こんにちは861です。この話自体かなり長かったので、こちらでは二つに割りました。
それではどうぞ
・・・・
「それでは、一年一組の代表は織斑一夏くんに決まりましたー♪
あ、一繋がりで何かいい感じですね♪ 」
「(・・・なんだ、何があった?! )」
翌日のSHR、私は状況が把握出来ず呆然としていた。
・・・それ以降は完全な
そうして、いつの間にかISの授業の時間になっていた。
で、ISの飛行実践とやらでセシリアと織斑が飛ぶ事になった。
セシリアは流石代表候補生とばかりに、パパパッと【ブルー・ティアーズ】を展開した。
一方、織斑はというと・・・、
「あれ、あれれ? 」
まだ手間取っている様子である。
「・・・何をやっている、熟練者は展開に一秒も掛からんぞ! 」
「は、はい! 」
・・・そうして漸く、織斑は【白式】を展開した。
「よし、飛べ! 」
織斑教諭の掛け声が掛かり、二人は空へ飛んだ。
・・・織斑はグワングワンと、振り回されるように、ではあるが。
「・・・(うぅむ、私も専用機をカミングアウト出来ていたのならば・・・)」
「・・・松原、随分と飛びたそうだな? 」
ぐるぐる考えを廻らせていると、唐突に織斑教諭が話しかけてきた。
「・・・そういう風に見えますか? 」
「さっきから、ブツブツ喧しかったからな。更に言えば、あいつらの動きを、一秒も目を離さずガン見していたぞ。・・・羨ましそうに、な」
「・・・妙ですね、その言い方だと、『気持ちはわからなくはないが、機体が無いから諦めろ』・・・、とはちっとも聞こえないんですが・・・」
織斑教諭の妙な、半ば核心突いた言い回しに、自然と平静を取り繕ったまま、疑念が口から沸く。
・・・内心、隠していたのがバレたかと冷や汗だったが。
「無かったと言いたいところだが、そうではなくなったよ」
「・・・そうでは、なくなった? 」
「・・・あぁ。今朝、妙なモノが届いてな。
・・・山田君、確か、立花技研、だか何だかからだったか? 」
「ええ、そんな感じでしたね」
「(ま、まさか・・・)織斑教諭、どんな人物でしたか? 」
「あぁ、名刺もらっていたなそういえば。・・・というか、アレだ」
そう言ってグラウンドの一点を指差す。
そこに、まるで銅像の様に佇んでいたのは・・・、
「【WTM-01/F
……群青色、灰色、黒を基調にしたカラーリング、堕天使をモチーフにしたかのようなデザイン、
そして最も特徴的なのは、非固定部位によって固定された、一対の大きな羽根であった・・・。
「・・・飛べるか、松原? 」
「大丈夫です。(・・・考えてみれば、私の専用機はコレのプロトタイプな訳だったな)」
十六夜に背中を預け、我が身に纏う。
・・・その際、誰かが『ホントに堕天使みたい』とか言っていた気がしたが。
「準備は出来たようだな。
・・・あぁそうだ、『璃瀬のお嬢に宜しく』と、言っていたなヤツは。
お前、ヤのつく家業の娘か? 」
『んな訳ないでしょうが』
「そうか。・・・ならば、飛んでこい! 」
『・・・では、参ろうか! 』
そうして私は、空へ飛んだ。
『・・・理由など別にどうでも良いではないか? ISは飛べるように出来ているからから飛べる。理屈以前に先ずはそこから信用せねばならんと思うのだが』
『・・・うわ!? 松原、お前、専用機持ちだったのか!? 』
私が空に到着すると、前方にて織斑とセシリアが何やら駄弁っていたので、少しスピードを上げて追い付いた。
『まさか。これは今朝、届いたばかりの新型量産機だよ』
『それが、量産機ねぇ・・・』
なんとも言えない、微妙な返しをする織斑。
『ついでに言えば、この羽根はほらアレだ、目的毎に武装を換装する、ストライカーだか・・・、』
『・・・それを言うなら、パッケージですわよ? 』
『あぁ、そうだ、そうか、パッケージか。助かったよ、セシリア』
『どういたしまして。・・・それはともかく、一夏さんの意見には同意せざるをえませんわね。
