まずは、遅参の段、誠に御免なれ。
さて、今回は一番の難産になりました。当初のプロットというか流れを改めて確認してみて、なんか入れ忘れてたなと思い、入れてみました。
それでは、どうぞ。
*4月の頭に何やらトラブルがあったようで、本文を修復させていただきました。
・・・さて、結果的に他の生徒よりは若干遅れて夕食を取る形となったガルシアではあるが、それ自体を深く突っ込まれる事はなかった。
・・・とは言っても、3組の生徒が相手ならば、
「俺が来た日の電話のアレだ」
・・・で容易く納得させた訳なのだが。
そんなこんなで夕食時間は過ぎ去り、自由時間となった頃、特にやることもなく自室にいたガルシアではあるが・・・、
「・・・なぁ支倉、さっき食堂を覗いて見たら、何やら支度してたんだが・・・、アレはなんだ? 」
「・・・ん? なんでも、1組のクラス代表就任パーティーやるんだとさ」
「あぁ、織斑少年のか」
「そうなんじゃねぇのか? 私は行くつもりはねぇけどな」
実にどうでもよさそうな口ぶりの支倉。
「・・・さて、少し様子を見てくるかな」
そう言いながら、机の中から数枚の紙束を取り出すガルシア。
「・・・つくづくまめなヤツだなお前は、|返事《ソレ》も渡しに行くってか?」
「・・・まぁな、とはいっても、これはおまけで、俺はセシリアに用事があるんだがな」
「用事? 」
「・・・あぁ、そうだ。一般人には言いづらい用事だ」
「・・・ISがらみか、なら聞かないことにする」
「・・・助かる」
「いいっていいって、同室の仲だろ? 」
「それじゃ、行ってくる」
そうしてガルシアは、自室を後にした・・・。
「(ひいふうみぃ・・・、おいコラ待て、明らかに数おかしいだろ!? )」
入るか入らないかギリギリの辺りで食堂の様子を伺うガルシア。
・・・因みに、目当ての相手はすぐに見つかった。
金髪縦ロールにヘアバンド、やや垂れ目な碧眼。更に言えば制服の袖口と膝丈スカートの裾に黒フリル・・・、と。外見の特徴を並べればそのような感じである。
で、その御仁、【セシリア・オルコット】嬢はこのパーティーの主役? たる少年【織斑 一夏】のすぐ横に座っていた。
・・・その逆隣りには見るからに不機嫌そうなポニーテールの長身女子。因みにこちらは【篠ノ之 箒】である。(ガルシアはその名前を知らない)
さて、どのタイミングで割り込もうかと考えていると・・・、
「(・・・ま、別にいいか)」
その場から、セシリアの位置からは見えるが他の二人からは見えずらい位置に移動し、その場から顔を覗かせ側頭部を右人差し指で2×2回軽く叩き、向こうが反応したところで・・・、
「〈・・・悪いんだが、後で話がある〉」
と、|個人間秘匿通信《プライベート・チャンネル》にて一言だけで切った。
それが偶々、新聞部を名乗る女生徒の捏造しとくから発言と被った為・・・、
「・・・な、一方的に切るなんて、どういうつもりですの!? 」
・・・と、偶然噛み合ったセリフが出たセシリアである。
「どうって・・・、なんだか長くなりそうだったから? 」
「・・・なんだろうな、何かがずれてる気がするんだが」
珍しく正鵠を射たセリフを放つ織斑少年。・・・因みに、
「(・・・アイツ来ないかな、来るわけないか)」
・・・とか考えている。
ともあれ、織斑少年とセシリアで写真をとる事になったのだが・・・、
「(・・・入るタイミングどうするかな ) 」
とかガルシアが思っているうちに、シャッターは切られた。
・・・切られる瞬間一組全員集結していたが。
「・・・」
「箒、どうかしたか? 」
「・・・いや、アレ」
篠ノ之の指差す方を見る織斑少年。新聞部を名乗った女生徒(|黛薫子《マユズミ カオルコ》という名前らしい)もそっちを見る。
「・・・よう」
