久々にこんにちは、861です。
今回の話は前回のアレとある意味セットなのですが、よくよく考えてみればネタだらけになりました。
それと、タイトルの【双竜】でわかる人はわかるでしょうが、BASARAキャラ、新しい御仁が出ます。
ま、分かりやす過ぎでしょうが・・・。
…………
光陰矢のごとしとは正しくこの事か、桜は散り、刻は新緑眩しき皐月哉。
いよいよクラス対抗戦を当月に控えたある日のことであった。
・・・いつものように登校し、自席に鞄を置くと(私の席は篠ノ之の席から→2、↓2の位置なのだが)、
「ねぇ松原さん、あの噂、聞いた? 」
「ん? どの噂かね? 」
同級生に話掛けられた。
「ほら、二組のクラス代表が替わったっていう・・・」
「あぁそれか。
……ふむ、となると、可能性としてはあの時のか……」
「松原さん、知ってるの? 」
「まあ、な。
・・・詳しい話を聴かせてくれないかね? 」
「・・・なんでも、なんとかっていう中国からの転校生がなったらしいんだけど・・・」
「・・・この時期になんて、珍しいな。」
距離が距離なのか、自然に話に割り込む織斑。
「・・・それに関しては同意だがな」
セシリアが何やら自意識過剰な台詞を言った気がしたが私は無視する。
「どんなヤツなんだろうな、強いのかな? 」
「・・・こんな中途半端な時期に来るのならば、一般人な訳なかろう。
・・・どうでもいいが卿は、己が専用機持ちの中で下から数えてトップクラスだというのを忘れたかね、織斑? 」
「いやそりゃそうだけどさ璃瀬、今お前、あかいあくまも真っ青な、邪悪な笑み浮かべてんぞ・・・」
「ククク、そうかね」
・・・どうやら私は、織斑の言葉を虎の威を借る狐的なモノと解釈したようだ。
「・・・と、ともかく、今のところ専用機持ちのクラス代表はうちと四組だけだから余裕だよ」
「……(自分が出ないからってそんな無責任な話が在るか……? )」
若干引っ掛かるモノを感じ、言い返そうとした次の瞬間……、
「・・・その情報古いよ!! 」
「・・・お? 」
狙い澄ましたかのように発せられた、自動ドアの無い校舎ならば、《ガララ、ピシャン!!》という引き戸のレール音と戸がぶつかる音が前に入りそうな声に、一同が教卓側の戸の方を見る。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの、そう簡単には優勝出来ないから! 」
……そこにいたのは、この間会った、気の強そうな小柄なツインテール。
……彼女は制服の袖の肩をばっつりと八割程切断し、端から見ていて正直、『どこの逆腋巫女だ』とか割と本気で思った。
……さて、こちらにとっては
『お前は誰だ?』
な訳だが、初見の反応からして、織斑には見知った相手だった様で・・・、
「・・・鈴、お前、鈴か!? 」
「……(ほう、織斑の旧知の相手だったか)」
「そうよ。中国代表候補生、【鳳 鈴音】!! 今日は宣戦布告に来たってわけ!! 」
漫画ならば、【ビシィッ!! 】や【ドン!! 】、或いは集中線が入りそうな勢いで正面を指差す鈴音。
その言葉にクラスの数人が反応を示した。やれ、
「あれが二組の転校生・・・? 」
だの、
「・・・中国の代表候補生」
やら。(セシリアと篠ノ之は何やら気に食わん様子だが)
そんな中でも、鈴音の旧知たる織斑にとっては違和感があったようで……、
「・・・お前、すっげぇ変だぞ? 」
……などと苦笑い半分で言われる始末。
「あ、あんた、なんて事言うのよ!?
