3話
さて、ディルムッドとメディアさんが魔法世界へと旅立ってから暫し経ちました。
あの後は、一週間ほどディルムッドと練習試合を重ねて自身の身体能力も確認もしました。
当然ですが、適いませんでした……まぁ、子供状態でステータスが低下してますし、スキルを使いこなせていなので当然ですね、【無窮の武錬】で達人クラスで動けても、何処までの挙動が可能か不可能かを理解するのは別問題ですから。スーパーカーのアクセルとブレーキの効きを確認する処から始めるようなものです。
まぁ、それでもサーヴァント戦で護りに徹すれば早々やられないレベルらしいです。ディルムッドの評価ですが。
基本【無限の剣製】で多種の武具を辺り一体にぶちまけて【無窮の武錬】で使いこなすと言う戦法がかなり効果的です。斧を投げては剣を、剣を捨てては槍を、槍を放っては弓を取りと、間合いを即座に変えられることで距離感は完全に制すことができます……ですが。ディルムッドに【怪力】を授けたのは、さらに効果的でした。
普通両腕で持つ槍を左右にそれぞれ捧げ、二槍を持つには常識を超えた膂力を必要とします、無論ディルムッドはそれを備えていましたが……【怪力】でさらなる余地を得た後は、本当に軽々と取り扱います。
そうですよね、ステータス的には狂化したランスロットと同じ膂力と速度を、数多の戦場の経験を以って使いこなしてるわけですから。
耐久のランクが低いので持久戦に持ち込めれば勝ち目はあるんですが……敏捷 A+ 相手に持久戦に持ち込むのは至難の技です。
常識外の速度で踏み入って来て、一撃を喰らえば間違いなく粉砕される槍を無尽に振り回します。距離をとって宝具を放っても軽々と見切られ避けられる。一番心配な精神面も明鏡止水あり。
……正直【怪力】【矢よけの加護】【透過】はディルムッドに相応しすぎます。この上【燕返し】……いや、練習試合では使わせてませんが、夜毎修練で集中的に修練してるのを見てますから……も、勿論私とて『壊れた幻想』は自粛しましたとも、えぇ……常に武具をぶちまけるのを常にして模擬戦をしましたから、使えば一度くらいは勝ちを拾えたかもしれませんね。地雷感覚で爆発できるのは便利です。
「……まぁ、魔改造チート同士の戦いは楽しかった……」
ふっと、思い出し笑いをしてしまいます。
ちなみに、メディアさんはそんな私達を生暖かい眼で眺めていました。
女性には男の浪漫が理解できないのでしょうか。
……あぁ、現状の説明を忘れてましたね。えぇ……久方ぶりに意識を取り戻しましょうか。
「ほら、座って」「うわぁん、ママー」「こっちだって」「おしっこいきたい……」「ガキばっかだ……」
……うん、初等部の入学式なんてきっとこんな感じだなぁ……最初はまともだったのになぁ。寝ぼけた子がリボン振り回したり、妙な生き物がうろうろして『食べてイイスカー』言い出した辺りからおかしくなったな……絶対将来3-Aに集められる人材ですね。
えぇ、麻帆良学園の初等部に入学する事にしました、やっぱり原作には関わりたいですし……メディアさんに3-Aの皆さんを生贄に捧げるという大儀もありますしね。
入学式は幾つもの学校が合同で行う大々的なもので数千人が参加するらしいです。そんな人数の生徒と保護者が入れる施設がある時点で凄いですが……ローカル放送ですが、中継もされてるらしいです。
初等部なので、さすがに寮暮らしはないようです。主に麻帆良学園に住んでいる家族や近隣都市の住民のお子さんが主で麻帆良大橋を渡って近隣から通います。
……そして、黄金世代3-Aの卵達が揃った入学式は当たり前のように大騒ぎです。フォッフォッと笑ってるんじゃないよ学園長、さっさと収めてくださいよ。
あ、この時点で既に外見は漫画のそれでした。所謂『ぬらりひょん』
「「はぁ……」」
思わず溜息が重なりました。少し離れた位置にいる少女と眼が合います。桜子ちゃんと同い年くらいですね。いや、私の外見年齢とも同じくらいですが。
「……えぇ」
「……あぁ」
思わず心が通い合いました、彼女とはきっと仲良くなれます……制服からすると別の小学校っぽいですが、きっと仲良くなれます。
