47話
修学旅行の初日を迎えました。
この修学旅行は重要な基点が多いですから、私と超さんはかなり気を使っています。ハワイに行っていたとしても、イベントには介入すると決めてました。
と言うか、修学旅行に絡繰さん(Ⅱ号さん)参戦の時点で超さんの気合の入りようが分かります。
学園祭で使用する予定だった絡繰さんボディが一名、記憶を引き継いで修学旅行に参加です……これで、不参加は吸血鬼だけです。
……ちなみに、吸血鬼には追い詰められた関西呪術協会の危険度を懇切丁寧に説明した上、絡繰さん(Ⅱ号さん)アイで京都の映像を3Dで体験できる設備を用意したそうです。
その間だけはモビルトレースシステムで絡繰さん(Ⅱ号さん)はエヴァさんの指示で動くとか……これ等の手配と引き換えに口裏を合わせることを了承してもらったとか。
……吸血鬼のフォローは超さんに任せますからね、私は関わりあいたくありません。
ともあれ、重要な基点となるだろう修学旅行。
集合場所の大宮駅には男子中等部の面々が揃い。私も班員と一緒に居るんですが。
……これから向かう京都を思うと色々気も重くなります。
為すべきことは多いですが、いらぬ面倒をかけてくれるだろう者も何人かおり。
「何やザクヤンご機嫌斜めやね、そうか、カミヤンとザクヤンのハーレム体制にもようやく終焉の気配が、嫁の誰かが逃げてったんやねっ」
「ザクヤンはやめなさいと」
「はっ、むしろまさか誰か孕ませたんか、そしてザクヤンハーレムには実子なんていう属性がはあああぁぁっっ」
公共の場で不謹慎なことを言い放った青髪ピアスが放物線を描いて飛んでいきます。
……出来れば、このまま修学旅行リタイアしてもらいたいですね。
「漫画みたいに飛んでった……ありゃ死んだかな」
「まぁ、馬鹿だからにゃー、だが愛される馬鹿だぜぃ」
……相変わらず、
班編成、間違えましたかね。
せめて青髪ピアスは外すべきだったかもしれません、神上は何だかんだでシスターシャークティのところの腹ペコシスターとか、一っこ下の魔法生徒とかに好かれてて年下キラー・カミジョー属性と羨まれる身ですし。
槌帝は義妹で満足してるから然程五月蝿くないんですが。青髪ピアスは私や神上に何かと絡んできますから。
「で、何があったんにゃー……てか、分かってるって、またハーレムメンバーが増えて大変らしいにゃー薔薇散らすげふううぅぅぅっっっ」
青髪ピアスの後を追うように槌帝が放物線を描きます。
願わくば、戻ってきませんように。
尚、修学旅行の一貫ですので校内暴力になりますが、担任もクラスメイトも素敵にスルーです。
むしろ、相手してあげてる私を有難がってる感さえあります、拭寄席さんは笑ってないで手伝って欲しいんですが、貴方の頭突きが一番効くんです。
「おー……飛んでった、まぁ、青髪ピアスと槌帝なら良いか」
「良いんですかねぇ……」
本当、素敵な友人関係ですよね、あなた達は。
新田君、君は彼等に染まっちゃ駄目です。
とりあえず、私が機嫌が悪い原因は一点。これから京都に向かうからです。
厄介な面々が逆恨みしてるでしょうからね。先に現地入りしたメディアさんもあまりに目に付いたのは幾つか潰したらしいですし。
まぁ、その件で、学園長と話す機会が出来てしまったのも原因の一つですが。思い出すたびにむかついてきます。
態々、男子寮まで訪ねて来て、話し合いの場を作らさせられましたからね。
「単刀直入に言おう、学園の長として君に答えてもらいたいことが一つある」
「……聞くだけ聞きますよ」
「じゃが先に……話は変わるが春休みの初め頃に、呪詛返しを行ったそうだの、このかが言っておった」
「それは当然でしょう、不快な呪詛が身を苛みましたので」
「……力任せに、意図的に改悪してかの」
「意図はありませんよ、ただ力任せに呪詛返しを行っただけです」
「ふむ、結果だけ伝えると、その呪詛返しで関東への離反者や、それまでの強硬姿勢を融和姿勢に変える者などが現われた、規模としては数十人ほどじゃ」
「はぁ、それで」
「……結果として、旧家の幾つかが関東寄りの姿勢を取らざるを得なくなった……まぁ、分かるじゃろうが……後の無くなった強硬派が、今回の修学旅行で何をしでかすか分からなくなったんじゃ」
「それは大変ですね」
「女子中等部も3-Aも京都へ向かう、学園側としては。この3-Aの団体行動で……男子の団体が始終一緒に行動できるか、逆に一切接触が無いか……君はどっちが良いかと思ってのう」
「警護に協力するか、囮になるかを選べと」
「それは穿ちすぎじゃろう……ただの質問じゃよ」
「面倒臭いですね、心配しなくても、一般人に被害が出ないよう努めますよ、私のせいで巻き込まれるのは心苦しいですからね」
「そうかそうか、では」
「ただし、子供先生とそのパートナーは除外です……私は、一般人に被害が出ないよう努めるのみです」