それ、量産機と言うよりは、少数生産された特務機と言った方が正確なような気がしますが・・・』
『・・・まぁ、確かにな。向こう曰く、【射撃型の中級者向け第三世代型量産機】との事らしいが』
『射撃型・・・、わたくしのブルー・ティアーズと同類機なんですのね』
『・・・というよりはむしろ、速さで翻弄して相手が隙を見せた所で、銃撃を雨霰と浴びせるタイプじゃないか? 』
『・・・ふむ、確かにそんな感じの様だな』
機体性能を鑑みるに、速度と機動性は高いが、防御はあまり高くはないようだ。
『それで、機体名なんていうんだ? 』
『・・・【
『十六夜? ・・・なんか何処かで聞いた事ある名前だな・・・』
『・・・某お茶とか言うなよ織斑』
『バレた? 』
『・・・何の話ですの? 』
話に付いてこれず首を傾げるセシリア。
『十六夜とは、陰暦16日の夜に出る月の事を指す言葉でな、何時まで待っても出ない月の様子から、【いざよう】という単語が転じたんだそうな』
『成る程、勉強になりましたわ』
すると、
『お前ら、何時まで駄弁っている!』
『・・・おやおや、織斑教諭に怒鳴られたよ』
拡声器(何処にあった!?)でも使ったのか、織斑教諭の声が頭に響く。
『織斑、オルコット、松原、急降下と完全停止をやってみせろ』
『・・・はい! それでは、お先に』
最初に急降下していったのはオルコット。やはり経験なのか、難なく成功させた。
『上手いモンだなぁ・・・、よし俺も! 』
二番手は織斑か、正直不安しかないが。
『・・・さてと、私もやるかな』
そうして、最後の私の番。
『そうれ・・・、と! 』
上半身を振り子の要領で傾け勢いを付け、地面に向けて飛んだ。
『・・・(少しスピード出すぎたか? これではぶつかるな。
)3、2、1・・・っと! 』
背中のバーニアを切り、両足のスラスターを目一杯吹かしグルリと半回転、その上、両翼を真横に開き、なんとか着地に成功した。
『やれやれ、どうにか上手くいった・・・、む? 』
気づけば、グラウンドに土煙。ばかでかい穴が空いていて、その爆心地には・・・、
『・・・お前か織斑』
仕方無いので、【十六夜】から降り穴まで走る。そこでは何故か、篠ノ之とオルコットがいがみ合いをしていた。
「・・・猫被りが」
「虎の皮を被るよりまだマシですわ」
「・・・頼むから、惚れた男の取り合い染みた喧嘩は止めてくれないか? 見てるこちらは胃がキリキリする・・・」
「・・・ほ、惚れた?! 」
顔を真っ赤にする篠ノ之、・・・だが、私の台詞にさらに反応したのは意外なヤツだった。
「いや、それは違うんじゃないか松原? 」
「「・・・は? 」」
「いやさ、箒はなんだかんだ言っても付き合い長いんだし、何かしらの好意を抱かれるようなアレもあっただろうけどさ・・・、」
「けどさ、なにかね? 」
「セシリア相手にそんな事あった記憶が無いんだよな、正直」
うぅむと考え込む織斑。
早とちりだと逆論破されぐぬぬと唸る篠ノ之。
端から見てると地味にダメージ入っているセシリア。
ダルくなり私は穴の縁に座った。
「・・・はぁ、なんだか混沌としてきましたな」
「穴の修復は織斑にやらすとして、・・・残念だが、私も同感だ松原・・・」
「・・・あぁ、そういやラスボスでしたね織斑教諭が」
「・・・真っ赤に燃えて轟き叫ぶバーニングのアレ、されたいか? 」
「全身全霊、全力全壊で断固拒否します」
・・・・・・
「・・・別に構わんのだが、数、おかしくないか? 」
「確かに。てか、明らかに一年生じゃないのもいるんだよな・・・」
織斑のクラス代表就任記念パーティー、それ自体に文句はない。めでたい事を皆で祝うのは良いことだとは思う。
・・・横聴きだが、織斑がクラス代表になったのは、セシリアが辞退したかららしい。理由を纏めれば、『織斑が負けたのは初心者だから仕方無い。それに、こちらも諸々の暴言については反省している。』ここまでは把握してはいるのだが・・・。
