82話
関東魔法協会の本部でもある、麻帆良学園。
その学園長室で、ある儀式魔法の準備が進められていた。
それは、麻帆良学園に登校地獄と言う呪いで縛り付けられている吸血鬼を解き放つための儀式。
【
ネギより、関西呪術協会本山襲撃の報が届いた際、学園長はエヴァンジェリンと碁を打っており、彼女を京都に向わせる事を思いついたのだ。
また、京都へ赴いているGFとも接触を取り、協力を試みたのだが、これに関してはほぼ失敗の運びとなった。
尚、この電話での連絡の際にエヴァンジェリンは会話の流れから自身に呪いをかけた魔女だと気付き、葱地獄の呪いを発症したが、其れはまったく別の話であるため割愛する。
この被害者は学園長から何度目かになる記憶処理を行われて復帰し。
その後に、学園長はエヴァンジェリンを京都へ向わせる事に執心し、学園結界を解除する等の緊急措置も施した。
「エヴァンジェリン、戦局はどうじゃ」
学園長室の机に山と書類を積み上げながら、学園長が訪ねる。
現在、エヴァンジェリンは学園結界による呪縛から離れ、その魔力は全盛期と同等の力を取り戻している。
後は、登校地獄の呪いを誤魔化せば、学園の外に出ることも出来る状態で。
「鬼神が復活したな……あまり猶予は無いぞ」
ソファに座すエヴァンジェリンは、水晶球を手にすると、それに指をかざして京都での戦闘を観戦していた。
それによれば、詠春達は分断され、其々個別に足止めをされ、思うように闘いの流れを掴められずに居た。
そして、水晶球の中ではリョウメンスクナノカミが復活を果たし。
水晶球を通してすら、轟音とも言える咆哮を京都の空へと解き放ったのだった。
「な、なんじゃ今のは」
「鬼神が……暴走しているようだな、とんでもない咆哮で叫んだぞ。今のは、かなり広くに響き渡っただろうな」
鬼神の声が全域に響き渡った……魔法の秘匿を監督する立場にある関東魔法協会・関西呪術協会にすれば看過できぬ非常事態と言って良い。
その情報に、学園長は慌て。
「むっ、書類はまだ半日分しかないが、儀式を急ぐしかあるまい、エヴァンジェリン、修学旅行中の自由は約束する、至急に向ってもらうぞ」
「直ぐ行けるのか?」
「後三分待っとくれ」
「よし、チャチャゼロ、準備しろ」
「ケケケ、久シブリノ戦イダ」
学園長が慌しくも儀式魔法の実行を始める。
それを確認しながら、エヴァンジェリンは水晶球を通して、京都で鬼神と戦うネギや詠春に念話を繋ぐ。
『……坊や、聞こえるか? 坊や』
エヴァンジェリンの念話は、鬼神を前に魔力を使い果たし、膝を屈していたネギ達の下へと届けられた。
その念話に、水晶球の中の詠春などは明らかな喜色を見せ。
『ふん、らしくない戦いをしおって……後三分程……』
其処まで口にしたところだった……
そのタイミングで、水晶球の中で状況が変化し始めた。
その時、遠方より遠視の魔法で観察していたエヴァンジェリンだからこそ気付けた異状。
「何だこれは……」
「オ、良イ感ジノ
その瞬間、遠く京都の地、その戦場に、鬼神を上回る
其れは、空高くより舞い降りる、翼持つ白馬に跨る
「何だ……こいつは」
「オ、コイツハ……ケケ、御主人、ジジイニハ教エンナ」
「む? 待て、まさか……」
空から舞い降りるは金色の鎖、特殊効果を持ったアーティファクトであろう其れは、天から舞い降り鬼神へと絡みつく。
其れは、容易く鬼神の動きを封じ。
鎖を握り、空から急襲する其れは
純白の翼をもって空を翔る白き彗星の一撃によって、鬼神はその体勢を大きく崩し。
其れを駆った男は、その手で近衛木乃香を奪還する。
