今回はコラボ回の稲荷SIDEとなります。
それではどうぞ。
未来から戻って来ても、やることは変わらず、今日も今日とて、翠屋のバイト。
「・・・助かった、なのはさんの休みはあと3日残ってて。
・・・む、着信アリ。相手は・・・、八神?
・・・もしもしこちら稲荷 」
『なんだ稲荷か、此方八神はやて、なのはちゃんおる? 』
相手はどうやら八神らしい。
『なのはさんなら今厨房、呼ぶか? 』
『あ・・・、頼むわ』
珍しい、八神が人にモノ頼むとか。
「なのはさーん、八神から電話ー! 」
「はやてちゃんからー? 今行くから、ちょっと待っててー! 」
『・・・だそうな。で、俺に関係ある話か? 』
『・・・それも含めてちょっと来てくれへん? 』
『・・・なんか、この間みたいな目に遇いそうな予感がしてきたんだが』
唐突に発動したFox-sense、恐る恐る尋ねてみると・・・、
『それはないな、ただ・・・』
『言わなくていい、闇の書事件での【狂符・六課神将ノ宴】のアレでよくわかってるから』
『ならえぇわ』
『お、今来たからなのはさんに替わる』
そう言い、なのはさんに通信機を渡す。
それから暫し会話し、電話は切られた。
「・・・そういうわけで、お稲荷さん、またよろしくなの」
「うぃーっす。ヴィヴィオー、お前も来るかー? 」
「当然! 」
という訳で、許可を取りに行く俺達。
・・・以外にあっさりと取れた。
そして、俺達の部屋にて荷造り。
「そういえばお稲荷さん、はやてちゃんが泊まりの案件になるかもしれないだって」
「そーなのかー、・・・そりゃ! 」
気合いでボストンバックを創り、中身を詰め込む。俺は賢い稲荷、以前の失敗は繰り返さないのである。
「・・・狐パパ、自画自賛乙」
「だまらっしゃい」
「ぶーぶー」
・・・そんなこんなで出発と相成りました。場所はなのは宅の玄関前なり。
「それじゃ、よろしく頼むぜドラゴンボール! 俺達を現在の起動六課へ! 」
そうして俺達は光に包まれた・・・。
「・・・稲荷、回想は終わった? 」
「何故にわかったフェイトさん。 貴女が新たなサトリなのか」
てか、また鎖付けんのな。必然性がわからん。
ついでに言えば、六課に着いてすぐに俺はフォアード陣にフルボッコにされた。
そのままガチャリと付けられた鎖にて雑巾宜しくズルズル引き摺られ、ここに至るのであった。
「さて、稲荷が現世に戻って来たトコで、改めて報告よろしく」
仕切り直す八神。今回はフェイトさんとヴィータが先遣隊だったらしい。
で、現地調査に向かった二人曰く・・・、
「次元震が発生したってんで震源地に行ったはいいが、そこはあたしらの知らない街だったんだけどな・・・」
「その街におかしな結界が張られていて、そのせいかどうかは判らなかったけど、あちらこちらで戦闘が発生してたんだ」
「しかも、ベルカの騎士としての経験を丸ごとひっくり返した上で、『どうやってやっているかが全くわからねぇ』としか言えねぇ奴らばっかだったんだよ」
・・・との事。
「例えばどんな? 」
と、俺が問えば、
「三股のナイフを両手に持った全身刺青の青年が、白いセーターに紫色のスカートを履いた猫を追いかけ回してた」
・・・とフェイトさん曰く。
「猫? 闇の書事件のときのリーゼロッテさんとリーゼアリアさんみたいな? 」
と、なのはさんが問うも、
「そういうのじゃなくて、本当に猫」
・・・だそうな。
すると何やらきまずそうなヴィータ。
どしたよ?
「いや、その・・・、成り行きでその街にあった教会の真ん前で闘う羽目になったんだがな・・・」
「だがな? 」
「なんというか、浅黒い肌の大男相手に、白いソニックフォームみてぇな格好に三日月型の円盤のついた杖持ったやつが跳んだり跳ねたりしててよ、黙って見てらんねぇと乱入したはいいんだが・・・」
「目一杯振りかぶったグラーフアイゼンがすっぽ抜けて、電話してた神父の頭にガーンとぶつかったんやと」
と、八神。
「・・・ヴィータ、やらかしたな」
「うるせぇ、てめぇはいつもやらかしてんじゃねぇか」
「・・・、実を言えば救急車呼んで直ぐに起き上がったんだけどね。
それとはやて、【柄】だから【柄】。
さらに言えば、救急車呼んだのは私じゃなくて、金髪赤目の男の人だった」
珍しきフェイトさんの八神への突っ込み。
つか、タフな神父がいたもんだな、オイ。
・・・ん? 金髪赤目?