そっちにいたのは、黒に近い焦げ茶色の髪を首の後ろでくくった長身の青年。
・・・言うまでもなくガルシアである。
「・・・確か、バルバロッサだったか」
「・・・箒だったか? フルネームで頼む。因みに俺は、ガルシア・バルバロッサだが」
「箒、篠ノ之箒だ」
篠ノ之がそう言うと、なんとも微妙な顔になるガルシア。
「・・・あー、お前あの一人不思議の国のなんちゃらなヤツの妹か・・・。なんと言うか、ガンバれ」
グッとサムズアップするガルシア。
「・・・ガルシア、お前、姉さんを知ってるのか」
「・・・何の因果でかは知らんけどな、この間用事で冬木ってトコに行ったときに知り合う羽目になったんだよ」
「・・・そうか」
「・・・あぁ」
同時にため息をつくガルシアと篠ノ之。
若干シーンとなる食堂。
わざとらしく咳を一つした新聞部女子。
「あ、えっと、取材、いいかな? 」
「構いませんよ。 ・・・おっと、その前に、だ」
隣のテーブルに置いていたバインダーファイルを開くガルシア。
「それ、何だ? 」
「投書の返事だ」
そうして名前を呼びながら返していくガルシア。
それが終わったところで、
「・・・さてと、取材いいかな? 」
「えぇ、どうぞ。
・・・失礼ですが、名前・・・? 」
・「あー、そういえば名乗ってなかったわね。
私は黛薫子、新聞部副部長をしているわ。はいこれ名刺」
「・・・どうも。それで、黛先輩は何が聞きたいんですか? 」
「・・・・・・」
「何ですか?
・・・あぁ、年齢上なのに学年下な相手からの敬語が違和感を感じるというのならば、諦めて慣れて下さい」
「あ・・・、そう」
「さてと、取材でしたよね?
・・・突撃喰らうかと思って幾つかコメント考えていたんですが、良いですか? 」
ポケットから4つ折りの紙を取り出すガルシア。
すると、黛副部長は記者モードに切り替わった。
「頼むわよ、史上初の男性代表候補生♪」
「・・・お手柔らかに。
とりあえず、無難なトコからいきますか。『押し付けられた感は否めませんが、やれと言われた以上、結果で応えさせていただきます。』」
「うーん、真面目ねぇ。もう少しはっちゃけたのはないの? 」
「・・・なら、
『半年の俄仕込みとはいえ、こちとら代表候補生、素人市民とは戦闘力がダンチなのだよ素人市民とは! 』
・・・なんてどうですか」
某青い巨星みたいなセリフを言うガルシア。
「長い! 」
「・・・だったら、『伊達や酔狂で代表なった訳じゃないトコ、見せてやりますよ。』
・・・これならどうですか」
「イイわね、それ採用! それじゃ、代表候補生同士ってことで、セシリアちゃんと写真、いいかな? 」
コメントを聞き、記念撮影を提案する黛副部長。
「俺は構いませんよ。・・・セシリア、どうだ? 」
「・・・わたくしも、構いませんわ」
そうして代表候補生二人は写真を承諾したのだが、黛副部長は余計な勘繰りをしたらしく・・・、
「・・・あれ? いつの間に名前で呼びあう仲になったの? 」
「もしかして二人って・・・、」
「そんなわけないだろう」
「そんな事実はございませんわ」
別の女生徒からの疑問を同時に切り捨てるガルシアとセシリア。
そのタイミングでなにやら気がついた御仁がいたようだ。
「・・・セシリア・・・、ガルシア・・・、あれ? 」
「・・・ん? まさか、セリガルで今日もシアわせとかアホな事言うんじゃないだろうな」
嫌な予感がしたらしく、若干ひきつった口調のガルシア。
だが、
「おー、ガルガル、上手い事言ったー。、座布団二枚あげよー」
「・・・・・・は? 」
どこかのほほんとした、制服の裾がだぼだぼな、なんとなく眠たそうな雰囲気の女生徒に反応し返されたガルシア。
完全に死角からの予想外の反応に、顔文字のポカーンのような顔になる。
