1話
① 諸々あって退院後に施設に入寮
② 施設の管理人はすごい善い人で、子供たちも慕うお婆さん
③ 施設も良い所だけど、お婆さんの善意で建ち上げられた施設のようで、ちょっと貧乏
④ 入寮翌日に施設の前で拾った宝くじをお婆さんにプレゼント
⑤ 夜くらいにお婆さん凄い驚いた後、何故か困り顔
⑥ ⑤の直後に昔、施設の世話になって社会人になった先輩が困り顔で訪問。お婆さんに何か相談してた
⑦ 泣きながらお婆さんに感謝しながら宝くじを握って走っていく先輩、お婆さん曰く「これも神の思し召し」
⑧ 倒産寸前だった先輩の会社がV字回復、出す企画全てが大成(ry
以上、テンプレで施設に座敷童が現れたお話です。
もういっそ、『テンプレで施設に座敷童が(ry でもいい気がします。
とりあえず、入寮して3ヶ月で施設の管理者がお婆さんじゃなくて先輩になってました。で、お婆さんは気兼ねなく子供たちの世話だけして欲しいとなって、施設のリフォームとか人員の増員とかを全部先輩がやってくれます。
私が入寮した途端の激変ですが、お婆さんは笑いながら頭を撫でてくれるだけです、先輩は何度も頭を下げてくれます……普通、ここまで都合の良い展開が連続すれば不気味に思われても仕方ないんじゃないですかね。
「まぁ、いいか……幸運高いおかげだろう。て言うか命君が復活できたら即、ここの施設に入ってもらおう」
本当に良い人なんです、お婆さんも先輩も。育児放棄と虐待で親の愛を知らなかった命君も此処なら幸せになれるはずです。
……ただ、申し訳ないのは技術はあっても材料が無いせいで命君の身体を創ることが出来ないことです。
ですが、小学校への進学を期に、材料の調達にも目処が立ちました。
この施設の子供は近隣の公立小学校に通うのが慣例だったんですが、先輩の支援で私立の小学校や初等部への進学が可能になりました。
勿論近隣の処だけですが、その中に通学バスで大きな橋を渡って通うことが出来るマンモス学園があります。
この世界で最も巨大な学園、『麻帆良学園』です。
どうやら、私が転生したのはネギま!の世界のようです。
時節的に大戦は終わってるでしょうし、原作が始まるのは私が14.5歳……原作3-Aの面々と同い年になるんでしょうね。
これが分かれば材料の調達方法も分かります。魔法世界ならば様々な材料が調達可能でしょう。
ならば、魔法世界へ関わる術を手に入れるのが大切で。
草木も眠る丑三つ時、私はステータスを『魔法使いモード』に切り替えて施設の裏手に立ちます。
ちなみに、ネギま!に習ってギルさん主体でエミヤ・ランス風味のチートボディを『魔法戦士モード』として、研究や道具作成などに特化したチートを『魔法使いモード』にして使い分ける事にしました。
こんな感じです。
CLASS キャスター
筋力 F 耐久 E
敏捷 D 魔力 A+
幸運 B 宝具 EX+++
クラス別能力 【陣地作成】:A
【道具作成】:A
保有スキル 【黄金律】:A
【魔術】:C-
【ルーン】:B
【金羊の皮】:EX
【高速神言】:A
宝具 【破戒すべき全ての符】
【十二の試練】
【王の財宝】
ぶっちゃけ【道具作成】の能力さえ使えれば良いんで。基本は変わりませんけどね。
ただ、知識が足りないのが痛い。設定資料では保有スキルとして【魔術】を持ってるのがエミヤだけなので……まぁ、召還するサーヴァントに補ってもらうつもりだから良いですが。
えぇ、チート性能だけで研究なんてしたこと無い自分が命君の身体を創ろうと思えば何年かかるか知れません。ここはプロに活躍してもらいましょう。
【金羊の皮】と、【破戒すべき全ての符】、投影した【破戒すべき全ての符】、ついでに【破戒すべき全ての符】の原典を四角形を作るように配置します。
既にルーン魔術で人避けの結界と防音の処置は済んでますので、後は召還するだけです。
これだけの縁の品を揃えて彼女が召還されないはずもないでしょう。【金羊の皮】で竜に纏わる英霊が召還されないかはちょっと心配ですが。
