中途半端な文量になってしまい申し訳ありません。
親戚が来て時間が足りなくなりました。
第百九十話
「お嬢様ー、なんか家具屋さんがご依頼の品を納めに来たーとかなんとか言ってますけど何となく不審者な気がするような気もしませんので牢屋に入れておきますねー」
「うむ…………いやいやいや、何の根拠もないどころか不審者な気がせん者を牢屋に入れるでない!」
うっかり流すところじゃったぞ?!
吾や七乃に起訴されたら99.9%どころか100%の確率で有罪判決なんじゃからその手の冗談はやめておくのじゃ。
「えー、でもでもこの忙しい時に来るなんて死刑ものですよ」
「よいからとりあえず通せ」
「はーい」
まったく、七乃には困ったもんじゃな。
「お嬢様、今度は何を頼んだのですか?」
「ちょっと懐か——……新しい商品の開発じゃよ」
危なかったのじゃ。ついつい孫権に素で答えそうになったが、アレは吾以外にとっては未知のものじゃからな。懐かしいなどと言えば魯粛や孫権ならともかく、小さい頃(今も小さいが口にしたやつは蜂蜜漬けにするのじゃ)から共に居る七乃や紀霊の耳に入れば……今の所、特に困ったことになるとは思えんが、そういう面倒事になりそうな要因は一つでも潰しておくに限るのじゃ。
「うんしょ、うんしょ、お嬢様ー!これ、重いですよー!!」
七乃が重そうにそれを六枚持ってきたが……隣でその十五枚ほど持っておる紀霊がおるから七乃が非力、もしくはサボろうとしておるようにしか見えぬが、アレはもし忠実に再現されておるとしたら一枚三十kgもあるのでおかしいのは紀霊の方じゃな。むしろ標準的には七乃も規格外じゃな。
「では早速見せてもらうとしようかの」
まずは……匂いからじゃな。
うむ、凄く懐かしい匂いじゃ。続いて足ざわり……うむ、良いのぉ良いのぉ。
「うむうむ、良い。実に良い畳じゃ」
そう、吾が再現を頼んだのは畳じゃ。
いやー、床はよくわからん石や現代では主流となったフローリングは暖房器具が十分あれば問題ないんじゃが、吾の部屋は無意味に広いせいで暖かくなりにくい上に、それに部屋が暖まっても床が冷たいから足がよく冷えるんじゃよ。
そこで思い出したのが畳というわけじゃ。
昔の家の印象で和室が寒いという先入観があるが、あれは昔の家そのものが寒いのであって畳自体はそれそのものに断熱効果がある。
「へー、草で床を作るんですか」
「そうじゃ。これじゃと足が冷たくないじゃろ?」
「靴は脱ぐんですねー」
「靴じゃとこの草が痛みやすいからの。後、重たい家具は草が凹んでしまうのであまり置かぬ方がいいの」
「靴を脱ぐのは抵抗があるけど……確かに暖かいですね」
「そうじゃろそうじゃろ」
ただ、ダニが居着きやすい、日焼けしたりすると格好悪い、掃除がフローリングに比べて面倒などデメリットもあるがの。
それに定期的に張り替える必要もあるが……そのあたりは張り替えられる仕様なのかわからんから後で聞いておくとするかの。
まぁ、これらのことは金がある吾にとっては関係ない話じゃな。