47話を加筆しました
内容的には然程変わらないと思いますが
学園長 不干渉は分かっておるが京都への呪詛返しを行った以上、フォローはすべき
朱雀 修学旅行で此方の都合も聞いてもらいます。
辺りを強調しました
48話
少し気が重たいが、修学旅行の日を迎えた。
私のクラスも、朱雀のクラスも京都だ……
京都と言えば朱雀が不機嫌になる地名で、メディアさんが盛大に喧嘩売ってて、近衛も狙われてるらしい場所……私はハワイの方が良かったな。
実際、修学旅行が近付くにつれ朱雀の機嫌は少し悪くなった。
この時点で少し不安だが……一応、ディルムッドさんの運転で大宮駅に来る道中は、そこまで酷くは無かった。
余程のことが無ければ春休みの時のようにはならないだろう。
「千雨ちゃーん、1班の点呼を取るよー」
憂鬱から浮き上がれば、目の前には今回の修学旅行が楽しみでしょうがない様子の椎名……まぁ、この様子なら、ウチの班とかクラスごとで厄介ごとに巻き込まれることは無いか。
本気で危険なら修学旅行の行き先を決めるときにハワイ行きを提案してるだろうし。
「千雨ちゃんにアキラ、美砂にくぎみー……と、1班全員揃いましたー♪」「くぎみー言うなー」
椎名繋がりでクラスでも仲の良い柿崎と釘宮、それに大河内と椎名、何の気兼ねもしないで済む面子だな。
「2班も全員揃ったでござるよ」「揃ったー」「わーい」
2班の班長の長瀬の後には鳴滝姉妹と相坂と四葉、双子の元気と四葉達の落ち着きを足して割れないかな……まぁ、四葉達は面倒見良いから丁度良いのか。
「3班も全員揃っておりますわ……あ、ザジさんがエヴァンジェリンさんが来てないようだと言っておられますが」
委員長の処はルームメイトの那波と村上に、朝倉とザジ……何で委員長はあのザジと会話できるんだろな。
「ネギ君、4班揃ったよ」
佐々木に明石、和泉に龍宮と春日の4班、体育系クラブで仲良いからな。
「5班も全員居るわよ」
神楽坂のところは図書館探検部が集まってるけど、近衛が一緒じゃないんだよな、元はそのつもりだったらしいけど……春休み明けてから、近衛の急な都合で一緒に班行動できなくなったとか。それこそ毎日のように謝ってたけど。
綾瀬と早乙女と宮崎、バカレンジャー繋がりでクーフェイが一緒の班になってる。
「6班ですが、エヴァンジェリンさんが欠席との事です」
「うぅ……ごめんなーみんな」
ルームメイトの神楽坂や図書館探検部の面子と違う班にした近衛がまた謝ってる、あれで何度目だろうな。個人的な都合でどうしても一緒の班になれないとか言ってたけど……ただ、私はあの班の面子に嫌な共通点を感じるんだが……
ちなみに6班は桜咲に近衛、超と絡繰と葉加瀬とエヴァンジェリン……6人の班員のうち5人が魔法関係で関わった覚えがある……葉加瀬もロボの開発に関わってるらしいから知ってるんだろうなぁ……近衛、狙われてるらしいよなぁ……絶対あの班の行き先には近付かねぇ。
修学旅行中は最強のお守り、椎名桜子から離れずに行動しよう。
「あ、千雨ちゃん、あそこ男子が集まってるみたいだよ、朱雀も居る」
「ん、本当だな……」
前のほうに居る青い髪したのが何だか早口で卑猥な言葉を羅列してるみたいだが良いのかあれ……あ、尻から葱が出た……変態か、今のうちに捕まえてくれねぇかな……しかし葱か、那波にも暫く近付かないでおこう。
「新田せんせー」
その男子の集団から小さな子供が近付いてくる。
子供先生と同い年くらいの女の子。何でか知らないが真っ直ぐに新田先生のほうへ向かってくる。
……まさか噂の若い彼女とか……いや、さすがに新田が犯罪行為に手を染める筈が無いか。
「おや、月黄泉先生、引率ですか」
「はい、勉強会以来ですね」
……今、有り得ない単語を聞いた気がするが。眼を一瞬ネギ先生の方に向けて……改めて幼女な先生(?)に戻す。
そうか、余所の学校にも10歳の子供先生って居るんだな、区別のために幼女先生とでもするか。
うん、幼女先生のワンピースのポケットに煙草の箱が見えるのは気のせいだろ。