残る問題は召還の呪文です。聖杯云々は神様がどうとても整合つけてくれてるでしょうから気にしない事にします。
あの長々とした呪文はZEROで読んだんですが、さすがに全文は思い出せません。Fate本編のプロローグで遠坂が召還してた呪文なんて遠い昔の話で有ったかどうかすら覚えてません。
満たせ満たせとか閉ざせ閉ざせとかあった気がしますが……
「まぁ、いいです……切嗣が呪文自体はさほど重要じゃないとか言ってた気もしますし、その辺りは神様(ご都合主義)が何とかしてくれるでしょう」
辺りを見渡して人気がないことを確認、うっかり回避のために再度ルーン魔術で人避けと隠匿の結界を構築。
意識を集中して気持ち、魔力を手の甲の令呪に集中させ、詠唱を開始する。
「満たせ満たせ満たせ閉ざせ閉ざせ閉ざせ……え、英霊の座に在る神聖で偉大なる私の使い魔よ!私の召還に応えなさい!」
後半、別のゼロになりました。
と言うか無理、さすがにZEROの呪文の内容を即興で思い出すなんて不可能です……よく考えたら考察サイトとかを深く読み込めば見つかったかもしれませんが……
これでガンダールブなんて召還された日には即効で計画破綻ですが。
果たして、私の眼前には目深にフードを被った紫色の魔術師が顕われます。どうやら目当ての英霊が召還できたようです。
「……坊や、まさか貴方が私のマスターなのかしら?」
肉体年齢的には5歳の私を見下ろして信じられない物を見る目をするサーヴァント。
魔術のパスはちゃんと繋がってます、魔術師の英霊である彼女が分からないはず無いんですが……まぁ、普通は子供が英霊を召還すれば驚きますか。
「その通りです、神代の大魔術師よ、私が貴女のマスターです。私が収集した触媒に誤りが無ければ……私はキャスターのクラスとして最高位の魔術師メディアを召還した筈ですが」
キャスターは視線を足元に向け、眼を見開きます。
まぁ、自身が誇りとする宝具が3本……内、1本は原典で、1本は贋作……も転がってれば目を疑うのも当然でしょう。
ともあれ、この隙に私自身のクラスをキャスターからセイバーに変更します。裏切りの魔女を相手にするには【対魔力】は必須です……ある程度の信頼さえ築いてしまえば意外と友好的だと思うんですけどね。
「……何者かしら、坊や」
「あなたのマスターですよ、さてキャスターさん。まず第一に令呪を持って命じます」
手の甲の令呪の一画から強い魔力と光を発します。令呪は3度と言う回数の制限がありますが、端的な内容であれば絶対的な命令権を有するマスターとしての切札。
コレの使い方は重要です。キャスターを召還すると決めてからずっと、使い方については考えていたのです。
「聖杯戦争システムとは別ラインで朱雀命と魔力のパスを繋げなさい」
何となく魔力の流れが変わった気がします。総量は変わってないんですが、支流みたいのが出来た感じでしょうか。
「……坊や、あなた、何を考えてるのかしら?」
連続する在り得ない事態にキャスターは警戒しながら困惑気味です。まぁ、宝具を触媒に召還……それだけならまだ納得できだとしても、何故か3本……したのは5歳の子供で、切札である令呪を訳の分からないことの為に使って
「続けて第二の令呪を持って命じます」
二画目が光と魔力を発します。さて、ちゃっちゃと行きますよ。
「朱雀命から令呪を奪いなさい」
キャスターの目が驚愕に彩られ、直後には私の手の甲から令呪が消え失せます。さすが魔法使いクラスの魔術師、令呪のサポートがあれば大概の出鱈目も出来そうです。
「令呪とは別の魔力のパスがありますので、支障は無いと思いますが如何ですか?」
ゆっくりと、キャスターが自身の手の甲に刻まれた、一画光を残す令呪を見ます。
最早、困惑を通り越して混乱した様子のキャスター。
「……坊や?」
