第四十七話:情報収集
翌日、駒王学園、会議室。
集まったのはアザゼル、バラキエル、グレモリー眷属、シトリー眷属、イリナ、ヴァーリチーム、一誠といった異色の面子。本来交わる事のないであろう面々が、今一堂に会していた。
オーディンとロスヴァイセは本国と連絡を取り合っている最中らしく、今回の会議には出席していない。
「俺はロキとフェンリルを相手に戦えれば文句は無いし、兵藤としても余計なトラブルは御免被る。だからこそ、互いに組むことを了承した」
「神格に二天龍クラスがいるとなると、色々と不安要素があるからな」
ヴァーリと一誠がそれぞれ続け、事情を説明する。
聖なる右が使えるとはいえ、相手は神格に二天龍クラス。神器の力も最大限使いこなしているとは言えない今、不安要素は出来るだけ取り除いておくべきだと判断した。
何も悪いことばかりでは無いのだし、問題は無いと踏んでいたのだが。
「何か言いたそうだな、アザゼル」
「そりゃあな。色々と気になることもあるしよ。まぁ、今言ったってしょうがねぇ。サーゼクスも認めてるみたいだし、どうせ駄目だって言っても勝手に介入してくるんだろうが」
「よく分かっているじゃないか」
もしも組む事を認めないというのであれば、ロキとアザゼル達が戦闘を開始した時点で介入し、三つ巴の戦争へとなり果てる。
その場合、アザゼル達にも被害が出る可能性がある。ならば、手を組んだ方が得だろう。
「納得できないことも多いけれど、一応監視もつけておけば大丈夫と言う判断になったわ」
「兵藤はともかく、ヴァーリは何を企んでるとも知れないからな」
リアスとアザゼルの言葉に、一誠は嘆息してヴァーリは苦笑した。
一誠がアザゼル達と本気で敵対する可能性も存在するにはするが、現状としてはその可能性は低いと見られている。理由は推して知るべしである。
勝手に動かれるよりは監視下に居た方が動きも把握できて楽とはいえ、素直に言う事を聞くかどうかはまた別の話。
無論、アザゼルとてその辺りの事は考えている。ソーナも不承不承の表情だが、一応の納得はしているのだから、協力も仰げるだろう。
監視は交代で。一誠はイリナが、ヴァーリ達はそれぞれ近くのマンションで監視する事となった。
アーシアは一誠が協力するという事にあまり疑問を持っていないようだが、やはり理由は先日の中断されたサイラオーグ戦での出来事がある為だろう。
まぁ、それ以前の事が無いとは言えないが。
「……まぁ、それはいい。取りあえず、今はロキとフェンリル対策を練るべきだ。その為にとあるものとコンタクトを取る」
「ロキとフェンリルの対策を聞く?」
リアスが疑問を抱き、アザゼルへと問いかける。アザゼルは一度頷き、答えた。
「あいつ等に詳しいのが一匹いてな。そいつにご教授して貰う予定だ」
「──ミドガルズオルムか」
五大竜王の一角。『
「まぁ、順当だな。しかし、俺達の声に応えるだろうか?」
「二天龍、竜王──ファーブニル、ヴリトラ、タンニーンの力を持って
二人が会話している横で、匙が恐縮した様子で「気が引ける」などと言っていたが、アザゼルが「居るだけでいい」と言ったので多少は安心したらしい。
明らかに安堵した様子で額を拭っている。
「それじゃ、俺はシェムハザの所に行って対策会議をしてくる。それまで待機してろ。バラキエル、ついて来てくれ」
「了解した」
アザゼルとバラキエルは部屋から出ていき、それと同時に部屋の中に充満していた空気が弛緩する。
皆重要な会議と言う事で緊張していたのだろう。とはいえ、一誠やヴァーリなどは一切変わった様子を見せていないが。
アーサーとイリナは聖剣について談義しており、美猴と木場、ゼノヴィアは運動も兼ねて軽く手合わせをしに校庭へと出ていった。
リアスとソーナはロキについての談義を未だにかわしており、小猫と黒歌は何やら言葉を交わしている。小猫の後ろには何故かギャスパーもいるが。
アザゼルが戻ってくるまでの時間、各々で自由に過ごす事がなし崩し的に決定した。
●
「あの時以来か、お前たち」
帰って来たアザゼルと共に転移魔法陣を使い、一誠、ヴァーリ、匙がある場所へと転移した。
一面真っ白な特殊な空間だ。レーティングゲームの際に使われる技術を持って作成された場所で、竜王の意識を呼び寄せるための特殊な儀式場となる。
ふと目を向ければ、巨大な龍の影──タンニーンだ。
「タンニーンか。会ったのはグレモリーとバアルの一戦以来だな」
ミドガルズオルムの意識を呼び寄せるために必要なので、アザゼルに呼ばれたらしい。一誠とヴァーリには敵意混じりの視線を向け、匙はガチガチに緊張しながらタンニーンと会話していた。
