お久し振りです861です。
IS〔脚本は火で炙って捻子曲げるモノ〕の更新に力を注ぎ込み過ぎて、こちらはおざなりでしたが、ようやくクラス代表決定戦となります。
それではどうぞ。
・・・そうして週明け月曜日、時刻は午前五時半。
突然鳴る携帯電話。
「・・・なんだこんな時間に・・・、メール?
なになに、
『お前の専用機だが、再来週ぐらいには届けられそうだ。
・・・魔改造しようとした技術者の馬鹿共を説得するのに時間が掛かって、最終的には腕力的対話による説得になった。そのせいであまり改修出来なかったがな (‾∀‾)b!
そんな訳で、届く日になったらまた連絡する』
・・・ねぇ」
「うーん、それ、対話じゃねぇぞー」
「起きたか、悪いな」
「・・・悪いと思ってんなら、あと30分寝かせろ」
寝起きだからか、ジト目気味で、やや不機嫌な支倉。
「そうしてくれ。俺は今からシャワー浴びる」
「・・・そういや、昨日一昨日と、何しに行ってたんだ? 」
「・・・」
打って変わって黙るガルシア。
まぁ、何があったかなど一般人である彼女に言える訳がないのであるが。
「どした? 」
当然、不審がる支倉。
仕方なく表(後から出来た)を言う事にした。
「簡単に言うなら、代理、だな。知り合いの神父に仕事押し付けられたんだが、あの野郎が、電話の最中に負傷して入院しやがったせいで、土日は1日半潰れたよ。
何であんなに予約入ってたんだよ全く・・・、そのくせ言峰の奴ピンシャンしてやがるし・・・」
と言うと、
「あぁそれな、土曜日が大安だったからじゃないか? 因みに大安ってのは万事に良い日の事で、その逆は仏滅ってんだが・・・、知ってるよな? 」
と返す支倉。
「一応な。 ・・・東アジアの暦は面倒だな」
「私にそれ言ってどうする」
「そりゃそうだ。・・・いい加減寝てろ、俺はシャワー浴びてるから」
「うーい、そうするからそうしてろ」
そうしてガルシアがシャワーを浴びてる間、支倉は二度寝していた・・・。
結論から言えば、二人が部屋を出たのは午前六時半ごろであった。異性と同室という状況になったさいよくある、『あらぬ疑いをかけられ』たりはしなかったが・・・。
これはガルシアの人徳なのかどうかはわからない。
なぜなら1025室の【織斑一夏】と【篠ノ之箒】という前例があるが故に・・・。
とはいっても、向こうは向こう、こっちはこっちなのだが。
「ねぇねぇ、バルバロッサ君・・・、だよね」
「・・・確かにガルシア・バルバロッサは俺だが、知らない顔だな。誰だったか・・・まぁいいか、何の用だ? アレか、また土日不在の理由か?」
「・・・また? 」
「あぁ。3組以外だと思われる連中の累計5,6人に、同じ事聞かれたんだよ・・・」
あからさまにうんざりした風なガルシア。
「そ、そうなんだ・・・」
「・・・それにしても何がしたいんだろうな本当にアレは」
「アレ? 」
「・・・Los desastres pueden presentarse.」
「は? ロス デザストなに?? 」
「存在自体が大災害。聞かれると地味に面倒な奴がいるからわざとスペイン語で言ったんだよ」
「そ、そうなんだ・・・、 それで、その大災害って? 」
「・・・一人不思議の国のアリス。そんなわけでごちそうさまでした」
