Good day! 861です。今回はタイトル通りです。それでは、どうぞ。
第四話【俺、今日から人間辞めます】
・・・そうして放課後になり、そろそろぼちぼち向かわなきゃならないのだが、俺は教室の自分の机で指折り数えながら考えこんでいた。
「(・・・
そうしてしばらく考えた結果、オカルト研究部に入部する事にした。そうと決まれば善は急げ、教室から出て、さっさと向かうことにした。・・・っと、その前に。
「・・・一応、言っておくかな」
向かったのは2ーC。で、ちょうど教室の前を通りがかったところで教室の中から黄色い声。
「・・・相も変わらず、木場劇場だな。独り舞台にも程があるだろうに」
「・・・それ程でもありませんよ、高島先輩」
独り言のつもりだったのだが、教室から出るところの木場にしっかり聞かれていたらしい。で、俺に気がついた一部女子からまた黄色い声。正直鬱陶しい。何がカップリングだふざけるな。
「あ、高島先輩、どうもっす」
「おう兵藤、お前もオカルト研究部入部か」
「お前、も? 」
「おう。先行ってるからな・・・、っと」
メールを一文送信、送った相手はクロナ。
「・・・何? 奏司、この距離でわざわざメール打たなくても・・・、あぁ、今朝のはそういう事」
「あー、なんだ。そういう訳で、今日は帰り遅くなるからって事で」
そう言ってオカルト研究部へ向かおうとすると、
「・・・ちょっと待って、私もついてくわ」
「・・・そうなるだろうな」
昨日今日を鑑みればこうなることは予想済みである。
「・・・とりあえず、頭の狂った連中は放っておいて。木場君、兵藤君への用事ってオカルト研究部絡みでしょう? 私も同行させてもらうけど良いかしら? 」
答えなど聞くつもりのないようにしか聞こえないクロナ。
「・・・駄目だ、と言ってもついてくるんだよね、それ」
「当たり前じゃない」
「言い切ったな」
「相変わらずだな、クロナは」
知るかとばかりに俺はオカルト研究部へ向かった。
「失礼します」
中に入る礼儀とノックをしてから扉を開け部室へ入る。
「・・・どうも」
中にいたのはちっこい白髪こと1年の塔城小猫。そして、
「あらあら、高島君、何かご用でしょうか? 」
・・・黒髪ポニーテールで俺の知る限りおっとりドSな姫島朱乃。そしてシャワー浴び中なリアス・グレモリー(たぶん)。・・・ついでに言えば、
『媚びうってるみたいでなんか気持ち悪い』
・・・らしい。そんな個人的嫌悪をおくびにも出さず、
「あぁ、グレモリーのヤツから聞いてないか? 」
「いえ、何も聞いてませんわ」
「同じく」
「そうか、アンタらが知ってるのは兵藤の事だけか。・・・グレモリーのヤツも話つけとけばいいのに、まったく。まあ、仕方ないか昨日の今日だ。昨日の兵藤がトレンチコートのおっさんに刺された件と、今日のリアス・グレモリーと兵藤一誠の一緒の登校、繋げて考えれば、空白はだいたい浮かんでくるってものだしな」
2人が話を聞いてないと知り、知らなかったならそれもまた仕方ないと頭を切り替え、空白を埋めるシナリオを出来る限り考えてみる。ところが、無意識に口に出していたらしくその上、
「・・・その話、誰から聞いたのかしら? 」
案の定、突っ込まれた。
「なんだ。てっきり見られてたかと思ってたんだが、違ったんだな。アレだ、兵藤が刺された現場に俺も居合わせたんだよ。で、何の因果かこんなモンを使えるようになっちまったわけだ。で、これは一体何なんだ」
そう言って、例の金ピカな鎖繋げ指輪付きの腕甲を発動する。明らかにびっくりした風の2人と、そのタイミングであとの3人も入って来た。
「どもー、失礼しまー、なぁっ!? ・・・なぁっ!? 」
「兵藤くん、落ち着きなさ・・・、あら」
「高島先輩、それは」
「わからん、トレンチコートのおっさんはセイクリッド・ギアだか言ってたがな」
「・・・全員、揃ったようね」
いつの間にか、グレモリーはシャワー室から出てきていた。無意識に俺は金ピカ腕甲をしまっていた。
「・・・部長、2人ほど想定外の方もいらっしゃるようですが」
「そうそう思い通りにはならない、世の中そんなもんよ朱乃。・・・だからこそ、意地を通したくなるのだから。 それはともかく、兵藤一誠君、高島奏司君、・・・そしてクロナ・エヴァンジールさん。我々オカルト研究部はあなた達を歓迎するわ」
「・・・どうも」
