第1話いろいろといじくってます。
良かったら見てやってください。
第2話 俺、修行してます
転生してから1年が過ぎた。あの後、島全体が冬になり、動物や植物がいなくなってきたから宝物庫に食べ物をしまって保存することを考えた。…考えて、それが腐らずにうまくいったのは良かったんだが、つまり食べ物が宝物庫に入ってる可能性があることを考えてた。考えてしまったんだよ…!
恐る恐る食べ物を探してみると…たくさんあった。おいしそう——実際おいしかった——なのがいっぱい。…今までの苦労は…いったい…っ!
とまあ過去の苦労話はこのくらいにしておいて、おかげでおいしい食べ物を食べれるようになった。食べすぎはランスさんに止められるけどな。…ランスさんが誰かって?俺が宝物庫からだしたあの動く騎士甲冑だよ。名前がないのも不便だからとりあえず『ランスロット』って名前にして、愛称を『ランス』にした。
それとランスさんを出せた時点で思い至るべきだったんだろうが、料理をしてくれる自動人形も出せた。こっちは自我がないようで、俺の言う料理を作ってくれるだけだった。まあ蔵から食べ物を出して、それを調理してくれるだけで十分だけどな。
ああ、それでな、おいしい料理が食べれるようになったから、今度はこの世界の料理を食べれないかって思って探したんだよ。そしたらまっっっ……ったく出てこない!結構期待してたんだが…。
可能性としては、「この世界のものは蔵に入ってない」もしくは「神代のものでない料理は出せない」が考えられる。結局今まで食べてた料理も元の世界のものじゃなくて神代のものだしな。元の世界の家庭的な料理は出なかったし、それにこの世界固有のものがなにか分からんから判別できん。
…でも動物が寄り付かないところに蔵に入っていた家と家具一式おけたからよかったわ。じゃなきゃいつまでも洞穴生活で精神的に参ってただろうし。…ホント
「あぁー全っ然疲れとれねぇ!!」
…ランスさんマジ鬼畜。いや、鬼畜にするように言ってるんだけどさ。あそこまで修行手加減なしだとは…。休憩中の今、昔のこと思い出してリフレッシュしようと思ったけど、むしろ考えすぎて疲れちまった。
それなりによくなってきたと思うんだけどなー。動きは当然よくなったし、この島でのサバイバルを通じて勘とか五感とかも鍛えられてきてんだけど…あの人強すぎ。気づいたら斬撃を衝撃波として飛ばせるようになった俺の剣筋を、余裕綽々で紙一重で避けるとかもう絶望する…。
いや、あっちは宝具扱いだから人間より上なんだろうけど、俺も才能有りの『転生者』なんだぜ?…いかん、なんだか言っててむなしくなる…。
…あーなんかガシャンガシャン音が聞こえるなー自然だらけの島じゃありえない音だなーだから気のせいなんだろーなー痛い痛い!修行の時間なのは分かってますから!起きますから!…だからいい加減に…!
「HA☆NA☆SE!!いつまで引きずってんだ!くっ、目にもの見せてやる!今日地面にぶっ倒れるのはお前だぞこのやろー!!」
って呆れた顔すんなー!やってやるぞ、いいかやっちまうぞ、やると言ったことはやる男だからな俺は!後から謝っても知らんからな!
第2話 俺、修行してます
■□
…ご主人がバカすぎる…。いや、才能はあるし努力もしてるんだが……その、なんだ、大変残念なんだよ、…頭が。機転は利くし、知識もあって賢いんだが、それ以上にバカだ。とってもバカだ。
まあそれは良い意味でも悪い意味でもあるのだがな。
さて、私が蔵から出されて1年、ご主人の腕は見る見るうちに上がっていった。ご主人の言う通りならば剣や格闘術の才能があるそうなので当然のことだが。しかしまだ足りないものがある。それに早く気づかないと一歩上に行くことは出来ないのだが…。
…しかたない、手荒くなるが手をうつとしようか。
■□
今日はなんか普段とは違う修行をするらしい。普段は砂浜で足腰に負担をかけながら実戦形式でやっているけど、今日は反対方向へと向かっている。島の探索はある程度自分でもやったけど、広い範囲をランスさんにまかせたからこっちに何があるのかは知らない。
ちなみに普段やってる修行は…
朝:起きるのが間に合わなかったら串刺しで即死のモーニングコール
昼:砂浜で4時間耐久組手(4時間耐えれなかったら昼ご飯抜き)
夜:ジャングルの木から木へとジャンプ(ただし地上に落ちたら夕飯抜き)
…あれ、俺の人生ハードすぎじゃね?うん、…慣れって怖いな!…っていうか本当にどこ向かってるんだ?目的地が分からん。
おっ、ランスさんが止まった。ってことはここが終点か?……っておいおい!?
