第56話
両親の昏睡状態を治すべく、グリードアイランドまで『大天使の息吹』を取りに行く事を決意した。
クリア報酬が三枚だから、二枚は『大天使の息吹』で決まりである。残り一枚は…まぁ、後々考えよう。今回も前回同様に、クリア直後に上限カードに余裕が出た瞬間にコピーで必要なカードを増やせば参加メンバー分全員で仲良くクリアできるだろう。
最短で且つ最速でクリアすべく、カードの入手順番などを入念に計画しつつ、ゾルディック家まで戻ってきた。
「という訳で、ミルキ様~G・Iアーマーとグリードアイランド貸して~」
ミルキの部屋を訪れてみれば…以前同様にフィギュアやオタクグッツが山のようにある。しかし、全てガラスケースに入っており部屋自体はとても綺麗になっている。
しかも、見るからに高価な仕事机とパソコンが複数台稼働しており、ディスプレイが何個もつながっている。まじ、お仕事が出来る人という雰囲気がバリバリである。事実、忘れがちだが…ミルキは世界屈指のアニメ作成会社を社長であり、テレビ局の筆頭株主…他にも色々とビジネス展開をしている。
ノリの効いた高級スーツを着て、超エリート実業家を絵にしたような人物である。
……ただし、中身は変態で、殺し屋というギャップが激しいがね。
「ゲームソフトは、そこの棚にしまってあるから好きに持っていけ。G・Iアーマーは、損傷が予想以上に酷かったから製造元で修復中だ」
「えっ!? それって、ミルキ様と私の両方とも!?」
「あぁ、そして更に…今回、俺はグリードアイランドには行かないぞ。正確には、滞おっている仕事を片付けないといけないからな。あまり放置すると、社員が路頭に迷うことになる」
ミルキという戦力をかなりアテにしていたが…完全にこちらの都合でミルキを連れ回すのは、非常に申し訳がないことである。幸い、ピトーとタマモの二人は連れて行くので身の安全は確保できるだろう。この二人を相手に勝てる存在がグリードアイランドにいるとも思えない。
「分かりました。ミルキ様と一緒に遊びたかったですが…そういう事なら諦めます。攻略は、ピトーとタマモと勧めますね~。ですが…レイザー戦だけは、どうか手伝ってください」
ズサーー
プライドも何もない…土下座外交である。
レイザー戦については、人数が揃わないとどうしても攻略ができない。ミルキ様の能力ならば、レイザー戦では無敵に近いだろう。狙った攻撃が当たらないのだ…レイザーのボールに超ゴンさん程の豪腕に匹敵する威力があるとおもえない。
「いいだろう。その程度ならば手伝えるだろう」
「ありがとうございます。それでは、ゲームソフトを拝借しますね」
ミルキよりグリードアイランドを拝借し、部屋を立ち去った。
前回と違い…原作知識などがない以上、慎重に行動しないといけないだろう。相手の名前もわからない以上、『賢者タイム』も使用も難しい。
私室にて。
「え゛!? ご主人様、生身で行くんですか!?」
「だって、G・Iアーマー修理中なんだもん。戻ってくる予定は未定と言われたから、生身で行くしかないじゃん」
前回の生身で行っていたのだ…大丈夫だ 問題ない。しかし、そんなに生身の私は頼りない存在なのだろうか。確かに、周りのキチガイレベルの念能力者が多いから見劣りすると思うよ。爆薬、化学兵器、細菌兵器で武装した私は簡単には殺られないぜ。
ゾルディックの武器庫には、ロマンが詰まっていて最高だ。
表向きにはゲームの世界だ!! 化学兵器や細菌兵器を使用しても問題あるまい。
「まぁ、ご主人様が僕等から離れなければ問題無いニャ」
「そうそう、自分の力量はしっかり把握しているつもりだから大丈夫!! 決して前には出ない!! 戦闘は、全部二人に任せた。……それで、二人共私が用意した攻略本は覚えたかい?」
カードの入手方法から使い方。カードの奪い方やカードを使った戦闘方法について纏めた物である。カードは使い方次第で、我々を分断すらできる。その危険性を排除するために事前に覚えさせたのだ。
「完璧だニャ」
「完璧です」
いい返事である。それでは、早速ゲームを始めよう。
コンコン
ゲームを始めようとしたその時、思わぬ来訪者が部屋にやって来た。
「ちょっといいかな」
「どうぞ どうぞ キルア様。タマモ、お茶をお出しして」
ピトーは、すぐにでも動けるようにキルアを警戒している。タマモもキルアの背後を取らせるためにお茶を持ってこさせると見せかけて移動させた。
今まで引きこもっていたキルアが突然私の部屋を訪れたのだ…可能性が一番高いのは、ゴンの仇討である。キルアを亡き者にするのは、戦力的に難しくはないがそれが出来ない理由がこちらにはあるのだ。
ゾルディックの巣穴でそんな暴挙に出られるはずがないだろう。
「随分と警戒されてんな俺。安心しなゴンの仇討とかじゃねーよ。確かに、最初はあんたを殺してやりたいと思っていたけどさ。だけど、ゴンがあんな事になったのも少なからず俺にも原因がある。それに、命も助けられているしな」
ゴンと違い随分と話のわかるできた子供だな。まじ、爪の垢でも飲ませておけばよかったよ。
だが、キルアはそう言っているが…私を恨んでいる事は間違いないだろう。今回の一件はゴンに非があるとわかっているだけ強く出られないでいると見える。理性で感情をガチガチに押さえ込んでいるが、いつ爆発するか怖いな。
「それで、何が目的でいらっしゃいますか?」
キルアがそんな事を言うために私の部屋に来たとは到底思えない。腹を割って話そうじゃありませんか。
「あんたのそういうところ、分かりやすくて嫌いじゃないぜ。グリードアイランドに行くんだろう?俺も連れていけ」
グリードアイランドにキルアが!?