そのまま、自身が生み出した暴風により森へと消えていくが、その男の姿を、エヴァンジェリンは確かに目にし。
「ケケ、御主人、アリャ御主人ノ敵ダゼ、大丈夫カヨ」
「っ、あいつがか……よし、間に合った」
咄嗟に、自身の中に刻まれていた術式を起動する。
それは、自身にかけられた呪いに抗う対抗術式。
散々悶え苦しみ、喘ぎ惚け、洩らし介護された中で、それでも構築した魔法式。
要介護認定される状態まで追い込まれながらも、それでも最強の魔法使いの二つ名は伊達ではない。
呪いに苦しむ中で、対抗術式を組み上げていたのだ、介護されながらも。
無論、学園結界により魔力を封じられた状態では何ら役に立たないものだったが、今、救援に向かうためにエヴァンジェリンの魔力は解放されている。
結果として、学園結界より解き放たれた吸血鬼は、その莫大な魔力を対抗術式に流し込むことで呪いを緩和し。
「結構持ッテカレテルナ」
「チッ、完全には無理か」
苦痛を感じながらも、エヴァンジェリンに朱雀と言う名の、自身の敵を睨みつけることが許された。
その魔力の数割を呪いの緩和に消費しながらも、吸血鬼は敵意を露にすることを許される。
そして、改めて其れを見る。
だが、水晶球の中で疾駆する
いや、最早、まったくの別物と言って良いだろう……ともすれば、鬼神すら上回りかねない圧倒的な存在感を持つ
それを容易く御し、男は鬼神より近衛木乃香を奪還した。
「……鎖のアーティファクトと、規格外の
水晶球の中では、その直後に湖に雷が降り注いだ。
其れは、エヴァンジェリンにも覚えがある、かの英雄ナギ・スプリングフィールドがよく使っていた広範囲殲滅呪文、
だが、その威力は、ナギのそれすら上回るほどの大火力だ。
其れが、鬼神を追い詰め。そして、水晶球の中、エヴァンジェリンの目に、その魔法の術者が映る。
「こいつは……もしや」
何時の間にか、ネギや詠春の前に立った、紫紺のローブを纏った女。
それは、エヴァンジェリンが捜していた、ある魔法使いの特徴と一致する。
6年前、ウェールズに現われ。大規模な悪魔襲撃を防いだ正体不明の魔法使い達。
そのうちの一人、紫紺のローブを纏った女魔法使いは、完全石化された村人を容易く解呪したと言う……
数人の、石化されたままになった村人は未だ回復方法がまったく見つからないにも関らずだ。
即ち、そのアーティファクトは極めて強力な、解呪のアーティファクトである可能性が高く。
そして、エヴァンジェリンの身を苛む登校地獄もまた、完全石化に匹敵する呪いである。
逆説的に、そのアーティファクトならば、エヴァンジェリンを苛む登校地獄すら解呪できる可能性が高い。
故にエヴァンジェリンと学園長は、其れを使う紫紺のローブの魔法使いを捜し求め……
「エヴァンジェリン、儀式魔法は成功した、儂がハンコを押し続ける限り、登校地獄は誤魔化せるはずじゃ」
その時、学園長室の椅子に座って、ひたすらハンコを押し続ける学園長の声がかかる。
儀式魔法の施術と、5秒に一度、書類にハンコを押し続けるという単純ながらも過酷な作業に追われて、京都での事態の変化には気づいていない様子で。
「あぁ……では、行ってくる」
それを知りながら、無視してエヴァンジェリンは転移魔法を起動させる。
影を使った
その視界の中で、鬼神は槍の一撃を受け。断末魔をあげて死に逝く……
地上から、鬼神を貫き空へ奔るは、朱色の槍で……
「赤い槍……空を舞う悪魔を蹴散らしたというやつか」
そして、それもまた、6年前の事件の目撃証言と一致する……空を舞う悪魔を尽く散り砕いた、三条の朱き槍と。
