84話
「ウヒウヘアヘアーーーーっつ!? ひぃっ、ひぃぃ、ひっひっふぅぅぅぅ、ひっひっふぅぅ」
関西呪術協会本山、その大広間には三人の少女と二体の石像が存在した。
……ネギ・スプリングフィールドが受け持つクラスの生徒達だ。
三人のうち、戦う力の無い二人は、戦いを前に此処へ残ることを選択して残った者達で。
もう一人は、十分な戦力を持ちながらも、その二人の安全のために本山へと戻って来た者だ。
戻った後に、爆発の跡や本山の建物に他に危険物が無いかの一通りの確認は終えたのだが、少女の一人はパニック症候群を起こしているのか、今も石像の一体にしがみ付いたまま奇態を曝すままで、アホ毛を握り締めて悲鳴をあげている。
「少し落ち着くでござるよ、春日殿、特に危険なものは見つからなかったでござるから……むしろ、ネギ坊主たちが心配でござる」
忍者の技能の一つとして罠の取り扱いの知識もある楓はそう口にする。
断言こそ出来ないが、同じ大広間で至近に居る限りは、其れこそ規格外の敵・罠で無い限りは逃げ切る自信があるため、先を行ったクラスメイト達を心配する余裕すらあるのだが。
「これが落ち着けるでござるかーっ! いや、落ち着けるでやんすかーーっ!! 強大な敵、張り巡らされた罠、足元には銃痕、そして爆弾、鳴り響く雷鳴に、突然の寒波!! マックラーンは何処っすか、お先真っ暗なマックラーンはっ!! こんな時は不良警官ジョーンの出番でやんすっ! あっしは、あの不良警官から真っ先に距離をとるでやんすよーーー!!」
どんな声をかけられようと、
今も、とある映画の主人公の名前を連呼している……ちなみに、ジョーン・マックラーンと言う、タイハードと言う、タイを舞台にした映画の主人公の名だが、吹雪や罠や爆弾で有名なのだ。
「落ち着くですよ、春日さん……長瀬さんは心配しなくて良いと言ってるです」
この三人の中で、唯一、一般人と言い切れる少女もまた、春日の様子に心配をする。
本来は異常事態に巻き込まれた一般人である彼女こそ取り乱すべきなのだろうが、目の前にあからさまなパニック症状を引き起こしたクラスメイトがあれば、逆に少し落ち着けてしまい。
「信じられるか〜っ!! 今直ぐ返せ、転移魔法符返せ、そして私はまだ見ぬ明日へフェイドアウェイするんすっ!! とりあえず50メートルは離れるでやんすよーっ!!」
「そのー、出来れば、20メートルくらいしてもらえないと、庇うのも難しいでござるが」
「知ったことかーーっ!!」
「まぁ、春日殿がこの様子では、拙者が戻ったのは正解だったでござるが」
十分な戦力を持つ少女、長瀬楓は木乃香奪還隊を離れて、本山へと戻って来た。
其れは、襲撃が終わった筈の本山で爆発が起きたからだ。刹那や詠春の式神があるとは言え、万一の事態に最低でもクラスメイト達の安全は確保したい楓は本山へと戻り。
パニック症候群に陥っている春日と、それを宥める夕映を発見したのだった。
「その、申し訳なくは思うでござるが……一応、爆発物は家屋の無い辺りで爆発しておったでござるし、煙は煙玉でござった、今のところ問題は無いでござるよ、念のため、拙者が傍に居るので、万一の脱出も大丈夫でござるよ」
楓にすれば、可能であればネギ達の助勢に向かいたいという心算もある。
けれど、恐慌状態の春日を夕映と共に置き去りにするのも、戦場へ連れて行くのもかなり問題があると感じられる。
冷静な夕映ならば、分身と行動を共にさせれば大丈夫なのだろうが……
何せ、楓が本山へ戻った際には春日は早乙女ハルナの石像にしがみ付いて「あっしも石にしろー」と叫んでたのだから。
ちなみに、夕映はその春日を引っぺがそうと頑張っていた……下手をすれば、その夕映にも危害を加えかねないほどの恐慌ぶりで。慌てて楓が取り押さえたのだが。
その後も春日の奇態は続けられたのだ。
少し時を遡って説明すると。
楓が本山へと帰還した際、春日は既に恐慌した様子だった……まぁ、突然爆弾が爆発して煙が流れ込んだのだから当然と言えば当然だろう。
楓はそれを分身体で取り押さえると、本山内部の爆発物・罠の探索を開始した。
