こんにちはこんばんは、861です。今回は、多少アレな要素があります。これでもかなりマイルドにしたつもりですが、どうなんでしょうね? それでは、どうぞ
第五話【初契約? とはぐれ退治】
「・・・ン、クアァーーっ。アンタら、これで満足か? 」
背伸びを一つ。周りは死屍累々。
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
「頼むからなんか反応してくれ、独り言みたいで虚しくなってくる」
死屍累々とは言ったが、あくまでもものの例えであり、本当に死体だらけという訳じゃない。ただ、ぐったりしているのが10人少々、という訳だ。ついでに、全員少女である。 で、ため息ついて、どっこらせと立ち上がる。ふと、気になる事が一つ。
「・・・ところで、一つ気になった事があるんだが。反応しろ、とりあえず」
端から返事を期待せず問いを一つ。どう見ても、返事を返せなさそうだからだ。
「・・・な、なんだ?? 」
反応したのは召喚者こと宍戸某もとい宍戸茜。
「普通、契約ってのは召喚者とされた側、サシで取引するモンなはずなんだが」
「・・・」
「で、アンタが俺を喚び出した
・・・そう、そうなのだ。時刻は俺とクロナがグレモリー部長の眷属悪魔になった翌日の夕方通り越して夜中。チラシ配りを片付けて部室に戻ると、召喚の予約が入っていた。しかもソロの。俺はまだゲートを開けないので姫島に開けてもらって跳んでいった。・・・兵藤よりはマシとはいえ、俺自身の魔力がかなり中途半端な量だったとはな。具体的には、到着したのが召喚者の真ん前ではなく全く知らん学校の部室棟の裏。とりあえず、召喚者はここにいるんだろうと部室棟に入った。そこからは手当たり次第にノックして中の確認。運が良いのか悪いのか、全然外れてばかりで誰とも会わない。そうしてたどり着いたのは、【チアリーディング部】と書かれた扉の前。ノックしてもしもーししたら、中からビックリしたような反応。
「・・・いや、まさか、ノックして入って来るヤツがいるなんて、な・・・」
「しょうがないだろ。着地したの、部室棟の裏だぞ裏」
「うわ、中途半端・・・」
「それでも転移出来るだけマシな方だ。同じぐらいの時期に眷属悪魔になった一個下の兵藤一誠ってヤツは、跳ぼうとしたらその場から一歩も行けずに、結局自転車漕いでいく羽目になったんだからな」
「・・・うわー」
同情するような、憐れみ混じりなそんな感じの視線複数。話してる横から反応しているのは主に後から来た組だったりする。
「そう言ってやるな。で、話を戻すんだがな」
・・・で、部室内に通されて俺は宍戸某とイロイロ致した訳なのだが、初体験的なのを。重ねて言えば、“俺、高島奏司の”ではなく、“召喚者、宍戸茜の”初体験である。文句を言うなら、わざわざ悪魔に純潔食い逃げさせた
「いや~、今日が練習休みなのを良いことに、わざわざ余所の学校から部室に男連れ込んでヤってるのかと思いきや、まさか宍戸先輩が“まだ”生娘だったなんて・・・、ねぇ」
「 う、うるせぇ・・・」
「・・・他人の睦事を覗き見るばかりか、こっちが声を掛けたのに便乗して貫通式の数珠繋ぎなんぞ始めたのはアンタらだろうに」
・・・この時ばかりは悪魔化して鋭敏になった五感が恨めしく思ったりした。・・・閉めた筈の部室の扉の僅かに開けられた隙間から、宍戸曰わくのチア部の後輩連中とやらが俺達の遣り取り諸々を覗き見していたのを気配というか、微かに漏れるひそひそ声でまるっきり俺にバレていたのだ。
「だって~、宍戸先輩から言って来たじゃないですか。
『頼むから、この事は言いふらさないでくれ』
・・・って」
「・・・で、コイツの口止め料替わりに何の因果かアンタら全員の相手する事となり、今の今まで以下省略、と。そりゃ、こうも真っ暗になるわけだ。それでもって始めは彼氏と勘違いし、続いて逆援交と誤解する。・・・どうせ、黙ってた所で仕方ないか。この通り、俺は悪魔だ。とはいっても、昨日眷属悪魔に転生したばかりの新人だがな。それでもって、
羽根をバサリと広げると、全員が目を大きく見開いた。
「・・・う、ウソ。私たち、悪魔と初体験シちゃったの・・・!? 」
「け、眷属悪魔に転生って何?? 悪魔ってホイホイ簡単になれるモノなの・・・?? 」
「それでその、聞きたかった事って、何? 」
「うわー!? どどど、どうしよう、危険日なのに勢いに任せてシちゃった!? 」
「まあまあ、落ち着けアンタら。大丈夫だ、その心配はない」
「「「「「「「「「「心配はない? 」」」」」」」」」」
「・・・実はさっきから、張ってたモノが一つあるわけだ、・・・今、落としたがな」
「さっきから? 」