故に、エヴァンジェリンは再び転移魔法を使うと、ネギの影からその姿を現し、飛翔術を使って空を舞う。
そうして、エヴァンジェリンは魔女の後方から近付き。
「……さて、それで、何か用かしら?」
その気配に気付いたか、魔女が振り向くことも無く口にするが……それはあからさまな嘲笑の響きを含んだ。
槍を放った男や、其れとは別の男もまた魔女の傍に寄り。
「……貴様等、何者だ……いや、その前に……貴様のアーティファクトを出して見せろ」
それは、強者の宣言。
最強の魔法使いの銘を数百年の長きに渡り冠し続けてきた、
常に強く、誇り高く、そして、上に立ち続けていた、エヴァンジェリンと言う最強の魔法使いの宣言だ。
最強の魔法使いとして、詳細の知れぬ不審な魔法使いに命じる。
その手に、6年前の目撃情報たる、直角に折れ曲がった形状の
けれど、魔女は其れを拒む。
「あら、随分不躾な子ね、子供はもう寝る時間よ、さっさとおうちに帰りなさい、お嬢ちゃん」
それは嘲笑と共に拒否される、あからさまな嘲りと共に。
普段は、魔女の其れを諌めようとする、二人の男もそれを看過する……
いや、むしろ、エヴァンジェリンにあからさまな敵意すらも向ける、彼等には、吸血鬼を殺すに十分な理由があるのだから……
「ふざけるな、この私を誰だと思っている」
そして、それは確かな隔絶となって現れる。
ネギや詠春が不穏な雰囲気に声を上げるが、どちらも、それを聞く気はなく。
「関東の使いパシリよね……確か、
クスクスと、嗤う魔女。
男の一人は掌に収まる仕込みナイフを逆手に握り、もう一人は朱き二本の槍を手にする。
「どうやら、余程殺されたいらしいな」
「先に馬鹿げた要求をしたのはそっちでしょう……ねぇ……
そして、魔女と吸血鬼は睨み合う……
其れは、最早確定的な対立。
吸血鬼が三者に明確な殺意を帯びたことで、呪いが、より強く吸血鬼を縛る。
其れは、吸血鬼自身が構築した術式によって緩和され……
「……貴様」
その呪いの縛りが、さらに弱まる。
「施しよ、受け取りなさいな、あぁ、感謝の言葉なら地べたに這い蹲って、その言葉遣いを少しは正して言って貰えるかしら。顔立ちは可愛らしいから、少しは見えたものでしょう」
クスクスと嗤うは魔女。
そう、魔女もまた、呪いの効果を和らげる。
より強く縛り付けることも可能だが、それでは駄目だと……呪いで無力化しては、好機を逃すと……
故に、吸血鬼に、自身が施した呪いの効果を弱め。
「さて……それで、喧嘩を売ってると言う事で良いわね、吸血鬼」
ナイフを手に、歩み出るのは一人の少年。魔女と槍兵はその左右に立ち、飛翔する吸血鬼と相対する。
身内を傷つけられ……其れを取り逃がした少年にすれば、其れを殺せる好機はありがたく。
「……最後のチャンスをくれてやろう、解呪のアーティファクトをもっているなら、今直ぐに其れを出し、私に架せられた呪いを解け、今ならばまだ許してやっても良い」
吸血鬼もまた、自身の高い自尊心ゆえに引くことは有り得ない。
己の従者達を呼びながら、魔力を高め。
「まずは地べたに這い蹲りなさい、それで、額を地面にこすり付けて懇願しなさいな、話はそれからね」
魔女は其れを嘲り嗤う。
「……どうやら、力尽くで言う事を聞かせられたいようだな」
魔力の高まりがエヴァンジェリンより眼に見えて噴きあがっていく。
その手に剣のように魔力を集中させ、空からロケット噴射で降りてくる自身の従者と、自身の身長よりも長大な剣を持つ人形のような大きさの従者を侍らせ。
「あら、困ったわね、襲われてしまうなら私達も必死で抵抗しないと……ねぇ」