「どーしたのー? 」
「・・・(こいつの声、どう聞いてもアインツベルンのアレにしか聞こえないんだよなぁ・・・。ついでに言えば一組副担の山田先生はマキリのトコの桜嬢みたいな声だし。
世の中にはそいつにそっくりな御仁が三人いるというが、本当だったんだな・・・)」
「おーい」
「・・・あぁ、悪い悪い、誰だったっけ? 」
「本音、|布仏本音《ノホトケ ホンネ》だよー」
「そうか、よろしくな本音」
「よろしくー」
ハイタッチをするガルシアと本音。
「・・・ねぇ、写真は? 」
「そうでしたね、黛副部長」
そうして、記念撮影と相成ったわけではある。
・・・ちゃっかりガルシアの左手側に写り込んだ布仏本音であるが、別にこれと言ったアレは無い。
で、なんだかんだで織斑少年のクラス代表就任パーティーは、10時過ぎまで執り行われた。
さて、パーティーはお開きとなったものの、残る影二つ。
イギリス代表候補生、【セシリア・オルコット】と、
スペイン代表候補生、【ガルシア・バルバロッサ】である。
「・・・それで、話とはなんですの? 」
「・・・なんというか、これ話しても良いんだろうかな。
・・・世間的には織斑少年の一件でバレたような形だが、実際の所、俺がISを起動させたのは去年の9月でな。それからはしばらく、俺の担当官の人が裏で情報管理で色々手回ししてくれていたんだそうな」
「・・・だからだったんですのね」
「・・・あぁ。
後で聞いた話によると向こう曰く、
『せっかく自国からISを起動させた男性が現れたのだから、タレント業務なんぞ後回し、まずは表に出て恥ずかしくないだけの実力をつけて貰う方を優先させてもらった』
・・・らしくてな、そのおかげで、国内でも知らん奴は本当に知らん状態だ。
・・・まぁ、こちらとしても、ありがたかったけどな。正直言って、メディア相手へのアレコレとか、どうにも苦手なんだ」
付け足すように一言言ってから肩を竦めるガルシア。
「・・・曲がりなりにも神父ですものね、貴方は。それで、わたくしを引き止めたのは・・・、」
「勿論、このあと話す内容が本題だ。今のコレは、言わば第零章。時間も遅いし、多少長くなるんで、細かい質問は無しで頼む」
「・・・わかりましたわ」
渋々了承するセシリア。
「そうか、たすかる。
さて、そんなこんなで俺は候補予生・・・、こいつはいわゆるひよっ子連中なんだが、|スペイン《ウチ》では正代表、代表候補生、そして候補予生という三層構造で成り立っているだ。
・・・に、なったものの、当代はご存じ女尊男卑、それで年下からもなめられる始末。
・・・まぁ、それをバネに必死というか、一心不乱に猛勉強を積み重ねていった結果、今の俺があるのだがな。
で、俺が候補生に昇格して間もない頃、とある事件が勃発する。
・・・こいつはあんたにも関係ある話だ」
・・・声をいきなり潜めるガルシアと、それに対して訝しむ、セシリア。
「・・・わたくしに、関係、ある・・・? 」
「厳密に言うと微妙に違うけどな。
・・・纏めて話すと、うちの軍の施設が襲撃を受け、とある機体を奪われた挙げ句、職員多数重傷だったんだよ」
「・・・とある、機体? 」
「どんな機体なのかは、機密事項だから言えないけどな。正直言って、設計思想から運用の戦術理念まで、斜め上にも限度があるってレベルだ。敢えて特徴を挙げるとするなら・・・、」
「なんですの? 」
「“手”だ」
「・・・手? 何か特徴的な固定武装でもあるんですの? 」
「・・・まぁそんなとこだな」
そう言葉を濁すガルシアの頭の中には、こんな奇妙な形のISが今まであったか? という形の機体が浮かんでいた。
「・・・それはそうと、一つよろしいかしら? 」
「ん? 」
「そこまでの機密事項なら、そもそもわたくしに話すのはマズいのではなくて? 」