「ええと、既に令呪は私の手元には無いんで絶対命令権は無いんですが、一応3個目の命令……と言うかお願いです、その令呪で新たなサーヴァントを召還してください。一応お勧めの騎士がいて、触媒もすぐに用意るんですが」
正直色々と迷いますけどね、キャスターの趣味的には腹ペコ騎士王様が良いんですが、騎士王様は聖杯が無ければ現界に意味が無いとか言いそうですし。
容姿的にはセイバーか……アチャ子くらいしかキャスターが気に入りそうな英霊はいません……と言うか、いけるんだろうかアチャ子。個人的に好きですが。
カレイドステッキでプリズマイリヤ……賭けになりますし、普通に割烹着の悪魔が現れそうです、キャスター+割烹着の悪魔は危険すぎます。混ぜるな危険どころの話じゃなくなります……多分、二人とも気は合うんでしょうけどね……
「どう言うつもりかしら」
考え事をしていたら、佇まいを正したキャスターが此方を睨んできます。
「これは聖杯戦争とは無関係の召還で、この地に聖杯はありません。令呪の存在と言う状況のみを無理矢理に適合させて英霊を召還したイレギュラーな事態です。私は貴女のスキルを必要としたため、貴女を召還しました。その際に令呪の使い方だけは既に決めておきました」
「…………」
「まったく無駄なこと、もしくは無意味。敢えて言うならば召還された貴女にとって有利であるようにして早目に使い切ろうと」
キャスターさんの足元、投影していた【破戒すべき全ての符】を消し、原典を【王の財宝】へと戻す。
その上で、地面に膝をついてキャスターさんに頭を下げる。
「私の望みは長期的なものです、霊体が活動可能な容れ物の作成で、あわよくば成長も、変化も病気にすら陥る【人】とまったく変わらない容れ物が作りたい、その為にはキャスターさんに協力してもらわないといけない。キャスターさんに協力してもらうには令呪が私の手元にあるのは逆効果でしょう。ですから使い切りました」
賭けでしょう、三画全てを使って『人の霊体の容れ物を全力で作れ』も考えましたが……どう考えても、命君の容れ物の作成には試行錯誤を要します。
完成形を作った実績が無い以上、令呪でも不可能な可能性があるのだから。
基本的にこの人は人間不信の気がありますから、令呪を持っている主との間に心からの協力関係は望めないでしょう。
私には、型月の設定で『人の霊体が人間として振舞える容れ物』の存在の可能性は蒼崎橙子しか思いつきませんでした……アルクェイドとかの規格外なら可能でも、あの設定自分に課すと自動的に世界の奴隷ですし。
目の前に居るのは、一応話せば相互理解が可能な筈な人間不信・男性不信・神様不信な1人の魔術師と認識します。サーヴァントとか認識したら即効で死亡フラグ!!
とにかく、物作りが好きで意外と家庭的で尽くす女なメディアさん、平穏な暮らしを約束したら協力してくれる可能性は高いです。
「……まずは現状を説明させていただきます、良ければお座りください。あ、此方もよろしければどうぞ」
【王の財宝】から豪奢な机と椅子を取り出し、眩い宝石で飾られた一揃いの酒器を差し出します。
……まぁ、当然【王の財宝】に警戒されましたけどね、先に用意しておけばよかった。
立ったままですが、一応話は聞いてもらえるのか黙って先を促すキャスターさん……うん、眼が合った瞬間に魔術を使われたことなんて気にしない、警戒心が更に増したのもスルーする。
「私は『根源らしきモノ(者)』に触れた魔術師です、結果として『英霊の座』から『英霊の象徴】を掠め取る『魔法のような物』を修めました、ですが結果として『前の世界』から追放され『異なる魔術基盤の世界』へと至りました』
(訳 『神様』に会いました、『カタログ』から『宝具』とか『通販感覚』で揃えられます、今は『前世』を離れて『ネギま』に居ます)
「また、私は『聖杯戦争を観測する者』としての在り方もあり、『根源らしきモノ(者)』を利用して『令呪』と……意識してのことではありませんが、この世界の魔術基盤に『聖杯戦争システム』を組み込む事に成功しました、無論、『根源らしきモノ(者)』に多くを『頼る形』になりましたが」