・・・あだっ?! 何すんのよ! 」
拳骨一発食らい、振り向きざまに怒鳴る。だがその相手は……、
「もうSHRの時間だぞ、さっさと戻れ」
……織斑教諭であった。
「ち、千冬さん・・・」
こちらからは表情は見えんが、声の感じからして多少苦手意識はあるようだ。
……あのプレッシャーをどこ吹く風な御仁など、そうはおるまいがな。
「・・・織斑先生、だ。
・・・それよりさっさと退けろ、はっきり言って邪魔だ」
「・・・すいません。
また後で来るから、逃げないでよね一夏! 」
捨て台詞紛いを吐き、立ち去る鈴音。
……他の連中がどう思ったかは知らんが、私にとって今のやり取りは、彼女と一夏の関係性の推理をする材料としては、申し分ないものだった。
そうして、SHRが始まった訳だが……、
「・・・がっ?! 織斑、教諭、今のは、何ですか?? 」
「松原お前、さっき失礼な事考えてたろ」
……開始早々、出席簿で殴られた。
…………
そうして昼休み、学食にて私は偶然織斑と鈴音の真後ろに並んだわけなのだが……、後ろに並ぶ緒人からの、背中に刺さる視線が地味に鬱陶しい。
因みに今日の私のお昼は天ぷら蕎麦(かけ蕎麦)である。
で、織斑達の座っている席に座り、あくまでも自然体で(横目と片耳に意識を割いて、そっちを気にしながらだが)蕎麦を食う。
・・・隣テーブルの女子六人(その内二人はセシリアと篠ノ之だが)が私に対して妙な視線を向けてくるんだが……、「(私に何をやれというのだ……?!
)」
「・・・それはそれとしてさ、別に被害が無いから無視してたけど、さっきからこっちをチラチラ見て、アンタ、何なの? 」
「・・_やれやれ、代表候補生相手では流石にバレるか」
「当たり前じゃない。で、アンタは? 」
「私かね? 私は璃瀬。松原璃瀬だ」
「・・・随分と固いしゃべり方なのね、アンタ。まあいいわ、それはともかく、気になってたんだけどいいかしら? 」
「何かね? 」
「・・・アンタさ、こないだ何してたの? 」
「・・・鳳鈴音だったか? 卿は口が固い方かね? 」
「・・・そりゃまあ、一応」
「……【機密事項故、悪いが此処では話せんよ。放課後にでも構わんかね? 】」
口外しないか確認を取った上で、筆談にて意思表示をする。
「・・・OK。それなら、仕方ないわね」
すると、痺れを切らしたのか、セシリアと篠ノ之が詰め寄って来た。
「・・・何なんだ君等は。不満たらたらなのが丸見えではないか・・・」
「当たり前だ」
「・・・セシリアもか? 」
「当然ですわ」
不服そうな篠ノ之とは裏腹に、興味津々そうなセシリア。
「・・・私からすれば、こやつが長々と説明するより、紙切れ一枚、ペン五本で片のつく話だがな。・・・グダグダ言われるよりは大分マシな意味で」
そう言ってペン五本を取り出し、先ほどのノートの裏の上端に等間隔横並びで1から12まで数字を書き、他の四人にペンを以下の様に配る。
織斑:黒(シャーペン)
篠ノ之:赤
セシリア:青
鈴音:オレンジ
私:緑
……但し、織斑以外のはペン先が三角な水性のアレだが。
「これをどうすりゃいいんだ? 」
「織斑は1から10。篠ノ之は1~4で切って10からまた。セシリアと私は10から。鈴音は・・・、5から8か? 」
「・・・あぁ、そういうコト。確かにあたしは5から8、それから10ね」
「さて、今言ったように線引きしてくれ」
そうして紙を回していく。
最終的にはこうなった。↓
「
1 2 3 4 5 6 7 8 910
一夏
----------
篠ノ之
---- -
鈴音
