久しぶりに蜂蜜片手にを更新しました。
大変お待たせしました……とは言っても連日連載はちょっと厳しいです。展開が思いつかない。
内容もあるようなないような微妙なものですが、どうぞ
第百三十九話
馬家の処遇に関してふと思いついたことがある。
馬騰と北郷一刀の引き渡しで丸く収めようと思ったが馬騰は投降したが北郷一刀が逃亡したことで片手落ちで罪状は若干軽くなっても一族皆殺しから馬騰本人とその他の関与した一族を処刑することぐらいにしか軽減しきれん。
武官が少ない吾等的には馬家を飲み込みたい。
理由は馬家は一度こちらに付けばおそらく寝返ることはないじゃろうという打算と脳筋ばかりの涼州を統治するにはやはり脳筋がいいじゃろうと思いがある。
ぶっちゃけ異民族に近い涼州を統治する自信はあまりない。文官が都に染まっておる吾の配下、武官が地方の脳筋豪族、どう考えてもトラブルが起こる組み合わせじゃろ。道端で野良猫と野良犬が相対したイメージじゃ。
更に馬家を許したとなれば謀反人を取り込む器を示すということができ、反袁術連合も降伏や撤退などがしやすくなるのじゃが……吾の周りには馬家を信じぬ者達が数多くおる。主にうちの四天王(七乃、紀霊、魯粛、孫権)などじゃな。後々の諍いの種となりかねんので迂闊な対応はできん。。
「というわけで、解決策、いやどちらかというと妥協案か?考えてみたのじゃ」
「……なんだか大人しく処刑された方がマシな気がビシビシするんだけど……それに後ろのお姉さんが剣の柄を握り締めてて凄く怖いんだけどっ?!」
「ん?……?……孫権は何もしておらんぞ?そもそも孫権がそのようなことをするわけなかろう」
一応振り返って孫権の様子を伺ったがいつも通りじゃぞ?それでは孫策のようではないか。
馬岱はおかしなことをいうのぉ。一体どうしたというのじゃ。原作では悪戯こそすれこういうキャラではなかったと思うが?記憶違いか?蜀ルートはあまり覚えておらんし。
(孫権って確か一刀お兄ちゃんと姜維が戦ったっていう人だよね。だから怒ってるの?!)
(なぜお嬢様を傷つけた者達をまだ生かしていルノカシラ。即刻処刑スベキヨ……ソレナノニナゼ——)
ん?言われてみれば空気が少し不穏な気がするぞ?
念の為、孫権の様子を見てみたが……特に変化はないように見える。
やはり気のせいか?
「本題じゃが、現状は吾等が動くに動けぬ……まぁ動かなくても負けることはないので不必要に危険を冒す必要性がないからの。しかし、それでは時間が掛かり過ぎて河北や中原の経済への影響は計り知れぬ。このままでは一番被害を受けるのは力のない民達じゃ」
袁紹ざまぁ達の兵站は既に限界に達しておるから時間の問題なのじゃが、袁紹ざまぁ以外の諸侯が略奪行為に出ており、民への被害が拡大しておる。
帝を掲げておる政府としては権威を示すためにこれ以上内乱を長引かせるのは得策ではない……と吾は思うのじゃが、どうもこの世界のここは妙なところで中国らしいというか、せっかく吾が無能で通っておるのじゃから勝ちを優先して、政府ではなく、全て吾のせいにすればいいという話の流れになっておる。
ちなみに吾は朝廷内ではバリバリ仕事をしているので朝廷内では通じぬが、朝廷内とは天界と言っても過言ではなく、外界とは隔絶した世界であり、情報統制は容易であるため未だに外界(朝廷の外)では吾は無能扱いである。
それにしても君主を容赦なくスケープゴートにするとは……信頼されておるのか、それともスパルタなのか。
それはともかく——
「そこで、馬岱に……馬家に対しての最後の救済じゃ。馬岱には馬家から志願してきた百名を付けるゆえ、河を下り、海を渡って幽州まで赴き、公孫賛を支援せよ。万が一馬岱が敗れたり寝返ったりするならば馬騰、馬超、その他の馬家に連なる者全ては今度こそ処刑じゃ」
「それなら蒲公英よりもお姉様やお母様の方が適任だと思うけど」
「脳筋は駄目じゃ」
それに馬超なんてカリスマ……カリスマ?……がある者を公孫賛の下へ送っては公孫賛が本当に目立たなくなってしまうではないか。
無能どころか劣化華琳ちゃん……いや、百合百合せず、無駄に覇気がないことを美点と考えれば互換華琳ちゃんと言っても過言では……過言では……過言ではないはずじゃ……であるにも関わらず軽く扱われておるのは公孫賛がいい人過ぎるからで、決して能力がないわけではない。だからこそ、吾が援助したとはいえ、王修や
