こんにちは861です。
さて、今回は諸々な準備回です。ついでに、感想の中にあった疑問にも、ガルシアの口を介して答えさせていただきました。
それではどうぞ。
…………
「……で、朝のアレから聞きたかった事があるんだが……」
「なんだ、言ってみてくれ」
その後、目を瞑ってる間に千里は身支度を整え、シャワールームから出た。それと入れ替わるようにしてガルシアはシャワーを浴びて、それから……、
「……何でアンタはあんな思わせ振りな態度とったんだ? どういうつもりだったかは知らないが、あれじゃ、いらん興味持たせるだけじゃないか? 」
「……そうだな、ああ言った理由は二つ。
まず、『あの時は、織斑先生相手にだけじゃなく、他の連中も聞いてたから。』……これが一つ目だ」
左人差し指を立てて理由を挙げる。
「……理由は? 」
「教師陣は経験上、相手に踏み入るべきかそうでないかの線引き出来ている筈だろうが、高々15かそこらの一年HGに、その辺の機微が判断つけられるとは到底思えなかったのさ」
「……で、例えば『察してくれ』と言った所で、後でしつこく尋問されるが関の山と? 」
「……
「それは言われる迄もねぇよ……、それで、二つ目は? 」
「あぁ……、『何も分かってないままに周りうろちょろされても傍迷惑にしか為らんだけだから、危険性を示して脅しとけば、野次馬根性出す阿呆はさすがに減るだろう』……て事だ」
左中指を立ててから言う。
「……それは、親切、なのか? 」
怖ず怖ずと聞く千里。
「……半分だけな。後は、役に立たん輩は来るなってのが五割だ」
「そうか、……アタシはあの話を聞いて、元同級生を思い出したよ 」
「はー、アンタの元同級生にうちの同類業者がいたか……、そりゃそうだ。何せこの国には、オンミョージとかいう、対魔のプロフェッショナルが千年前からいるんだものな」
腕を組んで頷く。
「……大体そういう解釈で合ってる。但し、使うのは野太刀っていうヤツなんだけどな」
「ふむ、野太刀……。アレか? 某蘭丸のアレか? 」
「……そんな感じ」
「……」
「……」
唐突に会話が止まる二人。
「……で、同居するにあたって細かいルール、どうするんだ? 」
「そうだな……、 」
そうして二人は、諸々の決め事を決めた。
その中にはこんなのがある。……()は提案者。
・朝晩のお祈りは邪魔するな(byガルシア)
・シャワーの使用時間は基本的に18時から20時迄と、20時から22時迄で区切る。(双方折衷案)
……因みに、どちらが先かについては、ガルシア曰く、
「……暫くアリーナに入り浸るだろうから、こっちのシャワーはアンタが先に使っててくれ」
……との事。
・学業があるから平日は我慢するが……、土日祝日の【シエスタ】、だけは邪魔しないでくれ……。(byガルシア)
で、千里が
「シエスタって、何だったっけ? どっかで聞いた事ある気が……」
と問えば、
「……自分で調べろ、俺には当たり前過ぎて、逆に説明出来ん」
と返すガルシア。
それで調べ始める千里。
「えぇ……っと、『シエスタ(西: siesta)は、スペイン語でお昼もしくはその時間の昼休憩(13:00~16:00が目安)を指す言葉である。
ラテン語で第六時を表す、ほ、ホラ セクスタ? を語源とし……』、ふーん」
「……悪いか? 」
「いや、悪かないけどさ……」
そんなこんなで決まり、就寝と相成った。
「……まあなんだ、とりあえず、おやすみ」
「あぁ、おやすみ……」
…………
次の日、
「……昨日より増えてやがる、たった1日でコレか……。女子の情報拡散力、完全に甘く見ていた……! 」
時刻は三時間目と四時間目の間にて、うぅむと唸るガルシア。……一年三組の廊下側には、昨日より多くの女生徒が来ていた。しかも、彼にとっては顔すら知らぬ輩ばかり。その中には代表候補生やら、IS関係者を親にもつ御仁やらがちらほら紛れ混んでいたのだが……、
「……試合の申し込みなら、間に合ってる。それ以外の用件なら、紙に学年名前所属機関纏めて寄越せ。優先度が高いと判断した順に、話聞いてやらんでもない、但し嘘は吐くな、嘘ついたらその場でシュレッダー送りだ、わかったか、理解出来ずとも納得しろ、納得せずとも了承しろ、了承出来ずとも承諾し、行動しろ、……返事はどうした返事は!!」
「「「「「「…………は、はい!!
