タイトル:「魔砲少女 本気(マジ)狩る なのは」
原作:レイア
監督:Milky
シリーズディレクター:Milky
シリーズ構成:Milky
脚本:Milky
キャラクターデザイン:レイア
音楽:Milky
アニメーション制作:ボルビック
魔砲少女 本気 ( マジ ) 狩る なのは 前編
力を振う者は、力ある者に滅ぼされる。それは、まるで自然の摂理の如く避ける事は不可能である。ゆえに力とは残酷な物である。
何処にでもいる子供がある事をきっかけで町を…都市を…国すらも滅ぼせるかもしれない力を手に入れたらどうなるのだろうか。善悪の区別がはっきりと出来て、節度をわきまえた行動ができれば言うに越した事は無いが、それは非現実的であろう。
なぜなら、子供とは酷く残酷な存在だからである。
物事の善悪より己の意思を優先して行動するからだ。
それがどのような結果になろうとも———
この物語は、どこにでもいる子供が魔法の力を手に入れた…そんな何処にでもある物語である。
少し前までどこにでもいる普通の女の子だった。
きっかけは、些細な事だった。
だけどそれは、私にとって運命の出会いだった。
「なのは? まだ、起きているの? いくら治癒したと言ってもまだ傷は完全に癒えてないから休んだ方がいいよ」
「わかったの〜、おやすみユーノ君」
もう一人の魔法少女…私と同じ位の年の子だった。
だけど、負けちゃった。
ユーノ君は、こんな短期間で魔法を覚えてあそこまで戦える事がとってもすごいと言っているけど…それじゃダメなの。
勝たなきゃ意味がないの!!
勝負事で負けるのは誰だって嫌な事だが、高町家の中で自分だけ微妙に浮いた存在だったなのは にとってとても大事な事だった。一家全員が何かしらのエキスパートである異常ともいえる環境で育った なのは は、自分だけ何の才能もないただの子供で居る事に劣等感を感じていたのだ。
また、特殊な環境下で育った事で精神年齢は同世代の子供と比較して抜きに出ていた事も要因しているだろう。
そんな時に出会ったのが魔法だった。
初めて魔法を使った時から圧倒的才能を見せつけ、スポンジが水を吸う如く魔法知識を習得していった なのは は天狗になっていた。しかも、地球が滅ぶ可能性があるロストロギアというアイテムを集めて地球を救うという使命にも燃えていたのだ。
誰からも必要とされていなかった自分を必要としてくれて、自分の才能を見出してくれて、役に立たせてくれる!! なのは の暗い日常に光がさしたのだ。
そんな矢先に現れたのが、もう一人の魔法少女だ。最初は、友達になろうと友好的に話し合いをしたかったのにいつのまにか戦いになって負けてしまったのだ。しかも、自分が最も得意とする分野で完敗させられたのだ。
「負けるなんてイヤ………」
この時、なのは は決意したのだ。
私の存在意義を脅かすモノは———
数日後。
「相変わらず見事な腕だね なのは」
「えへへ、頑張ってるから」
黒い魔法少女に負けてから特訓が普段以上に特訓に熱が入っていた。
マルチタスクは勿論、遠距離魔法、設置魔法、魔法の精密操作など管理局の武装局員でも真っ青な位の訓練スケジュールだった。本来であれば、そのような無茶など意味をなさないのだが…これも なのは の才能だろうと僕は思う。
本当に凄い子だ。
魔法技術が発展していない管理外世界でこれ程まで才能に恵まれた子がいるとは誰が思うだろうか。魔法に目覚めた時点で分かっていたけど、現時点で僕が なのは に勝てるのは補助系の魔法くらいだろう。
「でも、気を付けてね。いつまた、あの黒い魔法少女がやってくるか分からないからね」
「うん!! 今度こそ負けないの」
なのは の訓練をする様子をみて僕は素直に感心した。
◇◆◇
勤め人が帰宅する最中、一人の少女とフェレットモドキが街中を歩いていた。
『みつかった なのは?』
『ううん、そっちはどう?』
ユーノ君と二人係りで町を探索するけど、なかなかジュエルシードは見つからない。
そもそも、こんなゴミゴミした街中で小さい石ころを見つけようとしている時点で難易度はルナティックだ。
もっと、簡単に見つける方法があれば……
<<ゴォオオーーーーー>>
街中に突風が発生して、雲行きが怪しくなり雷まで発せし始めた。
『なのは!! 相手は街中でジュエルシードを強制発動させる気だ。結界を張るよ!!』
『わかった』
そうか…そういう手があったんだ。見つからなければ、出来てもらえばいい。
あったまいい!!