桜子ちゃんは、きゃっきゃっ笑ってますね。一番安全な場所にいるあたり強運は健在です。何時の間にか魔法世界から駆けつけただろうメディアさんが桜子ちゃんのお父さんと並んでカメラを回しています。
……きっと他の獲物も探してるんでしょうが……
ちなみに、この数ヶ月でディルムッドは魔法世界で拳闘士として『赫翼の槍騎士』を名乗って闘技場に名乗り上げ、ちぎっては投げの大活躍らしいです。通常二名で参加する闘技場に一騎をして参上し、今期の大会において最速で優勝を勝ち得たとか。
さすがに100万ドラクマとは行きませんが、十分な賞金を稼いで全てメディアさんに貢いでいます……材料集めのためですよ。
……それをしても破魔を用いず、【燕返し】も使っていないとか。うん、英霊のパフォーマンスが魔法世界でも十分に通用すると分かったのは有難いです。
とにかく尋常じゃない速度で踏み込んで槍で薙ぎ倒すスタイルらしいです……態々空に飛び上がって翼のように槍を拡げたりもするんだとか。
メディアさんはけして目立つことなく材料を集めてくれてます。逆にディルムッドは闘技場外でも賞金稼ぎなどもして無双を振るい、士官の話すら幾つかあったらしいです。
それに対する返答は。
『我が
……うん、本当に扱いやすいですねディルムッドは、信じてあげているうちは信じて応えてくれまして。彼のZEROでの行動を見る限り、私を見限るはずもないですから……や、私。ケイネスさんよりはましな扱いしてますよね?……
で、メディアさんは巧いこと色々な人を操って廃都オスティアのゲートを占拠したらしいです……最終的には何十人か何百人か意識を操ったらしいですが、副作用はないらしいですから良しとしましょう。
今は目立たない位置へのゲートの移動と、東京湾の無人島にもゲートの移設を目論んでるそうです……いえ、入学式に間に合ってるんですから既に移設済みかもしれません。
ちなみに、当然ですがメディアさんが楽しみにしてたのは『私の入学式』等ではなく、『桜子ちゃんの入学式』です。無垢な可愛い子って大好物なんでしょうね。
そのメディアさんの材料集めも順調なようです。非合法な材料はもっと安全を確保してからと言うことですが、順調に進んでいると見ていいでしょう。命君のことが問題なく終わるようなら、私はチート無双を楽しむとしましょう。吸血鬼戦に助太刀したり、京都で暗躍するのも面白そうですよね。
今から準備しておけば魔法世界に拠点を築くことすら可能で、魔法世界編ではさも当たり前のようにゲートの提供も出来る……素で『こんな事も在ろうかと』が実施可能です。夢が拡が
「では、これにて麻帆良学園小等部、麻帆良学園東小学校、麻帆良学園西小学校、麻帆良、学園南小学校、入学式学園北小学校の入学式…………を閉会する……ふぅ、各自解散」
……妄想を拡げていたら何時の間にか入学式が終わっていたようです。新田先生が芋煮状態の惨状と化した会場を見渡した後で頭を抱えて言い切ります。
えぇ、確かに……各自解散以外ではとても収拾が付かないんでしょうね。既にクラスの隔たりなどなく色々混ぜ合わされた子供たち……恐るべきはそのバイタリティか。さすがはアスナの転校時、委員長との喧嘩を観戦して迷わず賭け事に走るだけはあります。
あれ、たぶん。今この時点から数ヵ月後がそのタイミングなんでしょうか……正確な年齢まで出ていないため断言は出来ませんが。
まぁ、ともかく……各自解散と言い渡された以上自力でこの混沌を抜け出す必要があるようです。既に魔法先生・魔法生徒方は準備済みなようで……迷子は全部相手するんでしょうね。と言うか、こうなることがわかってたから人員を揃えたんでしょうが。
「「こうなる前に手を打てばいいのに」ってくださいよ」
ふと、隣を見ると、てくてくと迷わずある一方を目指す女の子と目が合います。
私と同じ方向を目指しているようです……正直、これ以上の喧騒は面倒なので騒がしい集団から避けるよう避けるように動いていますから、この子も喧騒を避けていたようです。
先程、溜息を重ね合わせた女の子です……ちなみに桜子ちゃんは気付けばメディアさんに両腕で抱かれてました、両親もすぐ傍にいてあの辺りはもの凄く平穏そうです……HELP 、こっちにも救いの手を……無視されました。