魔女もまた、魔力を自身に集め……少年と槍兵はそれぞれ構えを取る。
「ふん、覚悟は良いな」
「こういうとき、なんて言ったかしら……そうね、セクストゥムちゃんに教えてもらったけど……お漏らしは大丈夫? オムツはした? 神様へのお祈りはすんだかしら? お部屋の隅で震えて命乞いする心の準備は十分かしら? お嬢ちゃん」
エヴァンジェリンは口元を歪めると、最早問答無用と呪文の詠唱を始める。
其れは、
最強の魔法使いの、最強の術式で……
「待ちなさい、エヴァンジェリンっ!!!」
「何がどうなってんのよー」
「良いから下ってください、巻き込まれますっ」
「あわわわわわわ」
「何か凄そうアル」
確実な隔絶を前に、慌てる詠春達の叫びを切り捨て、殺し合いは始まった。
エヴァンジェリンの呪文の詠唱の時間を稼ぐため、チャチャゼロと茶々丸は3人に向って飛び掛り。
「落ちなさい」
「え?……すいませんマスター」
その茶々丸の上空から、高圧の重力が圧し掛かる。
其れは、茶々丸を桟橋へと叩きつけて上から強く押し潰す、魔女による重力魔法で……
「ケケ、隙アリッテ……ヤッパ、テメェカヨ」
その魔女に飛び掛るのは小柄な影……エヴァの従者たるチャチャゼロが、魔法行使の間隙を突いて、その刃を振りかざすが。
其れを阻むのは二本の槍……ディルムッドが魔女の盾となり。
「ソノ投槍ハ投ゲサセネェゼ」
3学期の時の戦いでは、槍の投擲によってチャチャゼロを下したディルムッド。
それ故に、チャチャゼロはその投擲を警戒するが。
「ッ、ナンダ、ソノ槍……マサカ」
手にする魔槍の一本は、嘗て放った
普段は秘匿し、主より全力での戦闘を許された場合のみに開帳する、ディルムッドが誇る
「チィッ、相性最悪カヨ」
魔力によって強化され、動くチャチャゼロにとっては最悪の相性と言うこととなる。
魔力によって強化された大型ナイフは、
「チッ、喰ラエヤ」
咄嗟に、チャチャゼロは其の身の小柄さと俊敏さを生かして懐へと潜り込む。
人には有り得ぬサイズを利用した戦闘法こそが、最強の魔法使いの従者たるチャチャゼロの必勝法だ。
けれど……
神話の時代を戦い抜いた英霊には、数多の英雄譚が存在し、其れには巨人や異形との戦歴すら存在する。
ならば、異形の小柄といえど不意を突くは難く。
「ハッ」
「ゲッ、スマネェ御主人」
其の身は、槍にて突き穿たれる……
かくして、二体の人形の従者は魔女と槍兵によって討たれ……
そして、其の主の下へは、逆手にナイフを構えた少年が迫る。
蒼き輝きを湛える双眸に標的を捉えた少年は、吸血鬼の身に幾条もの線を見つけながら
呪文を詠唱する吸血鬼は、糸を繰って少年の足止めを試み。
少年は、其の糸の尽くをナイフで切り裂いて夜空を駆ける……空を舞う吸血鬼を追って、中空を踏みしめて。
其れは、虚空瞬動を利用した動きではあるが、空間を足場とする事は、少年の体術の一つに劇的な効果をもたらす。
「ちっ」
呪文の詠唱が成功する寸前で少年に接近され、再び糸を放つ吸血鬼……その視界から、少年の姿が消え去った。
其れは、突然の戦闘を傍観するしかなくなった刹那と詠春の目に辛うじて映された奇怪な動作。
一瞬にして吸血鬼の背後へと回り込む、その動きは人の其れと言うよりも蜘蛛。
蜘蛛の動きを獣の速度で行う、退魔の一族 七夜 に受け継がれる体術で。
蜘蛛が振るうナイフは、背後から吸血鬼へと振るわれ……辛うじて身を捩った吸血鬼の、髪を切り、腕を蒼き双眸に映った線に沿って斬り落とした。
それは、吸血鬼も覚悟したもの。