そして、暫しの時間をかけて捜索し、特に問題は無いと判断した辺りで……状況は大きく動いた。
まず、空を震わすほどの咆哮が響き渡り、異常な
楓はよりいっそうの警戒を強め、咆哮の方角がネギ達が向かった湖の方角である事に肝を冷やし、夕映は心配そうに石像の傍に居た。
そして、直ぐに雷鳴が数秒に渡って轟き続け、さらに異常な
楓は、分身体を増やし本山からホテルへの退避準備を始めた……巫女たちの石像は諦める事になるが、クラスメイトを優先することを決意し。
だが、直ぐにその
楓は、ネギや詠春による事態の解決を期待した……が、刹那や詠春の式神は何も語ることなく。
その後で、突如として世界が塗り変えられるほどの異常極まる
『これは戦術的撤退、勇気ある選択、必然の決断でやんすーーーっ』とか叫んで。
楓は慌てて分身体を放って
さらに直後、逃げ出した
楓と分身体と夕映は胡乱な目で
そうして、全ては終わり、威圧感は薄れていったのが現在だ……現在もまだ、
「その……また、
「今度は何が起きるっすかーーっ!! も、もうお腹一杯っすよーー!!?? 次はハッカーか、サイバーテロか!? タイハード4が始まるんすか!?」
春日の様子が明らかにおかしいが、それは魔法使いとしてはある意味間違ってはいない反応だ。
何せ。楓が
それは
それを知覚していれば、最早、まともでいた方が不安になるため、恐慌へと意識を浸し。
「さすがに、もうこれ以上は……二人とも、拙者の後に」
微細な違和感を感じて楓が臨戦態勢を取る。
そのまま片目を開き、その鋭い眼で大広間の入り口を睨みつける。
春日は逡巡も無く、夕映は警戒した様子でそんな楓の背に隠れ。
其れは、現われた……
「……あら、ずいぶんと剣呑なお出迎えね……式神で伝えてないのかしら、罠の確認よりこっちに一緒に来させればよかったわね、と言うか、来なさい」
それは、紫紺のローブを纏い、口元のみを露に顔を隠す女……細い指を頬に当てるようにし、楓が向ける敵意に殺意をもって返す。
それで一瞬、楓が浮き足立つ……其れは、優れた才を誇る彼女だからこそ気付ける畏怖。
「っ……」
楓の背筋を冷たいものが流れる。
大広間へ歩み入る体捌きは、何ら警戒すべきものではない、百度戦えば百度勝る、その程度の存在……
だが
「……逃げるでござるよ」
楓はその手に巨大な十字手裏剣と忍刀を握る、瞬時に生み出した密度を帯びた影分身は4体……
それが、どれほど頼りないことか……全力の戦闘姿勢を取りながら、今この瞬間、楓は己の死すらも覚悟し。
護るようにして背に庇った二人に声をかけ……
けれど、紫紺の魔女の殺意を感じた瞬間に動き出した者が、楓の他に居る!!
「めーーーーーーーでぃーーーーーー」
春日だ。
とうとう恐慌が頂点へ達したか、何を思ったか、奇声を上げながら楓の背から飛び出して紫紺のローブの女へと飛び掛っていく。
楓の制止すら間に合わない……
未だ楓は知らぬが、彼女が有すアーティファクトは、初速と言う一点ならば楓をすら上回る
故に、一度は分身体を振り払い、大広間から逃げ去ると言う快挙も成し遂げたのだ……その後、直ぐに戻ってきたが。
ともあれ、その瞬発力は、この状況では悪影響となる。
恐慌状態となった春日は、奇声を放ちながら紫紺のローブの魔女へと飛び掛り。
当然のように、魔女は自身を囲うように、骸骨のような
春日は、それによって阻まれ、骸骨のような兵隊に捕まり。
「っ、なっ」
咄嗟に助けようと踏み出そうとした影分身四体が瞬時に消え去った。
とんと、楓の眼前に天井から降りてきたのは一人の少年で……
「あぁぁぁーーーさぁぁぁーーーーまぁぁぁぁーーーーーーー!!! メディア様、メディア様、この骨ばった感触も、太い大腿骨も、血の通わぬ冷たさも、出汁の良く出そうな肋骨も、今は何をも愛おしいって、なんじゃこの骸骨はあぁぁぁっ!!!!」
春日は今にして、自身が抱きついたのが紫紺のローブの魔女でなく、それが盾とした骸骨のような兵士であると気付き慌てるが。
