第二百二十八話
なんというか……吾の予想は見事に的中じゃ。
李典と司馬通は次々発明をし始めた。
蝶番、ドアノブ、それに付随する鍵、バネ、折りたたみの棍棒……平たく言うと警棒など他にも様々なものを瞬く間に開発していったのじゃ。
軍事向きの物は少なかったが、それはそれでいいじゃろう。火薬や火縄銃、大砲なんぞ開発されると面倒なことになるからのぉ。
司馬通はまだ親しい間柄ではないから構わんが、李典はさすがに可哀そうじゃ。
とは言っても今は船作りに精を出しておるようじゃがな。
今回は船舶競争の際には河で行った関係上、川船のノウハウはかなり手に入ったんじゃが、海洋で使う船のノウハウはないからのぉ。
今、海洋を行き交う船は大体は遠洋ではなく、沿岸を沿うように航行しておるため時間が掛かる上に、風の影響で時期が限られておる。
遠洋を航行するには今のままではリスクが高過ぎるからもう少し安全にしたいんじゃがのぉ。竜骨と石を積めばいいという記憶はあるが……竜骨ってなんぞ?モン○ンの武器の材料かや?石を積む?ツ○ツム?
船の知識なんてその手の職業でないと覚えておらんじゃろ!……覚えておらんよな?……よな?
「さて、劉備達の続報は……」
異民族への侵攻と植民地化は順調に進んでおるようじゃ。
そして早速異民族の間で内乱が勃発したのじゃ。
まぁこれも諸葛亮達の計画の内のようなんじゃがな。
吾が思い描いていたものとは少し違っておったようで、元々権力層に選んだ者は圧政を敷くことを期待して問題がありそうな者や強欲な者を選び、民衆が爆発した時にこれを劉備が異民族の平民達の正義を代理して、自分達で選んだ権力層を処分する。そして本命である恩義を感じそうで従順そうな者を権力層に据える。見事なマッチポンプじゃな。さすが孔明、えげつない。
「しかし……収入が馬鹿みたいに増えるのじゃよなぁ。商会の」
劉備達が新たに開拓した交易路?新領地?には新たな植物や珍しい動物などが流れてきたのじゃが……そのルートは全て商会を通しておるため、利益は当然商会に入ることになるのじゃ。
いつの時代も珍しい物は高く売れるのでまた膨大な利益が生まれることになるわけじゃな。
絶対劉備達より儲けておるからのぉ。
国力差を縮めるために開拓しておるのに明らかに吾等を強化しておるというなんとも言えぬ皮肉。
「まぁ、吾等を苦しめるという意味ではあながち間違いとは言えんあたりも皮肉じゃな」
国力の増減という意味では間違っていても国の経済状況的には間違いなく苦しめられることになる。
「まだ売り捌いておらんからその前に消費する先を探さねば」
しかし、労働力は未だに不足しておるからのぉ。あまり迂闊なことはできんな。
「んー、いっそ休日にして祭りでも行ってみるか?多少進行が遅くなるじゃろうがいい感じに消費……してまた倍や三倍になって帰ってくる未来しか見えんな。とりあえず乗合馬車を無料化してみるか……いや、あれは税収になっておるから駄目か……ああ、もう面倒じゃな!!」
誰か、吾に労力が要らず、金が減って、金が増えぬ方法を教えてたも!!