そうして食器を片付けるために席を立ったガルシアであった・・・。
・・・・・・
そうしてこうして放課後、第三アリーナの観客席に行ってみるガルシア。
「・・・(まだ始まってなかったのか) 」
確認するが早いか即座に踵を返し、管制室へ。
ちょうど織斑の専用機が届いたところであったが、敢えて蚊帳の外になるガルシア。
そうして、織斑が戦場に飛び立ったところで・・・、
「・・・気を利かせたつもりか、バルバロッサ」
織斑教諭に気付かれたようだ。
「・・・いえ、俺はこの一件に関しては完全に部外者ですので。
・・・それとも何か間違えました? 」
そう言ってから、入り口付近から画面側に移動するガルシア。
「織斑先生、彼は・・・」
「・・・そういえば二人はある意味初対面だったな。バルバロッサ、彼女は一組の副担任の・・・」
「山田真耶です。それで・・・、織斑先生、彼は? 」
「こいつは・・・、」
そこで手をかざし制止するガルシア。
「・・・ガルシア・バルバロッサ。俄拵えですが専用機持ちのスペイン代表候補生。ついでに言えば本職は神父。歳はまだギリギリ18なんで。
・・・ともかくまぁ、この場にはいない者として扱って下さい」
そう言い切ると、腕を組んで黙り込んだ。
・・・黙りながらも、目は二人(この場合は織斑とセシリア)の一挙手一投足をこれでもかとガン見していた。
・・・内心、
「(・・・どうでもいぃが、初心者にしては実によく動く)」
とか思いながらではあるが。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そうして、会話がなくなる管制室。
途中から、篠ノ之が入って来るも、ガルシアはそれに意識を割かず試合を注視し続けるばかり。
そうこうしているうちに、試合時間27分経過。
「・・・初心者としてはこれだけ持てばまあ及第点だな。それに、これだけ撃たれていれば、
「・・・ほう、オルコットのアレの軌道を読み切ったのか。流石は代表候補生といったところか」
ぼそりと呟いたガルシアに、若干興味深そうな織斑教諭。
「・・・ええ。言っちゃあなんですが、俺ならこの半分、多くて15分あればあの、つけあがった小娘を地面に叩き落とせますよ」
「バルバロッサ君、すごい・・・、自信ですね」
初めて聞く、露骨な嘲弄が滲み出たガルシアの台詞に若干苦笑い気味な山田先生。
「ええ。ほら、まだ初期化と最適化が済んでいない機体相手にあのザマ、慢心か油断かは知りませんが、俺ならあんなチンタラやりませんけどね。
・・・ん? やれやれ、これだから初心者は」
今度は織斑少年へのため息、どうやら織斑教諭も同じ事を感じたようだ。
「どうしたんですか二人とも? 織斑くん、すごいじゃないですか」
「・・・あの馬鹿者、浮かれているな」
「織斑教諭にもそう見えますか」
「え? どうしてわかるんですか? 」
首を傾げる山田先生に対して織斑教諭は、
「よく見ろ山田君、さっきからあいつは時々左手を閉じたり開いたりしているだろう。
・・・あれは、昔からのクセでな。あれが出るときは大抵簡単なミスをやらかす」
・・・との事。
「そんな細かいことまでわかるなんて、流石、ご姉弟ですね。・・・あれ?