そのまま、魔女が創り上げた竜牙兵に襟首をつかまれて宙吊りにされる。
「待て……」
「はっ」
魔女の言葉に、犬の如き従順さでベ……春日は其れを良しとし、魔女の傍らで襟首掴まれたまま動きを止め。
「さて……挨拶もなしに訪れたのは申し訳ないですが、とりあえず武器は下ろしてもらえますか……一応、私達は味方側に分類できるはずですから」
そして、楓の目の前には突如として一人の少年が現われたのだが……楓には、そして夕映にも、その顔立ちには見覚えがあり。
「朱雀さん、なのですか?」
「図書館島以来になりますか……綾瀬さんでしたね、それと、長瀬さんは昨日も会いましたが……あぁ、申し訳ないです、つい……」
「っ」
一瞬、楓の身を戦慄が走る。
それは、少年の身から漏れ出た純然たる殺意ゆえに……一瞬で消え去りはしたが……
……今現在、この少年は頗る機嫌が悪い。
その上で、図書館島を探索した際の事と楓を関連付けてしまえば。
彼の脳裏にすぐ浮かぶのは、弓を手に、射殺対象として捉えた長瀬楓と言う標的の姿。
何せ、幼馴染を誘拐同然に抱えていたのだから……故に、吸血鬼に向けていた殺意が僅かに振り戻り、楓に向けてしまった。
視線を余所に向けることで、何とかそれを消し去る。
ただでさえ、関西呪術協会の本山で、吸血鬼を取り逃がした直後と言う事が重なり気が昂ぶっているようで。
楓の傍ではそんな剣呑な状況のままで。
後方では、かなり大騒ぎになっていた。
「メディア様、メディア様、メディさ様ぁぁぁぁっ! うぅぅ、助けに来てくれると信じてたっす」
「あら、当たり前でしょう、貴女、結構おもし……健気に頑張ってたもの、遠見で少し見てたの、思わずわら……涙しそうになるくらいに。頑張ってたわね、ベネ「春日さんですよ」……カスガちゃん?」
楓達の緊迫を余所に、竜牙兵に襟首をつかまれ、猫のように持たれている春日はクスクス笑う魔女……メディアに安堵感を感じたか、涙を流さんばかりに感極まっており。
「それにしても、よく分かったわね……この姿のときは声も分かりにくいはずなのに」
ローブを目深に被ったメディアはふと、それを口にする。
楓の前に姿を現したときも、朱雀を前にすれば良かったと思ったくらいなのだが。
「あっしは殺意には慣れてるでやんす、姫さん……じゃなくって、あっしの
B汚染が深まっている様子の春日は、そう口にする……ココネへの殺意の汚染が心配だが。
「……式神から連絡などはしていないないようですね」
メディアに続いて足を踏み入れるのはディルムッドだ。
大広間の状態を知っているが故に、朱雀が罠を警戒する素振りを見せ、メディアと荷物を持ったディルムッドが先に足を踏み入れたが、どうやら式神は沈黙したままの様子で。
「味方でござるか?」
昨日は一緒に馬鹿騒ぎをした朱雀の姿に警戒を緩める楓……もっとも、先の殺意があるだけに完全に気を抜くことは無いが。
「まぁ、そうですね……と言っても、一般人の回収に来ただけなので、全面的な味方と言うわけではないですが」
「このかさんっ」
少年……朱雀の声を遮ったのは、それまで事態を静観していた夕映の声。
その視線の先には、ディルムッドの背中に背負われた近衛木乃香の姿があり。
同じく、ディルムッドが小脇に抱える岩塊を眼にして楓が両目を見開く。
「近衛さんは私達で奪還しました……これからホテルへ連れ帰します、それと、龍宮さんが負傷……これも私達で治します」
「……ネギ坊主達はどうしたでござる……刹那や、クーは」
現われたのは朱雀とメディア、そしてディルムッド。
楓が離脱する前の集団にはいなかった者たちばかりだ、朱雀はともかく初対面のメディアとディルムッドには警戒を露わにし。
「置いてきたわ、慣れあうつもりは無いもの」
「一応、全員生きてますよ……子供先生が一番怪我は重いかもしれませんが、魔法薬を飲んだようだから死にはしないでしょう」
メディアのぞんざいな言葉を朱雀が補足する。怪我の一言に夕映や楓の雰囲気が重くなるが、まずは生きて戻ると言う事実が二人に僅かながらの安堵をもたらし。