二本の何でも串刺しに出来そうな角。獲物をかみ砕く牙。並の攻撃では傷一つ付けることが出来ない鱗。真っ赤に充血した爬虫類特有の目が示すのは
どこからどう見ても
「ってド、
…こくりとうなずくランスが「うんまあ頑張れ。」って他人事みたいな雰囲気出してたのを俺は一生忘れない。そして、今日、この瞬間からさんづけはやめた。
■□
「ガァァァァアアアアアア!!!!」
「ぶへっ!」
ご主人が
ご主人はヒット&アウェイの戦法で戦っている。単純な速さではご主人のほうが速いが、反応の速さでは
剣術や体術、それに戦闘中の駆け引きは教えられてもやはり経験不足は否めない。ゆえに歴戦の猛者たる
神から与えられたという才能のためか、今も戦闘中でありながら動作が最適化されていってる。しかし、ここまで追い込まれるとその程度の進化では勝利しきれん。魔力でダメージを防いでも疲労は溜まり、「もし防御しきれなかったら」という恐怖が足をとめ、そこで戦況は固定されていく。
…勝ちたければ、己の『弱さ』に気付くのだ、ご主人よ。
■□
頭がふらつく。あれ、今俺何してるんだっけ?あ、そうだった、
ふらふらと安定しないけどどうにか立ち上がる。剣は変わらず相手に、
「がっ!…げほ、うっ、」
尻尾で吹き飛ばされ、たまらず胃の中のものを吐き出す。…ホントなにしてんだろ。そうだよ、俺がこうして
あれ、ランスを出したのはなんでだっけ、ああ、海賊と戦って十全に勝利をえるために鍛えようと思ったからじゃないか、
海賊と戦って死にたくないから鍛えよう、って思ったのにその鍛錬で死んだら意味がないじゃないか、本末転倒だよ、ならなおのことランスをしまうのにためらう必要はないな、
よし、じゃあランスを蔵に戻して、宝具を掃射してさっさと
思考が加速してるのか、
…けどこれでいいのか?本末転倒なのは今の自分の行いじゃないのか?
———疑問に思ったその時、俺の頭にある声が響いた。そして白い世界へと意識が飛んだ。
■□
——ここは?
『久しぶりね譜洛。』
——■か…。
『どうしたのかしら?以前より情けなくなってるわね。』
——…ほっとけ。
『まったく、…強くなるんじゃないの?前に決めたこと、もうやめるのかしら?』
——やめなきゃここで死ぬだろうか。
『ええ、そうね…。このままならね。』
——…?
『この程度のことはあの時に比べれば大したことないでしょう。ほら根性見せなさい。』
——…言ってくれるじゃないか。
『あら、事実だと思うけど。』
——…ふん、分かってるよ。そうだな、この程度のことはどうにかできるよな。
『ふふっ、もう大丈夫そうね。』
——…サンキューな、■。
『それじゃあ、いってらっしゃい。…もう時間ね、…あなた…そういうとこ………好……』
——え、ちょ、まって、
——最後まで言ってぇぇぇえええ!!
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目の前には
「いくぞ
■□
…急に宝物庫のなかにしまわれそうになったから何かと思ったが…。ふむ…、私をしまうほどヘタレかけてたがなんとか踏みとどまったようだな。
どうやら自分の『芯』が出来たようでよかった。今なお続くこの戦い。決意は行動によって示さねばならない。ゆえにご主人がするべきなのはただ一つ。
…勝つのだよ、ご主人。勝てば、それがご主人の成長の証となろう。そして、次の成長につながるだろう。
勝てば、ヘタレた分は見逃しておこう。
…それでも一発殴っておこうか。
■って誰なんだ…っ!
ということで謎の女性が出ましたが、正体を感想に書き込まないでくださいね!絶対ですよ!
……フリじゃないですからね!