※本作品は低俗なスラングが用いられています
そう言った内容を好む方はあまり期待しないでください(アレ
(例)『もう私、らめぇ、うぷっ、もうやめ』
これは逸般的に、『もう私は駄目、うっ、口の中が一杯、もうやめましょうよ』と訳されます
……えぇ、逸般的に
番外編3
あれから、そのまま宴会へ突入しました、温泉もまだなので私服のままですが。
着いた時間が少し遅めでしたしね。
ほろ酔い千雨ちゃん、ほろ酔いアキラ、大変良いものでした。
眼福でした。
桜子ちゃんは始まってから直ぐにメディアさんにお酌してたので、殆ど呑んでないですが。
その代わりに色々在ってスポーティな魅力も楽しめました。
……えぇ、楽しませていただきました。
それで、最終的に。
「ん、現実逃避は終わったか、さっさと愚痴に付き合え」
こうなることは当然の理ですよね。
えぇ、既に出来上がってらっしゃる千雨ちゃんは、私の右隣に座って。
パワーアップしたのかスルメの代わりに蟹の足を齧ってらっしゃいます。
……スルメからは、バージョンアップ……なんでしょうか。
先程から、ずっと学園のちょっと変わったクラスメイトのことで愚痴られていますが。
真相を知ってる身としては、大変なんですねぇと頷き返すことしかできません。
蟹の足を平らげると、次の爪を手に取る千雨ちゃん……まぁ、つまみを食べながら呑むのはいいことですよね。
「……ん」
私の左隣に座ってコクコクと喉を潤わすアキラは、むしろ怖いくらいにつまみを欲しません、唯只飲み物を飲み干します。
「ん、おかわり」
そのまま手酌で自分のグラスに、私の倉庫から出てきた謎の液体……最初そういったら問答無用で千雨ちゃんに殴られました……を注ぎます。
えぇ、飲兵衛ですね、それも洒落にならないくらい強力な。
千雨ちゃんは魚介類をあてにぐいぐい飲んでますし。
アキラはあてすら無く、ぐいぐい呑む現状。私達は部屋の隅の方で宴会料理の残りをあてに謎の液体を片付けています。
……他の面子は
「ふっ、こんな感じでしょうか桜子様」
ディルムッドが桜子ちゃんに強く放つ、桜子ちゃんは余裕を持ってそれを見つめ。
「うん〜っと、もうちょっと上に当てるようにしてくれた方が良い感じかな♪」
微妙に批評を加えながらそれを受け止める。
「はい……こんな感じで」
忠実な騎士は何故か幼馴染3人娘には異常なまでに従順で。言われたがまま、それに従う形でメディアさんに放ち。
「ひぃっ……ひぅぃっ……あぁ、さくらぉちぁあん、もうむりぃ」
メディアさんはその一撃に悲痛の呻きを漏らしながら腰を捻る。
桜子ちゃんとディルムッドに比べると圧倒的に悲惨な姿になっている……
「メディアさん、しっかりして、ディルムッドさんはもっともっと、天辺に当てる感じで一気に押し出すの」
「はっ」
少女と騎士は、魔女の悲鳴を払い捨てて修羅の道へと入る……
唯々、より高きを求めるように互いを高めあい。
「ちょっと、もう……おねがぃ、かんべ……もうむりむり、らめ」
「まだまだだよ、メディアさん、こっからが楽しいんだから」
にっと、笑う桜子ちゃんはメディアさんがどれ程の苦悶と嗚咽を洩らそうと許すことなく続きを求め。
「わたひ、私……も、もぅこふぃが……あっ」
「ちょっ、メディアさん零したら駄目だよ、全部拾わないと、相手してくれてるディルムッドさんにも失礼なんだよ」
「ちょっと、もう限界が……本当に腰が」
二人はその声を無視し、ディルムッドは始まってからの経験を束ね、至極の一撃を放つ。
それを桜子ちゃんは受け止め。
「わっ……今のスゴイからもう一回、もっと強くメディアさんに」
「だ、駄目だって、ディルムッド、もっと、もっとゆっくり」
「ディルムッドさん、激しくお願い」
桜子ちゃんは笑顔で止めを刺す。ディルムッドの中では、メディアさんより桜子ちゃんの意見の方が優先らしく大きく身を引き。
「かしこまりました、行きます」
「ちょっ、駄目……もう私、らめぇ、うぷっ、もうやめ。あっ……」
メディアさんは辛うじてディルムッドのそれを拾い上げるが、力及ばずそれは地面へと落ちた。
ぜぃぜぃと着衣と髪を乱して口元と胸元を押さえる魔女に一瞬眼をやった桜子ちゃんは、暫し考え込み。
「うーん……後、もう一回」
「……さ、桜子ちゃん、私何か悪い事したかしら……本当に、もう無理」
「なんとなーく、後一回くらいやりたいの」
魔女の嘆願を一言で切り捨て、ただ少女の望みのままに、槍騎士は……ピンポン球を高々と放り上げた。
手に握るのは、桜子ちゃんとメディアさんが手にするラケットではなく、部屋のスリッパ。
実際、実力差がありすぎたので、2人はラケットのままでディルムッドはスリッパを使っているのだが。
ここから、桜子口伝(本人使えない)王子サーブが放たれるっ!