「簡単に説明しますと、彼等は近衛さんの奪還に失敗して鬼神の復活を許しました……結果、その鬼神が魔法の秘匿を脅かすと感じた私達も動かざるを得ず、鬼神を殲滅、首謀者を処分……関西呪術協会の長から近衛さんと一般人の保護を託されたわけです」
その頃になって、刹那の式神もまた本体との繋がりを取り戻したのか、楓達への説明を補強する……何に時間を取られたかは知らないが、おそらくはネギや明日菜を宥めるのに時間を要したのだろうと朱雀などは結論付ける。
そうして、漸く、楓も警戒をやめ。
「さて……それじゃぁ、連れて帰りますか……あぁ、この後で桜咲さんから説明があると思いますが、一般人3名は石化解呪の上、今晩はホテルへ戻って何事も無く過ごしたと、記憶を改竄しますから、明日以降はちゃんと合わせてあげてくださいね」
「記憶の改竄……ですか?」
刹那の式神からも事情を説明され、木乃香がただ眠っているだけだと知って安堵した夕映が突然の言葉に反応を示す。
朱雀は3名と言った……石像と化したのは2名、宮崎のどかと早乙女ハルナだ。
ならば、残る1名は。
「綾瀬さんは一般人でしょう? 大丈夫ですよ、今晩の事は何もかも忘れて日常へ戻れます」
何もかも忘れる……それは、夕映に一瞬の恐怖と。
そして……強い意思を浮き上がらせた。
「……二つほど、確認したいのです……一つは、昼間にも、その……石になってしまった私の友達は、何かの事件に巻き込まれたのですか?」
石と化した宮崎のどかを指差しながら、夕映はそう訪ねた。
昼間……ネギや明日菜、クーフェイの様子がおかしかった……その時は何とも感じなかったが、この状況を知れば、その疑いは確かで。
特に、ネギや明日菜ののどかの安全を喜ぶ姿を思い出せば……
「私は……知りませんが」
「魔法戦闘に巻き込まれていたのよ、今と同じような状態ね。私が記憶を消して、あなたたちの元へ戻したのだけど、それがどうかした? あぁ、その時ももちろん、その子には怪我ひとつ負わせてないから安心しなさい」
朱雀にすれば推測は出来ても知らない事実。
けれど、それは傍に居るメディアによって事も無げに暴露される。
クーフェイに電話が繋がるまでは笑い合っていたはずの自分達……それが改竄された結果だと言われ。
「その時……ネギ先生や神楽坂さんは、怪我をしたのですね?」
「えぇ、子供の方は内臓をずいぶんと傷つけてたみたいね、ハリセンの子は手足」
夕映はメディアを少し強く見るが、直ぐには何も言わない。
春日は目の前の魔女をメディアと呼んだ、ならば、刹那がした電話の相手だと気付いたからだ。
あの時、気が向いたら助けると……積極的に関西呪術協会の手助けはしないと言い切った女性。
その後のネギ達への説明を横で聞いていれば、複雑な事情と悪感情で積極的な助力をするつもりがないことが理解でき。
「……ネギ先生達が傷つくのは見過ごせても、一般人ののどかが傷つくのは気に入らなかった……そう言うスタンスの方なのですね。そうして、このかさんを助けてくれたのも、鬼神と言うのが一般人を害する行為を行ったから助勢してもらえたのだと考えます。長瀬さんはネギ先生達に協力しているから連れて行かず、私達だけだと……」
「……ハリセン女にあなたの1000分の1で良いから物分りの良さが欲しいわね……ふふ、えぇ、正解よ」
「では、よろしくお願いするのです……ですが、最後に一つだけ答えてほしいのです」
「良いわよ……言ってみなさい」
混沌とした状況で理路整然に情報を組み立てていく少女を面白そうに眺めながらメディアは促す。
少し、笑みを深めながら……
「……この先、ネギ先生に関っていくと言う事は、こんな事件に巻き込まれる可能性が高い事……間違いはあるですか」
親友の恋心を応援する夕映は、魔法に関り、石と化してしまったのどかを想いながら。
一般人との分岐を前に、魔女に問いかけた。
「そうよ、特にあの子は問題が多いから、こんな事件に何度も巻き込まれる事になるでしょうね」
そして、その答えは夕映を落胆させるには十分なもの。