明らかに不機嫌そうなクロナ、おまけ扱いされたとでも感じたのか。
「とは言っても、コレは私の趣味みたいなものだから」
「・・・趣味、ですか」
「・・・単刀直入に言うわ、私達は【悪魔】よ」
「・・・それは、凄まじく単刀直入ですね」
グレモリーのいきなりの告白に半信半疑、いや、二信八疑な兵藤。片や、たった1単語すら聞き逃すまいと言わんばかりの真剣さなクロナ。そこから始まった世界の裏事情解説。主に天使・悪魔・堕天使の三竦みとか。そこまで説明されても信じられずな兵藤だったが、とある名前を聞いた途端、なにやら良くない終わりかただったようで、気分がた落ちになった。そのまま帰ろうとするも、
「彼女は実在したわ」
その【天野 夕麻】だかの写真をテーブルの上で弾くようにグレモリーから見せられ、兵藤は明らかに動揺していた。それを察して俺は問うた。
「そもそも、一体どうやっていた痕跡を消し去ったんだ? 」
「チカラを使ったのよ。敢えて名前を付けるなら、記憶操作とか認識改竄とかその類いのね。私がイッセーの家でやったのと同じように、ね」
だいたい俺の想像通りだったらしい。
「・・・あれ、そういう事だったんですか、どうりで物わかり良すぎると思ったんだ」
「話を戻すわ、今言った通り、彼女は貴方に厄介なモノが宿ってるか確認するために近づいて、結局当たりだったから貴方は殺された。光の槍に貫かれてね」
「で、仕事は完了したと自分の記憶と記録を抹消した、と。そこまでの代物なのか、
「・・・えぇ、モノによっては神や魔王すら打倒しうるモノもあるそうよ? ま、私にとっては、貴方も保有者だった事が一番驚きだけど」
そう言って俺の方を複雑そうな眼で見るグレモリー。
「ちょっと待ってくださいよ!? おかしいじゃないですか、そしたら何で俺、生きているんですか!? 」
実にごもっとも。で、その質問は想定済みと言わんばかりになにやら紅いチェスの駒を取り出した。因みに駒は司祭、ビショップである。
「・・・これよ。これは
「「「イーヴィル・ピース? 」」」
「簡単に言えば、上級悪魔が他人を自分の眷属にする時に用いるモノですわ」
「朱乃、私が説明しているんだから、横入りしないでちょうだい」
「あらあら、つい」
「まあいいわ、要するにイッセー、貴方はこの私、リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったの。・・・下僕の悪魔としてね・・・!」
そう言うとグレモリーの背中からコウモリじみた羽根が生えた。・・・むしろ、某ガチレズサムライガール中学生よろしく、引っ込めてたものを戻しただけか。他のオカルト研究部員連中もその直後に同じくである。
「・・・うわっ!? 」
つられたとばかりに兵藤の背中からも。
「・・・さて、貴方達はどうするのかしら? 」
ようやく俺達の本題になった訳か。
「・・・状況はだいたい理解した。初めからそのつもりだったからな。それで、残りのイーヴィル・ピースは? 」
「・・・この通り、ナイトが1つ、ビショップが1つ、ルークが1つ、そして、ポーンが2つよ」
「駒の配置は? 」
「イーヴィル・ピースは保有者、この場合は私がキングね」
とのグレモリー。
「それで、私がクイーンですわ」
姫島が女王・・・、意味が別方向に聞こえる。
「そして、僕がナイト」
木場がナイト、ぴったりだな。
「ルークです、私が」
塔城がルーク・・・、ね。
「じゃあ、俺は? 」
「・・・ポーンよ、駒6つ分の」
「はーぁ、ポーンかぁ。いまいちピンとこないなぁ」
「で、適性の個人差とかあるんだろ? 」
「そうね・・・、貴方はルークってトコロかしら」
ルーク・・・、か。確か、手ごわいシミュレーションで言う所の重歩兵だったか。
「それで、私は? 」
「うーん、意外にもビショップってトコロかしらね」
納得いかない風なグレモリー。
「・・・意外にもって、その、部長、失礼じゃ・・・」
「別に構わないわよ、塔城さん。そんな訳で」
そう言うとテーブルの上のポーンの駒を2つ取り・・・、
「・・・何で、そっち? 」
「そんな訳でリアス部長、これからよろしくお願いしますね♪」
で、バサッと翼が生えた。
「・・・自分で駒を入れて転生する眷属、なんて初めて見たわ。ねぇ、なんだか釈然としないんだけど、どうすればいいのかしら」
さっきよりかなり複雑そうな表情のグレモリー。逆に俺はどうすれは良いと?