「・・・狐パパ」
「なんぞヴィヴィオ」
「フェイトさん、その街の名前、なんていうの? 」
「確か・・・」
「冬木市・・・、だったよね」
「・・・やっぱりだ。狐パパ、なのはママ、即行こう速やかに行こう! 」
今まで黙ってたと思ったら、いきなり急かし出すヴィヴィオ。
・・・ん? 今、冬木市つったか!?
「な、なんや!? いきなり色めきたちよってからに」
「・・・稲荷、もしかして次元震の原因に心当たりあるの? 」
「それがあるんだよフェイトさん。それと八神、俺達を招集して正解だったな」
「おいこら稲荷、勝手に納得してねぇで、説明しやがれ」
とヴィータ。
「まぁ待て、俺も驚いてるんだわ。つか平行世界パねぇな、まさかFateの世界まであるとはな」
「・・・そういえば、ホテル・アグスタの時も言ってなかった? 【Fate】がどうのこうのって」
「ルーテシアだったか? アイツを【幼女ライダー】とか呼んでたみたいだが、そもそもライダーって誰だ? 」
フェイトさんとヴィータからの質問。
解説するは稲荷でございます。
「取り敢えず、ルーテシアとフェイトさんを混ぜて2で割ってみてくれや。身長は172ぐらいにして、髪は足首ぐらいで」
「「「・・・・・・」」」
「イメージできたか? よろしい、ならば解説だ。
ライダー、騎兵のサーヴァント。驚くなよ、こいつの真の名はメデューサだ」
「・・・ちょい待ちぃや、メデューサてアレか、見たモン悉く石にするっちゅうアレやろが!? なんでそれが騎兵やねん!? 」
聞いて直ぐにたまげた八神。
「・・・、ギリシャ神話に曰く、首を刈られたメデューサの血溜まりから天馬が産まれたんだそうな」
「・・・ちょっと待って稲荷、サーヴァントって、つまり使い魔ってコトだよね? 私にはアルフがいるから余計違和感が強いんだけど」
「・・・なぁフェイト、あの黒い大男、バーサーカーのサーヴァント、ヘラクレスとか名乗ってなかったか? 」
「・・・言われてみれば、確かに」
「こ、今度はヘラクレス・・・、あかん、訳がわからん」
「稲荷、そのヘラクレスとは何者なんだ? 」
頭抱える八神と、興味を抱いたいつの間にかいたシグナムさん。
「・・・一言で言うと、存在が戦略兵器レベル。スカさん一味襲撃事件にこっちにいたら、命3個ありゃ余裕で殲滅できる程」
「「・・・あれ、命に個数ってあったか?? 」」
「普通は命は一人一個なんだが、こいつに限っては・・・」
「・・・ちょい待ち、ヘラクレスって確か・・・、罪を償う為にだかなんとかで12もの難行をこなした結果、神さまから不死身の肉体を授けられたんやなかったか?
」
何やら思い出した八神。
「その通り。それ故に宝具の名が【|十二の試練《ゴッドハンド》】。効果は11回分の命の追加ストックに、既に死因となった攻撃は無効化、その上、あるランク以下の攻撃は問答無用で無効化という超チートなんだわ。肉体そのものがバリアジャケットって感じだな」
ぶっちゃけ、隊長陣が経験した闇の書ラストバトルの方が大分楽かもな、俺は知らんけど。
「「「「・・・・・・」」」」
なのはさん、フェイトさん、シグナムさん、ヴィータは口と目が限界まで開かれてる。
「因みに無効化されるランクは物理魔法問わずB以下」
「・・・なんや、たったのランクBか・・・。驚かすなや、全く」
「AからEの五段階、A+++から上の規格外は纏めてEXにしてあるランク表記なんだが・・・」
安心した八神に申し訳なさそうに言ってみる。
「・・・随分こじんまりしたランクじゃねぇか。 こっちはCからSSSだったか? 」
「んなトコやなヴィータ。 そっちのEXにはどんなのがあるんや? 」
「それはともかく、早く出発させてくれ」
「・・・む、もう一時間たっとったのか」
取り敢えずここまでやなと、途端に真面目な顔になる八神。
「・・・それでは、高町なのは二等空尉、高町ヴィヴィオ及び、」
「その使い魔稲荷、これより第87管理外世界にて発生した次元震の調査任務に参ります! 」
「うむ、行ってきぃや! 」
そうして俺達は任務へと出発した。
なのはさんが先に行き、俺とヴィヴィオは後から執務室? を出ようとすると・・・、
「なぁ稲荷、なんであんな浮き浮きしとんのや、なのはちゃんは? 」
と、八神。
「斯く斯く然然、○書いてチョン」
「・・・・・・聞いたかフェイト隊長、この感情はなんなんやろな」
「・・・・・・」
「フェイトさんもいい人見つかるって、だから元気出して」
先を越されたのが大ダメージだったのか、Orzになるフェイトさんと、慰めるヴィヴィオ。「・・・明らかに相思相愛だったからいつかこうなるんだろうとは思ってたけど、実際になってみると正直複雑。
知ってる相手で良かったとか、よりによってなんでこいつ? とか、末永く爆発しろだとか。
嫉妬から呪いたくなりかけたけど、呪殺したらしたで取り返しがつかなくなりそう」
「フェイト隊長、取り敢えず落ち着こ、な? 」
「八神、後は任せた。ゆくぞ、ヴィヴィオよ」
「ラジャー! それじゃあ、行ってくるねフェイトさん」
そうして俺達は隊長室を後にした。
・・・・・・
「・・・お稲荷さん、どこだろね、ここ? 」
「どこって、冬木だろたぶん」
俺達はどこぞの路地裏にいる。
取り敢えず移動開始、すると着信、ポチってやると空間モニターが投影され、相手は八神。
こうもドンピシャなタイミング、さては貴様、見ていたな!?
