新年明けまして最初の投稿となります、861です。
今回は、外伝というか、もしも話の第一回目とあいなりました。
それでは、どうぞ。
「すみません、遅刻しました・・・、ん? 」
「事情は知らんが初日から遅刻とは、いいご身分だなバルバロッサ。———自己紹介は手短に済ませろ、時間が時間なのでな」
「———はい。細かい質問は後にしてくれ。
ガルシア・バルバロッサだ、よろしく頼む。 因みに遅れたのは、別の仕事の都合なので、細かい突っ込みは勘弁してくれ」
出席簿アタックを一発食らってから自己紹介、それから一礼し、空いている席に座る。
それから十数秒、クラス全員が、脈絡もなく周りの風景の色が抜け落ちたかの如く、ただただポカーンとしていたのだが、真っ先に反応したのは・・・、
「ふ、二人目・・・・・・!? 」
彼からしてみれば、名の知らない女子。
「悪いのか? 」
「えぇと、悪いのかと訊かれても、良い悪いの話じゃないような・・・」
「そうか。それはともかく、授業中になんで起立してるんだ、そこの金髪縦ロール
「セシリア! セシリア・オルコットですわ!! 」
と、Senior'織斑」
「せ、セニョ?? 」
「英語のMr.に相当するスペイン語だ。それで、
これまた周りの席の女子に問うガルシア。
「いや・・・」
「何がと改めて説明するような事じゃないというか・・・」
「大した事じゃないなら説明出来るんじゃないのか? それとも、時限爆弾の線を切るような内容なのか? 」
この場合の爆弾は俺の怒りな、と、冗談なのか判断出来かねる言葉を吐くガルシア。
「いや、それがさ・・・」
「・・・いやいい、大体想像ついた。どうせ、
言いかけた織斑少年を制止し、腕を組んだまま、至極興味無さげに言うガルシア。
「どこにでも転がってるって・・・」
「石ころ扱いされるのはちょっと癪ですわね・・・」
「ダメか? 実際、勘違いした輩はどこにでも転がってるだろ、それこそ・・・、テレビ番組の賑やかしの分際で自分がタレントと勘違いしたような痛々しいのがな」
やれやれと頭を振るガルシアではあるが、それがセシリアにまた火を点けたようだ。
「・・・黙って聞いていれば、散々言ってくれますわね」
「反論しろよ、なら」
「こ、この・・・」
「気を悪くしたか、それはすまない 」
「———確か、この国の格言に、【謝って済むなら警察はいらない】というのがありましたわね」
潮が引いたかのように急に静かになるセシリア。・・・まるで津波がくる前触れのように。
「あったな、確かに。なんだ、騎士の恥辱は剣で返すとかいうアレか? それは受けるしかないな」
「話が早いと助かりますわ。 それで、ハンデはどうしますの? 」
「ハンデ? 必要なのか? ———おい、なぜ笑う、今は笑うトコなかっただろ」
(また)笑いだした女子連中に、その理由がわからずジロリと見回すガルシア。
その睨みにやや竦み気味な女子一同。
「もう一度問うぞ。今の 俺の 言葉の どこに 笑う 所が あった? 因みに 別に 怒っては 無いぞ、これは 単なる 疑問だ」
言い聞かせるかのようにゆっくり、不自然なほど発言に区切りを付けて笑った理由を問うガルシア。
しかも、一言言う度に、わざわざ左の掌を見せるように某塾講師の仕草を真似ながら。
それでも誰も答えない為、頬杖突いて態とらしく溜め息一つ。
「やれやれ、誰も答えてくれない、か。 ついでに言うなら、そういえば織斑先生、今の時間、何をしていたんですか? 」
改めて何を今更な質問をするガルシア。
「そういえばそうだったなバルバロッサ。
今決めようとしていたのは、再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者、だ」
「はぁ、そうですか」
「それで、大抵の生徒が織斑を推薦してな、それに反応したのが当人と・・・」
最後まで言わず、セシリアの方に視線を送る織斑教諭と、それを目で追うガルシア。
「はー、だからこの二人、立ってたんですか」
「そういう事だな。さて、話はまとまったという事でいいな三人とも?
それでは勝負は一週間後の月曜、放課後、第三アリーナで行う。織斑、オルコット、バルバロッサの三人はそれぞれ用意をしておくように。それでは授業を始める」
手を一打ちし話を締める織斑教諭。
そうして、授業が始まった。
時間は流れて放課後。机の上でぐったりとうなだれている織斑一夏と、
「・・・・・・」
眉根を寄せながら必死にノートと教科書とにらめっこをするガルシア。
「なぁ、意味わかったか・・・? 」
「・・・ギリギリなんとか、な」
「「はぁ・・・」」
男子二人、ため息をついた。
「勘弁してくれだよなぁ、アレ・・・」
「俺たちは磁石じゃないんだがな・・・」
「むしろ、大名行列かモーゼの海割りってか? 」
「どんだけだ」
「体験したろ? あんだけだ」
「日本に初めてパンダが来たときもこんな感じだったんだろうな」
「知らねぇよ」
すると、
「ああ、織斑くん、バルバロッサくん。まだ教室にいたんですね、よかったです」
「「はい? 」」
「えぇとですね、寮の部屋が決まりました」
そう言って部屋番号の書かれた紙とキーを織斑とガルシアに渡す山田先生。・・・ 距離の関係上、ガルシアはそっちまで取りに行ったのだが。
因みに、織斑は1025、ガルシアは1033である。
そして部屋の件について問う織斑一夏。どうやら彼の中で、前に聞いた話と現状に齟齬が生じているようだ。
それに対して、内容が内容なのか、途中から説明が耳打ちになる山田先生。
そうして大体説明が終わった辺りで、
「私が手配をしておいてやったぞ、ありがたく思え。
それと、さっきから鳴っているのはお前のか、バルバロッサ」
織斑先生も来たようだ。
「ど、どうもありがとうございます・・・」
「あ、そうですか。 『もしもし、どちら様? 』 」
とりあえず電話に出るガルシア。その相手は・・・、
「誰なんだ? 」
「向こうの友人だ。 『それで、なんか用か?