---- -
セシリア
-
私
-
「・・・私が1から4で飛んで10・・・。これはアレか? 学年か? 」
紙を見ながら篠ノ之がぽつりと呟く。
「正解だ篠ノ之。さて織斑、補足を兼ねて改めて紹介頼むよ」
「あ・・・、今大丈夫か? 」
後ろから話しかけられた。
「大丈夫じゃない、大問題だ 」
「そんな言い回しの奴がいるゲームが少し昔にあったな」
言いながら声の方に振り向いてみる。
いたのはリボンの色からして二年生、紺色の髪(長さは背中ぐらい、顔側は左側を細く長めに右側を短く幅広に流し、側頭部は一部横っ撥ねし、後ろ髪は買い替えどきの筆の様に、何本か束で放射状に広がっている。)に、右目の装飾性の無い黒い眼帯の女生徒。
「誰よ、アンタ」
話の最中に邪魔されたからか、ジロリと睨む鳳鈴音。
「随分なご挨拶だなぁ、Chinese Girl? ま、話に割り込んだこっちも悪いんだがな」
少しも悪びれた風のない先輩。
ん? 見たことあるような・・・。
「えっと、どちら様? 」
「Ah!,確かにそうだな。俺は
そう言って右手を差し出す最上先輩。
「・・・えっと、織斑一夏です」
「知ってるぜ、皆さんご存知Irregular Boy・・・って奴だろ? 」
「・・・まぁ、一応」
「で、次はそっちの二股ponytail」
「・・・篠ノ之箒、です。一夏とは小1から小4までの付き合いです」
「敬語は別にいらねえ、Frankにいこうや、な? 」
「は、はぁ・・・」
生真面目な篠ノ之は、奔放な最上先輩に振り回されるのが確定したか?
「で、俺にガン飛ばしてきたTwintale」
次を促す最上先輩。
「あたしは鳳鈴音、中国の代表候補生で、一夏とは小5から中2の終わり頃までの付き合いね」
「・・・随分Complicatedな関係性だな一夏。丁度、入れ違いに幼馴染みが入れ替わってるじゃねぇか」
「そういう意味じゃ、箒が1st、鈴が2nd幼馴染みってとこですね」
「・・・幼馴染みに序数付けるたァ、オマエの感覚も随分Strangeだな、オイ」
微妙な顔になる最上先輩。誰だってそうなる、私だってそうなる。
「・・・ンンンっ! わたくしの存在を忘れてもらっては困りますわ」
空気と為りかけたからか、わざとらしい声を出すセシリア。
「!!!sorry,完全に忘れてたわ。で? 」
「わたくしはセシリア・オルコット、イギリスの代表候補生ですわ! 」
「そう、アンタもなんだ。・・・ま、別にいいけど。あたし興味ないし」
「言っておきますが、わたくし、貴女には負けませんわ」
「そ。でも勝つのはあたしよ。だって強いもん」
火花を散らす鈴音とセシリア。
「Oh Oh,代表候補生同士で火花を散らすのは勝手だがな、調子に乗ってっと、痛い目みるぜ? 」
牽制する最上先輩。
「・・・で、このタイミングで話しかけてきた理由はなんなんですか? 」
試しに聞いてみる。
「偶々いたからな、話しかけてみただけだ」
「偶々・・・、ですか」
「悪いか一夏? ・・・つかアレだ、俺は重要な目的で行くときは、出来るだけ空いてるRouteを通る主義でな 」
「まるで観光地扱いですか、俺・・・」
「物珍しさでは似たようなモンだろ? 」
ニヤリと笑う最上先輩。間違いなく【彼】、だ。
「・・・それはそれとしてさ、一夏、アンタ、クラス代表なんだって? 」
唐突に織斑に話を振る鈴音。
「まぁ、成り行きでな」
「なんなら、あたしがISの操縦、みてあげよっか? 」
その言葉を皮切りに、あーだこーだど言い合う箒・セシリア・鈴音の三人。
