長いこと書いてなかったのでリハビリしながら><
第40話
あまり時間がたっていないはずなのに、なぜか半年以上の時間が経過した気がするレイアです。
そんなことは置いておいて、いよいよ本番か。この為に入念に準備をしておいた。後できる事は、時を待ち行動に移るのみだ。
しかし、最後になって痛恨の失敗があったのが懸念だな。まさか、王の名前がネテロ会長との戦闘前にばれてしまうとはね。だが、それによる今後の展開について知るすべもないので現状は予定通りに行動するだけだ。
………
……
…
いや、そういえば、討伐部隊全員の念能力についても既にばらしているから本当にどうなるか不安だ。まぁ、どのようになったにせよネテロ会長ならば自爆特攻で王だけは始末してくれるだろう。そうなれば、あとは何とでもなる。
討伐部隊の突入まで後5分、そろそろ時間だな。
「タマモ、デイーゴ殿……行きますよ」
タマモは当然私の命令に従うので今後の計画について話している。その上で、私についてくると明言してくれた。世界に喧嘩を売って勝てるはずがないと分かっている事もあるだろうからね。
そして、先日デイーゴにハンター協会の討伐部隊が攻めてくることを伝えたら…瞬時に国家情勢を鑑みて、『フィギュア達を連れて逃げる』と即答してくれた。デイーゴは、ハンター協会に捕まれば、今回の首謀者として間違いなく処刑されるだろうしね。だから、私の計画に乗ってくれることになった。
タマモは、師団長クラス最強のキメラアント。デイーゴは、王に傷を着けられる程の一流の念能力者。そして、G・Iアーマーに身を包み近代兵器で武装した私。戦力としては十分だろう…まぁ、ゴンさん相手ではこれでも不足だろうが、そこはすでに対応策は考えている。
「了解ですご主人様。………改めて伺うんですが、本気でピトー様を手籠めにするおつもりですか?正直に申し上げてご主人様の手に負える相手では」
「それに関しては、タマモ殿の意見に同意ですね。いくら、レイア殿が優れた造型師とはいえ、念能力者としては下から数えたほうが早い」
二人の意見はごもっともだ。
「そういえば、私の二つ目の能力をまだ教えていなかったね。私は、『賢者タイム』以外にももう一つ能力があるんだよ。操作系らしく対ピトー様の『自己強制証文(ねこのおんがえし)』という最低の能力がね」
『自己強制証文(ねこのおんがえし)』…それは、私が思いつく限りの制約を課して作り上げた能力だ。私の命をかけて作っただけあってその効果は絶大!! ミルキでもこの能力を行使すれば相手を永久的に拘束できると言ってくれたほどだ。
私は、肌に離さず身に着けていた一枚の契約書を二人に見せた。
ゾワゾワゾワ
その契約書から漂っているオーラは、もはや狂気といってもおかしくない。普通の人間がこれをみたら短い時間で気分を害し、気を失うほどの物だ。
「……これは、さすがにドン引きですねご主人様。掛けている制約もさることながら…これ、ピトー様が生まれる前からピトー様用に作っていますよね。ピトー様のような存在が生まれなかったら無駄死にですよ」
「何を言うかタマモ。だからこそ、対象を永久的に拘束できるんじゃないか。その程度の愛なくして私程度の能力者がピトーを手にすることなどできるはずもないだろう」
「なるほど愛ですか…わかりますぞレイア殿。かくいう私も童貞を失ったら死ぬという制約をしているからこそ得られたこの力。やはり、愛の力とは偉大ですな」
ガシ
私とデイーゴの中での友情が強固な関係になった。そんな友情を固めつつ、時を待った。
………
……
…
ピトーの円が消えた。
G・Iアーマーの手入れ、ナイフの手入れ、銃のメンテナンス、その他兵器一式の準備どれも完璧だ。同じくタマモもデイーゴも準備万端。デイーゴには、念で動かしている なのは と フェイト の人形が破損したとしても新しいのを用意すると確約もしておいた。これで十二分に実力を発揮できるだろう。
「さて、ピトーに契約書のサインをしにもらいに行きましょう」
「うまくいくか不安ですが、まぁご主人様の為に生まれたタマモ…最後までお供いたします」
「私とフィギュア達のため、必ずや生還しましょう」
良い心構えだ。では、出発しましょう…「嫁強奪作戦」開始だ。
討伐部隊の襲撃に合わせて、三人が一斉にコムギがいる部屋へと猛スピードで移動を開始した。
コムギがいる地点から50mほど手前にて。
予定通り、上空から無数の放出系の念が落ちてきた。石造りのこの王宮を複数階にわたり貫くほどの威力だ。あたればタダですまないが…あいにくこちらの能力者がそれに当たるほどノロマはいない。もっとも、私は若干掠ったが、この鎧のおかげで無傷!!
