第二百十三話
「いいですか、お嬢様。乙女の肌には、特に未婚の方の肌には迂闊に触ってはいけません」
いや、おぬし、日頃の格好(腹と下乳が丸見え)を思い出して……ん?そういえば最近はあの服装ではないの。どうしたんじゃろ?もしかして孫権も都会に染まって、一般的な羞恥心を学んだのじゃろうか?
ただ、李典はいつまで経っても羞恥心の欠片もないような格好をして——
「私が話しているのに他の(女の)ことを考えているとは反省が足りませんね」
吾としては説教しておるというのになぜか孫権の膝の上に座らされておる方が納得いかんのじゃが……最近、孫権が本当の意味で吾の陣営の色に染まっておるような気がする。個人的にはそういう染まり方をして欲しかったわけではないのじゃが——
「ひゃわっ?!」
「人の話はちゃんと聞かないといけないんですよ?」
ちょ?!なんで吾の腹を——にゃわーーー?!ま、待つのじゃ!む、胸をお、押し付けるのは駄目なのじゃ!吾からするのはいいが、するのは心構えが?!こ、これは孫権の罠——
「それともあの貧乳間諜泥棒猫の方がお好みですか?」
今背筋がゾクッとしたぞ?!
そ、孫権さんや?ど、どうしたのじゃ今日は妙に毒舌過ぎるぞ?それと胸を押し付けるのはやめて欲しいのじゃ。吾の悪戯はYES!相手からはNO!なのじゃ!!
七乃はこの手の悪戯をしても色気を感じぬから問題ないがの。
「吾は乳で女性の価値を付けるつもりはないぞ。それとも——おぬしの主はそのような人間だと思っておるのか?」
「……ごめんなさい」
うむ、わかれば良いのじゃ。
……よし、とりあえず流れは打ち切ったぞ。
しかし、胸を押し付けてくるのをやめたり、吾の腹をなでたり、膝から下ろしてくれたりしてくれるわけではないらしい。
それにしても……孫権ってこんなキャラではなかったと思うんじゃけどなぁ。何をどう間違ってこうなって……ああ、吾が間違いか?!
「吾の悪乗りも悪かったが、そこまで怒ることじゃないじゃろ?まぁ確かに今思えば純粋な周泰に行うようなことではなかったが……」
ふむ、少し平和ボケと権力に浸かり過ぎたかもしれんのぉ。自重せねば……自重……できるかのぉ?ぶっちゃけ吾は割りとノリで生きておるところが多々あるのでイマイチ自信がないのじゃ。
そもそも自重するようなものが自分が徹夜せねばならんほどの企画を進め続けることはないじゃろ。
と言うからサラッと孫権さんに死亡フラグが立ってしもうたぞ?胸の脂肪だけに死亡フラグか?笑えんな。
あ、ちなみに聞いておらんということはないぞ?だって何処におるかわからんが殺気を感じたからの。
今は空気読んでか知らぬがアクションがないだけで、おそらくはこの後大変なことになるのは間違いない。
まぁ骨ぐらいは拾ってやるからの。今は短い幸せ……幸せ?……平和を噛みしめると良いぞ。
「……ところでいつまで吾の腹を弄っておるんじゃ?」
「そういえば周泰といったい何の話をされていたのですか」
あ、話をすり替えたぞ。まだ撫でるつもりか。
あまりやられるとポンポンが痛くなってしまいそうじゃぞ。