それにないとは思うが馬超が公孫賛に本気で逆らった場合、公孫賛が負けてしまうじゃろう。もし負けなくとも被害は多大なものとなろう。
そうなれば敵に塩を送っただけとなってしまうからの。
馬岱なら悪知恵が働くことは問題ではあるが魯粛曰く、悪知恵は働いても知恵が足らず、器も足りないので問題ないという話じゃ。
吾も馬岱は愛嬌はあっていいと思うが、だからといって命まで賭けたい存在にまではならぬと踏んでおる。
馬騰?さすがに首謀者を自由にするわけにはいかんから最初から選択の余地はない。
「おぬしならそこらの武辺者よりは腕が立つし、他の者達よりも頭を使うことができるじゃろ」
「それは……そうかもしれないけどわたしは……」
どうやら自信がないようじゃな。
それは自身の姉に劣等感を感じてのことか、それとも自身の実力に自信がないのか。
「別にこの話を断っても良いが、その場合は今月末にでもおぬしらは一族諸共反逆罪で処刑じゃな。反逆罪である以上——」
少し溜め、吾の最高の笑顔と脳天気な声で——
「楽に死ねると思うでないぞ」
これが小説やラノベなら最後に音符が付くように言った。
それと同時に馬岱はブルッと身体を震わせて壊れたオモチャのように賈駆賈駆……ではなく、カクカクと首を縦に振って了承の意を得ることに成功した。
やはり、脅す時は凄むよりも笑顔じゃよなぁ。誰かが、笑顔とは本来攻撃的なものだと言っておったが見事立証されたのじゃ。
そもそも吾のようなチンチクリンが凄んでも効果など特定の人物にしか発揮せんからのぉ。
ちなみに特定の人物とはもちろん七乃や紀霊、魯粛のことじゃ。もっとも効果の方も怖がったり恐れたりするのではなく、レアなものを見た、可愛い的なリアクションであることは間違いないので凄むという意味はないのじゃ。
(ソコハ断ッテ潔ク自決スベキデショ)
……いつもどおりの孫権じゃよな?
なんだかとても不穏な気配を感じたが……気のせいか。
こうして馬岱を援軍として叩き出——送り出したわけじゃが、改めて船の開発に力を入れておいて良かったと思う。
快速船の開発によって南陽から幽州まで天候に恵まれれば最速で四日も掛からずに到着することができるからの。
ついでに言うとこれは他の勢力には船があってもこの日数では無理じゃぞ。他の勢力では快速船の最大速度を出すには補給拠点がないから船旅用の食料や必要な日用品などを載せるので最大速度は出せんのじゃよ。
ただ、馬岱がなぜかガタガタと震えて、顔色も悪かったがなぜじゃ?……船が苦手なんじゃろうか?あ、もしかすると海に出ることが怖いのかもしれんな。
さて、最新の蜀の戦況が上がってきたので読んでみるかの。
「劉璋、劉表達同盟は合流することなく、個々に劉備軍へ攻勢に出たのか……まぁ変に合流すれば指揮権、陣配置などで諍いになる可能性が高いので正しい判断じゃろうな」
ただし、劉璋軍の布陣がガチ過ぎるのじゃ。
黄忠、厳顔、魏延あたりは予想通りじゃが張任、冷苞、そして裏切りで有名な孟達、チョロ松こと張松と名のある将が並んでおる。
唯一気になることが……張任以外は全員、史実では劉備側に付いた武将なんじゃよなぁ。王累あたりがおれば違った印象なんじゃが……忠義の将にして史実で鳳統を討ち取った張任に期待じゃな。
劉備軍にはぜひ落鳳坡を通ってほしいものじゃな。別に鳳統に死んで欲しいなどというわけではないが史実通りになるのかが気になるのじゃよ。
魏ルートの北郷一刀が史実を捻じ曲げたことによって消されるなんてことがあったからのぉ。既に袁術というこの世界の住人である吾が何か影響を受けることはないとは思うが、やはり心配なものは心配なのじゃ。
もっとも落鳳坡はもっと内側であるからまだ先の話なのじゃが……ちょっと話が逸れたので戻すとしよう。
この同盟による攻勢に劉備は大徳()によって肥大化した軍を三つに分けて迎え撃つようじゃな。
一の軍は劉備、諸葛亮が後詰兼遊撃、二の軍には趙雲、張飛、鳳統、馬良が劉表軍、三の軍には蒋苑、馬謖、劉辟、周倉が劉璋軍に当たるようじゃ。
劉備軍の布陣から察するに主攻は劉表軍で劉璋軍はあくまで時間稼ぎじゃろう。
おそらく一の軍は二の軍と合流、もしくは伏兵として襲撃するつもりであろうな。
まぁ吾等は劉備の中心部までスパイが入り込んでおるから予測できたことが、劉表軍や劉璋軍に気づくものがどれほどおるかのぉ。