(訳 ぶっちゃけ『Fate好きで全部チェック』しました、『神様』から『令呪』貰って、この世界に『英霊を召還できるシステム』も作ってもらえたみたいです、まぁ要は『神様』の『ご都合主義』に頼る形になってるんですが)
とりあえず無反応、情報を吟味してるのか呆れてるのかは分からないけれど。頼むから心の中の本音を読むのだけは止めてもらいたい。
「本来の聖杯戦争で無い以上、願望機たる聖杯も存在しません、他に英霊を召還するマスターも無く、戦闘も発生いたしません。故に、召還させていただいたキャスターさんへのメリットは1つしかございません」
「……神無き世界での新たなる生涯を……」
キャスターさんの警戒心が殺意にランクアップしました。さすがに地雷でしたか。
その伝説において、神によって人生を滅茶苦茶にされたキャスターさんには禁句だったかもしれません。
「私は聖杯戦争の観測者として第五次聖杯戦争にキャスターのクラスとして貴女が召還されたのを確認し、観測しました……その結論として、貴女は信頼に足る存在だと判断し、一度きりの召還に挑みました」
殺意が警戒心にランクダウンしますが……キャスターさんとの間に隔意を感じます。敵対認証されてないと良いんですが。
そのままつらつらと、さすがに『神様』と『チートボディ』のことは隠しましたが、『根源』へ至った『魔法使い』っぽいものとして自分のことを説明し、この世界に転生した際にこの身体の持ち主に上書きしてしまったので何とかしたいとお願いします。
キャスターさんの回答は一旦保留、この世界と自身の状態を確認してから今後のスタンスを決めるとの事でした。
「では、私はこの養育施設にて寝食をしていますので……お部屋までは用意できませんが」
「好きにさせてもらうから構わないわ」
とりあえず、一度も殺されなかったし、あれ以来魔術もかけられなかったから一歩前進と思おう。
何とか協力してもらえるよう気長に頑張るしかないかなぁ……
明けて翌日、施設のみんなはお出かけの準備です。
突然決まったことではありますが、前々から話題には上がっていたんですよね。
以前にも説明したかと思いますが、この施設はつい数ヶ月前まで貧乏でした。そのため施設の子供達の装いはけして良いわけではなく、正直、お下がりの古着が目立ちます。
お婆さんが繕いを直してくれてたりして、愛着も勿論感じるんですけどね。
座敷童効果で裕福になって施設に恩を返そうとしている先輩としては、自分の後輩達に綺麗な服を着てもらいたいので『服を買いに行こう』と前々から言っていました。
ですが、貧乏ながらにお婆さんが頑張っていた時期が長かったために、施設のみんなは遠慮する事に慣れてしまっています。
贅沢したらお婆さんが苦労するという図式が考え方の基礎に固まってしまっているんですね。
結果として、『服を買いに行こう』話は話題に上るもののみんなが遠慮して伸ばし伸ばしになっていました……今朝までは。
「引率をお願いして申し訳ないですねぇ」
「お気遣い無く、近所のよしみですわ」
施設でも年長者の部類に入る、10代前半の女の子3人と、最近入寮したばかりで身の回りの物の少ない私。色々あって、まずはこの4人が服を買いに行く事になりました。その後も順次揃えていく事になっています。
まぁ、このくらいの歳の女の子は服が古着ばかりと言うのも苛めの原因になりかねませんしね。
引率して頂くのは近所に住んでられると言う、メディアさんと言う外国の方……きっとギリシャ出身なんだろうなぁと思いつつ、ぴこぴこ動く特徴的な耳を見つめる。
えぇ、勿論キャスターさんです。
「さぁ、行きましょう」
今日は日曜日で学校は休みです、そこで朝食の際にお婆さんが子供たちに……特に、お下がりの私服を着ている女の子達に『服を買いに言ってはどう?』と話しかけてました。
