬で気付けたのは僥倖だろう。下手をすれば、自分で自分を石化させる所だったのだから。
間一髪で避け、もう一度距離を取って思考をする。
(……魔法の軌道が、
魔力に干渉している訳ではない。魔法の軌道そのものを変えられた。超能力にそんな物があるのかと考え、別の方法を探す。
「ヴィシュ・タル リ・シュタル ヴァンゲイト 小さき王八つ足の蜥蜴 邪眼の主よ 時を奪う毒の吐息を 『石の息吹』」
現れるのは巨大な石化の雲。これも、当たれば石化する魔法だ。
だが、当然の様に潤也には効いていない。当たっているにも関わらず、だ。
しかし、目的はそちらでは無い。
煙が晴れた時、その場には潤也以外誰もいなかった。
つまり、目くらまし。まともに当てても石化できないなら、隠れる為の蓑にすれば良い。
「……ハァ、追うのも面倒だしなぁ。関西の長に情報流すか」
眠い……と呟き、右手に持った注射器を『王の財宝』に投げ捨てる。
石化の煙を出した瞬間、小太郎と月詠に刺して置いた。中身はキッチリ注入し、効果は既に出ている。
位置はいつでも補足できる。これ以上は自分が動く必要は無いし、動く気も無い。関西に情報を流して勝手に争って貰おうと考え。
取りあえずは旅館に戻ろう。そう考えた潤也だった。