第55話
ゾルディックからハンター協会のお膝元にある大病院まで移動するのに、無駄に時間が掛かってしまった。というか…一つ星のライセンスを貰った時に実家に寄っていれば、こんな自体にはならなかっただろうに後悔の念が押し寄せる。
「それにしても、なぜか周り視線が気になりますね。主に胸元に」
「………そうだニャ」
ピトーは自分の胸元を見てみた…ペタン。
タマモの胸元を見てみた…ボイン。
これが格差社会!!
タマモの服装は際どい和服であり、胸の強調するような服装である。そして、見た目も美少女である為、必然的に死線を集めるのだ。
無論、ピトーも負けてはいない。チャーミングな猫耳に尻尾、そしてメイド服を完璧に着こなしおり絶対領域にも隙がない。上品な物腰が更に気品を漂わす。これで注目を集めない方がおかしい。まぁ、タマモのように胸元に視線が集まることはないが。
「胸なんて大きいと肩はこるし、邪魔なだけなんですけどね」
「その喧嘩買ったニャ!!」
「えっ!! ど、どうしてそんなに怒るんですか!?」
目の前で持つ者と持たざる者の不毛な争いが繰り広げられようとしていた。正直、面白そうだから放置してみても良かったが、両親が入院している病院で暴れる事を許すはずもあるまい。
「そこまでだピトー。タマモも悪気があったけじゃないさ。大丈夫だ、私は二人を愛しているよ。ピトー、タマモの順で!!」
「……(ポ」
「私が、二番目ですね。ならば問題ありません!! 」
明確に順位付けする事でピトーのストレスもスッキリなくなったようだ。照れくさそうにしているピトーの動作がまじでカワユス。
やべ…この場で押し倒したい気分をぐっっと我慢した。
ジドー
実に不愉快な視線が私を貫く。病院と中で美少女二人に迫られてラブコメもどきを披露してれば仕方ないとも言える。だが、ピトーの方はせっかくのいい雰囲気に邪魔がはいったと思い、気が立っている。
「黙らすかニャ、ご主人様」
「本気でやめて…ここの看護婦さんたちを再起不能にするのは、流石にまずい。両親が世話なっている病院だし荒事はごめんだよ」
そんなやり取りをしつつ、やっと両親がいる病室に着いた。予想通りでは、あったが大部屋で両親の他に複数人の患者がそこにはいた。部屋の患者は、皆が同じ様な生命維持装置を付けられている。
偶然にしては、出来すぎていると思う…バイオテロにでも巻き込まれたのではないかと思った。
ベッドに横たわる両親を見て、自分の不甲斐なさに泣けてきた。大事な時にそばに居られないなんて…なんて親不孝者なのだろうと。
両親の容態を診る。
「体温、脈拍、心拍数も正常値。若干、移れているのは点滴しか受けれていないからだな。……ピトー」
ピトーの念能力が発動した。
入院しておいて極めて健康状態というのもおかしいが、全くもってそういう状態である。薬物による昏睡の可能性を考慮して、ピトーに診断にしてもらおう。ピトーの能力ならば対応可能であろう…万が一、念による昏睡ならばミルキ様にお願いしてヒナを貸してもらおう。
「う~ん、これはボクには治せないニャ。正確に言えば、どこにも異常はなかったニャ」
「ピトー様、念で攻撃された可能性はありましたか?」
「ないニャ。念や物理的な要因で昏睡状態になったのではなく、精神的な負荷による昏睡の可能性が高いニャ」
ピトーの診断で間違いないだろう。私も、その可能性が一番高いと思っている。しかし、一体どのような精神的負荷が掛かったというのだ。この人数相手に? 年齢層も性別もバラバラだぞ。
『今、世界規模で謎の昏睡状態に陥る方が急増しており、政府はこれに対応すべく原因究明と患者の治療に全力を尽くす事を決めました。この症状は、一週間程前から世界的に広まっております。人によって昏睡期間は、まちまちで…すぐに目を覚ます人も居れば、未だに昏睡状態に陥っている人もおります。皆様、どうかご近所の方の安否を確認してください。そして、昏睡状態になられていた場合には、すぐに救急車を呼んでください』
大部屋に備え付けられたテレビから、今回の昏睡状態が世界規模で起きている事がつげられた。
………
……
…
や、やばい。何か今回の事で心当たりがあるぞ。
「い、一週間程前で…」
「精神的負荷ですか…ま、まさかですよね。ご主人様」
「その、まさかしかないと思うニャ」
ピトーとタマモがまるで犯人はお前だという目で見てくる。
やめて!! まるで、私が悪いみたいじゃないか。違うんだ!! 全面的に無実とは言えないが…あれは王が勝手にカメラの中に入ってきたんだよ。
全ては…王が悪い!!
そして、私が作った服が似合いすぎるのがいけないのだ。そのおかげでどれだけのSAN値の犠牲者が。
「………はい、すみません。犯人は私です。だけど、犯人も悪気があったわけじゃないと思うんだよね。初犯だし、情状酌量の余地は十分にあると思うんだよね」
「それで、どうするニャ?聞いたところ自然に目を覚ます可能性もあるみたいだけど…」
「ですが、私達のご主人様は大人しく待つはずなんてありませんよね」
二人共よくわかっているじゃないか。そうだよ!!
両親が昏睡状態なのだぞ!! 希望的観測で自然回復を待つなんてできるはずがない。世の中には、あらゆる病を治すという便利なアイテムがあるのだよ。
「当然だ!! 両親を回復させる為にふたりの力が必要だ…手伝ってくれるな」
「未来の両親を助けるのは当然だニャ」
「ですよね。私も同感ですよピトー様」
いいこと言うじゃないか。
「では、向かうとしよう世界一難しいと言われるゲームの世界へ」
だが、その前に両親に個室と専属の医師と看護婦の手配をしておくとしよう。私達がいない間に万が一の場合あると困るからね。
『副会長様ですが、実はお願いが………』
最高の治療を約束してもらうために、早速、副会長にお願いをした。無論、代わりに新規で彫刻を作る事になったが両親の為なら安い物だ。
G・I参加メンバーは、誰にしようかな@@
レイア・ピトー・タマモは確定です。他のメンツもお楽しみに。
次回、ネテロの小話を少し混ぜる予定。
例えば…オーディションとかね!!