…………あれ?? 」」」」」」
「…………」
……唐突に立ち上がり、ふらっと教卓側の戸から体を乗り出し、特に理由もなく、織斑先生の口調を真似てみた所、学年関係なく返事を返され、(・ー・;) ←こんな表情になるガルシア。
暫く空気が固まるも、いいタイミングで主担任が来たため、解散と相成った。
そうして放課後。
「……まさか本当に来るとは思わなかった……、しかもこんなに」
何とも言えない表情で、手に持った紙の束を見るガルシア。……その数20数枚なり。
「……冗談のつもりで、態々下敷き折り曲げて某目安箱よろしく置いていたら、こんなに入ってやがった……」
とりあえず書かれている内容で大雑把に仕分ける。
「これは取材……、これは相談事……。これは……、なんだ? 意味がわからん、本人に直接問いただすか……。
これは……、ふむ、文言から察するに呼び出し状というアレか。大概、告白やら待ち伏せやらがあるが……、とりあえず保留。
それにしても……、どうでもいいが、何処かで聴いたこと有るような苗字が跋扈してやがるな……。【片桐】に【千堂】、【御門】に【桂】……。おいコラ何事だコレは、【牧瀬】までいるのかよ……。俺はどう返……、た、【竜宮】!? 」驚きの余り、紙を手から落とすガルシア。……何の偶然か、落ちた紙に書かれていた姓は、【更識】だったのだが、彼にとっては大して重要なアレではないらしい。
「……偶然か? こいつらのに限って何か、上っ面だけ見てたら足元刈られかねないような内容ばかりなんだよな……」
一応、用心のために『書面ではそちらの意図が判断つきませんでしたので、予定を空けて頂ければその時に直に』と書く。
「さて、訓練に行くか……」
返事を書いた紙を纏めて手に持ち、まだ書いてない紙を鞄に仕舞い教室を後にした……。
「まさか、昼間に申請して即日アリーナの使用許可が降りるとはな……」
若干驚き気味のガルシア。
今日使う機体は因みに、フランス・デュノア社製【ラファール・リヴァイヴ】である。
「……武器の数は揃ってるな、さてと」
そうして特訓開始。
…………
「……さてと、今日はここまでにするか」
ピットまで撤収し、機体を片付け、ロッカールームに行きシャワーを浴びた。そうして己の携帯電話を見ると、着信二件。
「……どっちから出ても、いやな予感しかしないんだが……」
仕方ないので、先にかかって来た方に掛ける。
「もしもーし、どちら様でしょうか? 」すると、聴こえてきたのは、やたら重っ苦しい声。
『……私だ、バルバロッサ』
『……アンタかよ
『単刀直入に言おう、冬木にて新たな聖杯戦争が勃発した』
『……は? どういう事だ神父! 』
『……20XX年、冬木はあたまのわるい結界に覆われた……』
会話の中身が中身なだけに、此方側からはぼかした言い回しをするガルシア。
『……おい』
それに対し、勝手にナレーションを始める言峰神父。
『……サーヴァントとマスターの繋がりは喪われ、人々は闘争本能に突き動かされ、彼方此方で闘争が勃発し、良識人は路地裏に追いやられ、常識から逸脱した輩が跳梁跋扈し……、』
『……何処の某世紀末救世主のナレーションだ、それは? 』
『さぁな。さて……、此方の状況だったな。より正確に言えば、【混沌】の一言に尽きるだろうよ』
『……あーぁ、アンタの大好物な、無秩序状態ね……』
『バルバロッサ、私がいつ、混沌大好き人間になった? 』
『……そういえばそうだった、アンタはどっちかと言うと、他人の不幸で愉悦MAX!! な奴だったな……』
思いだしたくない事を記憶から引きずり出され、深い溜め息をつくガルシア。
