ふぁーすとこんたくとはしっぱい
なのはと初めての『魔導師』 --Ⅲ--
「なのは、説明してくれ」
「…………」
「なのはちゃん、お願い教えてくれないかしら」
「…………」
あたしの名前はアリサ・バニングス、
両親はアメリカ人で結構裕福な家庭よ。
私立聖祥大附属小学校の三年生、友人は月村すずかと高町なのは。
いろいろあって友達になったんだけど、
——どうやらあたしは友達の事をあまり知らなかったみたいだわ。
学校からの帰り道にあの馬鹿と会って馬鹿の手が突然光だしたと思ったらすずかが苦しみ出した。
原因の馬鹿は逃げ出してとにかく救急車を呼ぼうとしたら——
「救急車は駄目だよ、アリサちゃん」
家に帰った筈の友人に止められた。
「な、なんでよ!?」
「病院とか医学じゃ無理だよ」
「は?」
「それにすずかちゃん達が行きつけの病院とか医者の先生とか居るんじゃないかな?」
「は?え?」
「まあ、今回はそれでも無理だと思うけど」
「な、なに——」
「とにかく、すずかちゃんの家に行こ?」
次の瞬間にはあたしはなのはに片手で抱き上げられていた。
--もう片方の手はすずかを難なく持ち上げていた。
「はあ!?」
「今は急ぐね」
「——!!!?」
なのはが歩き出したと思った時には凄い速度で家の屋根と屋根を移動していた——
ほ、本当なのよ!ぴょんぴょん跳ねながら凄い速度で移動してたのよ!
なのに風圧も来ないし気持ち悪くもならないし!
夢じゃないのよ!30秒とかからずにすずかの家についてそのままの勢いで家に上がったらすずかのお姉さんとなのはのお兄さんがいて2人とも驚いててすずかの部屋に行って寝かせてなのはがどんどん何も無い所からいろんな道具を出して——!!
…………ごめん、自分で言ってて夢としか思えないわね。
「お、このケーキ美味いな」
「あ、ありがとうございます……」
目の前には30センチくらいの妖精みたいな奴が美味しそうにケーキを食べててすずかの家でメイドをしているファリンさんが若干引き攣った表情で答えてる。
「ねえ、あんた」
「なんだ?」
「あんた、なのはとどういう関係なの?」
「ロードの許可がなきゃ答えねえよ」
ロード?どいうことなの?
なのはは何かを紙に書き込んでてすずかのお姉さんやなのはのお兄さんの言葉を無視してるし。
すずかは部屋でベッドに寝かされて今は眠っている。でも時折苦しそうにしてる。
「ねえなのは」
「…………」
「なのは?」
「…………」
「なのは!」
「にゃあ!?」
あ、やっと反応した。
「あ、アリサちゃん」
「あ、じゃないわよ。きちんと1から説明しなさいよ」
「なんでテメーに命令されなきゃいけないんだよ」
ケーキを食べてた妖精みたいなのが空中に浮かびながらこっちにやってきた。
「当然でしょう、こっちには知る権利があるわ」
「……馬鹿じゃねえのか」
あたしの言葉に妖精は溜め息をついた。
「どういう事よ!?」
「知る権利?お前は何様だ?」
「な、何様って——」
「何も知らねえで何も出来ない奴が吠えるんじゃねえ!」
「アギトちゃん」
「……ロード」
妖精が怒っている所へなのはが止めにやって来た。
「いいよ、いつかは話さなきゃいけないとは思ってたから」
なのはは教えてくれた。むかしむかしに公園から始まった事を——
「じゃあ、なのはちゃんは【魔法使い】なの?」
「正確には【魔法使い】の【見習い】です」
「知らなかったわ」
「ごめんねアリサちゃん、そう簡単に話せる事じゃないから」
「ああ、それは理解したわ」
「だが家族には話して欲しかった」
「だってお兄ちゃん、先生の事「怪しい、不審人物」だって……」
「む…………」
「そうよ恭也、なのはちゃんが大事なのはわかるけどもし今度会ったら謝った方がいいわよ?なのはちゃんが1人で寂しい時に一緒に居てくれたんだから」
「ぬ…………」
「それじゃあなのはちゃん、すずかの事について教えてくれないかしら」
「あ、はい。その前に一緒に話を聞いて欲しい人もいるので連れてきていいですか?」
「そうなの?」
「はい、この『ジュエルシード』を探してる人です」
「大丈夫なのそいつ?」
「うん、嘘はついてなかったよ。——それで私が【魔法使い】なのは黙っていて欲しいんです」
「わかったわ」
「ええ、勿論」
「それじゃあ、呼びますね」
「そんなことが……」
月村家へ連れてこられたユーノは話を聞いて驚いていた。
「スクライア君、どう思う?」
「まだジュエルシードに関しては発掘されたばかりで詳しい事は解っていないんです」
「じゃあ何が起こってるのかは分からないのか?」
「話を聞いた限りだとジュエルシードが発動した筈なんですが……これといった変化は起きてないし……」
「なのははどう思う」
「うーん……」
アリサに聞かれ少し悩んだ後、なのはは少し自身なさそうに口を開いた。
「多分なんだけど……ジュエルシードの魔力がすずかちゃんの中に入っちゃったんじゃないかな?」
「え!?でもそれ程の魔力は感じないけど……?」
「お前感じないのか?」
「え?」
アギトの言葉にユーノは思わず疑問を返す。
「こいつの体から周囲へ薄いけど大量の魔力が放出しされてるだろうが」
「ええ!?」
「わからないのか?」
「え?わからないの?」
アギトとなのはが首をかしげながら聞いてくるがユーノは答えられない。
彼女達は感じているようだが自分は何も感じない。彼女達のレアスキルなのだろうか?
「一体何が……」
「その魔力がすずかちゃんの体を圧迫しちゃってるの」
「大丈夫なの?」
「今は【流れ】を作って体への影響を抑えてるけどずっとは無理だな」
「な、なんとかならないの!?」
「ご、ごめんなさい。私じゃ今の状態が精一杯で……」
「なのは、なんとかならないの!?」
「【先生】なら何か方法を持ってると思うんだけど……」
「じゃあ先生を呼びましょうよ!!」
「でも今【先生】は……」
そう、【先生】は今この【世界】にはいない——。
でも【先生】なら、
私が1人寂しくて公園にいた時颯爽と現れた時みたいに——
——【なのはちゃん、聞こえるかい?】——
先生はいつだって私の危機に駆けつけてくれる!!
——【——というわけなんです】——
——【なるほどねえ】——
どうも、久しぶりにやってきたらすでに原作が始まっていました。
しかも原作ではなかった出来事が起きてるという予想外な事態。
——【【魔法】は秘めなくちゃいけないのは解ってます!後でいくらでも怒られますから——!!】——
——【……なのはちゃん】——
——【は、はい!!】——
原作とは違う出来事、それによって大切な友達が危ない、そう言う事なら——
「力を貸そうじゃないか」
なのはちゃんの影を【扉】にして颯爽と--
「「「キャアアアアアア!!?」」」
あれ!?すっごい悲鳴あげられた!?何か間違えたか!?
…………あ、今【魔法使い】の格好だったわ