「大雑把に言えば、避妊の魔術だ。さっきお前らに呪文無しで何かしたろ? アレだ。・・・なんでこういう、非攻撃系のばかり修得速いんだろうな俺は? 」
・・・掛けたタイミングは二回、宍戸との行為を始める時と、因果が捻じくれて外にいた連中の相手もする羽目になった時の2つ。
「あー、良かったー。だからえっと・・・、
「奏司。高島奏司だ。さっき言った」
奏司さんは宍戸先輩も、私たちも、その、遠慮なく全員一遍に愛してくれたんですよね? 」
・・・いい話っぽく纏めたのは、実質的な第二ラウンドの時に、真っ先に手を挙げた、ボブカットにお下げをぐるりと右回りで前頭部にまわしてカチューシャっぽく見える髪型にした、宍戸曰く、チア部の中じゃ影薄いとよく言われるという“
「・・・近藤先輩、真っ先に貪るように堪能した高島先輩と宍戸先輩のソースまみれのは美味しかったですか。 ですよね、余りにも美味し過ぎたから昇天しちゃったんでしたよね」
「う、うう・・・、言わないで和奈ちゃん」
淡々とした毒舌でバッサリ切り捨てたのは、ばっつりおかっぱの一年生こと【
「いいかげん本題に入るが、良いか? 良いな。反論は認めん」
「高島先輩、強引ー! 」
「喧しいぞ戸槻。というか、なんで俺は“先輩”と呼ばれてたんだ? 」
「・・・つい」
「いやー、なんとなく」
「・・・さて、俺はそろそろ帰るんだが。誰が対価払うんだ」
「・・・やっぱ、そうなるか。普通なら、アタシが払うんだろうな。召喚者の」
「それはそれでいいとして問題は・・・、アンタら第二ラウンド組全員、なんだが。こういう時、どうすればいいんだろうな」
“彼女”に連絡を取るため電話をかけてみる。暫く待つとようやくでた。
『・・・もしもし、私よ? 何かあったのかしら』
『もしもし、俺だ、奏司だ。悪いんだが、グレモリー部長に代わってくれないか? 』
『構わないけど、どうかしたの? 』
『契約的に、これはどうすりゃいいのかって、事態が発生したんだよ』
『そうなの、それじゃ、・・・リアス先輩、奏司が代わって欲しいそうです。 ・・・私よ。何かあったのかしら』
電話の向こうからクロナの声の代わりに聞こえてきたのはオカルト研究部部長ことリアス・グレモリーの声。
『大したことじゃないんだが、・・・召喚に応じ契約を履行したのはいいんだが、その後に更に複数、契約が発生する事になったというか、なんというか 』
『・・・んん? 分かりにくい言い方をするわね奏司。具体的には何だったの? 』
「何契約したか言ってもいいか、宍戸」
「誰に? 」
『部長、電話の向こうの相手が何者か、言う必要が発生したんだが、言ってもいいか? 』
『必要ならね。ところでアナタ、今どこにいるの? 』
『少なくとも駒王町じゃない。別の町の高校の部室だ。そっちこそ、今どこにいる? 』
『町外れの廃病院前、そう言えばわかるかしら』
『あれか。なんでまた』
『・・・大公から命が下ったのよ、はぐれ悪魔討伐のね』
『はぐれ悪魔? なんだその謀反人臭い名前は』
『言い得て妙ね、奏司。ざっくりと言うなら、己の主を裏切り、あるいは殺して主なしになった者の事をそう、呼んでいるわ』
『なら、さっさと戻らないとな。今、代わる』ほら宍戸、直接言え 」
「え、ええぇ・・・。も、もしもし』
それからしばらく、宍戸は顔真っ赤にしながらグレモリーに説明していた。で、結果としては、きっちりその場にいた全員に払って貰ったのだった。
「うー、想定外の支出だー」
「仕方ないじゃない、そういうもんだったんだから」
「全員だな、これで。さてと、さらさらさらり、と。はいこれ」
「なんだこりゃ、領収書? 」
「一応だ。そんなわけで、またのご利用、お待ちしております」
「何に呼べばいいんですか」
「・・・言ってなかったが、古い傷今受けた傷、何でも治してやるからな」
そう言って、俺は部室から立ち去った・・・。
「「「「・・・・・・・は?? 」」」」
そうしてこうして駒王町に到着。それから自分の自転車漕いで廃病院へ。漕ぎ具合が実に軽い軽い。あっという間に到着。中ではなにやらドタバタ音が。
「・・・仕方ないとはいえ、絶対なんか言われるんだろうな。それはともかく、何だアレ、ぶん投げてたの塔城、か? 」
廃病院内で
「遅いですよ奏司先輩」
「すまんな。それでグレモリー部長、何で塔城はアレ、ぶん投げる事が出来たんだ? 」
「それが、ルーク、戦車の特性だからよ」
「その言い方だと、同じルークの俺にも出来ると? ・・・来い、セイクリッド・ギア。 どれ、 せーぇの、どりゃぁー!! ・・・ふー、本当に出来たな」
「お見事です」
振り返ると、姫島がなにやらバチバチいわせている。サンダー的なのでも落とすのか?