「……何とか、ならんか」
「不干渉の取り決めをしたはずです、京都が過激な行動を取り得る一因となった自覚はありますから一般人へのフォローはしますが、子供先生達は貴方方の関係者と判断します」
「せめてパートナーだけでものぅ、彼女はこっちの世界は日が浅いわけじゃし」
「そうですね、完全に一般人として扱って良いのならフォローもしますが」
「……具体的には?」
「非常時・平時に関わらず魔法を使おうとすれば妨害するか、意識を奪って魔法を使えなくします」
「むぅ、厳しすぎやせんかのう」
「覚悟無く裏に関わってしまった不幸には同情します、譲歩してますよ」
「本当に、無駄な時間を過ごしました」
あの後もしつこくて、情報をリークした新田先生が引き取りに来てくれなかったら無意味な押し問答が続いたでしょうね。
そして、この時期に長期に渡り学園長と話し合いを行ったと伝われば勿論、関西に警戒されるでしょうし……この情報を漏らさないほど甘くないでしょう。
……西に呪詛返ししたフォローとしては少し此方の分が悪いでしょうね……まぁ、修学旅行の行程に口出しできたので良いですが。
結局、行動を共にするよう調整する話になりました。
囮にされれば、関東に属しただの、密書を有しているだの、新たな呪詛を撒きに来ただの様々な噂を流されて襲撃が此方に流れるよう誘導されるでしょうし。
どちらにしてもメディアさんが弟子として受けいれた近衛さんは気にかけないといけません……学園に利用される形になっても、千雨ちゃん達と行動を共にできるメリットはあります。
「お、あれ女子の方じゃねぇか」
此処まではディルムッドのファミリーワゴンに乗って来ましたから、千雨ちゃん達も既に駅には着いています。
……駅に着くまでもファミリーワゴンの中で何度か千雨ちゃんに小突かれましたが。
柿崎さんと釘宮さんの微笑ましい目が痛々しかったです。
実際、視界に3人の姿も見えますが、華やかな3-Aの面々がそろい踏むと、広い駅の中でも目立って。
「あぁ、子供の先生が居るって事はあれが3-Aか……てか、え、あれ同い年? 高校生とか混じってないか?」
そう言えば、神上さんは年上のお姉さんとかが好みとか言ってましたか、あれだけ年下に好かれてると言うのに……本人気付いて無さそうですが。
ちなみに、視線は那波さんとか龍宮さんとかを眼で追ってます。
「カミやんの女体レーダーももまだまだだぜぃ、ありゃ殆どオレ等と同い年だぜい……一人、凄い子が居る気がするがにゃ……あれ、あのメイドっロボっ娘、あんな感じだったか?」
残念な事に復活しましたか、槌帝。
ちなみに、絡繰さんも普段は制服をちゃんと着てますよ……後、相坂さんに年齢の話題はタブーです。肉体年齢はおよそ2歳。実年齢は……えぇ、気にしないほうがいいです。
そして。
「おぉ、ボクの未来の花嫁達があの中に……あの先生も結構可愛いなー」
……そこまで堕ちてましたか、もう駄目だこの青髪ピアス、早く何とかしないと。
「てかおい、お前男までいけたのか……いや、確かに声は知り合いに似てて女の子みたいだが」
「ふん、女なんて義妹さえ居れば良いんだにゃー」
こいつも駄目だ、槌帝……も末期だ。
班でのまともな人間は私と新田君だけですが……私を見上げる新田君の目が優しいのはきっと気のせいです。
「はっ、何を言うてんカミやんは。ボクはショタのみならず。元幽霊喜寿っ娘巨乳パパ好きっ娘パパラッチ弾き語り漏らす子哲学派ナース注射器ロリ婆吸血鬼スイマーポニテチアガール寝取りオッドアイツインテ魔女っ娘変装美女ロボっ娘メイド拳法少女チャイナ服くぎゅー学ラン和服巫女さんアホ毛腐女子半妖羽根っ娘レオタードアホっ娘ラッキーガール猫っ口褐色っ娘半魔未来人火星人忍者ロリ巨汎用ボディ保母さん熟女ぉおおおおおおおん? 双子悪戯っ子ロリ無乳マッド白衣ネットアイドル内弁慶っ娘恥ずかしがりや妻妾同衾オーケー嫁地味っ子影の薄い子ぽっちゃりコアラっ子ショタ好きお嬢様魔族ピエロまであらゆる少女・性癖を迎え入れる包容力を持ってるんよ?……てか。話の途中でお尻にお葱が刺さったんやけど、これどんなプレイ?」
とりあえず距離を取りましたが、それでも耳に入ってきました。
女子中等部の方でも不気味なオーラが漂ったりエアガンを構えたりと警戒モードに入ってます。
「てか、あれ、ロリ婆が足りないでー」
ネギを引き抜きながら確認している青髪ピアス。何でこの距離で分かるんでしょうね。
修学旅行……楽しめれば良いですが。
「……多少は、茄子の我侭を聞いてでも、得る価値はありますからね……この修学旅行には」
……あかん、ちょっとずつ、クオリティが下がってる自覚はまずい気がします……
短い上に、ちょっと出来が悪い気がします……
みんな、もっとオラに元気(感想)を(ぉぃ
……そろそろ振り返ってみますか、勢いで書いてきた作品を。