至極真っ当な質問を投げかけるセシリア。
「・・・んー、確かにそうなんだが、それについては大丈夫だ。
この任務に就いた時に上役に言われたんだが、
『この案件の一般人へのバラしは当然論外だが、自己判断でIS関係者に協力を仰ぐ際、事情説明するのは別に構わん。
・・・一度無茶して懲りているだろうから、理由は言うまでもないだろうが』
・・・だそうな」
「一度・・・、無茶? 」
「・・・あぁ。若気の至りとでもいうのか、連中がちょうど機体を掻っ払うとこに出くわしてな、怒りで頭に血が上り、単騎突撃した挙げ句、めった打ちの返り討ちにあったというザマだ。実に|嘲笑《ワラ》えるだろ? 」
自嘲するように笑うガルシア。
「・・・ちっとも笑えませんわ」
「そりゃどうも。・・・さて、頼みがあるんだが、そっちが空いてる時で構わない、対誘導兵器の特訓の相手をしてくれないか? 」
「・・・別に構いませんが、なぜなんですの? 」
「・・・・・・」
突如黙りこくるガルシア。
今までの話を整理し、ガルシアのその態度を見たセシリアの頭の中には、一つの可能性が浮かんでいた。
「・・・・・・なるほど、確かにわたくしに関係ある話ですわね。
〈BT二号機サイレント・ゼフィルス。わたくしのブルー・ティアーズがデータ採取の試験機ならば、あちらは実戦機といったところ。
次に会った時、雪辱を晴らす為ですわね? 〉」
「〈・・・そういう事だ。幸い、世間は織斑一夏に注目を集めている。言い方は悪いが、アイツには隠れ蓑になってもらうさ。上官の言葉を借りれば、
『織斑一夏の一件は、当世の思想に一石を投じ世界を驚嘆させ、彼を中心に大きな流れを巻き起こした。その中で、様々な勢力が彼に視線を向けているのは明白。ならば、その死角を突いて遂行出来るのは、陰を縫う様に実戦を重ねてきた君だけだ。』
・・・だそうな〉」
途中から個人間秘匿通信でやり取りする二人。
そうして、会話は終了し、二人はそれぞれの自室に戻った。
……to be continued.
如何でしたでしょうか?
因みに、候補予生のくだりは脈絡をしっかりさせるために作った私のオリジナルです。
・・・いくらなんでも、動かしてすぐ代表候補生になれる訳がないですから。
こう言ってはアレですが、私は妙なトコが気になる性分でして、一度気になりだすと一々気になってしょうがないのです。
例えば、Mr.鎌池のとあるシリーズの世界にはレベル5ではない意味の超能力者(サイキッカー)はいるのか、或いは、リリカルマジカルとクロスした二次創作で、なんで魔法が無い世界から来てるのにリンカーコアが生えてるんだとか。(それっぽい動力装置在るなら別ですが。GNドライブとかゲッター炉とか)
同じくクロスモノ関連ですが、同一作品内でのクロス格差はなんなんだとか。(映画版ガンダムOOなら、アンドレイやデカルト、ガンダムSEED(astray含む)なら常夏三馬鹿やカナードにプレアやらロウ。SEED -Dならレイやエクステンデッド三人組あたりがどっか行くのは見たことが有りません、実に勿体ない)
誰か教えてくれませんかね、そういう作品?
個人的には、レイなんかはリリカルマジカルといい感じに合うきがするんですがね。
クローン人間(フェイトさん、エリオ坊主にヴィヴィオ)に、周りとの格差を努力で云々(ティアナ)、ちとややこしい出自(ナカジマ姉妹あたりか? あっちは戦闘機人、こっちはクローン人間で寿命が短い)と中々使えるのに勿体ない気が。
むしろ近いのはラウですかね、これは。
某掲示板でフェイトさんを語るスレにて、『ラウの様に逆恨みをしなかったのは評価できる』という書き込みを見て、言われて見れば確かにと思いました。
それでは、ダラダラとなってしまいましたが、失礼。