「そしてクイーン、女王の駒はキング以外の他の駒の特性を持った最強の駒。うちの朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの」
「あらあら、うちの部長にお痛したイケない子には、お仕置きですわよ? さぁて、どれだけ保つかしら♪ 」
「ついでに言えば、朱乃は究極の“ドS”なの」
「「知ってた」」
暇そうにしていたクロナと声が被る。
「本日は、所により雷が降るでしょう」
某放送局のアナウンサーのように、淡々とした塔城。
「・・・うげぇ、朱乃さん怒らせないようにしよ」
はぐれ? を滅多撃ちにする姫島に、ドン引きしている兵藤。・・・だんだんはぐれ悪魔が可哀想になってきた。
「「・・・姫島(先輩)、もうその辺に」」
同じように考えてたのか、クロナとまた被る。更にグレモリーにも言われ、
最後は、グレモリーが滅し飛ばして戦闘終了。帰還と相成った。・・・ものの、俺への追及は回避不可能だった。
-interlude,side:??-
・・・リアスチームがはぐれ悪魔退治を完遂し、引き上げた少し後。こちらは駒王町とは別の町、敢えて言うなら先ほど奏司が召喚された町の、かなり外れの廃屋。本来、この手のは規制線の一つでも張られるのが自然なのだろうが、何故かそれがない。それどころか、無人の筈なのに中から音がしたり、入った奴相手に物が飛んできたりと、逆に心霊スポットとして有名なのである。まあ、怪奇現象の原因はこれまたはぐれ悪魔の仕業なのだが。そんな、物好きしか訪れないような場所の前に人影一つ。
・・・外見的には二十代後半から三十代前半。毛先の一番長い部分で膝まである栗色のロングヘアーに、切れ長な紫眼に右目尻の泣き黒子、群集に溶け込む為に着ていた焦げ茶色の女物のスーツを窮屈そうに押し上げ、はちきれそうな俗に言う“ボン・キュッ・ボンなナイスバディ。総合してみれば、街を闊歩しているだけで諸人は振り返らずにはいられない女王然とした長身グラマラス美女である。実際、何度かナンパもされた。とは言え、そもそも彼女は人間ではない。・・・旧七十二柱が第四十五位、ヴィネア家当代当主、ベアトリーチェ・ヴィネアである。さて、そんな彼女が何をしに来たかというと、身も蓋もなく言ってしまえば、廃屋に潜伏しているはぐれ悪魔? に無罪放免になったぞと伝えに来たのである。どのような事件を起こしはぐれもどきになったのかと言うと・・・、 時代劇やなんかで割とある、いわゆる仇討ちの類であった。ただし、はぐれ? が主の仇を討ったのである、誤解無きよう。最後に、
「・・・それはそれとして貴様、運が良かったな 」
「・・・は? はぐれ認定されなかったことが、ですか」
「それもあるが、私が先に来なかったら、手柄をあげようとバカ共が群れなして来ただろうよ、当然返り討ちだろうがな」
そんなやりとりをし、ベアトリーチェ女史は廃屋を出た。そのまま帰るのかと思いきや、しばらくぶらぶら歩き、
「(・・・さて、このまま帰るのもそれはそれでつまらん。たまには安酒引っ掛けて帰るのも悪くはないか。)・・・そこのお前、用事がないなら一杯付き合わんか? 」
「・・・なんですか、藪から棒に」
「おっと失礼、これは悪かったな、色々と」
-interlude:out-
いかがでしたでしょうか? 一応、表現をぼかしたりはしたのですが、私が良しと思っても、向こうがダメだと言われればそれまでなので、若干不安なのですが。
さて、最後に出てきた三人は、はぐれ(仮)以外は後ほど出てきたりします。元ネタまんまなんですが、わかる人はわかるでしょう。
それでは