腕の一本ならば、髪もまた、呪文の詠唱さえ完成すれば容易く復元できると……
「
瞬間、吸血鬼から凶悪な凍気が迸る。
それは一瞬で大気を凍てつかせ、僅かに残されていた湖の水を凍らせていく。
其れこそが、
敵に仇成す攻撃魔術を敢えて自らの肉体に取り込み、霊体にまで融合させ、術者の肉体と魂を喰らわせて、それを代償に常人に倍する力を得ようと言う狂気の技。
【
肉体を凍気と同一させることで、物理的な攻撃を完全に防御し、回復も容易く……
「ぬ?」
けれど、斬り落とされた腕の復元に失敗する……其れは、吸血鬼にしても不可解な現象で。
其れは、少年にすれば当然の事。
直死の魔眼によってモノの死を眼にする少年が、吸血鬼の死の線を斬ったのだ。
その腕は最早、如何なる手段をもってしても生きることは出来ず。
吸血鬼の戸惑いは一瞬、それで十分……
肉体を凍気と化した吸血鬼に振るうは、槍兵もまた、手にする紅き槍。
何時かの日と同じく、ただ、その槍の色を紅に変えて、少年は槍を振るう。
「燕返し」
其の身を凍気と化した吸血鬼に物理攻撃は無効、魔法すらも取り込むことが出来る【
「がはっ、なっ……」
そして、少年の目に吸血鬼の死の点が映される……
腕を失い、全身に槍戟を受け、弱った吸血鬼に死が浮き上がり……
「きゃうんっ」
そのまま、吸血鬼は短い悲鳴を上げて地面へと落ちていった……少年が、点を槍で突き抜くよりも早く……
吸血鬼はどさりと桟橋……ネギや明日菜が居る辺りへと落ち。
「…………」
桟橋へ落ちた吸血鬼目掛けて、構わず少年は槍を投げ下ろす。
「
何を思ったか、ネギが其の槍を魔法の障壁で防ごうと立ち塞がる。
其れは、10tトラックの衝突すら防ぎきる、優れた対物理防御
あらゆる魔術的効果を突き貫く、
「ネギーーっ!!」
「…………」
軽く中空を蹴って、魔女の傍に着地した少年は、其れを眺めながらも吸血鬼の方を見て……
「登校地獄とか言う呪いが発動したみたいね、それで魔力が弱まり、私の呪いを併発したのよ」
呆れたように呟くのは魔女。
ある報告により、GFと吸血鬼の直接対面になりうる状況だと気付いた学園長は5秒間に一度押す必要のあるハンコの押印を中断し、事態の把握を始めたのだ。
其れによって、登校地獄が復活した吸血鬼は最強状態を失ってしまい、一挙に呪いへと堕ちた……
結果、吸血鬼はあへあへと要介護状態へと陥り。
「イクシールを飲ませます、刹那君、槍を抜いてください」
「は、はい」
槍の一刺しを受けた
「……栄養ドリンクに見えますが」
「私があげたのよ、まだ残ってたのね」
重力魔法から解放された茶々丸は再起動した様子だが、要介護状態の主を見つければ慌てて介護へ入り。
ディルムッドが、ネギに刺さっていた槍を回収する……
「がっこーいかなきゃ、がっこーいかなきゃ」
要介護状態に陥った
詠春は、残っていた二本のイクシールでネギと吸血鬼の治療をするようで……
「もう、用は無いわよね……帰ろうかしら」
「一応、関西の長に話だけはつけてもらえませんか……私は関わりたくないので、お願いする形になりますが」
「面倒ねぇ……」
そうして、3人は溜息を洩らしながら、ネギと吸血鬼の治療のごたごたを眺めるのであった。
裏情報
メディアがかけた敵意・悪意に反応する呪いは、その対象によって効果が大きく変わります。
戦闘能力がある3人に対してのため、魔力減衰は効果が弱いですが
3人娘に対する敵意・悪意に対しては、現状の対抗策でも効果はありません
チート3人に関しては、殺せる
魔力減衰に対する逃げ道(と言う名の落とし穴)があったわけです