じかいけっちゃく
『魔導師』 対 【魔法使い】 --伍--
「おいおい、本気か」
フェイトが斧を鎌に変形させて脇に構えて居合のような構えをとり——
——そして『バリアジャケット』を「解除」した。
「なんで普通の服も消えないんだ……!!」
「お前は何を言ってるんだ」
とりあえず横の変態(紳士)は置いておいて。
「そう来ましたか」
「だね」
そう、なのはちゃんの高密度の魔力の壁を今のフェイトが突破する方法は1つ——
打ち消されない程の魔力を武器に込めて一点突破しかない。
フェイトの魔力的にも肉体的にもそれが唯一の方法だろう。
体はあちこちが火傷で酷い状態だ、恐らく気管も相当ダメージを受けているだろう。
だけど一歩も引く事無くなのはちゃんを見据えている。
バリアジャケットが全て消えると同時に手に持つ鎌が今までになく輝き始める。
かなりの魔力を込めているのがこちらからでも見える。
「うおおお!フェイトの私服可愛い!」
よし、横のは無視しよう。
「上手くいきますか?」
「心配か?」
「いえ別に」
イリアがノータイムで返答する。
即答しなくても……
フェイトがじりじりとなのはちゃんに近づいていく。——さあどう出る?
——【ロード!!】——
——【うん!わかってる!フェイトちゃんが勝負を決めようとしてる!】——
バリアジャケットを解除したフェイトちゃんの鎌の刃に凄い量の魔力が込められている——!!
ほんの一瞬の空白の後、——フェイトちゃんが視界から消えた!?
——【ロード!!左だ!!】——
「くっ!!」
アギトちゃんの言葉に咄嗟に腕をなぎ払うように振るう!
「「!?」」
私の腕とフェイトちゃんの鎌の刃がぶつかる。
……凄い、高密度の魔力の中で形を失う事無く保ててるなんて——!!
すぐに距離を離して別方向から高速で打ち込んでくる。
カバーと同時に攻撃するけど防御されるか離れられて当たらない!!——しかも
「っ!!?」
——【【電気変換】か!?】——
腕に電気が走る、あまりの痛さに一瞬動きが止まってしまう。
そこへフェイトちゃんが一気に突っ込んでくる!
——【防炎】!!——
炎を纏めて火柱のような楯を作り出す。——だけどフェイトちゃんは構わず突っ込んでくる。
「あああああああああああああ!!!」
自分を奮い立たせるような大声を上げる、
火の中に飛び込む、
腕や足だけじゃない、
全身の至る所が焼かれていく。
だけど——
「アアアアアアアァァァァァ!!!」
「!?」
火の壁を突き抜けて上段から力の限り勢いよく鎌を振り下ろしてくる。
何とか両腕で防ぐ。刃から放電が起きて【防御】していても腕に激痛がする。
「うううううう!!!」
「母さんの為に!!絶対に!!負けない!!!」
フェイトちゃんが叫びながら刃にさらに魔力を込めてくる。
——私だって
視界を下に向けると先生が、時臣さんがこちらを見てる。
——私だって
先生は、あの寂しかった時、私を助けてくれた。
——私だって
先生には【戦う力】がない。でも、——私には【ある】
——だから
「私だって……、……負けたくない!!!!」
魔力を集め、
魔力を操り、
【手繰り寄せ】る。
【力】を——!!
——【はあああああ!!?】——
アギトちゃんの絶叫が頭の隅で聞こえてくる。
炎が勢いを失う、
放電する刃が押してくる、
その刃を——
【放電】する腕が弾き飛ばした。
「え?」
「え?」
「……ワーオ」
俺達が見ている中、突如フェイトが弾き飛ばされる。
思わず俺もイリアも声を上げる。
なぜなら——
噴き上がる【炎】と撒き散らす【電気】をその身に纏ったラスボスみたいななのはちゃんがいたから。