「ご主人様、ストップ!!」
タマモから呼び止められて、周囲を見渡すと…セイバーリリーのコスプレをした王とネテロがゼノの『龍頭戯画』によって運ばれる瞬間であった。一瞬、王の視線が我々に向いたが特に何も言わずに運ばれていった。
「あの人、強いですね。私じゃ、時間稼ぎしかできませんので先に行ってくださいご主人様」
「予定とは異なるが、一人じゃつらいだろう。私も足止めを引き受けよう。レイア殿はピトー殿のところに」
………
……
…
何を勘違いしたのか、この二人が死亡フラグを大量に建築している。とりあえず、誤解を解くのが先だろうと思う。万が一、こちらから手を出せば流れで戦闘に…なんてシャレにならん自体になるだろう。
ゼノもこちらを確認し、いつ戦闘になってもいいように準備万端のようだ。
「二人ともストップ。大丈夫…あの人は、討伐部隊じゃない。お久しぶりです、ゼノ様。こうして直接お会いするのはヨークシン以来でしょうか」
私は、ヘルメットを脱ぎ挨拶をした。もっとも、相手がこちらの顔を覚えていなければ意味はないが、ゼノは以前にも私の事を覚えていたので今回も大丈夫だと信じている。
「なんじゃ、お主か。相変わらず、変な場所であうの〜。まぁ、こちらとしてはタダ働きせずに済んだのだからよかったわい。………それで、どちら側なんじゃ?」
ズゥン
キメラアント側か人間側かという質問なのだろう。それにしても、すごいプレッシャーだ。答えによっては、私たちを暗殺の対象とみなすということなのか…タダ働きが嫌いなゾルディックが!?
「しいて言うなら中立です。私は、ピトー…あの塔でコムギという女性を治療しているキメラアントを手に入れるためにここまで来たのです。それ以上でも、それ以下でもありません」
………
……
…
「全く、ミルキの周りには、変態しかおらんのじゃろうな。まぁ、頑張りたまえ。お主が死んだら孫が悲しむからの」
あら、ミルキ様って実はツンデレなのか。
「ありがとうございます。事が済んだら、挨拶に伺わせていただきます」
「急ぎましょうご主人様!!」
早々にこの場を立ち去ろうとした際に、ゼノがぼやいた。
「王の服は…反則だろう。あれのせいで死にかけたわい」
「良い服だったでしょう。自信作なんですよ」
「見てるだけでSAN値が下がったわい」
よいノリのゼノに頭を下げて、ピトーが待つ部屋へと足を運んだ。
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この年になってまさか、挑戦者になろうとは思わなかったが…それ以上に、儂が惚れてしまうとは思いもせなかったわい。
これが、一目惚れというやつなんじゃろう。
信じられないかもしれないが…儂は王に惚れてしまった。オーラの美しさ、美しい肉体…長い人生で色々な女性を見てきたがこれほど素晴らしい女性は見たことがない。それを引き立てるような衣装。どれをとってもまさに至高である。若干、筋肉質だが些細な問題だ。
わしの愛の前では、その程度障害にすらならぬ。
あまりの見惚れてしまい王をドアまで素通りさせてしまい失態を犯してしまった。ゼノも同様なミスをしてしまうとは…。
なるほど…ゼノも王相手に惚れてしまったのだろう。傾国の美女といっても過言じゃないからの。
この時、ゼノが別の意味で思考が停止していたことにネテロは気づくことはなかった。
「依頼主たちには悪いが…手足をもいで動けぬようにするかの。後、監禁場所の手配もせねばなるまい」
この衝撃的な出来事をレイアは知ることはなかった。
会長がガチで惚れてしまった…誰得な展開に@@