それを遠慮して『今の服が好きだからいい』と言い出した辺りで、何時の間にか食堂にキャスターさんが座ってました。
早かったです、思わず腰を浮かしてしまいましたが。周りは何も気にすることなく……むしろ私のことを奇異に見るほどです。
その後は凄かったです、言葉巧みに周りを扇動して3人の女の子……多分に着飾ったら可愛いだろう子達……と服を買いに行く約束を取り付け。
ついでに仕方ないから連れて行ってやるといった感じで私の同伴も決まりました。
今は麻帆良学園の服飾学科でデザインされた子供服を専門に取り扱っている店に来ています……基本、学園祭以外では生徒以外立ち入り禁止らしいですが、品質は非常に良いものを取り扱っているので態々学園の外にこういう店を作るんですよね。
そんな、質の良い子供服が並べられたブティックショップを眺めて惚けるばかりに見惚れる4対の瞳……えぇ、もちろんキャスター……メディアさんも虜になってます。
そのまま、メディアさんに店に引っ張り込まれて着せ替え人形にされる女の子達、分かってはいましたが……本当に、少女趣味がすきなんだなぁ……召還、ライダーにしようかな……でもきっと、あの2人は気が合わないだろうな。
と言うか、ここまでイメージ通りだとすると。メディアさんの性格は『原作どおり』ではなく、『私のイメージで魔改造』されてる可能性が高いですね。
だとしたら、ある意味付き合いやすいですが……最後のプレイしたのはHollowだし、アンソロジーとか二次創作のイメージも多分に含まれてる筈ですから。
とりあえず、お婆さんからは軍資金として福沢さん数人を預かっているはずですが……あの勢いなら軽く越えますね。
私の事など眼中に無いのは明白なので、ブティックハウスを出ると近くにあった宝くじ売り場に向かいます。えぇ、当選のようにスクラッチの宝くじが売られています。
道端に落ちていた500円硬貨を拾って、スクラッチ宝くじを一枚購入して削って。
「凄いね、坊や……これ、当たってるんだよ。お母さんは?」
「あそこの服屋です」
ちょうど、交代の時間だったとかで、売り子をやってたおばちゃんがお金を持って着いてきてくれました。さすがに子供に大金を持たせるべきじゃないと思ったみたいです。
手を繋いで服屋に入るとこんもり小山を築いているメディアさんの姿……目を放して10分も経ってないはずなんですが。
「あの、お母さん」
「何!? 私の邪魔をする気!?」
気迫が恐いです、目が血走ってます。いやまぁ、確かに施設の先輩の女の子は凄く可愛らしいですが……や、不覚にもドキッとします。中身年齢的には三十路越えてるはずなのですが……肉体年齢に引っ張られてると思いましょう。そう考えると逆に年上好きと言う事になってしまいますが。
「暇だったから宝くじを買ったら当たったみたいなんです、それで持ってきてくれました」
英霊に威嚇されて腰が引けたおばちゃんのかわりに用件を述べます。慌てておばちゃんは福沢さん10人が入った封筒をメディアさんに預け、そそくさと去っていきます。
「……坊や、これは?」
「お婆さんに預かったお金だけじゃ足りそうに無いですから」
魔術で店主に支払ったと思わせて去っていく可能性もありますが、さすがにそれは、この店が可哀想です。
「魔術か何かを使ったの?」
「英霊から掠め取ったスキルの1つ【黄金律】です、一生お金に困らないというか、常に財貨がついてまわるので。賭けをすれば当たり、お金を欲すれば何処からともなく財貨が山と積まれます。施設が急に裕福になったというのもたぶんこの効果です」
だから、それを使って真っ当に支払ってくださいというとメディアさんはぴっと、2本指を立ててきます。
よくやった、と言うことでしょうか……
「……2回」
「は?」
「後2回、同じことをして来なさいと言ってるの、ふふっ、これで遠慮する必要もなくなったわね」
遠慮?……この小山の何処に、遠慮?