ぺこりと軽く頭を下げると、相手の子も会釈してくれます……たぶん、この子もの凄く精神年齢が高いですね。
背後の、今にも祭でも始まりそうな雰囲気から態々距離を取ってる時点で気は合いそうです。
と言うか、入学式に出てるということはみんな6歳くらいの筈……なんでしょうか、あの異常なテンションは。
「「やっぱり、何処かおかしい」ですね」
また目が合います。
自然と2人で騒がしい連中を避ける感じで静かな場所に辿り着きます。思わず漏れるのは溜息。これから10年近く。きっとあの中で過ごす事になります。
いえ、原作に関わるだけなら8年くらいですが……気休めにもなりませんね。
「騒がしいといいますか、正直疲れますね、あの空気は」
「みたいだね、本当に変な学校……」
……まともだ、まともな感性の子がココに……って、あれ、桜子ちゃんと出逢った時の様な既視感が。
少し赤みがかった髪に吊り目がちな表情。背負ってるランドセルも、軽く束ねた髪も何処かで見たような……ふと、その子にオプションで眼鏡と獣耳を幻想しようとして。
「朱雀! 来なさい、桜子ちゃんがみんなで写真を撮りたいそうよ」
首根っこ引っつかまれて力強く引きずられます。瞬間、喧騒の匂いを嗅ぎ取ったか慌てて距離を取る女の子。瞬時にその女の子をロックオンしたものの惜しくも逃がしてしまった感じのキャス子さん。
ちなみにキャス子さんとはキャスタークラスのメディアさんが世俗の欲望に暴走したときのクラス名で、クラス別能力に【直感】と【狂化】と【怪力】、【戦闘続行】まで持つモンスタークラスです。私が今決めました。
特定条件下(主にストーキング)では【気配遮断】すら使いこなします。
「今のは、かなり良い素材ね。ちゃんと名前と学校くらいは聞き出してるんでしょうね朱雀」
「……後5分くらい待っててくれてたら聞けてたかもしれませんね」
何て役に立たないとか妙なキレ方をされます。
私にしても、異常なテンションのこの学校で希少な気が合いそうな子と出逢えるチャンスでしたのに。
その後は桜子ちゃんとこの家族と写真を撮って、メディアさんを野放しにしました……まぁ、魔法使いのお膝元でそれほど無茶はしないでしょう。
……その後、有望株だから知り合ったら連れて来なさいとか言われて見せてもらった写真の幾つかが3-Aの生徒に合致しそうでしたが無視しました。キャス子クラスの【直感】はA+間違いなさそうです。
それから、さらに数ヶ月が経過しました。少等部での立ち位置としては、学級委員長の立ち位置ですね。騒ぐ子供たちが学級崩壊を起こさないように先生と連携して牽制します。
まぁ、会話がかみ合う訳もないので、保護者の立ち位置になってしまうのは仕方がないですよね。ちなみにクラスに原作キャラは居ません。
中学になってから引っ越してくる子も居ますしね……スナイパーさんなんて今頃は戦場じゃないでしょうか。確実に居場所が特定できるのは相坂さんとエヴァンジェリンさんくらいですかね……態々此方からアクションをかけようとは思いません。
相坂さんはメディアさんの【容れ物】が完成したら介入してもいいんですけどね。
エヴァンジェリンさんは今の時期で中学生活二週目ですから、まだ丸くなってるかも分かりませんし……ちょうど高畑先生辺りが同級生くらいでしょうか。
「まぁ、原作時期になれば加速度的に事件が起きますから、それまでにディルムッドの主として相応しい強さを身に着けておきましょう」
この間のお土産にメディアさんが別荘を用意してくれたんです。体育館くらいの大きさで時間の誤差も無いらしく、別荘の中でも格段の安物らしいですが。私には十分です。
放課後は真っ直ぐ施設に戻って別荘に入り浸っています。
「ディルムッドさんが瞬動を使えたらしいですから、私も出来るはずですからね……」
空を飛んで遠距離から魔法を放つオンリーな対戦相手に虚空瞬動で勝利したらしいです。
映像録画があったので見せてもらいましたが、さすがに凄かったです。ちなみに、この映像録画、普通に販売されていて。
