17話
恋愛都市アイアイにきて、一週間が経過したけど。どうにも納得いかない展開になっているレイアです。
マサドラでカードを売りさばき無事に恋愛都市アイアイに到着した。そこで、危険度が低い街の為お互いにどちらが多くのカードを集められるか勝負する事になった。戦闘面でないイベントの為、ミルキと良い勝負ができそうだと思った…だが、甘かっのだ。
私は、アイアイにある学園に転校生として入学している。イベントの為とはいえ、なんで女学園に侵入しなければいけないのだ。本来ならば、性転換するアイテムを使うところなのだが…生憎とそんな指定カードはまだ持っていない。だから、女装して入学している。持ち前の容姿があれば大した問題でもないのが…喜んでいい事なのか悲しむべきなのか迷いどころだ。
このイベントは、一見簡単に見えるが容姿が残念な人は酷なイベントだ。顔や容姿を変えないと入学すらままならないのだからね。
会話が固定されているNPCから情報を集めつつ、順調にカードを集めた。中でも『黄金るるぶ』を手に入れられたのは僥倖だ。このアイテムは、幾人もの女生徒告白を受けないと手に入らない品物なのだ。
この一週間、本当に頑張った…勉強・スポーツ・委員会と学園で行う行事の全てに携わりそのどれにおいても一定上の成績を出さないとイベントが開始されなかったのだ。特に、水泳の授業などオワタと思ったよ。
だって、競泳用水着だったのすよ。相手に着せるのはいいけど、それを自分で着用するような変態的な趣味はないというのに…G・Iの製作者はどうも変態ばかりらしい。しかし、このイベントだけは色々な意味で焦ったが、前世で読んだギャグ漫画の『コツカケ』という技法が役に立った。蛇打といいやってみれば案外出来る物だ。
まぁ、そんな私の苦労話は置いておこう。
「今日から皆さんに新しい担当の先生を紹介します。短い期間になると思いますが、みなさん仲良くしてくださいね」
ほほぅ…なにやら新しいイベントが始まったようだな。入学して一週間が経過すると自動的に始まるといったところか。
教室の扉がガラガラと音を立てて開かれた。
部屋に入ってきたのは一人の男性だった。長身で長い髪を後ろで束ね、卸したてのスーツに身を包み知的な眼鏡を掛けたかにも二枚目と言ったイケメン教師だ。
………
……
…
まぁ、言わなくてもだれだかわかるよね。
「初めまして、今日から臨時で皆様の担当になる事になったミルキ・ゾルディックです。気軽にミルキ先生と呼んでください」
「「「「「きゃぁあああーーーーーーー!!」」」
「ぎゃぁーーーーーーー!!」
女生徒達の悲鳴と悲鳴が重なった。
まさかのミルキ到来だ…確かにこの街は狭いがまさかこのような場所で出会う事になるとは予想外だ。だが、ミルキがここにいるという事は指定カードを狙ってきたのだろう。恐らく、教師側からしか手に入らないカードがあるとみえる。
女生徒からの質問を丁寧に対応した後…ミルキが出席の確認をしだした。
順々に呼ばれ、私の番が来た。
何やらミルキが出席簿に書かれている名前と私の顔を何度も見比べている。そして何やら視線が少し下の方へ移った。
「あ〜あ〜目がぁ〜目がぁ〜!!」
突然、ミルキが目を抑えて叫びだした。あまりの出来事に何事かと思った。気がくるって、ムスカ大佐の真似事をしたくなったのかと思った。
もしかして、あの眼鏡はスケルトンメガネ!!