「それで奏司、貴方はどうするのかしら? 」
「・・・ん? さ、さっさとやってくれ」
「え、えぇ」
何故か戸惑い気味なグレモリー。そうしてルークの駒を手に取り、俺は手のひらを出してと言われたから左手を出した(犬のお手みたいな感じ)ら、そこにルークの駒を乗っけたら体の中に飲み込まれるように吸い込まれていった。
「・・・ど、どうですか? 」
恐る恐る聞いてくる兵藤。
「どうと言われてもなぁ、いまいち・・・、おぉ」
背中からコウモリじみた翼が生えた。とりあえず俺達の転生が終わった所で、兵藤がセイクリッド・ギアを引っ張り出(俺からすればこの表現がしっくりきている)そうと四苦八苦していた。が、うまくいかず。それから俺達3人は3手に別れてチラシ配り。部長曰く、今の時代、わざわざ召喚の魔法陣描くヤツはそうそういないらしい。そう部長が言った途端、
『え、そんなインスタントでいいんですか? あと、魔法陣じゃなくて魔円陣と魔三角陣じゃないんですか? 』
そんな事を言ったクロナであった。当人曰く、そういうのは正確には喚起魔術と呼ばれるやたらめったら手間のかかる代物らしい。で、部長からしてみれば、クロナの魔術の知識はかなりクラシカルなものらしい、・・・一体どこで学んできたのか訊く必要があるレベルの。それで、主人騙すのも後が恐いからとクロナは正直に白状した。
・・・とはいっても、説明したのはチラシ配りが終わってから。その当人はかなり面倒くさそうにしていたが。
「・・・なるほどね。つまり、貴女の知識が古典的だったのは、知識の元ネタが昔も昔、大昔からある魔導書から得たからなのね」
「えぇまぁ、適材適所といいますか。頼まれたからバイト的な感覚で召喚したといいますか。それはそれとして、あの頃の私からしてみれば、
しみじみと振り返るクロナ。それと対照的に、以外そうな顔の兵藤とグレモリー部長。それぞれ違う意味なんだろうが。
「他にもいんのか、この学園に? 」
「今朝のやりとりで俺はわかったぞ。支取会長だろ」
今朝のやりとり、それを根拠に発言する。
「正解。支取蒼那・・・、彼女も上級悪魔、クロナの言い回しに倣えば元七十二柱第十二位、シトリー家次期当主ソーナ・シトリーよ」
「マジっすか、すると、生徒会役員の連中は」
「支取会長の下僕、この場合は眷属悪魔か。それで、誰がどの駒なんだ? えーと、イーヴィル・ピースがチェスの駒と同じなら、王の次が女王。だから、オカルト研究部副部長もとい、リアスチームの
この時間だけで大量の知識と隠されていた裏の話で頭が混乱しかかっているのを、声に出しながら考える事でマッハで整理する。
「そこは追々という事で」
姫島に話を閉められた。
「それはそうとイッセー、いきなりだけど貴方に召喚の予約が入ったわ」
「なんでまた」
「平たく言えば、小猫に召喚の予約が2件入ったの、行けるかしら? 」
「・・・お願いします」
座ったままぺこりと一礼する塔城。
「バッチリです、行けます! 」
なんでかはしらんが気合い入ってる兵藤。グレモリー部長に何やら手の甲に入れて貰ったようだ、なんでも刻印らしい、リアス・グレモリーの眷属である証の。ついでに俺とクロナも。
「さすがに予約被りはそうそうないか」
で、姫島が転送用の陣を開き、兵藤が跳んで行・・・、けなかった。
なんだかよくわからんが、兵藤自身の魔力が転移するには全然足りないらしい。下手すれば子どもの魔力以下しか。まぁ、転移するのに当人の魔力がいるなんて初耳なんだがな。それで、直接行けないのならどうするかといえば・・・、
『・・・ちくしょー!!』
結局、自分の脚で自転車漕いでいったのだった。で、それを見送ってから塔城は跳んで行った。
「・・・」
「どうかしたのかしら奏司? 」
「いや、ちょっとな。(結局、兵藤はああだった訳だが、俺は大丈夫なんだろうか? まあ、クロナは大丈夫だとして。)・・・さて、気にした所でなるようにしかならない訳で。問題は、コイツの事だ」
気持ちを切り替え、俺は自身のセイクリッド・ギアを起動させる。・・・何度見ても派手だよなぁ、これ。中南米辺りの黄金文明の遺跡から出土でもしたのかってレベルだよ。それで、これの能力やら他のメンツのセイクリッド・ギアについてあーでもないこーでもないしているうちに、木場が喚び出されたり塔城が帰ってきたり。そうこうしているうちに兵藤が帰ってきた、・・・向こうに行っている間に発現させるような何かがあったんだろう、左手には手甲というか盾というかな真っ赤なヤツが。
「・・・ぱっと見、カブトガニだよなそれ」
「・・・そういうの、言わないでくれません? 」
・・・TO BE CONTINUED.
如何でしたでしょうか? 今回の話は、 地味ーに書いては消し書いては消しの難産でした。当初のプロット? すっかり忘れました。次の回ぐらいには奏司の初契約回に・・・、なればいいかなーぐらいの感じです。
それでは。