朱雀が前に中等部の担任はホワイトスモーカー(灰皿と肺が灰で満たされる)とか言ってた気もするが、まさかあの外見で煙草と酒が生きがいとか無いだろうし。
「うちのクラスは新田先生のクラスと同じ車両なのですよ」
「おや、そうなのですか」
「女子中等部も男子中等部も5クラスずつ参加なので、一車両に2クラスだと1クラスずつあぶれてしまうのです、なので3-A同士が同じ車両みたいなのです」
「む……何故どちらもA組なのでしょうか」
女子と男子に別れてはいても、麻帆良学園と言うくくりは同じだからスケジュールも行き先も同じだしな。順番に詰めてけば普通、男子A組みと同じ車両は女子のS組か、もしくは逆のパターンになるんだろうけど。
「うちの校長が問題クラスは一纏めにして新田先生に監督してもらいたいと言ってたです、私もそうしてもらえると非常に助かるのですよ……特に、女子の3-Aにはうちのクラスの最終兵器が抑えられるらしいのです……良い子なんですけど、ちょっと沸点が温くて過激な子なので」
……朱雀のクラスもなかなか問題クラスらしいからな。
まぁ、朱雀自身結構な問題児だし、あいつ、身内に甘い分、気に入らない相手には容赦ないからな……つか、沸点の温い最終兵器……もろにあいつだろ、小学校の頃から評価が変わってねぇ。抑えてた私とかが離れた分悪化してる可能性もある。
後、三馬鹿と言うのがうちの朝倉とか早乙女に匹敵する問題児らしい……とりあえず目に付くところでは。朱雀並に体格の良い金髪サングラスに、卑猥な叫びを上げながら四つん這いで呻いている青髪ピアス、その尻から葱を抜こうと頑張るツンツン頭。
正直視ていたくないので、さっさとホームに向おう。
「あらあら結構深く刺さっちゃったかしら」
那波の呟きはスルーだ。
関わると火傷する気がするし、既に椎名はホームに行った、私もそれを追いかけて。
……こうして、騒々しい修学旅行が始まった。
「では、15年度の修学旅行だが、麻帆良学園の学生として節度ある行動を……む、瀬流彦君、どうかしたかね」
「S組で体調を崩した子がいまして、申し訳ないですが新田先生」
「む、すぐに見に行こう、しずな先生、後を頼みます」
車両を沈黙に鎮めていた新田先生が出て行って、一気に空気が変わります、男子も女子も気が楽そうになって……
……あれも、学園長の仕込みですかね。
今更何をやっても不思議には思いませんが。新田先生との不和が拡大してるのを自覚してるんでしょうか。新田先生は裏のことは一切知りませんが、学園長が一部生徒の行動を意図的に操作してるのは気づいてる様子なんですが。
……何時か、爆発しないといいですが……
「はいはい、皆さん静かに。それでは、15年度の修学旅行が始まりました、この四泊五日の旅行で楽しい思い出を一杯作ってくださいね」
「はーーい」
しずな先生の声に合わせて華やかな声が響き渡ります。
男子3-Aの面々は女子3-Aと同じ車両と言う好機に半数くらいが熱意をあげています……まぁ、絶好のチャンスではあるんでしょうが。
「はいはーい、みなさーん、目の前ににんじんぶら下げられたお馬のみなさーん、あっちに勝手にちょっかい出したら新田先生にお説教してもらった後、修学旅行中でも構わず課題出しちゃいますよー自由行動をホテルで潰したくなかったら大人しくしてるですよー」
小柄な月黄泉先生が死刑宣告に等しいペナルティを口にします。
この辺りの厳しさは向こうの子供先生が持たない確固たる大人のそれですよね。外見にそぐわないですけど。
けれど、その言葉を受けても、それは思春期の男子……そう簡単に眼の奥のギラつきが消えるはずもなく。
「それとー、あっちには朱雀ちゃんの逆鱗が3枚混ざってるそうなので、命が惜しい子はくれぐれも躊躇するよーに」
ギラついてたうちの半数が頭を抱えて震え始めます……そんなに怖がられると、私も申し訳ないんですが。
小学校の頃ほど暴れてないんですけどねぇ、入学直後に目をつけてきた3年の方々にリアルバウト流アイアンメイデンをしてからは突っかかってくる方も居ませんし。