この街に来るまで持っていなかったというのに何処で手に入れたんだよ!! しかも、使い方がバカすぎて何も言えない。まぁ、女学園に男子がいる事自体想定外だったのだろうけどね。
とりあえず、私のかける言葉は一つだ。
「ミルキ先生(笑)。その素敵なメガネ私にも一つ譲って欲しいお」
「この状況下で渡さないわけにはいかないだろう。常識的に考えて」
誰もが一度は憧れる眼鏡の使い方だけど…男の服だけ透けないなんて都合の良い機能が無いのが玉に傷。きっとミルミルと呪文を唱えると某漫画のように消えるに違いがない。
さて…そろそろ、スペルカード組が全滅するころだろうし。アイアイでのカード集めを終えて早々にマサドラに戻るとしよう。
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同じ町にいるにも関わらずレイアのやつめ…一体どこでカード集めをしているんだ。
町で起こる大半のイベントを消化して、おそらく最後であろう女学園へと乗り込んだ。カードを使えば生徒として乗り込めただろうが…まぁ、その役回りはレイアを見つけた際に任せるとしよう。
さて…いよいよだ。
この日の為に、わざわざ別の町にまで行って手に入れたスケルトンメガネが火を噴く時だ。この眼鏡を考案した製作者に褒め言葉を送ってやりたい。いや、一人だけ無料で殺しを請け負ってやってもいい位だ。
教師から生徒まで全て女…実にけしからん学園だ。
いくらNPC相手とはいえ、好印象を与える為に頑張るとしよう。一体どんなイベントが舞っているか楽しみだ。
個人的には、教師と生徒の○○な関係的なイベントを所望する!!
教室の中に入ってみると見渡す限り、制服に身を包んだ女生徒ばかりで感動した。この中の何人かがイベントに関係したキャラだろう。オーラと容姿から判断するに…アホ毛の子とピンク髪の巨乳と金髪ロールとアルビノの四人かな。
「初めまして、今日から臨時で皆様の担当になる事になったミルキ・ゾルディックです。気軽にミルキ先生と呼んでください」
「「「「「きゃぁあああーーーーーーー!!」」」
「ぎゃぁーーーーーーー!!」
何やら悲鳴のような声も聞こえたが気のせいだろう。
その後は、質問攻めだった。
あらかじめ決められた質問をしてきているのだろうが…いかんせん、数が多くて一苦労だ。一通りの事を終えてから全員の出席を取る事にした。
・・・
・・
・
出席簿を見てみると…アルビノの美少女の名前がレイアとなっている。まさかと思い、名簿に載っている名前を実物の顔を確認した。
だが、この行動が命取りだった。
あろう事か…レイアの下半身を見てしまったのだ…この眼鏡で服が透けており 且つ 無駄に視力がいいのが災いした。
「あ〜あ〜目がぁ〜目がぁ〜!!」
見慣れたものとはいえ、他人の物を見るのは酷くつらい。折角、NPCとはいえ美少女で目の保養をしていたというになんという仕打ちだ。この世には神も仏もいないのか!!
「ミルキ先生(笑)。その素敵なメガネ私にも一つ譲ってほしいお」
私がもがいている原因に気づいたようだ。
「この状況下で渡さないわけにはいかないだろう。常識的に考えて」
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恋愛都市アイアイでの女学園イベントを終えてマサドラにやってきたレイアです。
「たった今、大量のスペルカードを入荷したところなんですよ」
そろそろだと思ってはいたけど、絶妙なタイミングだな。やはり、日頃の行いが良かったせいなのだろう。爆弾魔チームにある意味感謝しないとね。スペル系ではあるけど、一気にカードを大量に放出させてくれたのだからね。
「ミルキ様、予定通り買えるだけカードにしましょう。うまくいけば、スペルカード全種類揃えられるかもしれません」
「そうだな。この機を逃す手はない…限界まで買い込むぞ」
合点承知!!
