第二百五十六話
なんとか七乃の凶行から脱することに成功した。
いやー、危なかったのぉ。途中で関羽が止めに入ってくれなければ大変なことになっておった。
ある意味貞操の危機じゃった。
そして学習した。変態さんの前でお金は無力じゃ。
ところで関羽の相手をしておった周泰じゃが……それはもうズタボロにされておった。
ダメージを受けると衣服や装備が消し飛んでいくお色気売りのゲームがあったがそれの最終段階みたいになっておる。
大きな子供の愛用系ならそのまま悲惨な目に遭いそうな感じじゃ……ハッ?!そういえば吾もその系の登場人物ではないか!!まぁ原作は恋愛重視じゃったからそのような展開はないがの。
下ネタついでに言えばこの世界では女性武官が多いのにそういうことをしようとする者は少ないそうじゃ。
なぜならば相応の強さを持つ男でなければ挿入した瞬間に潰されるからなんじゃと、ある意味女性の神秘じゃな。この世界の女性は本当に強いのぉ。
そしておそらく北郷はそんなことを知らんじゃろうな。
ちなみに一部の変わり種宦官はそんな方法で宦官になるそうじゃ。その後はそういう行為ができなくなるからの……仕事納めというやつじゃな!
「七乃~しっかり頑張るんじゃぞ~」
「無理ですぅ~謝るので許してくださいぃ~!!」
「頑張るんじゃぞ~」
救う気はなし。ちょっとは反省するといいんじゃが……絶対反省せんじゃろうな。
何から救う気がないかというと、恋ちゃんとの鍛錬じゃな。
いやーよく考えたら皆鍛錬しておるというのに七乃だけ特別扱いするというのもなんじゃろ?だから罰ゲー……ゴホン、鍛錬をするようにしたのじゃよ。
さすがに七乃一人ではどうにもならんから関羽と共に恋ちゃんと模擬戦じゃ~。
……呂布、関羽、張勲……一人だけ場違い感半端ないのぉ。張勲ではなく周泰か甘寧ならぴったりなんじゃがな。せめて楽進……も少し格が下がるじゃろうかの?
「大丈夫……手加減する」
「その旋回速度で言われても説得力ないですよ!」
それは七乃と同意見じゃ。手に持つ方天画戟を模した槍がヘリコプターのプロペラのようにところどころ視認できる程度にしか見えんぞ?というか旋風がすごくて砂煙がめっちゃ舞っておるんじゃが。
「冗談」
恋ちゃんも冗談を言うんじゃなぁー。
あ、先程まで戦っておった紀霊は見事に敗北、気絶してしもうておるから吾の膝を枕に休ませておる。
一応ご褒美じゃぞ?見事敗北というのは見事に恋ちゃんに致命傷でこそないものの三撃ほど有効打を与えることができたからじゃ。
……まぁ恋ちゃんが今もあれほど元気そうなところを見ると健闘賞という感じなんじゃろうけどな。
「こうなったら私の隠してきた力を披露してあげましょう!」
「あ、恋ちゃんの家族とか陳宮を人質にしたらいかんぞー」
「…………………………い、いやですねー。そんな汚いこと私がするわけないじゃないですかー」
絶対する気だったじゃろ。
そもそも人質を取ろうとしたところで辿り着く前に恋ちゃんにメメタァされて終わりじゃろう。
「し、仕方ありませんねー。この袁術親衛隊正式採用鋼剣の錆にしてあげます」
……その剣、そんな名前じゃったのか?というか七乃は親衛隊じゃったのか。もっと距離は近いと思うんじゃがのぉ。まぁ正妻とか妾とか愛人とか言われるよりはいいがな。
というかさり気なく真剣なんじゃが……まぁ良いか、恋ちゃんに届くわけないしいいか。
「行きますよ!関羽さん!」
「ああ」
それにしても七乃が剣を持つ姿というのはレアじゃな。原作では孫策達に負けて殺されそうになった時に孫策と直に戦うシーンがあったが、あれは吾でなかった頃から嫌いではなかったぞ。
しかし、この世界じゃと見ることはないじゃろうなぁ。本気で七乃が剣を振るうシーンは。
それ以前に吾がそんなことをさせんしの。負けるようならとっとと逃げて隠居するしの。
今から孫策に負けたとしても殺されることはないじゃろうしな。別に酷いことはしておらんし……大丈夫じゃよな?
「やああぁぁ!」
七乃の気合いの声。
「とりゃああ!!」
七乃の気合いの声。
「うりゃーー!!」
七乃の気合いの声。
ただし、スタート位置から一歩も動いておらんがな!
ついでに言えばチラッ、チラッと掛け声の度にこちらに必死に涙目で何かを伝えて来ておる。
まぁ止めてほしいんじゃろうなぁ。
うむ、気持ちはよく分かるぞ。吾と七乃は以心伝心じゃからな。
だが断る。