直後に来た高校の方はリアルバウト流四次元ポケットで焼却炉に入ってもらっただけですし。
私の嵩があると増長してしまった施設の後輩にはきっちりOSHIOKIした後、お婆さんに説教してもらいましたし。
……えぇ、一応私から仕掛けたことは一度たりとも無いです。
全部、正当防衛ですから……過剰防衛も無い筈……ちゃんと後遺症が残ったり一週間以上ダメージを引きずらないようには手加減してますし。
「ふっ、ザクヤンと言う壁を乗り越えてこそ得られる華もある、こんな直ぐ傍に特上フラグが30個もあるんや、ボクはもう我慢できへぶんっ」
とりあえず、青髪ピアスは早目に潰しておいたほうが良いですね。多数の女子と密閉空間で野放しにするのは問題があると判断します。きっちり急所を突いたので、京都くらいまでは大人しくなってるでしょう。
「と言うわけで、あんな眼に遇いたくなかったら大人しくするですよー、あ、朱雀ちゃんと神上ちゃん、お友達とのスキンシップは周りに迷惑をかけない範囲でお願いしますね、逆に周りに迷惑をかけそうならスキンシップ上等なのです」
「すいません、コレを友人のカテゴリーに入れることが、屈辱なんですが」
いくら、男で友人と言えるようなのが新田君とか施設関係しか居なくても、青髪ピアスは遠慮したく。
「スキン……シップ……特上女子と・・・フラゲヘヴンッ」
未だに動き出しそうなのでとどめにもう一撃叩き込みます……ちゃんと手加減してますよ、
「新田ちゃん、朱雀ちゃんがやばくなったらお願いしますねー」
「女子の3-Aと行動が重なるなら、大丈夫です……鬼札が居ますし」
そう言えば、新田君と千雨ちゃんがタッグを組む機会多かったですね、二人して協力して私に向かってきて……懐かしいですね、新田君がちょっと羨ましかった時もありました。
最近は千雨ちゃんのハリセンに物理ダメージが伴うようになりましたが、それ以前も何気にダメージを受けてたような気もしますし。
「朱雀ちゃんは後遺症を残さない過剰防衛が得意すぎる上、論理観は意外とちゃんとしてるから先生は色々困るのですよ」
「いえいえ、ちゃんと手加減してますよ、過剰防衛じゃありません」
後、論理観が意外ととか何気に酷いこと言われてませんか。
「はいはい、ちゃんと壊れないよう手加減できるのは良い事だと思います……その辺りはもう諦めたので良いです、特にクラスの問題児3人には丁度良いくらいなのです、みんなも、節度ある行動を心がけるように、以上なのでーす」
神上と槌帝が不平の声を上げますがスルーされます。
とりあえず、青髪ピアスは邪魔なので、電車で言う網棚の位置にある荷物棚においておきましょうかね……新田先生に見つかったら五月蝿く言われるかもしれませんが……
「それで京都で荷物を忘れてく訳やね」
「青髪ピアスだと、普通に博多からでも戻ってきそうだけどな」
「…………そんな迷惑な真似はしませんよ、点呼のとき誤魔化すのが面倒ですし」
ちょっと考えたのは許してください。既におなか一杯なんです。
とりあえず、この状況で大っぴらに女子の方に行くのもどうかと思うので神上達のトランプに付き合う事にします。
「とりあえずポーカーで良いか、で、何賭けるにゃー」
「朱雀は女の子紹介してくれれば良いぞ、あの髪を緩く結んだ泣き黒子のオネ……子とか」
那波さんですか、名前も知ってますし面識もありますから紹介自体は然程難しくないですね、施設のボランティアでよく見かけますから、手伝ってくれれば普通に会えますし。
後、さすが、青髪ピアスの被害を見てるだけに、『刺す気』にも反応しますね。
「名前と休みの日によくいるスポットとかなら……良いですかね、勿論勝てたらですが」
「フラグ長者は余裕だにゃー、朱雀は3枚な、カミやん6枚で良いかにゃー……ところで、妹キャラは居るん?」
敢えて言うなら魔法生徒の脱げ女のパートナー辺りがそうですが……ディルムッドを使えば紹介も出来るでしょうが、そこまでする気は無いので首を振ります。
鳴滝妹さんはさすがに……守備範囲外、ですよね?