部外者の如くそれを眺める私と最上先輩。
「・・・こりゃアレだな、俺は速やかに立ち去るべきか? 」
「・・・さぁ? 」
向こうも話が片付いた様だ。
「さてさて、済んだ事だし、お開きとしようじゃないか」
「なんで璃瀬が仕切るのよ……」
「別に良いじゃねぇか。それじゃあな、See ya gain♪」
「ではな鈴音、放課後にな」
そうして、丼を片付けるためにその場を後にした・・・。
「おうおう、派手にやってるなぁ、関心関心」
鈴音の方の用事を片付け、アリーナに来てみると、織斑がセシリアと篠ノ之に追いかけ回されていた。
『ちょうどいい所に来た、助けてくれぇ!? 』
「だ が 断 る!! 」
『鬼!! 』
「アーハッハッハッ、私が鬼なら、他の男が卿を見たら、嫉妬で背後に阿修羅が顕現するなあ!! 」
『本気で止めてくれ、阿修羅とか冗談抜きで怖ぇわ!! 』
『・・・何をしに来たのだお前は!? 』
笑い声に気付き、怒鳴る篠ノ之。
「私か、単なる様子見だ。鍛練は君等で勝手にやりたまえよ」
『ちょ、おい?! 』
そうして、私は立ち去った。
「……やれやれ、事情は知らぬが、斬った張ったは見逃せん。二人とも、頭冷やそうか……? 」
私が自室に戻ろうと織斑達の部屋の前を通り過ぎた後に、偶々後ろを振り返ると、鈴音が部屋の中に入ろうとしていた。・・・しかも、肩から所謂ボストンバックを提げて。
で、入って行ったのはともかく、きっちり閉めてなかった所為なのか中のやり取りが駄々漏れ。
私には部屋を替われだのなんだのと聴こえるが・・・?
「(やれやれ、鈴音には遠慮、篠ノ之には自制か……。どちらも難儀な話だな……)」
すると、言葉で解らぬなら実力行使と判断したのか、篠ノ之が竹刀を取りだし、鈴音に降り下ろそうとした。
「(全く、勘弁してくれよ・・・)」
腕部だけISを展開し、戸の隙間から二人の間に滑り込み篠ノ之の竹刀は【煌天・龍吼】で受ける。
で、鈴音に対しては【朧月・碧牙】を突き付け……、
「・・・やれやれ、事情は知らないが、斬った張ったは見逃すわけにはいかないな。
二人とも、少し、頭冷やそうか・・・? 」
・・・と、ぶち切れモードの某一等空尉の口調を真似る。
「璃瀬、何よ、それ・・・?! 」
「ず、随分と物騒なモノ持って来たのだな・・・」
「てか、全然見えなかった・・・」
「さて、頭は冷えたかね? 」
「冷えたわよ・・・、一気に、ね・・・」
「り、璃瀬、悪い事は言わん、は、早く返して来い・・・。バレたら、【O H A N A S H I】、されるぞ・・・?! 」
かなりダメージが入ったようだ。
「問題ない。これは似て非なるものだからな」
「ほ、ホント・・・? 」
「ああ、ギミックを完全に再現しただけだ」
「・・・出来るモノ、なの? 」
恐る恐る聴く鈴音。
「・・・出来るヤツがウチにはいるのでな」
「い、いるんだ・・・」
「ある意味、規格外だな・・・」
「・・・つか、アレをISの武装として使おうって発想がすげぇな」
三者三様のビビりっぷり。
「・・・ではな」
そうして私は部屋を後にした。
「・・・ちょ、待ちなさいよ! 」
「なんだ」
「その腕、なんなのよ!? 」
「・・・直に分かる、ではな」
そう言い残し、私は自室に帰った。
・・・To be continued,
如何でしたか?
終盤にて璃瀬が引っ張り出した、【煌天・龍吼】ですが、ぶっちゃけ、『彼女』のアレです。
但し、知ってる人は知っている方のアレですが。
【なのポのシュテるん】
↑これで通じないなら後は知らんです。
それでは。