第二百八十二話
「……お嬢様、何をなさっているんですか?」
「ん?これか?」(ねりねりねりねり)
一生懸命やっているからなのか、何かやっている吾に気づいてから十分も見ておった孫権が声を掛けてきた。
吾への配慮というのはわかるがもう少し早く話しかけてもよかったんじゃよ?
「粘土で遊んでおるんじゃぞ」
「粘土……しかしとても土には見えませんが」
ふっふっふ、それはそうじゃろうな。なにせこの粘土は――
「これは小麦粉粘土というものじゃ!」
いやー、なんとなく日頃やらん芸術っぽい何かをやりたいと思って思いついたのが粘土遊びなんじゃが、粘土遊びは粘土をわざわざ用意せねばならんじゃろ?少なくとも身近にないのは間違いないのは確定じゃ。
そこで思いついたのが小麦粉粘土じゃ!
材料自体は小麦粉、塩、油、水を混ぜればできるし、色が欲しければ乾燥野菜を臼で粉末にしたものを混ぜればいいのじゃ。
「そして最後は食べる。一時の芸術というやつじゃな」
現代でもバナナを刺しまくって黒く変色させて絵を描いたりしてたからの。
「それは新しいですね…………ところで…………」
「なんじゃ?」
「これはなんですか?」
「見ての通り孫権じゃよ」
そう答えると、なぜかジト目をされた。なぜじゃ?結構な力作なんじゃが。
「ではこちらは」
「七乃じゃな。その隣は関羽と紀霊。で反対側は孫策でその隣は黄蓋じゃ」
……なぜじゃろうな。説明する度にジト目レベルが上昇しておるぞ。
「……(フッ)……こちらは?」
「華琳ちゃんじゃの」
というか今、鼻で笑ったじゃろ。絶対華琳ちゃんに知られたらいかんぞ。命を狙われるのじゃ。
「お嬢様、一言よろしいでしょうか?」
「うむ。改まって言わんでも遠慮なく申せ――アイター!!」
星が、星が見えたぞ?!
ふぉ?!いつの間にハリセンを握って!!
「お嬢様の粘土遊びは既に粘土細工と言っていいほどの仕上がりです……しかし、なぜその腕で作ったのが私達の……む、胸だけなんですか!」
いやー、小麦粉粘土を作っておったらその感触でおっぱいマウスパッドを思い出したんじゃよ。
実際作ったところで感触なんて欠片も再現できるわけではないがの。というか七乃と紀霊と魯粛以外の胸なんて触ったことも……ん?十分触っておるような?まぁどちらかというと触るというか顔を埋められるという方が正しいがな。
ちなみに孫権が鼻で笑った華琳ちゃんの胸はほんのりと増強しておるんじゃが……それをわかって笑った……わけないか。
「見ての通り色も本物に近づけておるし、着衣も実は脱がせることもできたりするんじゃぞ!」
「無駄に凝ってますね?!」
「武士の情けで乳頭は着衣の方で作っておるぞ」
「配慮する部分が間違っています!」
「ついでに言えばこれから諸葛亮、鳳統のを作る予定じゃ!」
「そんなのそこらへんの木の板で十分でしょう」
むしろ木の板を用意する方が面倒じゃろ。
「まぁどうせ最後には食べてなくなるんじゃから多めに見てほしいのじゃ」
「……それはそれでもやもやするんですが……」
最後にはスタッフ一同で美味しくいただい――
「芸術……美味しい」
何処から現れた恋ちゃん?!それと決して芸術全部が食べられるわけじゃないぞ。
というか恋ちゃんがおったらこんな量じゃ足らんじゃろ!追加を持て!!
「既に手配済みですよー」
うむ、さすが七乃じゃ。
「……おっぱい美味しい……」
これ、孫権や七乃の胸を見ながら言うでない。それは食べれんぞ。
そうじゃ、まだ誰も食べておらんはず――あった!
「これも食べると良いぞ」
「…………恋の?」
そう、吾が渡したのは恋ちゃんのおっぱいマウスパッド……じゃないけどとりあえずおっぱいパン?もどきじゃ。
「……美味しい……ジュル」
「いや、自分の胸を見て食べたそうにするでない!」
「……あむ」
「「「あっ」」」
………………
「……美味しくない」
「「「でしょうね!」」」