「妹なら問題ないにゃー」
……駄目だ、これも早く何とかしないと。
「ボクはどの子にしようかなぁ」
……何故、何故に復活してます青髪ピアス。先程は確実に急所を突いたはず、追加で踏みつけ攻撃まで行いました。
メディアさんなら即死級、ディルムッドでも顔を歪める一撃の筈なのですが。
「こんなチャンス、見過ごすわけにはいきませんなー」
……こいつは本当に早めに何とかしないと……
「槌帝、負けられなくなったので私も手札は5枚で」
「朱雀に5枚もカード渡したら勝ち目無いだろが、てか俺6枚で5枚交換を二回してもブタなんだが」
神上、あなたの運の無さは最早EとかFを飛び越えて、マイナスが付いていませんか。
6枚のうち5枚を選んで役を作って良いと言う神上特別ルールでもそれか。
「手札3枚、交換無しでスリーカードがデフォな朱雀にこれ以上カード渡せるかっ、今日こそ、今日こそ勝ってやるにゃー」
フラッシュは5枚で全部のスートがって言う事にされましたからね、そう言われるまではフラッシュ連打でしたが。
……とりあえず、お遊び抜きで本気で相手してあげました。
「ぎゃーーー」「にゃーーー」「ヘヴンッて、ボクだけ手が出てないかー」
賭け事において、幸運Aと直感Aを併せ持つ私に勝てる相手なんて早々いないんですけどね。
「んーと、確かロイヤル何とかって役」
……女子のほうから聞こえてくる若干一名を除いては。
桜子ちゃんには未だに負け越します……もうあれは天才と天災を超えた、天祭だと思うんです。大盤振る舞いです。
さて……そろそろ、直感が違和感を感じます、注意深く周囲を探れば薄い呪力も感じられ……
軽く女子のほうを覗き見れば、桜子ちゃんと千雨ちゃん、アキラは眼の届くところで纏まってます。
視界に居てくれるならば特に気にする必要も無く。
「ふーん、放置するなんて珍しいにゃー」
「さてはて、何のことやら」
一瞬、流された呪力を感じて桜咲さんが目立たないように席を立って新幹線の後部車両へ向かいます。
……子供先生は特に気にした様子も無し、にこやかに笑いながら車両を出て行きました。
直後。
「キャ……キャーーーー」「カ……カエルーー」
女子の方を中心として大量のカエルが大量発生します。蛙と言っても随分デフォルメされて丸っこく、可愛らしいデザインですが、存在自体に生理的嫌悪は感じますからね。
女子の方は結構なパニックになって。
「ふぐっ、な、何しやがる」
……まさかの、千雨ちゃんの悲鳴が聞こえました。
千雨ちゃんたちは被害に遭わないと思ってたので意識してませんでしたが、千雨ちゃんにもカエルが……
「後生でござる、後生でござる、何故か長谷川殿の周りには蛙が居ないでござる、蛙だけは駄目でござる」
カエルでなく、忍者に抱きつかれてました……千雨ちゃんとかアキラは効果の高い護符とか持ち歩いてるので、式とかは近づけないんですよね。
何せメディアさん特製のお守りですから、桜子ちゃんも傍に居るので幸運も上がってるでしょうし。
だから気にしてませんでしたが、そう言えば蛙が苦手でしたっけ、あの糸目忍者。通路をカエルが埋め尽くすような状態でぽっかり無事な場所を見つけて飛びついたみたいです。
実際、千雨ちゃんの辺りにはけしてカエルは近づかず。
「だぁ、離せ、ちっ、邪魔だ」
千雨ちゃんは袖口からメディアさん特製のハリセンを取り出すと周りのカエルに振るいます。
それだけで、さして強くも無い式は遠ざかり、漸く忍者さんも少し落ち着ける余地が出来ます。
「な、何ですかこれはーーーっ、こう言う時は体力自慢の朱雀ちゃんと神上ちゃんの出番です、女子のみんなを手伝ってあげてください、槌帝ちゃんは女子の悲鳴を聞いて嬉しそうにしてる馬鹿な子を抑えて置いてください」
「なーーぜっ、ボクも女子の危機に颯爽とべふんっ」
青髪ピアスの顎にとりあえず拳を叩き込む槌帝は正しいです。やらなければ私がやってました。
「トレース・オン」
小声で投影して手にするは、以前に相対した魔法生徒が有していたアーティファクト。
魔法騎士団が正式採用している正式箒でもあります、効果を極力抑えて全体武装解除を発動させながら通路を掃けば凡そは消えていき。
……一段落したところで、子供先生が親書を奪われてました。
……あのまま逃げ去って敵の手に渡ってくれても私は一向に構わないんですが、原作通りだと桜咲さんが対処しますかね。向かった方向も桜咲さんの方ですし。
ひとまず、私と言うイレギュラーが加わっていても、原作修学旅行でのイベントは発生しました。
まずは一安心です。
……願わくば、予定通り行きたいものです。