はんせいはからだで
もっとがんばりましょう
「……何してるの?」
「反省会です」
用事を済ませてすずかちゃんの家に寄ってみたらなのはちゃんが
orz(人間椅子)
をしてなのはちゃんの上にアリサちゃんが座っている。
駄目だ、全然意味が判らん……
遠くからなのはちゃん達を苦笑しながら見ているすずかちゃんに聞こう。
「どういう事なの?」
「私もさっき聞いたばかりなので詳しくはまだわからないんですけど」
そして聞いた話では
フェイトをおびき出す作戦は途中まで上手くいって——
最後は何故かアリサちゃんのリリカル化と、
フェイトの地面への顔面突入で終わったという。
「どういう事なの?」
「アリサが1人、意味もなく頑張った結果ですね」
イリアの厳しい一言でアリサちゃんが見る見るうちに凹んでいく……
でもなのはちゃんからは降りないんだね。
「しょうがないじゃない……あんなになのはが強いとか知らなかったし、……怪我するんじゃないかって思って……」
「アリサちゃん……」
きっと改めて友情深めあってると思うんだけど、姿勢が何一つ友情に触れてないんだけど。
「それでそのフェイトって子は?」
「はい、一度帰しました」
「あれ?帰しちゃったの?」
おや、折角捕まえた(?)のに帰したんだ。
「リニスの願いもあってやむを得ずと言ったところです、一応偽のジュエルシードは渡しておきましたので拠点に帰れば特定できます。それに「思わぬ収穫」もありました」
「わかった、ところで——」
視線を奥に向ける。
部屋の隅っこで体育座りしている少年。
「彼、どうしたの?」
ユーノ君が子供とは思えないほどの哀愁を漂わせてるんですけど……
「彼には今回の事件を表向き収めたという立場になってもらわなければいけないので連れてきました」
「良かったの?」
「問題ありません、【約束】を交わしましたから」
「……やりすぎじゃないか?」
——【約束】——
【魔法】で行う誓約または契約、ある意味「呪い」に近い。
一度交わした【約束】はこちらから解除しない限り死ぬまで有効となる。
【約束】を違えば大きな「代償」を払う事になる。
「万全を期してです、これは向こうも了承しました」
「じゃあ、なんで黄昏てるの?」
「【魔法使い】というものをきちんと「理解」したのでしょう」
「あーー……」
すまんユーノ君……
「リニスとアギトは?」
「今はフェイトの監視に行ってます」
「なるほど」
「それで先ほどアギトから連絡があり、例の【転生者】が接触しているようです」
「面倒だなあ」
「先生……」
人間椅子の状態からなのはちゃんが話しかけてくる。……もう、動いたら?
「どうしたんだい?なのはちゃん」
「フェイトちゃん、悲しい目をしてたんです」
まあ、設定を聞いた限りだといい環境ではないからなあ。
「君はどうしたいんだい?」
「リニスさんから話は聞いてます、私で出来る事があればフェイトちゃんを助けたいんです」
——ふむ、やっぱり「家族」の問題となるとなのはちゃんは見捨てられないか……
「だけどあんた凄い怖がられてるでしょうが」
「ううっ!!」
え?怖がられてるの?アリサちゃんの言葉になのはちゃんが項垂れる。
「そうなのかい?」
「そのフェイトって子を介抱して起きてなのはを見た時の第一声が「ひぃっ!!?」でした」
「そ れ は ひ ど い」
「にゃああ……」
「リニスさんが来てくれるまではずっとあたしの背に隠れてましたから」
「うううぅぅ……」
「リニスさんが来てくれていろいろ事情を話した後にあの偽物のジュエルシードを渡して帰ってもらいました」
……なんだろう、偽のジュエルシードがお詫びの品みたいになっちゃったけど……一応目的は達成したからいいのかな。
「なのはちゃん」
「せ、先生……」
「大丈夫だよ、少しずつ時間をかけて話していけば普通に話せるようになるさ」
「——はいっ!」
「それはつまり少しずつ時間をかけないとどうにもならないという事ですね」
「にゃあああ!!」
「何でそこでわざわざ言うのイリア!?」
「とりあえず明日の予定なんだけど」
あれからなのはちゃんを落ち着かせて皆でテーブルに座る。
「管理局が来たみたいだからユーノ君は済まないけど今集まってるジュエルシードを渡して来てくれないかな?」
「わかりました、僕が「1人で集めた」という事で話してきます」
「それなんだけど「協力者」がいるという事にして欲しい」
「協力者、ですか?」
「勿論我々じゃない」
「?では誰が?」
「ああ、それは——」