・・・は? 何回も掛けても出ないから、今何してるかが気になった?
・・・そういえば言ってなかったな、何の因果か俺は、IS学園に通う事になったんだよ。
そういうお前は?
・・・へぇ。
それじゃあな』
さっきから聞いてれば山田先生、失礼ながら貴女は馬鹿ですか」
電話を終えて、呆れたような声音なガルシア。
「教師相手に馬鹿とはなんだバルバロッサ」
「そうは言ってもですね、なんで、
「聞いてないようでしっかり聞いてたんですね・・・」
「バルバロッサ、お前、陰口を気にする方だろ」
「そりゃ、まあ。それはともかく、そろそろ荷物取りに行かなきゃならないんで、これで失礼します。じゃあな、一夏」
「お、おう。
(・・・おいこら待て、今帰られたら、 また視線の集中砲火浴びる羽目になるじゃねぇか)」
「・・・ん? なんか言いたそうな顔だな」
「いやさ、荷物取りに行かなきゃって言ってたけどさ、どこに置いてあんだ? 」
「(・・・まあいいか。)とりあえず学生寮の適当な部屋に放り込んだ。あれは寮長室・・・、だったか」
「それは妙だなバルバロッサ? 鍵はどうした」
「何故か、開いてました」
それを聞いて、妙な顔になる織斑先生。
「そうか。(はて、今朝は鍵を掛けた筈なのだが、勘違いなのだろうか)」
「織斑先生、山田先生、そういうわけですので、失礼します」
そうしてガルシアは教室を出ていき、その直後、教師二人は教室を出て行った。
「・・・ふぅ」
それを見送ってから、一夏はため息混じりに立ち上がり、自室に向かった。
・・・教室内外で聞こえる騒がしい声はこの際完全無視である。
で、何の偶然か、寮長室から出てきたガルシア(荷物回収済み)と、ちょうどすれ違いになった。
「よう」
「ん」
そのまま並んで部屋の前まで。
「えーと、ここか。 1025号室だな。じゃあなガルシア」
「ああ。俺は1033号室だったからな、あっちだな。それじゃ」
「おう、・・・あれ? 」
「どうした? 」
「いや、鍵、開いてた」
「そうか、・・・」
「何なんだそのため息は・・・、おい、縁起でもないから、十字を切んなよ・・・!? 」
「すまん、つい」
何故か小声な一夏に、首だけ曲げて謝るガルシア。
「つい? 」
「ああ、つい、な」
そうして己の部屋、1033号室へ向かうガルシア。
「———仕方ない、腹決めて中に入るか」
やっとこさ中に入る一夏だった。
こちらは1033号室、鍵はかかってた為、普通に開けて入るガルシア。
「同居人は今は留守、か。さてと、荷物開けておくか」
空いてる手前側のベッドに荷物を置き、中身をクローゼットやら何やらにしまいこむ。
その途中、
「・・・なんだ、今の音は」
少し戸を開け、音のした方を覗きこむ。
「・・・何なんだそれは。一体どういう原理で木刀がドアから貫通してるんだ」
その音に反応してか、わらわらぞろぞろと出てくる一年女子連中。
そして、必死に扉の向こうの相手へ、頭の上で合掌して懇願する織斑。
・・・数分の沈黙の後、天の岩戸、開く。いや、例えである。
何はともあれ、部屋に入った織斑。それでも尚、室内を伺う女子連中であった。
「・・・放っておいても、大丈夫そうだな、あれは」
確認してから扉を閉めるガルシア。それから、荷物を解く続きを再開した。
「さてと、これで終わり・・・、と。 ま、今日は別にいいか、日誌書かなくても」
「何の日誌? 」
「稼働データのだ。機体を調べりゃ分かる事とは別の、乗り手側から感じたあれこれを・・・、って、お前が同居人か」
「そうね。とりあえず、これからよろしく」
しまうのが終わったタイミングで、後ろから声をかけられたガルシア。
「そういえば何組だった、シルヴァ? 」
「私は4組だったわ。貴方は1組だったかしらね」
「・・・なんと言うか、妙な因果だな。お前は変わったようだが」
「そうね、人生観変わる前の私は、大人しいと言えば聞こえはいいけど、実際アレは暗い、よ。
だって、
「確か、飛行訓練中に、お前の頭の上、たまたま通りすぎたんだったか? 」
「ええ、そうだったわ。あれは本当に、度肝をぬかれたわよ。まさか、男子がISで空飛んでるトコに出くわすなんて思ってなかったんだもの。
その上さらに、二人も知り合いになる事になって、さらにびっくりよ」
「だろうな。で、色々決める事あるんじゃないか? 」
「それもそうね。
なにから決めましょうか? 」
そんな感じで、諸々の線引きをきめ、本日はおしまいとなった。
to be continued・・・,
如何でしたでしょうか?
そもそも、【IS~The invocation is who's for~】を思い付いて、推敲する際に思ったのが、『最初のはそう書いたけど、二作目まで右へ習えのワンパターンな流れで書いて、何か意味あるのかよ? 同じ事繰り返すなら、書く意味無くね? 』
と思った訳でして。ならばと、一捻り加えた結果が、【IS~The invocation is who's for~】なのです。
さて、頭をいくらひねっても続きが思い付かず、このまま更新停止になるくらいなら、なんか書かんと気がすまなかったので、外伝というかたちで、投稿させていただきました。
それでは。