結界が張られると同時にバリアジャケットに身を包んだ。
「今度こそ…今度こそ」
杖を持つ手には力が入り、胸の鼓動も心なしか早くなっている。
『ジュエルシードが見つかった。急いで急行して』
『任せてなの!!』
なのは は、心を躍らせながら大空へと舞い上がった。そして、もう一人の魔法少女を見つけると同時に戦火を切った。
◇◆◇
ピンクと黄色い魔法の魔法が縦横無尽に街中を交差し、周辺の建物を粉砕していく。
「くっ!!」
挨拶代わりに砲撃魔法、そして追撃するように追尾魔法。威力だけでいえば、私と同等…だけど、制御が甘いのは幸いだった。
しかし、先日の勝負からここまで成長をするとは流石のフェイトも予想外だった。
潜在的な魔法資質は、同じ位であろうが…彼女(なのは)の成長度を鑑みえると後数回、もしくは次の勝負でやられてしまうかもしれないと思うほどだった。
「話してくれなきゃ何もわからないんだってば!!」
なのは と名乗る魔法少女の砲撃魔法が迫ってきた。
すぐさま、バルディッシュに魔力を注ぎシールドを張る。
<<ミシミシ>>
「威力を殺しきれない…バルディッシュ!!」
シールドを張るが、その威力を殺しきれないと判断しすぐさま回避行動に入った。そして、なのは が放った砲撃魔法は地面に激突し、辺りを抉り取った。
本来であれば、倒壊した建物や抉られた地面を入念にスキャンすればある異常に気づけたのだが。この時気づけるはずだったが…ジュエルシードを前にして、更に なのは の激しい攻撃に対応するので手一杯のフェイトにはそれどころではなかったのだ。
非殺傷設定の攻撃で倒壊した物や地面は、結界魔法を解除した際に元通りになる。しかし、殺傷設定の魔法は結界魔法自体にも致命的なダメージをもたらし、復元を阻害するのだ。
もっとも、殺傷設定と非殺傷設定の区別を付ける事はいかに優れたデバイスであっても戦闘を行いつつ見分けるのは非常に困難。
なのは は、魔法専門掲示板で魔法についての運用を色々と学んでいたのだ。その中で、非殺傷設定と殺傷設定について論議をかもしれいる掲示板を好んで参照している。非常に高度な技術が必要だが殺傷設定の魔法の周囲を非殺傷設定の魔法で覆い隠すというAAAランクにも等しい技術がある。
この技術は、次元世界でもかなりメジャーだが…使用者に非常に負荷がかかる事や魔法力を無駄に消費するだけで使う者は皆無だ。そんな手間な事をするならば、最初から殺傷設定、非殺傷設定に統一して攻撃した方が遥かに効率的だからである。
よって、なのは の攻撃によって倒壊した建物などは、結界が解かれても完全には復元されない。復元率9割と言った感じになるだろう。だが、人間一人を再起不能にするには十分な威力である。
◇◆◇
「チッ!! 」
隙を狙った完璧なタイミングの砲撃だったにも関わらず、防がれた上に回避された。
回避のタイミングから間を開けずの追尾魔法が放たれた。
その数は、なのは が4個に対して6個だった。しかも、精密なコントロールされており縦横無尽に迫りくる攻撃に回避しきれず、シールドで防御するしかなかった。
だが、なのは は諦めずに攻めていった。
建物の死角からの攻撃に加え、近接でのゼロ距離砲撃など勝つためにあらゆる手段を尽くしたがそのどれもが回避され反撃を食らう結果になってしまった。
「フェイト!! ジュエルシードの確保を」
フェイトの仲間の使い魔の声を聴き、フェイトは封印されているジュエルシードに向かって空を駆けて行った。
や、やられた!!
相手を倒す事に夢中になり過ぎて本来の目的をお互いに忘れかけていたのだ。
フェイトの後ろを追いかけつつ、砲撃魔法を放とうと思ったが…それは出来なかった。射線軸上にジュエルシードがあったからだ。この状態で砲撃魔法を打てば、フェイトちゃんを倒せるかもしれない。だけど、それを行えば恐らくジュエルシードも失う事になりかねない。
魔法で攻撃ができないならば、この自慢の杖で叩き潰すのみと考えていたのだ。実家が基地外道場である なのは にとって手に持てる物は全て武器だとよくよく理解していたのだ。ただ…理解はしていたが、運動神経が全くない なのは にとってそれが実行できるかは別問題ではある。
そして、フェイトがジュエルシードの確保体制に入ると同時に なのは は全力で杖を振った。狙いは、フェイトの脳天であったが…慣れない事をやった為、目標がそれてしまいジュエルシードを狙うフェイトの杖をかち合ったのだ。
<<キュィーーーン…ドゥーーーーン>>
二人の魔力が干渉して、封印されてあったジュエルシードが再活動を始めた。稼働状態になったジュエルシードから放たれるエネルギーは凄まじく、近くにいた二人を吹き飛ばした。
「キャーーー」
吹き飛ばされるほどの魔力を味わって初めて理解した…アレに秘められた魔力は私の想像を超えていると。
「だいじょうぶ なのは」
「この状況をみて大丈夫だと思えるなら、病院に行った方がいいの」
解き飛ばされた衝撃で体のあちこちに擦り傷を作っていた。更に、レイジングハートまでも損傷しており、踏んだり蹴ったりである。
「ご、ごめん」
「わかってくれればいいの。それで…アレどうしようか ユーノ君」
活動状態に移ったジュエルシードを指差した。
流石のユーノ君も頭を悩ましている様子だ。
「「あっ」」
その時だった!!
フェイトが活動状態のジュエルシードを素手でつかみ封印を行い始めた。杖のサポートを行っていないという事は、恐らくレイジングハート同様にデバイスへのダメージが深刻だったのであると予想していた。
だが、これは好機だ!!
「ユーノ君…レイジングハートのサポートなしでディバインバスターを打てる方法を今すぐ教えて」
「え!! 何を言っているの なのは」
こっちは、ユーノ君が言っている事が理解できない。
敵対する魔法使いを倒して、ジュエルシードも封印できるかもしれない絶好の機会だというのに何を言っているんだ。
「お願いユーノ君!! 早く早く!!」
「そんな事いってもいきなりは無理だって…」
そして、そんな会話をしている最中、フェイトの封印作業が滞りなく終わり逃げられる始末。
この時、なのは は、いざという時に使えないユーノ君だなと思ったのだ。
リアルが忙しくて執筆が進んでいなかったので、以前投稿した物を再投稿。
この話は、三部構成くらいになる予定です。
時間がある時に、執筆するので気長に見てもらえるとうれしいです。