『喧しいわ稲荷。さて、到着したようやな。そっちからは何か見えるか? 』
『こちらフォックス1、前方にて銀髪ロリが白いレオタードの奴と交戦中。さっき言ってたソニックフォーム擬きってアレか? 』
『・・・おう、アイツだ』
応えたのはヴィータ。
『ちょっくら挨拶するか? 』
『・・・いや、いいわ』
『そっか、もったいない。・・・は? 』
『どうした稲荷? 』
『いやさ、乱入者二名なんだが・・・』
画面をそっちに向ける。
『・・・なんや、あいつらは? 』
『俺のメモリーには何も無いな』
乱入してきたのは、腰まである黒髪(前はパッツン)を後頭部から二房に分けた、肩から袖口のラインは藤色、袖口や裾には黒いラインの入った手首を被う程の長袖付のレオタードを着て、右足首には足首全体に、左足首には足首の根元に包帯的な物を巻き、左足の包帯の上から赤い宝石のついたリングを通しているすらりとした体型の少女と、黒のロングコートに焦げ茶色のスーツを着て、銀髪を後頭頂で纏めた左腕丸ごとが義手の長身の女性。
で、止めに入ろうとしたものの、一手遅かったのか、ポツンと立ち竦む空色髪に紫ルージュの女性と、藍色のジャケットにレモン色のパーカーを着た少年。
「つか、バナージ少年にムラサメさんやないかい」
「ナイカーイ! 」
『誰やねんそれは』
「ググれ」
「あっちじゃまだ出てないんじゃないかな、狐パパ」
「・・・言われてみればそうだな、原作第一巻の発売が2010年1月だからなぁ」
『そりゃ、出ていたとしても知らんわな。・・・2010年なら私は14か』
なんだかよくわからんやり取りを繰り広げている俺等に対して、件の二人はというと・・・、
「よし、一丁あがりっと! トウジさん、そっちは? 」
「あぁ、こっちはなんとか・・・、な! ・・・ふむ、やっぱり左腕があると感覚が違うな・・・」
「あたた・・・、なんなのよ一体・・・」
「何かと言われても、ねぇ・・・」
「攻撃してきたのはそもそもそっちだ、文句を言われる筋合いは無いな」
「まあ、そりゃそうだけどね・・・」
喧嘩両成敗と、二人を叩きのめしていた。つか、黒髪ロングの方はバトンと蹴りで、銀髪の方は、
「トンファー、・・・だと・・・!? 」
そう、右手で銀色のトンファーを自在に操っていたのである。
「・・・で、さっきからなんだお前たちは? 用事があるならさっさと言ったらどうなんだ? 」
黒髪少女に【トウジさん】と呼ばれた女性がこっちを見ながら言ってきた。
つか貴女、もしかしてアルビノですか。
「・・・フ、バレてはしょうがない」
格好つけて路地から出てみる。
「「・・・・・・は、尻尾??? 」」
いの一番がそれかよ。しかも頭が上下に揺り動いてるし、そんなに珍しいか?