それは高速回転をもってメディアさん目掛けて突き進み、回転で微妙に変化した軌道に慌ててメディアさんは身を捩る。
えぇ、メディアさんでも無理すればぎりぎり追いつける変化だから質が悪いですよね。
その時は間違いなく桜子ちゃんが賞賛のGJ送ってますし……メディアさん的には逃げられない戦いといいますか。
「……あれ、もう温泉卓球と言うよりメディアさん潰しな気が」
いえ、会話の流れで、桜子ちゃんが温泉と言えば卓球と言った時点では大した事は無かったんです。
当たり前のようにディルムッドが部屋に卓球台を運び込んだのも、最早、当然と受け入れましょう。
桜子ちゃんがやりたがって、じゃぁやりましょうとメディアさんが声を挙げた……この瞬間、桜子ちゃんとディルムッドが底冷えする笑みを浮かべた気もしますが、きっと気のせいでしょう。
対戦することになって、ディルムッドが強いだろうから、1対2で丁度良いだろうというのは、まぁ……ディルムッドが手加減すれば良い勝負できると思われ……
桜子ちゃんがやりたがってるからメディアさんも参加して。
……ディルムッドは本気を振るいました。
いえまぁ、ギリギリ拾える程度で本気なんだけど……うん、本気でギリギリで手加減しつつ、無理すれば辛うじて拾えるレベルの打球を放ち続けました。
主にメディアさんに。
……で、メディアさん、左右に振られる事、振られる事。
卓球なんてやったこと無いだろうからディルムッドの私意に気づいて無いんでしょうが。明らかにメディアさんの重心の傾きを見抜いてその逆に放っています。
そのせいで左右に振られて唯でさえ体力不足のメディアさんは直ぐに限界が見え始めました。
そして桜子ちゃん、適当に動けば手元に球があるって、凄い偶然……ディルムッドがわざとそう言う弾を撃ってると言うのもあるんでしょうけど。
後、桜子ちゃんは普通にラクロス部にも入ってるから、こういう競技は元々不得意ではないはず。
で、悪意があるが如くの集中砲火を浴び、けれど、リターンすれば桜子ちゃんが凄い凄いと喜んでくれるので引くに引けないメディアさんと言う図式になり。
Q 愛娘(?)からマンツーマンでお酌されて上機嫌でカパカパお酒を飲んでいた運動不足な魔術師が居ます、英霊相手にスポーツで自分の限界ギリギリで手加減されて振り回されたらどうなるでしょう。
A 洗面器を用意したほうがいい状態です。
「ふぅ、汗かいちゃった……温泉に行こっかな」
「も、もうらめ……けど、温泉……」
一汗かいた様子の桜子ちゃんは胸元に手で風を送り込みながら、そんなことを呟きます。
そして、その傍らには真っ青な顔で口元押さえる悪酔いの見本が一名。
「……そ……そう……なら……私も温泉に……うっぷ」
あれだけ激しく動いておいて急に止まれば、それは振り戻しも激しいでしょうね。
桜子ちゃんが背中を優しく撫でていますが、原因の一人は桜子ちゃんですよ。
「……泥酔した状態での入浴はお控えくださいとありますから、メディアは暫く休まれたほうがよろしいかと」
確かに、あの状態で温泉に浸かって……万一戻された日には。
いくら貸し切りでも、それは避けてもらいたいです。明日以降も泊まるんですから。
「う……桜子ちゃんと温泉……」
けれど、こういう状況で無限の欲望を発動させるメディアさんは、愛娘(?)との温泉を前に胸焼けも押さえて立ち上がろうとして。
「無理せず、旅館の者に家族風呂と言うものを用意してもらってはどうだ、部屋のすぐ傍だから何かあっても問題なさそうだし」
そのメディアさんの動きがピタリと止まります。
ディルムッドが旅館のパンフレットらしき紙片を眺めながら呟いた一言は、メディアさんの心の琴線を掻き乱し。
「……“家族”風呂……?」
「家族でゆっくり温泉を楽しむための施設らしい、内風呂で……事前に予約をすると用意してくれると書いてあるから、急いでも2.3時間後にはなるだろうが……メディアの状態からすればむしろ、それくらい時間を空けたほうが良いのではないか」
まぁ、万一の事があっても内風呂で部屋が近ければそれだけ楽ですしね。
露天風呂なんて危険な場所に泥酔で行くよりははるかにマシで……メディアさんはファミリーとか家族とか言った単語に滅法弱いです。