「お前がヴリトラだな」
「は、はいっ! りゅ、竜王、最上級悪魔のタンニーンさまですよね!」
見ていると笑いそうになるためか、顔をそむけつつ儀式の陣を確認する一誠。魔術とはまた違う技術によって制作されている為、この儀式は一誠にとって得るものがある。
ヴァーリの方はタンニーンと二、三言話していたようで、苦笑しながら一誠の横へと歩いて来た。
「釘を刺されたか」
「まぁ、当然だとは思うがな。妙な真似をすれば、躊躇い無く首をかみ砕くぞ、だと」
「出来るならやってみて貰いたいがな」
一度タンニーンを倒している身としては、幾ら吠えようと興味が無い。
アザゼルが術式を起動するのを見て、一誠が目を細める。何かに使えそうだとも思うが、現状では思い浮かばない。何かに使えるかもしれないので、儀式はきちんと記憶しておく。
「さて、魔方陣の基礎は出来た。各員、指定された場所へついてくれ」
アザゼルの指示通り、全員が特殊な文様の描かれた場所へと立つ。各自ついたことを確認すると、アザゼルが最後の仕上げを施す。
足元がそれぞれの龍を表す色に輝き始め、魔方陣が発動する。
そのまま数分ほど立ち尽くしたまま待ち続け、飽き始めた所で徐々に何かの影が立体的に投影されていく。
立体映像は一誠達の頭上に作られていくが、その規模はおよそ百メートル単位。眼前に現れたのは、この空間を覆い尽くさんばかりの巨大な龍の姿だった。
体躯はグレートレッドを超す程あるが、感じる威圧感はそれほどでも無い。
というか、巨大な、とぐろを巻いた蛇の様な龍は寝ていた。
爆音の様ないびきの音を響かせ、呼吸のたびに身体が上下している。
「案の定、寝ていたか……おい、起きろ、ミドガルズオルム!」
タンニーンの呼びかけに応じる様に、ゆっくりと瞼を開いて辺りを認識していく。
欠伸をしつつもタンニーンの事を認識するミドガルズオルムだが、眠気が襲って来るらしく、まともに会話が成り立たない。
タンニーンが一喝し、ようやくまともに会話が成り立ち始めた。
『うう、いつも怒ってるなぁ、タンニーンは』
「貴様といい、
嘆息しつつ、タンニーンはミドガルズオルムに質問を投げかける。
「お前の兄弟と父について聞きたい」
ミドガルズオルムを作ったのはロキであるとされ、ロキが作り出したフェンリルとは兄弟であるとされている。故に、ロキに対する情報はミドガルズオルムに聞くのが一番効率が良い。
『ダディとワンワンのことぉ? いいよぉ。どうせダディもワンワンも、僕にとってはどうでもいい存在だし。……あ、でも一つだけ聞かせて欲しいな、タンニーン』
「何だ?」
『ドライグとアルビオンは戦わないのぉ?』
一誠とヴァーリを交互にみやり、質問の意図を理解する。
元来、出会う度に殺し合ってきた二天龍だ。今、ここで殺し合わずにいること自体がミドガルズオルムにとっては不思議なのだろう。
「ああ、やらん。今回は共同戦線でロキとフェンリルを倒すつもりだ」
『へぇ、そうなんだぁ。珍しいなぁ』
タンニーンの言葉に、笑うように声を上げるミドガルズオルム。
その後、ロキとフェンリルに関して情報を幾つか共有し、グレイプニルやダークエルフに関しての情報を入手。送られたデータをもとに一誠が場所を指示し、ロキに関する事でも情報を手に入れた。
「ミョルニル、か」
「雷神トールの武器だな。しかし、それをオーディンからね……レプリカとはいえ、ダークエルフってのは信用されているらしいな」
アザゼルの呟きに、一誠が返す。
「ミョルニルを撃ちこめばいい」というミドガルズオルムの助言に従い、ミョルニルのレプリカをオーディンから預かっているダークエルフに接触する事となったのだ。
グレイプニルの強化の事でも話がある。今後会う機会があるとも分からないが、知っていて損は無い情報が手に入った。
『ふあぁぁ……それじゃ、僕は寝るよ。また何かあったら起こして』
最後に大欠伸をして映像が途切れ、儀式は終わった。
●
「オーディンのクソジジイめ、マジでこんなモン隠してやがった。しかし、よくもまぁミドガルズオルムもこんなこと知ってたもんだ」
明らかに不機嫌な様子でアザゼルが現れる。隣に居るロスヴァイセがイリナに近づき、
キョトンとした様子で手渡されたそれを見るイリナ。日曜大工にでも使いそうなハンマーなので、困惑しているらしい。
「あの、何ですか、これ」
「雷神トールの武器、ミョルニルだ。北欧神話の神ってのは、強力な武器を持ってる奴が多い。レプリカだが、そいつも十分な程雷の力を宿してる」