『ディルムッドファンクラブ』(構成員の9割は女性)の会員は一割引で購入できるとか……うん、【愛の黒子】とか関係ないんですよ、普通にあの人モテキャラなんですよ。
おかげでメディアさんでもちょっと近づくのが難しくなってしまったとか……原作の魔法世界編でのナ(ネ)ギ・スプリングフィールドばりの熱狂が思い浮かびます。
「まぁ……近く帰還して報告してくれるらしいですし……一矢報いるためにもチートボディを使いこなせるようにしましょう」
……はい、では、そろそろ良いですかね。
えぇ、皆さんもう察しはついてると思うんですが……
「うわぁぁん」「こっちだこっちーっ」「痛いよぉ」「おしっこいきたい……」「…………」
現実逃避でした。
今日は入学式同様複数の学校の合同での大遠足大会『さんぽ部』体験コース。
まぁ、要するに馬鹿みたいに広い学園をみんなで歩き回って地理を覚えましょうという企画です。
確かに有意義な企画だとは思います。先生達勢ぞろいで、どうやら魔法生徒まで動員しての新入生への地理説明会ですが。
「ちゃんと手綱は取ってくださいよ」
周りの同伴者の不甲斐なさに溜息を漏らしながら自分のクラスの半分を統率します、せめて半分くらいは担任に統率してもらいましょう。おかげでうちのクラスはそれなりに固まって行動しています。
「まったく、この学園の生徒達は……」
……ふと、違和感を感じます。入学式であったような絶妙な合いの手といいますか、同意してくれた声が聞こえません。
あの女の子、今回の遠足には参加してないんでしょうか……
ちょっと気になったので探してみる事にします。幸い、少し高いところから英霊の視力で見渡せば女の子らしき姿は見つかりました。
世界樹を望む展望台で、1人きりで世界樹を眺めています……気のせいか、背中が少し曲がって俯きがちのような……
ひょっとしたら、自分のクラスからはぐれてしまったかもしれません。テンションが異常なこの学校であの女の子は一服の清涼剤です。近くにいって、久しぶりに子供らしからぬテンションの会話でもしましょう。
……勿論、テンション低い会話ですけどね。
「……名前も、聞きたいですしね……」
湧き上がる高揚感と僅かに感じる違和感。
小骨がのどに引っかかったような絶妙な違和感を感じてるんですよね、何か大切なことを忘れているような。
別荘での修行に夢中になってましたが、もっと気にすればよかったです。
担任の先生に、暫くクラスから外れるので、その間は1人で頑張ってくださいと声をかけ……慌てた声で呼び止められましたが無視します……あの女の子の方へ向かいます。
女の子は何もせずに、ただ世界樹を見上げるだけ……まぁ、普通には有り得ない光景だから当然かもしれませんね。こんな異常に大きな樹は麻帆良にしかありませんから。
「こんにちは」
話しかけるとビクっと怯えたようにして振り向きます……何だか、おかしな感じです。こんな気弱な子でしたっけ。
数ヶ月ぶりにあった女の子は……とても弱っていて……
「あ……入学式の、時の」
どうやら覚えてくれていたようです。明らかな安堵を見せて少しだけ笑ってくれます。
ですが、翳りの見えるその笑顔は何だか私を不安にさせます。
「凄い樹ですよね、こんな大きい樹があるなんて信じられませんよ」
体調が悪いのかもしれません、ひとまず、隣に立って笑いかけます。
「……くない」
「え?……」
小声で女の子が呟きますが、その姿は明らかに不自然。
まるで拒絶するように。
「この樹は凄くなんてない、普通……普通でしょ、普通だよ」
自分で自分に言い聞かせるように呟くその姿は、世界から取り残されたよう。
今にも崩れてしまいそうなその作り笑いは、私をひどく突き動かして……私の直感が危険を叫ぶ。
「麻帆良だから当たり前で……だから」
「おーい、嘘つき、また変なこと言ってるのかーっ」
男の子が走ってきて女の子を嗤います。あまり良くない、嘲笑に似たそれは幼い子供特有の残酷な無邪気さ。
男の子はただただ面白がって囃し立てますが、精神年齢が高いだろう女の子は普通に傷ついてるみたいで……違う、傷つけられて。そう。既に幾度も傷ついたっ!!