「・・・珍しいといえば、私の仲間に守護機士、というか、機械人はいたけど、尻尾と耳の生えた人は見たこと無いかな」
苦笑いしながら頬を掻く黒髪少女。
「守護騎士? 機械人? 戦闘機人の守護騎士って事? 」
「お、なのはさん」
「戦闘・・・機人? それと、騎士じゃなくて機士、機械の士って書く方です。えっと、どちら様でしょうか?」
「そうだね、一応自己紹介しておこっか。
私、なのは。高町なのはだよ。で、こっちが・・・」
「高町ヴィヴィオだよー! 」
「んで、俺が篠崎龍也。少々訳ありで稲荷と名乗らせてもらってます」
「そっか。私はコハク。コハク・ハーツ。」
「最後は私だな。私は蒼木冬史。上野界隈でとある渡世人組織の幹部をやっている。・・・とはいっても、名だけ貸しているだけだがな。
・・・さて、稲荷だったか。お前の言う事情とは、その九尾絡みか? 」
「ご名答」
「普通に考えれば狐憑き・・・、なんだろうが、九尾だぞ九尾」
うぅむと考えこむ蒼木さん。
仕方ない、説明するか。
「1:
地元商店街の路地裏で五十代後半っぽいローブ着た爺さんに遭遇。
2:
『夢あるかい』と問われ、
『強い肉体が欲しいね。
後は色々魔法とか、気とか、何かそういうのが使えるようになりたい。触媒とか発動体とか無しにね。何も持ってないのによく分からない力が使えるとか憧れるよね。
後は、どっかの八雲さん家の色の名前がついた狐さんのような九尾になってみたい。
もち男で。あのモフモフ、自分についてたら幸せそう』
と言ったすぐに、即訂正。
『あ、やっぱ今の無しで、綺麗な嫁さん貰って退廃的に暮らしたいです』
と言い直した。
3:
『叶えてやるよ』
と言われ、
『んな訳ねーだろ』
とか思いながら路地裏から出たら、知らん森の中にいた。
大体纏めるとこんな感じ」
「「・・・・・・なにソレ(なんだソレは)」」
凄まじく微妙な表情の二人。
「へぇ、そーだったんだ」
そんな事を言うなのはさん。
「・・・どこから突っ込むべきなんだろうね」
「知るか。そもそも八雲の狐だかなんだかしらんが、誰なんだそれは」
「知らんの、東方? 」
「「知るわけないでしょ(ないだろ)」」
即答にて返された。
すると、先にダウンしていた焦げ茶色のスーツを着た赤毛の女性(どっから見てもバゼットさんです本当にあry))が目をさました。それと時を同じくして、金髪ポニテの・・・って、今度はW・Rさんかよ・・・。
「・・・あ、そうだ、教会に用事があったんでした」
「教会に? なんぞ」
「我々だけでは戦力が足りません、ですから、ランサーを引っ張ってきます。
・・・その途中で他の実力者と手を組めれば万々歳なのですが」
とのこと。
「その話、一枚噛ませてもらってもいいかな? 」
「ん? 貴女・・・、どちら様で? 」
「あぁ、この人は高町なのはといってな、」
「・・・時空管理局本局武装隊、航空戦技教導隊所属戦技教導官、高町なのは一等空尉です。今回はこちらで発生した次元震の調査で来ました」
「・・・なのはさんって、偉い人だったんだ」
とコハク。
「・・・つかぬことを聞くが、歳は幾つだ? 」
と蒼木さん。
「20とか、その辺かな。過去とか未来とか跳びすぎて、誕生日迎えた記憶がないんだよねぇ」
にゃははと笑うなのはさん。
反面険しい顔にになるバゼットと蒼木さん。
「時間旅行だと!? そんな、バカな・・・は、ないか」
「色々と言いたいことはありますが、まぁ突っ込まない事にします。『処変われば品変わる』の諺もあることですしね」
さて、行きましょうと教会に向かわんとするバゼット。
なのはさん、俺達はどうするよ?
「そうだね、ついていっちゃおっか」
「わーい、マーボー神父に会えるー! 」
「「「誰だ(誰よ)、マーボー神父って」」」
声がシンクロするバナージ・蒼木さん・ロックベル嬢。
得心がいった顔のバゼット。
さて、行こうか!
教会な前の広場に到着したところで、
「ところで、稲荷でしたか」
「なんぞ」
「・・・気になっていたのですがその尻尾、本物ですか? 」
そういや、説明してた時、気絶してたねあんた。
「そうだけど、それがなによ」
「触ってもいいですか」
「あー、どうぞどうぞ」
そう言うが早いか、尻尾にダイブしモフモフし始めるバゼット。
そうして体感時間10分経過。
「うぇへへへへぇ・・・」
ダメだこのバゼット、早くなんとかしないと。
その場に放置し、教会の扉の前に立ち、
「ここが言峰教会か・・・、マーボー神父、いるかー! 」
扉を開けながら言う。
「懺悔か? 悪いが、今日は店仕舞い・・・、だ」
教会ん中には蒼兄貴と金ぴか王、それは判るんだが、黒髪のお前、一体誰だよ・・・?
・・・Into the second half, I followed・・・
如何でしたか? 次回はクラス代表決定戦になろうかとはおもいますが・・・。
それでは