「えっ。そんな重要な物を私が持ってていいんですか?」
「良いんだよ。赤龍帝に使わせようとも思ったが、持ち逃げされたら洒落にならん。一応悪魔でも使える様にバラキエルと調整したが、使い手がいない。アーシアでも良かったが……アーシアは回復要員だからな。自衛用の武器ならまだしも、戦局を変えかねない武器を持たせるには荷が重いだろう」
かと言って、指示を出すべきリアスに近距離用の武器を使わせる訳にもいかず、ゼノヴィアと木場は既に武器を持っている。ギャスパーと小猫は武器を使った戦闘は経験したことが無い為に任せられず、ヴァーリチームは初めから論外。
可能性があるのは朱乃、イリナ、一誠辺りになるのだが、そもそも近距離戦に向かない朱乃を除けば、イリナか一誠しかいない。
現在は味方でも本来は敵である一誠を除き、消去法でイリナとなったのだ。
「まぁ、予備の戦力とでも思っていればいい。赤龍帝は自分の力でロキを倒すつもりらしいからな」
使う機会が無いならそれでいい、とアザゼルは言う。これを使うという事は、即ちイリナが危険にさらされるという事でもある。
それを、一誠が許容する筈が無い。一度はフェンリルの攻撃を防いでいたくらいなのだから、負ける可能性も低いだろうとアザゼルも見積もっていた。
「うまく行けばいいがな」
そう言いながら現れたのはヴァーリ。手には幾つかの本がある。
「お前か。どうだった?」
「北欧の術式は大体覚えた。ある程度はロキの攻撃に対応できる筈だ」
手を前につきだし、幾つかの魔法陣を展開させた。紋様は北欧神話の神々のそれに似通っており、ヴァーリはロキに対抗するためにこれらの術式を覚えたのだという。
「分かった。ヴリトラの宿主も、ある程度までは覚醒できたようだが……流石に時間が足りねぇな。せめてもう少し時間があれば、何とかなったかも知れねぇが」
匙はグリゴリの施設へと連れて行かれ、覚醒の兆しを見せているヴリトラの意識を完全な物にするために奮闘しているらしい。
着実に進んでいる。だが、物理的に時間が足りない。恐らくロキ戦には間に合わないだろう。
「作業もひと段落ついたし、俺は休む」
アザゼルとロスヴァイセは部屋を出ていき、ヴァーリとイリナのみが残された。
二人とも別のソファに座っているものの、妙な気まずさが漂っている。会話をしようにも切り口が見つからないので、どうしようかとイリナが頭を悩ませていると。
「ああ、そうだ。紫藤イリナ、君に一つ聞きたい事がある」
読み直していた本から視線を上げ、真っ直ぐイリナを見る。
「君自身は、赤龍帝──兵藤一誠をどう思っているんだ?」
一誠からイリナへの感情は親愛のそれに近い。恋愛では無く、友愛。なまじ距離が近い分、より異性として見る事が無いのだろう。
異性として見る、といった意味では、むしろプリシラの方が近いとも言えるかもしれない。
「どう、って言われても……イッセー君は、友達かな」
そして、イリナ自身も一誠の事を異性として見ていない。
今でこそ一つ屋根の下に暮らしているとはいえ、彼女にとって一誠は幼い頃と印象が変わっていないのだ。
周りの誰より落ち着いていて、大人びている様に見えて、意外と単純な所もある近所の友達。イリナの中ではそんな位置づけだろう。
「友達か。彼も同じことを言っていた。……まぁ、その前に『数少ない』とも言っていたが」
小さく笑みを浮かべながら、ヴァーリは言う。
「……貴方は、イッセー君が何をやっているか知っているの?」
「知りたいのか? 彼が何をやっているのか、何を探して、何を求めているのか」
「出来れば、知りたいと思っているわ」
「……そうか。まぁ、君は信用されているだろうから、話しても問題は無いだろう」
目的である『右腕の完成』と一誠が探っている『何か』について。
一誠の道はオーフィスの目的の延長線上にある。『右腕』の完成。それによるグレートレッドの打倒。それによって発生するであろう世界の異変にも予測を立てていて、『無限』と『夢幻』の存在する『意味』と『価値』を知ろうとしている人間でもある。
神をも上回る力を持ち、世界と世界の狭間に生まれたとされるオーフィスとグレートレッド。
神と魔王がそれぞれ『聖』と『魔』を司る様に、この二体も何か存在する意味があるのではないか──一誠はそう言っていたと、ヴァーリは話す。
「……何だか、難しいこと考えてるのね、イッセー君」
「兵藤が何をやっているかは具体的には知らないが、神器や世界に関わることと言うのは確実だろう」