そうなると、バルバロッサ君はどうしてわかったんですか? 」
「・・・なんと言いますか、初心者によくある張りぼての自信っていうヤツをアイツの動きから唐突に感じまして、ね」
言うべき言葉を選ぶような、やたら慎重な口調のガルシア。
「そうなんですか。・・・そういえばさっきから、セシリアさんに対してやたら口が悪くなってないですか? 」
ふと浮かんだ疑問を口にした山田先生に対し、
「・・・俺の祖国スペインは基本的に普遍派十字教なんですが、老いも若きも男も女も地に生ける者達皆等しき天にまします神の子であるってのがうちの教えなんですが・・・。
これは一神父として意見なんですが、ISが出てきたせいで広まった女尊男卑? ってのとその信奉者の言動を見ると、腹が立ってきます。
・・・たかがIS使えるからってそんな事で主が贔屓する訳ないだろと、なんという傲慢、なにをキモい勘違いしてやがるのか・・・。おっと、これは失礼」
言い切り肩を竦めるガルシア。
それに対照的なのは、ぽかんとした顔の山田先生と、納得したような顔の織斑教諭。
「成る程、お前も苦汁を嘗めたクチか」
「そうなりますね。
・・・なるほど、一見織斑が王手に見えて、セシリアの攻め手が一手先だったか」
そう言って数秒の後、耳をつんざくような爆音と、画面を覆う程の黒煙が発生した。
「・・・一夏!? 」
唐突にとしか表現できない調子で声を上げた篠ノ之と、画面を真剣な面持ちで注視する三人。
そうして黒煙が晴れ・・・、
「・・・機体に救われたな、馬鹿者が」
口調はともかく、表情にはどこか安堵の色がある織斑教諭。
それは篠ノ之も同様であった。
「・・・遅いぞ織斑、時間掛けすぎだ。まぁこれで、ようやくスタートラインに立ったという事か」
・・・画面の向こうの戦場では、織斑一夏のIS、【白式】が専用機としての真の姿を現していた。
「・・・嬉しそうだな、バルバロッサ」
「そりゃもちろん。ようやく同性の好敵手が現れたんですから。というか、貴女もでしょう織斑教諭」
「・・・もしかして、二人って、仲よろしいんですか? 」
そんな事を聞いてくる山田先生、それに対して二人は・・・、
「「そんな訳ないだろう山田君(なにを言ってるんですか山田先生)」」
ばっさりと切り捨てた。
さて、試合の方もいよいよ佳境。
煙が晴れてから暫し、一次移行に驚くセシリアと、改めて決意を固めた織斑とで、何やらやり取りが交わされ、しびれを切らしたセシリアから、またミサイルビットが発射された。
飛来してくるそれに対し、織斑は待ち構えたかのような横薙ぎの一閃、一太刀にて両断。
斬り捨てられたビットは、慣性のまま飛び・・・、織斑の背を通り過ぎた辺りで斬られたのを思い出したかの様に爆散した。
そして爆発の衝撃を置き去りにし、織斑はセシリアへと突撃する。
その刹那、太刀が二つに裂けて現れた光の刃が一層光を放った。
その太刀の名は【雪平弍型】、かつてのブリュンヒルデ【織斑千冬】が振るいし
そうしてセシリアの懐に飛び込んだ織斑は、下段から上段へ逆袈裟払いを放ったが・・・、
それが当たる事はなかった。
『試合終了。・・・勝者、セシリア・オルコット』
決着を告げるアナウンス。
誰も彼もがぽかんとした顔をしている。
試合の当事者であるセシリアと織斑、管制室で見ていた山田先生と篠ノ之。
更にはギャラリー一同まで。
ただ二人、織斑教諭は
「やれやれ」
という顔をし、ガルシアはこれでもかというくらい、
「おまえは、アホかー!! 」
と、魂ィが叫んでいるような顔をしている。
「・・・織斑教諭」
「・・・なんだバルバロッサ、言ってみろ」
「織斑少年への言伝てお願いします。
『いい演出だな、感動的だったな、だが無意味になったな』
・・・と」
「・・・それ、すごい嫌味ですね。某笑顔を顔に張り付けてる人ですか? 」
と返す山田先生。
「多分。それでは失礼します」
そう言ってガルシアは管制室を後にした。
・・・因みに、言伝てを言われた織斑は、
「ひ、ひでぇ!? 」
と言ったんだとか。
そうして一組のクラス代表決定戦は終了した。
・・・Primer capitulo, completo.
如何でしたか?
予定では、次の話にてガルシアの専用機登場となります。
さて、前回前々回とアメフラシ様とのコラボ回でしたが、まずは、了承して頂いた事、この場で改めて礼を言わせていただきます。
さて、初めてのコラボだったのですが、如何でしたでしょうか?
あれを書くために、アメフラシ氏の【お稲荷様奇行文】を眼からレーザーを出すかの如く読みまくりました。それこそ、書き手の残留思念を己に取り憑かせるかのように。
そうして書き上げたのが第四話な訳ですが・・・いかがでしたでしょうか?
意見・感想・提案・等諸々、ガンガンお願いします。
それでは。