更新ペースは大体10日前後ですかね。
第3話 俺、戦ってます
ここは
決闘にして、決戦。神裂譜洛と
「うおぉぉぉおおお!!」
腹から声を出すことで落ちかけてた意識を覚醒させる。
また、ただがむしゃらに攻撃しようとしていた先ほどとは違い、集中力を高めていく。今の戦いはランスから課された訓練であるため制約が多く——
(狙うは鱗で覆われてない首の腹側!)
しかしここにきて、譜洛が自分の命を脅かす存在になったことを本能で察知したのだ。
彼らはにらみ合う。譜洛は体力がないため、次の一撃で決めるつもりで。
二者はお互い、「隙を見せたら、その瞬間に喰い殺す」と言わんばかりに鬼気迫る様子になる。彼らの集中力は周囲にまで影響を及ぼし、何物も動くことは許されなかった。ただ周囲の有象無象に出来るのは固唾を飲んで、見守るだけ。
人と竜。彼らは動き出すきっかけを待っていた。
…そして、その時は訪れる。
譜洛が斬りかかり、
「……はぁっ!」
刹那、彼らは交差し…
■□
「あー痛ぇー死ぬとこだった…。」
勝ったのは譜洛だった。譜洛は過去の経験からとにかく相手を正面から撃破するのではなく、弱点をつく戦法をある程度自分のものとしている。それに対して、
ゆえに弱点である生身の部分を狙いに行った譜洛と避けるのではなく受け止める選択肢を選んだ
…この時点において譜洛は知らぬことだが、それまで通り鱗を狙いに行っていたら負けていたのは譜洛だった。
たとえどれだけ硬い鱗で、真名開放していなかったとしても、宝具であり竜殺しである【魔剣グラム】で傷をつけられないということはありえない。ならばなぜ、【グラム】で斬りつけても傷がつかなかったのか。
それは
新世界の覇気使いでも並大抵のものでは砕けぬ鱗を狙わず、生身の部分がむき出しになっていた所を狙うことで譜洛は勝った。すなわち勝因は「人間」として、相手の弱いところを狙い、つけこむ知恵だった。
戦闘経験では
「…ランス、ごめん!」
戦いの途中で心がくじけそうになり、ランスをしまいそうになったことを譜洛は土下座して詫びる。ポンポンと肩を叩かれたので頭を上げる。ランスが立ち上がってもいいとジェスチャーで告げるので譜洛はランスの寛大な心に感動しながら立ち上がる。
「ランス…、ありがっブフォ!」
ランスの腰のはいったパンチで譜洛は空中で四回転した。
■□
「…んー、朝かー…。」
…眠い…。昨日の
「にしてもなんで■の声が聞こえたんだ…?」
変な白い空間に飛んで、■と会話したのはなんだったんだ?いや、久しぶりに会話出来て嬉しかったけどさ。…わかんないから今はいっか。ラッキーだったってことで。
…え、なに、修行…?おーけい、落ち着こうぜ…。いーや俺は最高に落ち着いてるぜ…。
「いやいや待って!?さすがに昨日の今日で修行はどうかと思うんだ!?聞いてる?ねえ俺の話を聞いて!」
体はまだ重いのに稽古とか出来るかー!って、ちょ、まっ、
■□
拝啓■
俺は今死にかけてます。
…そっちの世界に戻りたい…。
■□
『そろそろいいか?』
「うっす…」
ランスは言葉を理解できるが、話せない。ゆえにランスから俺への意思の伝達手段として
とりあえず今回の鍛錬の反省は一通り終えて、(蔵から出した)机に突っ伏してたら何か話したいことがあるらしく、黒板をたたいてた。
『竜との戦いでなぜ負けそうになったか、もう分かっているな?』
「……」
…まだ昨日の
「…分かってるさ。…慢心、してたんだ……無意識のうちに。」
『そうだ。あのままではきっと力に溺れていただろう。その片鱗はあったからな。』
憧れたんだ。あの金色の英雄王に、慢心王に。…だから彼の力を貰えて、舞い上がってたんだろう。
『確かに
そう、神からもらった力はホントにチートだ。…それにランスには見せてない切り札もある。弱点もあるけど、これらを使えば大抵の敵は目じゃない。だからさっきランスが言ってたように力に溺れそうになった。
…まあ、前の世界に転生できると思ってたからタガが外れたのもあるんだろうけど。
『…それとこの一年剣を中心に、格闘や弓、斧を教えたがそれ以外はいいのか?』
「いい。触りたくもない武器とかあるし。」
『分かった。では今後もその方針で行こう。』
「…今後もよろしく、ランス。」
『了解したご主人。』
…ところでいつこの島を出ようか?
Q.なんで竜殺しの【グラム】で傷つかないの?
A.武装色の覇気を纏っていたからさっ!!
覇気ってチートじゃないけど便利だと思う。
…さて今度はどれくらい時間とぶかな…