この日の為に用意しておいた金を全額投入した。ゴンとキルアが手にする予定のレアカードを先に手に入れてみせる。どうせ、ゴンとキルアには主人公補正が掛かっている為 ここで手に入らなくても何処からか手に入れるはずだ。
「スペルカードの袋を売ってくれ」
「何袋でしょうか?」
「これで買えるだけ!!」
ミルキと私がカード化されている有り金をカウンターに置いた。カード枚数の上限の関係で金の預り所を何往復もしないといけないのがダルイ仕様だな。二人合わせて約1000万ジェニー近くの預金残だがある。無論、カード上限で消える物が沢山出るだろうが問題ない。私とミルキがスペルカードを限界まで持つことを目的としているのだからね。
さて…カードを買った後は、指定カード集めに各地を回りますか。
先ずは、ギャンブル都市の攻略必須アイテムであるサイコロを入手するところからはじめよう。
ギャンブル都市の倉庫にて。
暗い倉庫の中に私とミルキ、そして二人のみすぼらしい恰好をした男と今にも死にかけている男の計三名がいる。男二人は、抵抗できないように足を縛られカードも奪われて逃げ出すことは不可能な状態だ。
私一人ならば相手も逃げ切れるだろうが…生憎とミルキもいる以上、現状打破は絶望的だ。もっとも、フルボッコにした時点で既に名前も自白させているから変なそぶりを見せた瞬間、死ぬほど気持ち良い思いをさせてやる。
なんで、私たちがここにいるかというとギャンブル都市で荒稼ぎしたところをハイエナのごとく狙ってきてくれた人がいたからだ。三人組でそれなりにデキルお方だったようだけど、ミルキの実力を見誤ったらしいね。
それなりに出来る人達だったので、いくら殴っても「ブック」と言ってくれなかったらある事を練習している。生後一年にも満たない嫁に出来たのだ…私に出来ない事は無い!!
『記憶の兜』を使用して脳医学の本を読み漁った。今の私は、脳外科医のプロフェッショナルと言っても過言でないほどの知識を有している。まぁ、知識だけで実力はまだまだだけどね。
クチュクチュ
「バインダーを出す呪文は?」
「あっ…あ…ブッ…ク…あッあ」
その瞬間、男の目の前に一冊の本が現れた。
中のカードを見てみると指定カードは0枚だった。どうやら、残りの二人のうちどちらかが持っているようだね。とりあえず、指定カードはなかったけど使えそうなものを物色しておいた。
本来、ドン引きされそうな展開だが…ミルキの家庭事情的にこの程度の事では驚きもせず、平然と横で何かの図面を引いている。
「こいつは、ハズレですね。さて……どちらが指定カードを持っているのかな。あぁ、名乗り出ないでいいよ。今更、カードを無償で提供してくれるくれないに関わらず全員平等にゲームをクリアさせてあげるから」
「「うぅーーーうーーー」」
まだ、生きている男二人には口枷をしているから何を言っているか分からないが…多分命乞いなのだろう。人様を襲ってきておいて今更許してくれなど笑止!!
「そういえば、ミルキ様…先ほどから何の図面を引いているんですか?」
「俺の部屋の新しいレイアウトだ。なんせ、『金粉少女』『睡眠少女』『発香少女』を飾るんだ…NPCとはいえ、それなりの部屋を用意するのは当然だろう」
その考えはなかった…ミルキ、なんて恐ろしい子。
『金粉少女』でお金を稼ぎ、『睡眠少女』で睡眠時間をなくし、『発香少女』でストレス発散…まさにネオNEETじゃないか!!
「すさまじくロマンを感じる組み合わせですね。私も3枚のカードは決めていますが1枚以外は、まだ検討中です」
指定カードの枚数的に二人が協力すれば順番にクリアすることなど容易いからね。なんでプレイヤー一同はその事に気づかないのだろうね。原作でもうまくやれば、ゴンとキルアとビスケの全員が現実世界に3枚のカードを持ち帰れたというのにね。
「あ…そういえば、ミルキ様。『リスキーダイス』と『宝籤(ロトリー)』が結構余っていましたよね?」
「マサドラでスペルカードを買い漁った際からな。フリーポケットにかなりの数がある」
「じゃあ、この人達にやってもらいましょう。幸い、腕と口さえ動けば何とでもなりますから」
「名案だな。どうせ、死ぬ身だ…最後位役に立ってもらおう」
しばらくして、私とミルキのカードが増えると同時にこの世界からまた三名のクリア者が登場した。
そして、三人組の指定カードと『宝籤(ロトリー)』を多用したことにより現在の指定カード枚数が64枚!! 新参者のプレイヤーではあるが、この期間でこの枚数はそれなりにすごいと思う。
残りのカードも大体目星はついているし…もうすぐ、一回目のレイザー戦に向けてのメンバーが集合するだろう。その場に集まった人達からカードを譲渡してもらえればTOP連中に並ぶ事は間違いなし。