目が据わってるし、背後に背負ったオーラが毒々しいほどなので断るという選択肢は私には有り得ません。ある意味犠牲になる着せ替え人形な女の子達が可哀想ですが……
とりあえず、先程の宝くじ売り場に向かいます。さっきのおばちゃんは交代しているので丁度良いです。
すると、家族連れが宝くじ売り場を見ています、両親と……今の私と同い年くらいの女の子。どうも女の子が興味深そうに宝くじ売り場を見ているようですが。
「どうかしたの?」
「ん〜とね、何かピピってくるものが」
その子の母親が話しかけると猫のように口元を歪めながら考え込んでいます……何故か既視感を感じますが。
ひとまず、買うために並んでるわけではなさそうなので、横から手を差し出して宝くじを2枚購入します。
しかし、よくも簡単に子供に売ってくれますね……麻帆良学園が近いから感覚が麻痺してるかもしれませんが。まぁ、咎められたら【己が栄光の為でなく】で変身すれば良いだけの話ですし。
「あら、ふふっ、私たちも買いましょうか」
自分の子供と同じくらいの子供が宝くじを購入するのがおかしいのか……いや、まぁ、普通はおかしいですが……3枚の宝くじを購入して父親と子供に手渡す母親。
何とはなしに、女の子と並ぶ形になってスクラッチを削ります。
「あぁ、駄目ね」
「僕もだよ」
両親は外れてしまって残念そうにしています。まぁ、そう当たるものでもないですし、くすくす笑ってます。
私は当然のように先程と同じ結果が2枚。宝くじで3枚連続で2等が当たるというのはどんな確率ですかね……ちなみに、1等じゃないのは1等を当ててしまうと額が大きすぎてその場で受け取りが出来ない可能性があるからです。
「あ、同じだね」
ふと、隣の女の子がにこにこ笑いながらくじを見せてくれます……えぇ、削った後に2等の印がある当たりくじを。
……幸運と言うか、強運の持ち主みたいです、この子。
子供たちの手にある当たりくじ3枚に保護者である両親の方が慌てます。
売り手のおばちゃんほうも勿論慌てますが、機械を通しても自分の目で確認しても間違いないようです。
「……まぁ、麻帆良ならあるかもしれないねぇ……」
聞いてはいけない発言が漏れました。いや、認識阻害結界この辺まで広がってませんか? 『麻帆良なら』が近隣都市にまで広がってるんですが。
家族連れは保護者が近くにいないことを知ると、私の分の当選金を一緒に預かってくれてブティックショップへ、大金を持っているため緊張していますが、迷子にならないように母親が手を握ってくれました。
……ブティックショップでは小山が2つ増えてました。恥ずかしくなりながらメディアさんを指差すと父親の方が事情を話しながらお金を渡していました。さすがに今度は威嚇しなかったみたいです。
「あら、そうだ。桜子が当てたお金だし、桜子も新しい服買いましょうか」
……って、桜子。椎名桜子か! 麻帆良のラッキー仮面の。
成程、この頃から強運の片鱗を見せていたと……【黄金律】持ってても不思議じゃないですね。
さて、言うまでもないことですがネギま!ヒロインである3-Aの女の子達は全員【容姿】:Aの持ち主である。
その1人である桜子ちゃんも、たいへん可愛らしい女の子である。
Q 5歳くらいのとっても可愛い女の子が服を選ぼうとしています、暴走キャスターさんはどんな反応を示すでしょう。
A 自重しません。
「あら、朱雀君、お友達が出来たの?」
見知らぬ他人が口を出すよりも、私をだしにした方が警戒されないと思ったのでしょう。にこにこと此方に近づいて来ます。
そのまま母親の方に顔を向けて「ご迷惑をおかけして」とか言って世間話に突入……桜子ちゃんのお父さんと2人、子供服売り場の片隅で肩身の狭い思いをします。
……日が暮れるまでに終わるといいなぁ……
最終的にキャスターさんと協力関係を築く事に成功しました。決定的な一言は、『10年後に桜子ちゃんと同レベルの美少女が31人現れるんですよね』と未来予知……すみません、麻帆良学園3-Aの皆さん。未来における貴方達の犠牲は忘れません。
……キャスターさんが壊れました。
えぇ、次に出てくる槍兵さんも壊れますとも
とりあえず、最初の原作者キャラは桜子になりました。プロットに無いよ、どうすんよ
キャス子さんのパワーぱねぇっす
感想で魔女も槍兵もいないと頂きましたのでちょっと早めに投稿……もうすぐ出てきます、一番の苦労人が。