余りにも予想外の回答にキルアの真意を考えた。グリードアイランドの報酬であるカードを使ってゴンの蘇生が可能か考えた。無論、カードを組み合わせて使用した場合もだ。
………
……
…
「どのような使い方をしてもゴンは、蘇生できませんよ」
「知っている。ただ…ゴンに手紙を書こうと思うんだ」
キルアの目的は、『死者への往復葉書』であった。死者と手紙のやりとりができるグリードアイランドにしかないアイテムである。一瞬、そんな物の為にと思ったが、キルアの様子を見る限り本気なのだろう。
その為ならば、私と組む事も厭わないと見える。
「分かりました。一緒にグリードアイランドに行きましょう。言っておきますが…私は弱いからしっかり守ってくださいよ」
「その二人を連れて行くのに守る必要ねーだろ。まぁ、戦力を考えればこちらが世話なる身か…死なねー程度には守ってやるよ」
「それでは、これからよろしくお願いしますキルア様」
私は、キルアに利き腕を差し出した。
無論、握手をするために差し出したのだが…キルアは戸惑っている。キルアの中では、レイアは極悪人に近いポジションでそんな野郎が握手など差し出すはずがないと先入観で思っていたのだ。
全くもって誤解である。レイアは、人生においてなるべく敵を作らないように日々努力しているというのに。
「あぁ…こちらこそ」
ガシ
ここにグリードアイランド攻略のレイア・キルア同盟が結成された。
だが、グリードアイランドでよからぬ陰謀を企てている連中がいることをレイアは知らなかった。
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全く、ゾルディック家を使って雲隠れをすると思いきや、こんなミッションを持ってくるなんて何を考えているんでしょうね。
「ネテロ会長より、我々十二支んに新たなミッションが与えられました」
集まった12支んにパリンストンが代表として説明を開始した。会長に選ばれた者達だけあって、全員が超一流の念能力者である。そんな連中が一箇所に集まれば空気も重たく、一般人なら息をするのも困難だろう。
「アリの討伐に行ったと思ったら、雲隠れして、今度は俺らに仕事か…最近のハンター協会はどうなってるんだ」
「まぁ、サッチョウさんの言うことも分からないでもありません。ですが、今は会長からのミッションです。内容は実に簡単…とある女性をトップアイドルに仕立て上げることです」
その場にいた誰もが聞き間違いだと思い。耳を掘じったりしている。無理もない…最初にこの話を効いた私ですら再度確認をとったくらいだ。
会長が言うには、とある少年に確認したところこの女性をトップアイドルにするのは簡単だと言い切ったそうだ。しかも、一年でその座につけてみせると。
12支んである我らがそれより劣る事はあってはならんとお達しでもある。
「皆さん、これは紛れもない事実です。残酷な現実を受け入れてください。では、その女性の最新映像が届いております…心して見てください」
この場にいる誰もが大型のディスプレイに目が釘付けになった。そんな中、パリンストンのみが真っ黒なサングラスをつけている。サングラスがなければ即死だったという名言がここから生まれる事になる。
そして、ディスプレイが着いた瞬間…チードルが最初に「アバババババ」と言いつつ白い泡を履いて倒れた。そして、次々とダウンしていった…中には、自らの念能力で自分自身を攻撃して正気を取り戻そうと試みる者もおり…大混乱になった。
「だから言ったでしょう。心して見てくださいと……さて、会長が言っていた少年と連絡と取って抜け駆けしますかね」
狂気に満ちた会議室で一人お茶を飲むパリンストンがいた。
レイアの事をよく知れば…両親思いの善人だとわかってくれるはず。
そして仲良くなり、ゴンポジションがレイアにw
レイア「全ては計画通り!! ゴン君…君の役目は終わった。あとは、私が引き受けよう」
PS4を発売日に購入してきます!! たが・・・欲しいゲームがないぞorz