この先、のどかが恋を発展させ、ネギに近づけば近づくほど……こんな事態が増えてしまう。
故に……夕映は一歩、楓の方へと近づいた。
「綾瀬殿?」
「ふふ、良いのかしら、私は良心的な魔法使いとは言い難いから……見逃しちゃうわよ」
「……無理に連れては行かないのですね」
「魔法を吹聴するのは駄目……その時は責任をもって殺しにいってあげる」
それで、楓も気付く、夕映はこの場に残ろうとしていると。
一般人として魔女と共にホテルへ戻り記憶を改竄されるよりも、この場に残って、この夜の記憶を残すと。
「綾瀬殿……その、拙者は戻られた方が良いと思うでござるよ……」
何の力も無い夕映……そして、今晩の事件は楓にしてすら圧倒されるような事態が多かった、まして、目の前の魔女は殺すと口にし……まず間違いなく、それは本気だ。
故に、楓は夕映に記憶を消すべきだと促し……
「……のどかにも、話しては駄目なのですね」
「えぇ、駄目、まぁ、あの子供なら直ぐにまたバレちゃうかもしれないけど……その時は仕方ないわね」
「大丈夫です……私が遠ざけるか誤魔化すです……その為には、今晩起きたことは覚えておかなければいけないのです」
のどかがネギに近付き、そして魔法には関らないようにする……それを成すには、魔法の知識、今晩の経験は必須となる。
そのために、夕映はこの場に残ることを望み。
「綾瀬殿……春日殿……拙者は、魔法のことはそれほど詳しくないでござるが、春日殿は魔法使いでござろう、春日殿はどちらが良いと思うでござるか」
「あっしはえらい人についていくでやんすよ?」
竜牙兵にぶら下げられたままの春日はメディアのすることが全て正しいと全面肯定の姿勢を見せる。
つまりは、このまま夕映を置き去りにしても良いと……魔法生徒としては大失格の姿勢だが。
「……長瀬さん、見逃してくださいです……私は此処に残るです」
「そう……まぁ、良いけど。朱雀、石像を運び出しなさい……あぁ、左の子はくれぐれも慎重にね」
言われたとおりに、まずは宮崎のどかの石像を抱えると、その後で早乙女ハルナの石像をぞんざいに持ち上げる。
散々春日がしがみ付いたせいか、残ったアホ毛にひびまで入っている状態で、それが揺れてもお構い無しだ……むしろ折れろの感覚で……
「あの……」
「大丈夫よ、一般人は確実に護るから……もうあなたは違うけどね」
「覚悟の上です……二人と龍宮さんを、お願いするです」
「えぇ……」
そうして、背を向けると転移魔法を起動するメディア……
その視線を一瞬だけ、夕映へと向け……
「ようこそ、危険と冒険に満ちた「
記憶を改竄したときに垣間見た彼女の僅かな願望を呟いた……
こうして、魔女は、掌の上の舞台へと、英雄の息子と黄昏の姫に加えて新たなる
映は、薬味に正義とは何かの自覚・成長を促すのに必要なんで、自主的に巻き込まれてもらいました(ぉぃ
作者と超は薬味のアイディアにとても期待しています(www
後、のどかのアーティファクトだけは本当に勘弁ww 石化解除するついでに仮契約対抗処理しておこう、この状況なら理由としては十分になる(オコジョが馬鹿やったから念のためにと)
後、どうでも良いが、殺意王家の殺意に慣れてるベネ……春日ならメディアの殺意も平気な気が今更ながらに(ぉぃ
シスターシャークティ = まずは神官から殺せが口癖の母親の方
ココネ = 連合王国の
とすると、その瞬間教会が殺意溢れるダンジョンに早変わり……ベネット化が進むと、ココネがとんでもない最強魔法使いになりそうです(ぉぃ
ついでに軽くネタ説明 ……アリアンロッドと殺意で検索すればだいたい出てくるけど
>ウヒウヘアヘア
鳴き声です(ぉぃ
>殺意
蝶よ花よと育て上げられた、生粋のお姫様の特技です
……育てた母親の教育方針は「神官から殺せ」
>50メートル
攻撃はされないが、仲間も助けられない絶望的な距離……本当によく逝ったあの犬
>あっしはえらい人についていくでやんすよ?
迷言……こう言うのがヒロインになれない理由だよな明らかに、いや、あっしの時点で0.2秒でスピンアウトだけど