はんせいとは
戦いが終わって
「何か皆に言う事ある?」
「凄かったでしょ!」
「反省の色無し、反省文追加」
「それは予想外なの」
「反省しなさい!!」
「にゃああああ!!」
目の前でなのはちゃんがアリサちゃんに頭をヘッドロックされている。……うん、まあフォローは出来ないな。
「なのは、本当に体は大丈夫かい?」
「うん!もうちょっとでもっと【収束】できたの!」
「アリサちゃんもっと強くお願い」
「はい」
「にゃあああ!?」
士郎さん達が心配して聞いたのにその返事は酷い……
「では、ハラオウン提督。今回の事件の顛末は
『テスタロッサ親子とユーノ・スクライアの合同回収。最後はジュエルシードが暴走したがプレシア・テスタロッサの迅速かつ的確な行動で大きな被害は出なかった』
という事でお願いします」
「わかりました」
「え、私がアレ止めた事になるの?」
「【魔法使い】の事は報告には載りません。あくまでも『ジュエルシードの暴走』を止めた、という事です」
「ならそれでいいわ、流石にアレを止めたとか言われたら困るわ」
隅ではリンディさん達が今回の事件の報告の捏造を話し合っている。
そんな堂々と話す事じゃないと思うけど……しかしなのはちゃん、アレ扱いとは……
「大丈夫ですか?鎌田さん?」
「無問題!」
「あ、ありがとうございます……」
「フェイトを下ろしなさい変態」
「お、お姉ちゃんそこまで言わなくても……」
「フェイトをお姫様抱っこしてる感想は?」
「す、すごくいい匂いがするでござる」
「死ね!!」
「ぬわーーーー!!」
「「鎌田さん!!?」」
……視界の隅で敏彦がフェイトをお姫様抱っこしててアリシアにぶん殴られてるけど気にしない事にしよう。
頭だけ揺れて抱っこされてるフェイトが微動だにしてないのは褒めるべきなのか。
すずかちゃんもそんなに心配しなくてもいいのに。
アリシアだけど一応短時間なら【本】を核として体を【再現】する事が出来る。
あくまでも【本】が核なので火には弱いし水にも弱い。食事もとれないが本人はとりあえず満足している。
アリシアの肉体は重度の魔力汚染で今魂を戻せばすぐに死んでしまう。
今は肉体に残っている余計な魔力を取り除く作業と若干の年齢の辻褄合わせをしている。
肉体の年齢と魂の年齢が離れすぎているのでこのままでは変な影響が出かねない。
しばらくは【本】の中で過ごしてもらうしかない。
「そうですか、フェイトは頑張っていたのですね……」
「ああ!フェイトはいつだって——!」
後ろではリニスとアルフがそれぞれが一緒に居た時のフェイトを語り合っている。
楽しそうだなあ……。
当の本人は布でぐるぐる巻きで敏彦にお姫様抱っこされてるけど。
「ではそろそろ撤収としましょう、そちらも帰還や「報告」が沢山あるでしょう」
「……そうですね、では私達はこれで引き上げます。皆さん、ご協力ありがとうございました。
——そして【魔法使い】の方々、夫を救ってくださって本当にありがとうございました」
リンディさんが俺達に向かって深々と頭を下げる、クライドとクロノも一緒に頭を下げてくる。
どちらかと言えばこちらが頭を下げた方がいい気がするけど言わないでおこう。
「いえいえ」
「じゃあ、あなたまた来るわ」
「ああ、リンディ待ってる」
「あなた……!」
「リンディ……!」
2人が感極まったように抱き合う、なのはちゃんのご両親は笑顔で頷きクロノは遠い目をしている。
——まあ、なんだ、頑張れクロノ。
「——それでは自分は帰ります」
「あら、お母さん置いてくの?」
「後から来る筈です」
「酷いわクロノ」
「酷いぞクロノ」
「それでは失礼します!!」
自棄みたいに大声で頭を下げた後飛んでいってしまった。
——応援してるぞクロノ。
「それじゃあ僕も一旦帰るね」
「え!?もう行くの?」
「うん、管理局に報告にも行かないといけないし、一族にも報告しないといけないから……」
「そ、そうよね……」
「大丈夫だよアリサさん、必ず連絡するから」
「ちゃんと連絡しなさいよ!」
「うん!」
………………え、えーとユーノがアリサちゃんと一時的な別れの挨拶をしていた。
他に表現のしようが無い。うん、以上——
「ではそろそろ解散としましょう」
「うう、酷い目にあったの」
「「「「「ダウト」」」」」
「ひどい!!」
なのはちゃんが1人Orzなポ−ズで嘆いている。
そして皆が少しづつ帰っていく。なのはちゃんも帰ろうとして
——イリアに頭を掴まれた。
「にゃ?」
「貴方はこれから反省会があります」
「にゃ?」
「じゃあ、なのはちゃんちょっと借りますね」
「にゃ?」
「わかりました、しっかりお願いします」
「にゃ!?」
「お任せ下さい」
「しっかり言い聞かせておきます」
「にゃああああああああーーー!!?」
夜空になのはちゃんの慟哭が響き渡った。