『……それはそれとしてどうする、バルバロッサ? 』
『どうする……、とは? まさか、介入行動しろと?! 』
嫌な予感がし、可能性を口に出したガルシア。それに対し、声だけで電話の向こうで悪辣極まりない面構えなのが丸わかりな言峰神父。
『フ……、よくわかったなバルバロッサ。その通りだ、お前には事態の収拾を……ガフっ?! 』
『……おい、何かあったのか、返事しろ言峰!! 』
一切の反応が無くなり、流石に焦りだすガルシア。
暫く待っても返事がなく、流石に掛け直すかと思っていたら……、
『……おい
……と、天上天下唯我独尊が服着て歩いてるような傲岸不遜な声が聴こえた。
『……誰だ? 』
『この我の声を拝聴しておいて知らぬだと……? フン、まぁ良い。貴様が言峰の言っていた【ガルシア】……とやらだったか? 』
『そう言うアンタは何だ? 』
『我か? その耳かっぽじってよく聞くがいい。
我こそは、人類最古の英雄王、【ギルガメッシュ】よ!
ついでに言えば、前回の聖杯戦争では、アーチャーのクラスで召喚されたのだがな』
『……何の悪い冗談だ、まともに勝てる連中、ほぼいないんじゃないのかそれ? 』
『ほう……、一発で我の存在の偉大さを理解したか。褒めてつかわすぞ』
今日まで累計X回目のガックリをするガルシアと、相変わらずな英雄王。
『……で、何と呼べば良いんだ? 』
『好きに呼べ、どう呼ぼうが我は気にせん』
『じゃあ……、アーチャー、言峰神父どうなったんだ? 』
『言峰なら、先ほど病院に搬送されたぞ。側頭部に飛んできた玄翁が直撃してな、二三週間入院らしい』
『そうか……、30分もあれば着くよな救急車。
……おい待て、玄翁が側頭部直撃とか言わなかったか? 』
言峰神父が負傷した状況の説明をギルガメッシュから受けるガルシア。
理解はしたが、新たな疑問が浮かんだ。
『あぁ、赤い服着たちびっこいガキがぶん回していたヤツがすっぽ抜けてな、言峰に直撃したのよ。ついでにいえば【柄】、だがな。直撃したのは』
『柄? それでも痛いだろ……。何が可笑しいんだ? 』
顔を顰めるガルシアに対し、声が笑っているギルガメッシュ。
『まぁ待て、あやつがそう簡単にくたばるタマだと思うか?
』
『……無いな。それで、週末にでも行けば良いんだな? 』
『そんなとこだろうよ。ではな』
そう言ってギルガメッシュは電話を切った。
「全く……、面倒事にも程があるだろうに……。
さて、こっちの履歴は……、まぁ、メールで良いか」
そう言って、メールを打つガルシア。
そうして、ロッカールームを後にした……。
「……おーい、帰ってるか? 」
寮の自室の戸を開けると、同居人が何やらやっていた。
「……ん、随分時間が掛かったな」
「あぁ、特訓終わってから着信あったんでな」
「そうか。……その紙の束はやっぱりアレか? 」
ガルシアが鞄の中から引っ張り出した紙束を見て千里が問う。
「あぁ、ソレだ。……で、何をやってたんだお前は」
「……内緒だ」
「そうか」
「……やけにあっさりだな」
「聞かれたくないなら、無理強いはしない」
「……必要以上に踏み込まないのが坊主流……、ってか? 」
「そんなとこだろうな。さて、そろそろ晩飯食いに行くか」
「あれ、もうそんな時間か? 」
「あぁ。それじゃ先行くぞ」
……そうして二人は自室を出た。
その後は、特段何かが起きる事もなく、諸々の後就寝と相成り、試合当日と相成った……。
To be continued……,
如何でしたでしょうか?
次話、ガルシアの初戦闘回になる予定です。
それでは