「そっか、じゃぁ後で家族風呂にメディアさんと一緒に入って良い?」
そして、桜子ちゃんが止めを刺しました、涙を流さんばかりに感極まるメディアさんですが。
何故でしょう、桜子ちゃんとディルムッドの息の合った連携に空恐ろしいものを感じるのは。
「あー……私らもこれ以上呑む前に入っとくか」
「……ちょっと持ち込んでも良いのかな、この謎の液体」
「いいだろ、少しくらい、どうせ露天風呂も貸切だ」
「……貸切なら、ちょっと泳いでもいいかな」
「いいんじゃね」
メディアさんが空けた徳利に謎の液体を移しながら入浴の準備を始める千雨ちゃんたち。
何故でしょう、さっきから直感が警鐘を鳴らしてる気がするんですが……気のせいだとも叫んでる気がするんですよね。
ひとまず、千雨ちゃんたちは部屋に備え付けの浴衣とタオルを手にとって3人で部屋を出て行きました。
「メディアを少し部屋で休ませてきます……それと、家族風呂の用意もして頂いておきますので」
「んー……ついでに、酒の肴も追加注文しておいて貰えると」
「かしこまりました」
言って、ディルムッドも部屋を出て行きます……残されるのは宴会の跡と私のみ。
たぶん、この後も千雨ちゃんとアキラの呑みは続くでしょうし。
桜子ちゃんも参加してくる気もしますしね。
「……私も今のうちに入っておきましょうかね」
「それがよろしいかと、丁度、お背中をお流しする者も居りますし」
……メディアさんを連れて部屋を出た筈のディルムッドが何時の間にか、と言うかあっと言う間に戻ってきてました。
その熱い視線に身の危険を感じるのは気のせいでしょうか。
「あー……メディアさんを部屋までエスコートしたんじゃ」
「はっ、最高速で往復してまいりました」
ディルムッドの速度で最高速だと、メディアさんの体がもたない気がするんですが。
と言うか、今日は随分とメディアさんが酷な眼にあってる気が、主に桜子ちゃんとディルムッドによって。
「では、私は先に風呂の用意を整えてまいりますので、朱雀殿もお早めに」
そして、それだけ言い切るとシュッと姿を消すディルムッド。
……うん、『背中を流す者が丁度居る』『風呂の用意を整えてくる』……ディルムッドが温泉で待ち構えているということですか……
……あれ、そうですよね、何か気にかかるんですが、直感は気付くなとかも叫んでるんです……むしろ、【精霊の加護】いえ、神の意思、民意の多勢……よく分かりませんが。
主従で同じ風呂に入って背中を流してもらうというのは、いまいちディルムッドのイメージとは違う気もしますが……
まぁ、日本の戦国武将なら有り得そうです……一応、日本の知識はあるはずだし。
「……ただ……何か忘れてる気がするんですが……」
どうも、旅館に着いてから魚の骨が喉に引っかかったような違和感があります。
直感的に気付いて良さそうなものなんですが……敢えて気付いても眼を逸らしたいような気も……
「……まぁ、考えても仕方ないですか」
あまり放置して、この寒い中ディルムッドを待ちぼうけさせるのも気が引けますし。
着替え用の浴衣とタオルを手にとって、私も温泉に向かうこととします。
「ディルムッドは……外か」
脱衣所で衣服を脱ぎ捨てるとタオル片手に浴場の中へ。
ただ、どうも浴場内にディルムッドらしき姿は見当たらない……てっきり、壁沿いにでも控えていると思っていたんですが。
「外の露天ですかね……寒いでしょうに」
押し戸を開けて外に出ると、濃い湯煙が足元に流れ込んできます。
風が無いのか、湯煙が露天風呂全体を包み込み、なかなか味のある光景になっています。
温泉の中にも幾つも石が立ち並び、何だか既視感を感じます。
「……なんでしょうね、この違和感は」
気にはなりますが、丁度露天風呂の中心の岩の辺りから水音が聞こえます。
どうやら、先に入っていたようで。
浴場でかけ湯は済ませてあるので、私も露天風呂へと足を踏み入れます。
少し熱いくらいですが、外気に冷まされた身体には心地よく。
「先に入ってましたか」
岩を越えるあたりで声をかけ、その瞬間、強く風が吹きました……