「・・・一番最後がわからん。どう纏めればいいのやら・・・。
まぁあの後、お前が謝りに行ったというのはかなァり意外だったがな」
「・・・松原、お前は俺を、どんなやつだと思ってんだよ」
微妙な苦笑いの織斑。
「ん? 自分は手当たり次第に種ばら蒔くくせに、蒔いた事すら忘れて『なんか知らんが芽が出た』とかほざく奴」
「・・・同感だな」
腕を組んで大きく頷く篠ノ之。
すると、
「はいはーい、新聞部でーす。ちょっと取材させてもらえないかな? あ、これ名刺ね」
・・・リボンの色(の消去法)からして、二年生と思われる女生徒が話し掛けてきた。・・・名刺曰く、『黛 薫子』、だそうな。
・・・それに反応したのは、ややウェーブ掛かった栗色の髪を紫のリボンでツインテールにした『あんたは誰だ』な、一年生だと辛うじてわかる生徒。
「黛先輩、二年生の寮長にちゃんと許可取りましたか? バレたら確実に雷撃直撃ですよ? 」
「あ・・・、そりゃ不味いわよね・・・」
「なら・・・、」
「けどね美羽ちゃん、?Broadcast is NO Border?よ!」
「それはそれ、これはこれです! 」
「・・・なんなんだ、この漫才は」
「俺が知るわけないだろ・・・」
見たくもない漫才にげんなりしていると・・・、
「・・・取材は後でいいんで写真、いいですか?」
「またか・・・」
人を掻き分ける様にして、右肩からやけに古い型のカメラを掛けた、報道系と思われる女生徒が来た。
「で、君誰? 」
「あ、私ですか? 私は・・・、」
その自己紹介を遮る様にさっきの紫リボンのが・・・、
「まるで、狙い済ましたかの様に出てきたわね、文」
「チャンスは、猛禽類の様にかっ浚うのがブン屋ですよ、ほたてさん? 」
「・・・あんた、何度も何度も注意したのにまだ、懲りてないの・・・、 私は『立川 美羽』! 『はたて』までならまだ許せるけど、帆立て何よ!? ふざけてんの!? 」
「いやー、弄ればいい味が出るんで、つい・・・」
散々言われてきたのか、キレる美羽に対して、反省している風には見えない文。
「・・・もういいわよ、『丸藤 文』に期待した私が馬鹿だったわ」
盛大な溜め息一つ。
「・・・苦労、しているんだな・・・」
「・・・ありがと。なんだったっけ、名前・・・? 」
「私か、私は松原璃瀬だ」
「じゃあ、セシリアさんと、一夏さん、そして松原さんとで、こう、手なんか繋いでもらえますか? 」
「・・・」
丸藤に催促され、三人で掌を重ね合わせる。
「じゃあ、撮りますよー。古典的ですが、はい、チーズ! 」
そうしてカメラのシャッターは切られた。
「・・・なんでそうなるんですのぉ!? 」
・・・おい待て、この場にいたほぼ全員(どう見ても1-1以外が混ざり込んでる)が後ろに割り込んで来たのだが。
「いや、だって、ねぇ・・・」
「セシリアと璃瀬だけにおいしい思いさせる訳ないじゃん」
「・・・他の諸姉一同も、そうなのかね? 」
「「「「「「「もちろん!! 」」」」」」」
「・・・・やれやれ」
・・・そんな感じで、10時過ぎまでこの宴会は執り行われた。
・・・はて、寮に向かう途中で見慣れぬ女子に声を掛けられて途中で別れた“彼女”はどうなったかなぁ・・・。
……I go into the intermission.
如何でしたか?
今回は、(他に報道系キャラが思い付かなかったので)、分かる人には簡単すぎるキャラを混ぜてみました。……そのまま出すのもパクりっぽいから名前弄って。
さて、オリジナル量産機を出した理由ですが、
『この展開にするには、璃瀬が飛ぶ必要があるぞ』
↓
『専用器のバラしはクラス対抗戦と決めている、これは変えられん』↓
『なら、量産機出せば解決しないか? 』……という事です。
明らかに御都合主義、でしょうがね。
因みに、十六夜の元ネタになったのは、『バスターアーク』という、『A.C.E.2 』という、平たく言えば機体を自分で操作するスパロボの様な作品に出てくる機体です。
それでは。