こういった情報は本来秘匿すべきものである筈だが、そもそもヴァーリが自身に話している時点で外部に漏れても問題無い情報だ、と判断しているのだろう。
事実、ヴァーリにとって一誠が調べているそれらの情報は、なんら価値があるものではない。自身の実力を高めるためのものや、より強敵と戦う為のものでもない限り、ヴァーリの興味を引くことはないのだろう。
「でも、だとしたら……次元の狭間を治めることが、どうして世界に影響を与えるのかな」
次元の狭間は全ての世界を繋ぐ橋のようなものだ。そこに何らかの異常が起きたのなら、隣接する世界に異変が起きても何ら不思議ではない。
グレートレッドは良くてオーフィスは駄目。そもそも、何を持って『治める』とするのか、その辺りも酷く曖昧だ。
いるだけで『治めた』ことになるのか。だとすれば、随分簡単な国取りゲームだ。
「……そうだな、それは俺にもわからない。だが──」
●
「次元の狭間を治めるという事は、即ち冥界と人間界の行き来を監視できるという事でもある」
一誠は簡潔に告げ、説明する様に語り出した。
音も無く部屋に入ってきたことに驚くイリナだが、それ以上に気配を感じなかったことにヴァーリが驚いている。
「世界と世界の間に在る通路であり、狭間の世界。そこを治められるのは恐らく、オーフィスやグレートレッドの様な神仏を超えた存在だけだろう」
グレートレッドが良くてオーフィスが駄目な理由。それは、アザゼルが語っていた通り、「オーフィスが変質した」所為だ。
元々他者を必要とせず、単体で存在し続けられるオーフィスとグレートレッドは、それぞれ外界に対する興味と言うものが希薄だった。
オーフィスクラスの存在が次元の狭間に置いて「興味を持つ」と言う事は、その世界に「強力な意志」が介入する事を示す。
人間が好奇の視線にさらされれば不快感を感じる様に、外界に興味を持ったオーフィスは「興味を示す」だけで悪影響を及ぼしかねない。
現在それが成されていないのは、やはりグレートレッドが次元の狭間を治めているからなのだろう。オーフィスがその座を奪い取れば、まず間違いなくどこかに影響が出てくる。
オーフィス自身は「静寂を得たい」と言っているものの、アザゼルの言葉を信じるならば「変質」している。言葉を馬鹿正直に受け止める訳にもいかない。
だから、余計な被害を起こさない為にも、本来ならグレートレッドを殺させてはならないのだ。
「まぁ、オーフィスは『静寂を得たい』ってだけだし、それだけなら別に
それにはまた別の準備がいる。相当な時間をかけた、膨大な準備が。
「随分とお喋りになったもんだな、ヴァーリ。無闇に情報をばらまかないから、俺はお前に情報を与えていたつもりだったが」
情報力と言う意味では、ヴァーリは一誠に及ばない。黒歌やアーサーは情報収集に動くことも多いようだが、美猴などの戦闘以外全く興味も無い者もいる。
魔術、神器、状況、それらを魔術派と英雄派で分担し、情報を収集しているので、一誠はいろんな所から情報が入ってくる。
「それは悪かった。ただ、彼女も君が何をやっているか知りたがっていたようだからな」
「信用している事と情報を与える事は別だぞ、ヴァーリ。
仮にも禍の団の一員だ。一誠がイリナと深い関係にあると思われては、『
普通は知り得ない特殊な情報──神器や魔術に関する事を誰よりも深く知っているとは、そういう事態を招きかねない。
グレモリー眷属の近辺に居れば問題は少ないかもしれないが、彼女達の周りがそうであるというだけだ。それ以外も安全とは限らない。
「なるほどな……それで、
「準備はしたさ。ダークエルフがやったことに加え、俺もグレイプニルに仕掛けを施した」
用意された鎖──グレイプニルを霊装として扱うことによって、強度を高めるための術を施したのだ。
他にも、ロキとフェンリルを相手取るための霊装も用意したが……恐らく、使われる事は無いだろうと一誠は踏んでいる。
そもそもにおいて、メンバー内における魔術師が一誠しかいないのだ。扱える人間がいないのでは、武器を用意した所で結果は知れているだろう。
「だが、それでも完全とは言い難いな。ロキに攻撃されればひとたまりも無いだろう。あれでも神格だし、神話に置いてもフェンリルには子供が存在する」
スコルとハティと呼ばれる二体の狼。フェンリルの子と言うだけあって、十分厄介な敵になり得る筈だ。
「そうか。だが──」
「ああ、
口端を上げ、小さく笑みを浮かべて、一誠はそう言った。
絞殺魔ならぬ考察魔なので、色々考えて書いてたら遅くなりました(おい
次回よりVSロキ&フェンリルとなります。