少し冷たく、強い風は露天風呂の辺りを漂っていた湯煙を悉く洗い流し。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
目の前には、ちょうど岩陰から飛び出してきた感じのアキラ。
えぇ、原作でも大浴場で泳ぐのが好きみたいでしたよね、えぇ、背泳ぎは凶器だと噂に聞いたことがありますが。
まさしく、浮き袋二つが水面に浮かび、桜色の突起がツンと上向いてます、むしろ此方向いてます。
思わぬ事態に硬直しますが、慣性の勢いのままに流されて、コツンと……アキラの頭が私の太股に当たりました……
ぷかぷかと浮かぶ、白く柔らかなふくらみと、眼に焼きつく櫻。
……それと今、黒目が大きくぐるぐるしている彼女の視界を何が占めているか。
最早、考えたくないです。
と言うか、ナニかアキラにぺたっと当たったような、気のせいです。
「……………………」
視界の中には千雨ちゃんも居ます。半身浴の模様、左手に徳利を、右手にお猪口を持って。
お猪口を口に運ぼうとしていた最中のことのようで……はい、こちらも上半身、しっかり眼に焼きついて。
「■■■■■■—■■■■■■■」
アキラが影羅を発動して慌てて起き出しました。
起きだしましたが、間近に私がいたことで体のあちこちナニとかに頭とか手とかぶつけてます。
【十二の試練】発動中で異常な防御力を誇る私の身体にはぶつかるだけで怪我させかねないので慌てて解除し。
「何、許可もなしに入ってきてやがるっ」
ブボッと、千雨ちゃんが手に持っていた徳利が中身満載のまま顔に突き刺さります。
本当、こう言う時のコントロールは抜群でって。
暴れてたアキラは打ち所が悪かったか興奮しすぎたか、湯船に沈んでいきます。
「あ、アキラ、ちょっとっ! 溺れないでください」
酔っ払い状態の上に、硬いものに何度も頭をぶつければ耐えられるはずも無く。
千雨ちゃんも慌てて湯船に飛び込みます。
幸い温泉は濁り湯なので、多少は隠すことも出来……えぇ、多少ですが、英霊の視力は多少等乗り越えますが、えぇ。
「あ、朱雀来たんだ……あ、混浴に興奮した?」
桜子ちゃんの声が背後から聞こえますが、反応しませんよ。
此処で振り返らないくらいの学習能力はありますよ。後……ぽたりぽたりと鼻から漏れる雫に千雨ちゃんが冷たい視線を向けますが、断言します、千雨ちゃんの徳利によるダメージです。
実はまともなダメージは転生して此れが初めてです。
……いえ、精神的なダメージなら図書館島トライアルのときに……あ、まず。
「椎名っ、おまっ、そんなもんがあるなら先に」
「ん? 無かったから旅館の人に聞きにいったんだよ、欲しいものがあるって言ったじゃない千雨ちゃん」
「あの言い方だと肴が欲しいとしか聞こえなかったんだよっ」
……何だか平然とした様子の桜子ちゃん。
とりあえず、腕の中で頭が沸騰した様子でぐったりしてるアキラを何とかしないといけないんですが。
胸が、ふくらみが、背中を支えてるだけでたぷんたぷん、ぷかんぷかんと浮き上がってくるんですが……
ええ、ちょっと色づいてる部分も見えそうで危ういです、頑張れ、ディフェンスに定評のある濁り湯。
「千雨ちゃんもいる? 湯衣……もう要らないよね」
「待て、要る、必要だ、私とアキラと、ついでに朱雀の分、て言うかディルムッドさんも来るんじゃないか」
「ディルムッドさんは、混浴の温泉に足を踏み入れる真似等できないって内風呂に行ってたよ、ていうか寒いから私も入る」
ちゃぷんと、背後で誰かが湯船に浸る音。
腕の中にはアキラ、放り出すわけにもいかず。
腕に抱えて逃げ出せば、アキラの全身を見ることにもなり、何より。
「じーーーーーーーー」
桜子ちゃんはの視線を感じる。
待て、桜子ちゃんと千雨ちゃんに前後を挟まれた状態で揺らしながら、むしろ今のままだと振りながら逝けと!?
と言うか……まさか……続くのかっ! この状況っ
嘘だと思うんだろ……続くんだぜ、コレ……
あれ、どうしてこうなった(w
四部構成で三部目がスキーの筈が、スキー等最早どうでもよくなったがどうしましょう(ぉ
さてはて、読者の皆様方。
……これで更新が止まったら
私は裏切りの魔女の呪詛によって殺されたと、どうか訴え出ていただき…………………………………………