いべんとはつづくよ
少しは休ませてほしいと切に願う
——なのはちゃんが悲しむ?
それって【魔法】を教えた先生だから?
……いや待てよ。いやいやいやそんな馬鹿事がある筈が——
「どういう事かな?」
「なのはちゃんがお前にフォーリンラブ」
「少しはオブラートに包みなさい!!」
「のうっ!!」
「……ああ、そう言うことね」
「……はい、そうなんです」
——まいったな。別に嫌いという訳でもないが、かといって好きかと聞かれたら……うーん。
一度もそんな目で見た事無かったし、まだ10歳にもなってない子だしなあ……
「前向きに検討します」
「なにその政治家的回答」
「やかましい、俺だって急な事で困ってるんだよ」
「表情が微動だにしてないんだけど」
「これは癖だ」
「変態め」
「どうしてそうなる」
表情を変えないだけど変態扱いとか聞いた事無いよ。
「あの、少なくともなのははそういう気持ちを先生に持ってるとだけ忘れないでください」
「なのはの気持ちにきちんと答えて下さい」
「ああ、わかったよ。2人ともありがとう」
「羨ましい……!!」
「睨むな」
1つ話が済んだらまた新しい話が出てきたなー。
『<では今日はそろそろ戻る時間ですのでアリサの訓練は終了とします>』
「ありがとうレイジングハート」
『いえ』
「そういえば今少年ユーノは何処にいるん?」
「あれ?確かアリサちゃんの家に今居候してるんじゃなかったっけ?」
遠坂家の親類で遊びに来たけど改装中で泊まる所が無くてアリサちゃんの家に泊ってるって設定だっけ?
「なん……だと……!」
「知らなかったの?」
「知らんかった……!!」
「すずかちゃん知ってるよね?」
「はい」
「あれ!?俺だけ!?ホワイ!?」
「鎌田さんが騒ぐからです」
「そんな事言って少年ユーノといちゃつきたいんか!!」
「なっ!?」
「あの少し線の細い感じ、守ってあげたくなる感じの雰囲気……コロッとやられたんかーー!!?」
「……!!……!?」
『<大丈夫ですかアリサ>』
「あ、アリサちゃん!?」
すげえ顔が真っ赤になってる。
「あ、あ、あ……」
「あ?」
『<展開、最大出力>』
「あきゃーーー!!」
「ぬわーーーー!!?」
「敏彦ーー!?」
一瞬でバリアジャケットを身に纏ったアリサちゃん、次の瞬間には赤がかったオレンジの光が敏彦を飲み込んだ。
……良かったな非殺傷設定で。
その後落ち着いたアリサちゃんとすずかちゃん達が【匣庭】での訓練を終えて家に戻る。
俺は部屋に戻って敏彦と紅茶を飲む。
部屋に戻るとイリアから出掛けると書き置きがあった。
「しっかしフェイトちゃんも【転生者】に目をつけられて大変だな」
「そうだなー」
「……お前なら記憶を消すの可能なんだろ?」
「出来るよ」
「どうしてすぐにしないんだ?」
「してもいいがそんな事したら何が起こるかわからないからな」
「?」
「言ったと思うが【転生者】はその存在そのものが【異常】なんだよ。体や魔力のバランスが奇跡みたいな状態で保たれてる。そんな状態で記憶を消したりしたらバランスが崩壊してどうなるかわからん」
「うわあ、めんどくさいな」
「そういう事、それに【転生者】とは言え折角この世界に生まれたんだから、この世界で自由気ままに暮らして欲しいじゃないか」
こっちに関わらない程度で。
「甘いな」
「甘いよ」
「でもお前らしい」
「それはどうも」
「友達として誇らしいよ」
「俺はお前を友達として誇りづらい」
殴られて喜ぶ友人はちょっと……
「大丈夫だよ、いつかきっとお前も分かるさ」
「絶対にわかりたくない」
そんなくだらない話で日が暮れていく。
夜になって出掛けていたイリアが帰って来た。何でもリンディさん達と翠屋で夕食を食べてきたらしい。
……呼んで欲しかったな。
そんな事を思いながらエプロンを着けて1人で夕食の準備をする。明日の分も考えて少し多めに作っておこう。
——寂しいなあ……。
夕食がもう少しで出来そうになった時、来客を知らせるベルが鳴った。
エプロンを着けたまま玄関へ向かいドアを開けて——
「……なんで?」
玄関にはリニスを筆頭に
少し困ったような表情の金髪に赤い瞳の少女「フェイト」、
こちらを睨むような表情のオレンジの髪の女性。
——そして
「あなたが【魔法使い】?」
紫色の髪の女性。『プレシア・テスタロッサ』が立っていた。