閑話?
レイアとミルキがゴレイヌを襲う少し前の事…
キルアと取引を行ってから約二週間がたった。
私とミルキは、現実世界で優雅に過ごしている。おかげで、私の皮膚も大部分が元通りになってきた。やはり、旨い食事にゾルディックお抱えの医者による適切な治療のおかげだろう。
本当に、ミルキにはいくら感謝しても足りない位だよ。
さて、余談はこのくらいにしておいてゲームも終盤を向けて私も本気で動かないといけないだろう。ゲーム攻略はもちろんの事、キメラアント対策をどうするかという事だがね。更に言えば、ゴンさん対策だ。正直、ゴンさんについては『賢者タイム』を使えば何とかなると思っている。子供の姿ならこの能力は、意味をなさなかったかもしれないが自らの念で強制的に成長してくれるのだからね。実に、有難い事だ。
だが、万が一ゴンさんに『賢者タイム』の効果が無い もしくは、効果を発揮しても強引に攻めてくる事も考えられる。その場合は、ガチ勝負になる事は必至。世界最強のネテロが自身より強いといったピトーを捻じ伏せるほどのパワーを持つゴンさんを倒せる手段なんてそう多くはないだろう。
だが、このレイアに抜かりはない!!
生まれてからピトーを手に入れる為に様々なケースを想定してきている。その中でゴンさんとのガチンコ勝負も想定している。一定の条件を満たせば私が勝利するという結果に終わるはずだ。
しかし、その為にはミルキに少しばかり協力を頼まないといけないな。先日、手を借りなくても大丈夫的な発言をしている手前少々気が引けるが問題なかろう。
「ミルキ様、少しお願いが…」
「ふむ、ちょうどいい。俺からも一つ頼みたい事がある」
読みかけの本を閉じてミルキが交渉を持ちかけてきた。
ミルキの方から頼みたい事も珍しいな…普段は、私が一方的に何かをしてもらったり、お願い事を聞いてもらっているんだがね。まぁ、そうでなくてもミルキの頼みは断れないんだけどね…普段お世話になっている手前。
「ミルキ様のお願いとあればなんでも聞いちゃいますよ。もちろん、私の出来る範囲で」
「この間の等身大の無駄にハイスペックな人形があるだろう?あれと同じタイプを二体程用意して欲しい」
無駄にとか止めて欲しい…せめて、夢やロマンや可能性を秘めたとかそういったポジティブな表現にして欲しい。
それにしても、あのタイプの人形を更に二体か…使用用途はもしかしなくてもアレかな?
「ミルキ様…生産性のない行為はどうかと思いますよ」
「ははは、面白い事を言うな レイアは…」
メキメキ
ミルキが私の頭を鷲掴みにして万力のように少しずつ力を込めてきた。
「イタタタタ ご、ごめんなさい冗談です…ミルキ様にそんな趣味がこれっぽっちも思ってません」
まぁ、嘘だけど。実は、かなりの確率でソッチの趣味があるんじゃないかなと思っている。ミルキの部屋を見れば誰だって疑いたくもなる。
「ゾルディック相手に空気を吐くかの様に平然と嘘をつく辺りがいい根性だ。褒めてやろう」
「あ、ありがとうございます」
何故ばれた!!
「念の為に言っておくが、俺用じゃない。レイアは、俺が副業でやっているアニメ会社を知っているな?」
「えぇ…そりゃ、原案からキャラクター作成まで私が担当しましたから」
元ネタは前世で見たアニメなのだけどね。私の作ったフィギュアも殆どがそれに関係している。
「なら、話が早い。実は、『魔砲少女 本気 ( マジ ) 狩る なのは』がかなり売れてな。今度、映画化する事になった。そこでだ!! 日頃、アニメを見てくれているファンの方に少なからずサービスをしてやろうと思って今に至る」
ちょ、ちょっと!! シリーズ物までアニメ化しているのは知っていたけどまさかコッチの世界でも劇場版とかマジかよ。しかも、劇場版の事なんて一切ミルキに話していないから完全オリジナルになる。
やべ〜、ちょっと見てみたい。
「ファンサービスを忘れないなんてすばらしい経営者ですね。それで…私に原作キャラの特殊仕様の等身大フィギュアを用意して欲しいと言う事ですよね。もちろん、作るのは構いませんが…あれ一体作るのに材料費がバカになりませんよ」
あのフィギュアは、最先端の医療機器等を惜しみなく使っているので一体の単価がべらぼうに高い。仮にもプロハンター稼業をやっている私が高いというのだからその値段はご想像がつくだろう。軽くマンションが買えます…それも都内一等地の超高級な。ミルキの財力からしてみれば大した事はなさそうだけど…映画化の売り上げ次第では採算が取れないと思う。
「レイアは、もっと自分の知識の価値を理解すべきだな。レイアが提供したアニメが一体どれだけ俺の財布を満たした事かを」
言われてみれば…G・I落札でも原作より圧倒的に金を持っていたよね。まさか、原作との差額分全てアニメで稼いだのか!? そうだとしたら、ミルキの商才が恐ろしい。殺人の才能より商人の才能の方があるんじゃないかと思ってしまうくらいだ。
「なら、遠慮なく作らせてもらいます。それで、作るのは主人公(なのは)とマジで狩られたライバルでいいんですか?」
「その通りだ。その組み合わせが一番人気だ。期待しているぞ レイア」
「ご期待にお答えいたしましょう ミルキ様」
今度の人形は、人工心臓を搭載して体温維持機能を付加しよう。目玉とか爪も医療用ではなくてiPS細胞を利用した本物を準備してもらって、限りなく人間に近づけてみようと思う。きっと、その方がファンの方も泣いて喜んでくれるだろう。
一応、得意な木彫りフィギュアも何体か用意しておいてあげよう。流石に、景品が2体じゃ少なすぎる。正直に言えば、最近木彫りフィギュアを作ってないから木に触りたいです。
「それで、レイアが頼みたい事とは?」
「実は………」
ゴンさん対策の為にミルキへある物を依頼した。
・・・・
・・・
・・
・
数分後。
「という物なのだけど、ミルキ様ならアレを搭載させる事も可能なのじゃないかなと」
「確かに、可能だ。元となる物もツテを使えば手に入るだろう。それにしても、製作費を度外した要求をしてくるな。協力するといった事を後悔するよ」
ため息をつくミルキの顔は、少し嬉しげだったのは気のせいだろうか。