「あんな樹、麻帆良じゃ当たり前なのに変なことばっか言ってさ」
泣きそうになる女の子を見て、本来勝気なはずの少女が折れそうになるのを見て、ようやく記憶と彼女が合致した。
そして、最早感情は制御できないレベルになっている。
「失せろ、小僧」
意識が沸騰して抑えが効かなくなる。キレたと言うしかない、目の前の無邪気な悪魔たちを力任せに排除したくなる。
漏れた殺気を感じて慌てて走り出す男の子を無視して女の子を抱きしめる。
「……おかしくない、君はおかしくない……おかしいのはこの街だ、周りだ、君の頭はどうにもなってなんか無い」
ビクッと震えた女の子は待ち望んでいただろう言葉を感じて、肩に縋り付くようにして泣いてくれた。
……果たして私は、間に合えたのか……
入学式のときに思い出さなかったのが悔やまれる、眼鏡がないからなんてことは理由にならない。彼女は子供の姿でも何度も登場していた。ただ、原作の彼女は今より……まぁ、スれているというか、荒んでいた……理由なんて、原作を読んでても推測がつくし二次創作でも出し尽くされたネタだろう。
あの歳の女の子がネットに逃避し、内弁慶で、外面を偽装し、人付き合いを極力避けるようになるのに、一番分かりやすいことは……幼い頃に、イジメに遭ったからじゃないかって。
理由も単純……彼女には、他が当たり前だって思えるようなことを『不自然に感じていた』
世界樹はおかしいし、魔法先生なんて居るはずがない……なのに、周りの子供達はそれを自然に感じ。自分こそを『異端』だと断じる。
私は問題など起こらなかった。『麻帆良大結界』のことも、『認識阻害魔法』の事も知っていた、けれど彼女はそれを知らなくて……そして、たぶん、その魔法がまったく効いていない。
……自分のところの担任にお願いして、体調を崩した女の子を学校まで送ってくると『この子の学校の先生』に伝言をしてもらう。
この数ヶ月の保護者振りを信じてくれたか、現状の女の子の不安定さに気付いてくれたか……私の不機嫌さに気付いてくれたか、二つ返事で承ってくれた。
私が不機嫌な理由は単純だ、私は原作や二次創作を読みながら彼女のキャラクターが形成できるまでの裏話を想像してしまっていたはずだ……彼女の幼い時期は不遇だったんじゃないかと、それは貧富にあらず、家族愛にあらず、友人関係において不遇を味わったのでないかと……
「……私のイメージのせいも……少なからずあるのでしょうね」
キャスターのことで明白ですが、出てくる彼等彼女等は少なからず私のイメージの補正を受けています。
その結果が……
「大丈夫です、私はあなたの言いたいことが理解できます、共感できます……だから、大丈夫です」
声を殺して泣く女の子にきっと味方は無く、下手をすれば家族すらも彼女の『常識』を否定した……麻帆良の認識阻害結界、その力によって。
……私の中に使命感が宿る。
私はこの世界で、私個人の我侭で、たった1つ、絶対に成し遂げることを決めた。
「……私は朱雀。すざく みことです、あなたの名前も教えてもらって良いですか」
「……ちさめ……はせがわ…ちさめ」
……彼女のために、我侭に力を振るおうと。
長谷川千雨フラグが立ちました
アンチ麻帆良結界フラグが立ちました
傷ついた女の子につけ込むのは攻略の基本!!
……申し訳ない、ついカッとなってやった、反省はしているが後悔はしていない、次同じ機会があればきっとまたやる……すいません。
幼児期のフラグ建築は後2.3人かな……とりあえず、次の子は決めました。希望があれば感想でお願いします。