話が思いつかず、中途半端になってしまいました。
申し訳ない。
第百五十七話
今、吾の眼下では歌えや踊れのパレードが行われておる。
何のパレードか、などと説明するのもどうかと思うが、華琳ちゃん率いる討伐軍の出陣式じゃな。
……ちょっと派手にし過ぎて観客が行進しておる軍よりも周りの盛り上げ要員である大道芸や歌い手に注目が集まっておるな。おかげで目立たなくなってしまっておる華琳ちゃんの怒りパワーがビンビンに伝わってくるのじゃ。そんなことしておったら見ておる者まで威圧して余計に見てもらえなくなるぞ。
ちなみに吾は何をしておるのかというとパレードの見物……なんぞできるわけもなく、パレードを眺めることができる場所でいつも通り仕事をしておる。
吾に休む暇などあるはずもなく、吾が休まぬということは七乃や魯粛、紀霊なども仕事をしておる。
ただし!仕事は討伐軍によって増えたが、その分協力な助っ人を華琳ちゃんは残していってくれたのじゃ!
それは程昱と曹仁、曹洪などの吾でも知っておる曹家や知らぬが優秀な者達などじゃ。
おかげで徹夜する必要がなくなりそうなんじゃよ!最近、蜂蜜を大量摂取しておるのに体重が減ってきておったからちょっと危機感を感じておったのじゃが、おそらくこれで解消されるじゃろう。
もちろん手伝いの報酬として山のように金はもちろん財宝や嗜好品などを送っておいたぞ。(これは荀彧が考えた金策の一つであり、諜報活動の一つである)
しかも、幾人かはこちらに残ってくれそうな者までおるからな!(これは諜報員として送り込むのではなく、単純に報酬に目が眩んだ者がいたというだけである)
中には吾が書いておる小説を報酬に欲しいという強者までおったのぉ……ただ最近は時間が取れておらんから求められて一番困った報酬であったりするのじゃ。ぶっちゃけ金銭や財宝なんぞを要求される方がずっと楽じゃぞ。
ちなみに変わったところでは夏に埋もれるぐらいの氷が欲しいという者がおったな。生鮮食品を取り扱うつもりでおったから氷はかなり余裕があったので問題なかったがの。
そういえば華琳ちゃんが、陳留の十年分の収入を軽く上回ったとか呟いておった気がするが……駄目じゃぞ、人の収入を聞くのはマナー違反じゃ。プライバシーは守るべきじゃろ。(と中華のほとんどの機密を知っている人が言ってます)
「しかし、吾が言うのもなんじゃが……内乱中にこれほど能天気でいいのじゃろうか」
内乱というのは国の威信が揺らいでおることの現れであり、それに不安を抱くのは政治家のような者達だけでなく、民や商人も肌に感じ、不安に思うじゃろうに。
一応掲示板で戦況を流してみたり、物価の上昇を抑えていたり、徴兵は行わず志願兵のみじゃったり考える暇がなければ不安もなかろうと次々事業を展開して働かせ続けたりと対策はしておったんじゃがそれほど効果的であったとは思えん。
しかし、今の光景を見ると……どこからどう見ても祭りを楽しんでおるようにしか見えん。わざとそのような風に装っておるのじゃろうか?だとしたら大した役者じゃのぉ。
「民が不安に思っているのは確かです」
「む、やはりそうなのか」
さすが魯粛じゃな、やはり把握しておったか。
「はい。ですが不安というのは期待の裏返しでもあります。袁術様は次から次へと新しい政策を打ち出し、民から見てもわかる政策というものが多いですから期待されているわけです。その期待は不安を覆い隠すには十分となっているのですよ」
ほむ、つまり対策が上手く機能しておると見てよいのか?
「まぁ北荊州や揚州は自分達は関係ないと思っているのでしょうけど」
あー、それはあるじゃろうな。
実際ほぼ関係ないからのぉ。強いて言えば司隷の物価上昇を抑えるために北荊州や揚州に負担を掛けておるから僅かに物価の上昇が起こっておるぐらいじゃろう。
「それに洛陽は日頃から上の気まぐれで生死を分けることがある場所ですから、今のような分かりやすい外敵が存在する方が分かりやすくていいというところもあるようです」
ああ、共通する敵というのは内を固めるにはよく使う手段じゃったな。
なるほど、自然とそういうことになっておったのか。
「何より市場にお金が出回って、遊ぶことができるようになったことも大きいでしょうけど」
生活面での余裕は心にも余裕を持たせるからのぉ。